22-23 ナオキロッシ

2007年1月20日生まれ

ジュニア3シーズン目

シーズン獲得賞金:$7,000

世界ランキング:31位

シーズンランキング:18位

シーズンベストスコア 220.68(43位) 世界ジュニア

ショートプログラムシーズンベスト 79.46 世界ジュニア

フリーシーズンベスト 145.55 タリンホステルカップ

ショートプログラム楽曲: フラメンコ 他

フリープログラム楽曲 : Born from Ashes 他

スピンレベル4率 28/42 = 66.7%

ステップレベル4率 4/10 = 40.0%

スピンオールレベル4 1/7

スピンステップオールレベル4 0/7

ジャンプ回転不足率 11/70 = 15.7%

ジャンプ回転不足なし 3/7

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 0/7

 

○22-23シーズンの戦績

J/S Grade Event Pl Total SP FS
J JGP JGP Gdansk 8 187.85 66.50 121.35
J JGP JGP Egna 4 198.63 71.71 126.92
S CS Ice Challenge 7 197.59 69.02 128.57
S CS Warsaw Cup 7 208.34 75.46 132.88
J Others European Youth Olympic 3 185.51 68.88 116.63
S IC Tallink Hostels Cup 3 219.45 73.90 145.55
J WJ World Junior 2 220.68 79.46 141.22

ナオキロッシ選手はジュニア3シーズン目。ギリギリシニアの試合も出場可能な逃げ切り世代です。昨シーズン世界ジュニア9位でした。

今シーズンはジュニアグランプリのグダンスクから。ショートはコンビネーションが転倒で66.50となり6位スタート。首位とは5.72差。チャンスのある点差でフリーへ進みますがフリーは何故か3連続を2回飛ぶというよくわからないミスもあって121.35にとどまり8位に終わります。

世界ジュニア9位からするとファイナルチャンスもある選手なはずでしたが、初戦8位だとファイナルはないな、という2戦目は最終戦のエーニャ。ショートはまずまずの出来で70点台に乗せる71.71で4位3位とは0.64差。初表彰台なるかというフリーは回転不足3つにトリプルアクセルを転倒とスコア伸ばしきれず126.92 トータル198.63は届かず4位。表彰台には乗れずに終わりました。

ギリギリシニア可能年齢なこともあり11月はチャレンジャーシリーズ転戦をします。アイスチャレンジ7位、ワルシャワカップ7位。着実にポイントを稼いでランクを上げていきます。

 

年が明けてヨーロッパユースオリンピックに出てきました。ショートはトリプルアクセル回転不足が痛く68.88ですがそれでも2位スタート。逆転を狙うフリーはトリプルアクセルが1本になりループが2回転に。フリップは回転不足を取られるなど見た目それほど悪くないけど点が削られるというミスが多く116.63に終わりトータル185.51で3位。表彰台には乗りましたがタイトルを逃す形になりました。

2月には世界ジュニアを2週間後に控えた時期にタリンホステルカップでシニアカテゴリーの試合に出ます。ここではショートフリーでトリプルアクセル3本を揃えて219.45 ISU非公認ですがパーソナルベスト相当のスコアを出し、調子を上げて世界ジュニアへ。

混戦模様の世界ジュニアですがショートプログラムは36番滑走で登場し、ほぼミスのない演技で79.46のパーソナルベスト更新で3位に付けます。4位とは2.35差。逃げ切れるかというフリー。トリプルアクセル2本をしっかりと決めて、以降は2つほどミスが出たものの何とかまとめて141.22とこれもパーソナルベスト。トータル220.68と220点に乗せて最終的には2位。チャンピオンシップの表彰台に乗りました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
JGP Gdansk 187.85 88.03 100.82 66.09 -8.88 23.95 6.87
JGP Egna 198.63 98.26 101.37 73.60 -6.95 22.76 8.85
Ice Challenge 197.59 92.84 104.75 67.19 -7.22 22.31 10.56
Warsaw Cup 208.34 101.68 108.66 74.64 -1.77 18.27 10.54
European Youth Olympic 185.51 86.04 99.47 61.82 -4.35 19.76 8.81
Tallink Hostels Cup 219.45 108.62 111.83 73.32 -1.18 23.53 12.95
World Junior 220.68 108.30 112.38 73.11 3.44 22.65 9.10

180点台で始まったスコアが190点台になり200点に乗り210点を超え最後は220点台になって世界ジュニア表彰台でした。その流れで言えばヨーロッパユースオリンピックがもったいなかったです。

技術点は108点台まで出しました。世界ジュニアはシニアルールなら110点に技術点を乗せられた試合です。

PCSは110点台まで出ています。まだ全試合技術点よりPCSの方が高いという形になっています。1項目平均7.5程度まで世界ジュニアで出しました。

ジャンプの基礎点は74点台をワルシャワカップで出しています。シニアの上位とはまだ差があります。加点の方はマイナスが並んでいますが、世界ジュニアでは+3.44を出しました。

スピンは22点から23点台まで出ています。ステップ系要素はシニアカテゴリーの試合でも12.95が最高です。ジュニアグレードで9.10がありました。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
JGP Gdansk 45.34 45.99 41.83 62.94 45.09 46.98
JGP Egna 48.38 50.80 44.61 58.89 62.58 47.36
Ice Challenge 48.08 46.69 44.22 57.36 47.32 49.67
Warsaw Cup 51.11 51.47 52.07 43.63 47.23 52.34
European Youth Olympic 44.68 43.25 48.35 48.69 62.19 46.06
Tallink Hostels Cup 54.25 50.62 52.92 61.51 58.94 54.51
World Junior 54.59 50.49 59.58 58.52 64.33 54.89

偏差値として見ると、前半は40台と平均割れだったトータルスコアが後半は50台半ばにまで上がっていったのが見て取れます。

ジャンプの基礎点はいい時でやっと50を少し超えるくらいです。加点の方は世界ジュニアだけ60近い偏差値が出ました。

スピンは2試合ひどいのがありますが基本的には60前後の偏差値を普通に出せます。

ステップ系要素はシニアカテゴリーの2試合で低いのが気になりますが、ジュニア補正含めると60前後のものが出せるようです。ステップレベル4率はジュニアとしては高めの40%ありました。

PCSは50前後で標準的です。

 

22-23シーズン ナオキロッシ選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートは、左に多少寄っているでしょうか。悪い試合は両サイド凹んでスリムな形になりますが、基本的には右よりも左の方が強い構図になっています。

 

・シーズン最高の基礎点構成

○世界ジュニア ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   1.49 9.49 1.667
2 3Lo   4.90   0.49 5.39 1.111
3 CCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.222
4 3Lz+3T   11.11 x -0.42 10.69 -0.889
5 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.667
6 CSSp4   3.00   0.94 3.94 3.222
7 FCSp4   3.20   0.87 4.07 2.667
  TES   37.61   5.23 42.84  

ショートプログラムの最高基礎点は37.61がありました。ジュニアとしては最高の基礎点です。これより上はルール上出せません。トリプルアクセルありで単独ループはルール上固定で入り、1.1倍には3Lz+3T スピンステップオールレベル4で37.61です。

シニアに上がればショートから4回転が欲しいところですが、ジュニアにいる限りにおいてはどう頑張ってもこれ以上の構成はありません。

この構成でGOE満点取ると技術点は53.81となりPCS加味して103.81満点となります。

 

○タリンホステルカップ フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A+2T   9.30   0.80 10.10 1.200
2 3A   8.00   0.27 8.27 0.400
3 3Lz+3T   10.10   0.20 10.30 0.400
4 ChSq1   3.00   0.83 3.83 1.400
5 3Lo   4.90   0.33 5.23 0.800
6 CCoSp4   3.50   0.47 3.97 1.200
7 3Lz   6.49 x 0.59 7.08 1.000
8 2A+1Eu+3S   8.91 x -0.43 8.48 -1.000
9 3Fq F 5.83 x -2.65 3.18 -5.000
10 FCSp4   3.20   0.75 3.95 2.400
11 StSq4   3.90   1.04 4.94 2.400
12 CSSp3   2.60   0.52 3.12 1.600
  TES   69.73   2.72 72.45  

フリーはシニアの試合で69.73の基礎点がありました。4回転無し。2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルトリプルルッツです。セカンド3回転あり、3連3サルコウあり。シークエンスアクセルはいません。スピンが1つレベル3なのでこれをレベル4に出来れば70.13になり基礎点が70点台に乗ります。セカンド2Tを2Aに置き換えられれば2.0基礎点が上がるので72.13にまでさらにできます。それより上へ上げていくには1.1倍のジャンプが多少弱いので、そこにもう少しつぎ込む手はあるでしょうか。それ以上は4回転の投入が求められます。

上記の構成でスピンステップオールレベル4にGOE満点取ると技術点は100.58となりPCS加味して200.58満点となります。

 

○平均GOE2.400以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
World Junior SP 6 CSSp4   3.00   0.94 3.94 3.222
Tallink Hostels Cup SP 6 CSSp4   3.00   0.90 3.90 3.200
JGP Gdansk SP 3 CCoSp4   3.50   1.10 4.60 3.111
World Junior FS 6 CCoSp3V   2.25   0.68 2.93 3.000
Tallink Hostels Cup SP 7 FCSp4   3.20   0.96 4.16 3.000
World Junior FS 11 CSSp3   2.60   0.74 3.34 2.778
World Junior SP 7 FCSp4   3.20   0.87 4.07 2.667
World Junior FS 10 FCSp4   3.20   0.87 4.07 2.667
World Junior SP 5 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.667
Tallink Hostels Cup SP 5 StSq3   3.30   0.88 4.18 2.600
JGP Gdansk FS 6 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.556
JGP Gdansk SP 6 CSSp4   3.00   0.77 3.77 2.444
JGP Gdansk SP 5 StSq2   2.60   0.63 3.23 2.444
Tallink Hostels Cup SP 3 CCoSp4   3.50   0.93 4.43 2.400
Tallink Hostels Cup FS 10 FCSp4   3.20   0.75 3.95 2.400
Tallink Hostels Cup FS 11 StSq4   3.90   1.04 4.94 2.400

評価の高い要素はスピンが並びます。3種類のスピンがどれも評価高く入ってきているようです。ステップもいますがコレオはいません。また、ジャンプも1つも入ってきていません。ジャンプがあまり得意ではない、というのが浮き彫りになっています。

 

トリプルアクセルを含む要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Gdansk SP 1 3A   8.00   1.49 9.49 1.889
JGP Gdansk FS 1 3A   8.00   -2.17 5.83 -2.667
JGP Gdansk FS 2 3A+1Eu+3S< 11.94   -3.43 8.51 -4.111
JGP Egna SP 1 3A   8.00   1.37 9.37 1.778
JGP Egna FS 1 3A+3T< 11.36   -1.71 9.65 -2.111
JGP Egna FS 2 3A F 8.00   -4.00 4.00 -4.889
Ice Challenge SP 1 3A   8.00   1.28 9.28 1.714
Ice Challenge FS 1 3A+1Eu<<+3S <<  12.30   -2.72 9.58 -3.429
Ice Challenge FS 2 3Aq q 8.00   -1.60 6.40 -1.857
Warsaw Cup SP 1 3A   8.00   1.60 9.60 1.857
Warsaw Cup FS 1 3A+3T   12.20   -2.40 9.80 -3.000
Warsaw Cup FS 2 3A   8.00   0.48 8.48 0.571
European Youth Olympic SP 1 3A< 6.40   -1.92 4.48 -3.000
European Youth Olympic FS 1 3A+1Eu<<+3Sq <<  12.30   -3.20 9.10 -4.000
Tallink Hostels Cup SP 1 3A   8.00   1.60 9.60 2.000
Tallink Hostels Cup FS 1 3A+2T   9.30   0.80 10.10 1.200
Tallink Hostels Cup FS 2 3A   8.00   0.27 8.27 0.400
World Junior SP 1 3A   8.00   1.49 9.49 1.667
World Junior FS 1 3A+2T   9.30   1.14 10.44 1.444
World Junior FS 2 3A   8.00   0.57 8.57 0.778

ナオキロッシ選手はまだ4回転をチャンレジ含め1度も構成に入れてきていません。1番基礎点高いジャンプはトリプルアクセルになります。

今期20回飛んで転倒は1回、アンダーローテーション1回、コンビネーションの後ろで回転が足りていないものが4かい、それら以外のGOEマイナスが3回あり、成功ジャンプは11回になります。単独ジャンプの13回なら9回成功していますので、コンビネーションがまだあまりうまく入れられていないという風に見えました。ただ、最後の2試合はコンビネーション含めトリプルアクセル3本決めていますので、調子が良かったのか、あるいは確度が上がってきたというのもあるかもしれません。

 

○3連続の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Gdansk FS 2 3A+1Eu+3S< 11.94   -3.43 8.51 -4.111
JGP Gdansk FS 8 2A+1Eu+3S* * 4.18 x 0.33 4.51 1.000
JGP Egna FS 9 2A+1Eu+3S< 7.96 x -0.88 7.08 -2.667
Ice Challenge FS 1 3A+1Eu<<+3S <<  12.30   -2.72 9.58 -3.429
Warsaw Cup FS 9 2A+1Eu+2S   5.61 x -0.07 5.54 -0.286
European Youth Olympic FS 1 3A+1Eu<<+3Sq <<  12.30   -3.20 9.10 -4.000
Tallink Hostels Cup FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 x -0.43 8.48 -1.000
World Junior FS 3 3Lz+1Eu+3S   10.70   -0.17 10.53 -0.333

3連続は7試合で8回という不思議なことになっています。初戦のJGPグダンスクでなぜか2回の3連続を入れていました。

GOEがプラスになったのはそのグダンスクの2回目の3連続で3つ目のサルコウが零点扱いされた要素のみです。4回転ありませんので、3連続でもしっかり点を取っていきたいところなのですが、まだ成功率は低いと言わざるを得ません。

 

今期からシニアカテゴリーの試合の出場も可能だったナオキロッシ選手でしたが、世界ジュニアで結果を出しました。これを持ってシニアに上がればグランプリシリーズも回ってきますがジュニアに残留するようです。スイスの2番手でもありますし、ブリッチギー選手が世界選手権の2枠目も取ってきていますし、シニアに上がって試合経験を積む、という選択肢もありましたが、前半はジュニアでジュニアグランプリファイナルを狙いつつチャレンジャーシリーズでポイントも取って、後半はヨーロッパ選手権、世界ジュニア、世界選手権とチャンピオンシップをはしごする、というコースを想定しているでしょうか。

まだ4回転がないのでシニアの上位と戦うには厳しいですが、それを習得してくると250点くらいまで見えてきます。年齢制限掛らずギリギリでシニアの試合の経験も積めるおいしい世代でもありますし、次のオリンピックに合わせてスコアを上げて行っていただければと思います。