22-23 キミ―レポンド

2006年10月18日生まれ

ジュニア3シーズン目

シーズン獲得賞金:$11,000

世界ランキング:20位

シーズンランキング:10位

シーズンベストスコア 194.09(22位) 世界選手権

ショートプログラムシーズンベスト 63.83 ヨーロッパ選手権

フリーシーズンベスト 131.34 世界選手権

ショートプログラム楽曲:Love is a Bitch他

フリープログラム楽曲:Exogenesis: Symphony Part 3

スピンレベル4率 37/48 = 77.1%(国際大会:32/42 = 76.2%)

ステップレベル4率 6/13 = 46.2%(国際大会:6/11 = 54.5%)

スピンオールレベル4 3/8(国際大会:3/7)

スピンステップオールレベル4  0/8(国際大会:1/7)

ジャンプ要素回転不足率 4/80=5.00%(国際大会:4/70=5.71%)

ジャンプ回転不足なし 5/8(国際大会:4/7)

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 1/8(国際大会1/7)

 

○22-23シーズンの戦績

J/S Grade Event Pl Total SP FS
J JGP JGP Riga 6 168.96 58.88 110.08
J JGP JGP Gdansk 4 180.45 59.39 121.06
S CS Budapest Trophy 2 177.74 60.86 116.88
S CS Ice Challenge 3 169.35 53.22 116.13
S NC Swiss Championships 2 175.13 58.51 116.62
S EC Europe Championships 3 192.51 63.83 128.68
J WJ World Junior 7 180.32 57.96 122.36
S WC World Championships 8 194.09 62.75 131.34

レポンド選手は昨季世界ジュニア7位。米韓以外の最高位でした。今シーズンはジュニア3シーズン目。ぎりぎりシニアの国際大会にも出場可能な年齢制限逃げ切り世代です。

今期はジュニアグランプリシリーズからとなります。初戦はリガ。ショートフリー共に大きなミスはなく168.98は本人比でまずまずの滑り。スコアなりに6位に入ります。

2戦目はグダンスク。ショートは59.39でこれもまずまずというくらいで7位スタート、最終グループには入れませんでした。フリーはほぼミスのない演技で121.06のパーソナルベスト。ISU公認で初の180点台に乗せて180.45 4位に入りました。

年齢的にはシニアでの試合もこなせるので、ここからチャレンジャーシリーズ巡りとなります。10月はブダペストトロフィー。ショート60.86はISU公認のパーソナルベスト更新でフリーもまずまずまとめて2位。シニアデビュー戦で表彰台に乗ってきました。

11月はもう1試合チャレンジャーシリーズ、アイスチャレンジに出場。メンバー的には優勝もあり得たのですが、ショート冒頭から今季唯一の転倒でスコア伸びず。169.35は3位。それでもチャレンジャーシリーズ2戦連続表彰台で世界ランキングを上げてきました。

 

スイスのナショナルは12月中旬にあります。力的には勝ってもおかしくないのですが、ショートはコンビネーションでq2つに!までインフォオンパレードで58.51は3位発進。フリーもq5つに!1つだとスコア伸び切らずに3試合連続の116点台でトータル175.13 1位と0.80差の2位でナショナルのタイトルは獲れませんでした。

 

それでも実績としては強いのでヨーロッパ選手権、世界ジュニア、世界選手権、中堅以下の国にありがちな3大会すべてに年が明けてから出るスケジュールになります。

初出場のヨーロッパ選手権。ショートは、またルッツでqと!ですがそれでも63.83のパーソナルベストで3位スタート。ただし8位まで3.06差、60点台に8人いる大混戦。重圧のかかるフリーになります。123.08出せば表彰台確定というフリー。パーソナルベストは121.06しかこの時点で持っていません。冒頭のコンビネーションではやはりルッツに!がつきますが、qは付かずに堪えます。以降すべてのジャンプを成功、スピンステップオールレベル4 128.68まで出して残り2人の時点で首位に立ち表彰台確定。最終順位は3位。2008年のサラメイアーさん以来15年ぶりにスイスにヨーロッパ選手権のメダルをもたらしました。

 

世界ジュニアは2年連続出場ですが、昨シーズンよりレベルは上がっています。日米韓の牙城を崩したいところだったのですがショートはジャンプ3回4つでq3つと<1つにeまでついてこれ以上ないくらいマーク付まくり。これだと苦しくて57.96は10位スタートになります。フリーはやはり冒頭ルッツにeがつくなどルッツの課題が解決できないのですが以降はノーミス。122.36まで出してトータル180.32は最終的には2年連続の7位。日韓中の東アジア勢以外では最高位を確保しました。

 

そして世界選手権にも出場します。今季初、ショートプログラムの3Lz+3Tでマーク何もなし。他のジャンプも成功させて62.75ですが、これでも13位になってしまうのが世界選手権。フリーは第2グループの最後に出てきます。フリーもすべての要素でマーク何もつかずの全要素プラス評価で131.34 初めて130点を超えるパーソナルベスト更新でトータル194.09まで伸ばし、最終順位は8位となりました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
JGP Riga 168.96 90.55 78.41 64.77 -2.75 20.79 7.74
JGP Gdansk 180.45 98.21 82.24 64.86 4.76 21.42 7.17
Budapest Trophy 177.74 92.13 85.61 61.16 -3.52 22.14 12.35
Ice Challenge 169.35 90.74 79.61 60.43 -4.39 22.59 12.11
Swiss Championships 175.13 92.33 82.80 65.00 -6.44 22.52 11.25
Europe Championships 192.51 104.08 88.43 64.94 1.88 23.69 13.57
World Junior 180.32 91.71 88.61 61.30 -0.46 22.04 8.83
World Championships 194.09 103.75 90.34 64.94 5.79 20.40 12.62

トータルスコアは160点台もありますがヨーロッパ選手権、世界選手権と大事な試合で190点台まで出してきました。技術点は90点台が続いていましたが、ヨーロッパ選手権で104.08まで出しました。

PCSは80点前後が多かったですが世界選手権で90.34と90点まで持ってきました。1項目平均7.5程度まで来ています。

ジャンプの基礎点は安定していて60点台前半。国際大会ではヨーロッパ選手権と世界選手権の64.94が最高です。回転不足のqは多発しながらもアンダーローテーションまで行くのは5%と2試合に1つ程度に抑えられていて、基礎点は確保できているのは強みです。

ジャンプの加点はマイナスが多いです。この辺がq多発によるものですが、世界選手権では+5.79としっかり加点を確保しました。

スピンは22点台が標準でヨーロッパ選手権で23.69までは出しました。

ステップ系要素はシニアの試合では12点台が多く、ヨーロッパ選手権の13.57が最高です。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
JGP Riga 54.59 64.24 50.56 52.54 54.98 50.01
JGP Gdansk 58.38 64.33 65.93 54.64 48.86 52.80
Budapest Trophy 57.49 60.72 48.98 57.05 57.27 55.25
Ice Challenge 54.71 60.01 47.20 58.55 56.19 50.88
Swiss Championships 56.62 64.47 43.00 58.31 52.32 53.20
Europe Championships 62.37 64.41 60.04 62.22 62.76 57.30
World Junior 58.34 60.86 55.25 56.71 63.48 57.43
World Championships 62.89 64.41 68.04 51.24 58.49 58.68

偏差値に直すとトータルスコアは50台中盤の試合が多いですが、大事なチャンピオンシップで62台まで出しました。

ジャンプの基礎点は60台前半で、加点の方が平均割れも多かったですが、世界選手権で68.04と60台後半まで出せています。

スピンは50台が多く、1試合だけ60台、ステップも50台が多い中で2試合は60台でした。

PCSは50台後半くらいまで出るようになってきています。

まだ全体的に50台後半くらいの偏差値で、ジャンプが基礎点はしっかり確保できて60台に乗るので、加点をちゃんと稼げるときはトータルスコアも60台の偏差値になるよ、というくらいの位置づけにいます。

22-23シーズン キミ―レポンド選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャート作るとこんな感じで、ジャンプの加点以外もスピンでのばらつきが目立ちます。スピンのレベル4率は70%台なのでその辺のばらつきも出てきています。

PCSはばらつきがあるというよりは、徐々に上昇していったという風にも見えます。

 

・シーズン最高の基礎点構成

ヨーロッパ選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz!q+3T ! 10.10   -1.35 8.75 -2.222
2 2A   3.30   0.42 3.72 1.222
3 FCSp4   3.20   0.55 3.75 1.778
4 3F   5.83 x 0.30 6.13 0.444
5 LSp4   2.70   0.58 3.28 2.111
6 StSq4   3.90   0.95 4.85 2.333
7 CCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.333
  TES   32.53   2.65 35.18  

ヨーロッパ選手権で32.53の基礎点でした。単独フリップが1.1倍にいて3Lz+3Tのコンビネーションが入り、スピンで9.40という1番高くなる組み合わせをスピンステップオールレベル4にすればこの基礎点になります。同じ基礎点にキムチェヨン選手がいて、今シーズン10位の構成になります。

GOEオール満点の時技術点が46.43になりPCS加味して86.43満点の構成です。

 

○世界選手権 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz!+3T ! 10.10   -0.51 9.59 -0.889
2 3F   5.30   0.68 5.98 1.222
3 3Lo   4.90   0.77 5.67 1.556
4 2A   3.30   0.57 3.87 1.667
5 FCCoSp4   3.50   0.60 4.10 1.667
6 ChSq1   3.00   0.93 3.93 1.778
7 3F+2T+2Lo   9.13 x 0.15 9.28 0.333
8 2A+3T   8.25 x 0.42 8.67 1.000
9 3S   4.73 x 0.43 5.16 1.000
10 LSp4   2.70   0.66 3.36 2.444
11 StSq4   3.90   0.89 4.79 2.222
12 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.889
  TES   62.31   6.59 68.90  

フリーは世界選手権の62.31が最高でした。2回飛ぶジャンプはフリップとトーループです。スピンステップはオールレベル4になっています。

62.31あればダブルアクセル組の中ではまあまあ高い方でヘンドリックス選手あたりよりも今シーズンの実績では基礎点は上です。

この構成だとGOEすべて満点の時技術点は88.21まで出ますのでPCS加味して168.21満点の構成です。

 

○平均GOE2.400以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Europe Championships SP 7 CCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.333
World Junior FS 11 CCoSp3   3.00   0.86 3.86 3.000
Europe Championships FS 12 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.889
World Junior SP 7 CCoSp3   3.00   0.90 3.90 2.889
JGP Gdansk SP 7 CCoSp3V   2.25   0.68 2.93 2.889
JGP Gdansk SP 6 StSq2   2.60   0.71 3.31 2.778
World Championships FS 12 CCoSp3   3.00   0.77 3.77 2.667
Ice Challenge SP 7 CCoSp4   3.50   0.91 4.41 2.571
Ice Challenge FS 12 CCoSp4   3.50   0.91 4.41 2.571
World Junior SP 6 StSq4   3.90   1.00 4.90 2.556
JGP Gdansk FS 11 CCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.556
JGP Gdansk SP 5 LSp4   2.70   0.66 3.36 2.444
Europe Championships FS 10 LSp4   2.70   0.66 3.36 2.444
Swiss Championships SP 7 CCoSp4   3.50   0.82 4.32 2.400

レポンド選手は平均GOE+3.000以上の要素がシーズン通じて2つだけでした。加点の入り方がまだ上位とは少し差があります。

評価の高い要素はCCoSp 足替えのコンビネーションスピンが多いです。それ以外とステップも平均GOE+2.500を超えるくらいまではありました。

ジャンプではダブルアクセルが1つ平均GOE+2.222が最高でした。ジャンプで加点が獲れるようになると200点が見えてくるかと思います。

 

○セカンド3回転の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Riga SP 1 3Lz!+3T ! 10.10   -0.25 9.85 -0.556
JGP Riga FS 2 2A+3T   7.50   0.72 8.22 1.667
JGP Gdansk SP 1 3Lz!+3T ! 10.10   0.00 10.10 -0.111
JGP Gdansk FS 7 2A+3T   8.25 x 0.66 8.91 1.556
Budapest Trophy SP 1 3Lzq+3T q 10.10   -1.01 9.09 -1.667
Budapest Trophy FS 7 2A<+3T 7.52 x -1.62 5.90 -3.889
Ice Challenge FS 7 2A+3T< 7.33 x -0.87 6.46 -2.429
Swiss Championships SP 1 3Lz!q+3Tq ! 10.10   -2.56 7.54 -4.400
Swiss Championships FS 1 3Lz!q+3Tq ! 10.10   -2.36 7.74 -4.200
Swiss Championships FS 8 2Aq+3T q 8.25 x -0.56 7.69 -1.200
Europe Championships SP 1 3Lz!q+3T ! 10.10   -1.35 8.75 -2.222
Europe Championships FS 1 3Lz!+3T ! 10.10   -0.51 9.59 -0.889
Europe Championships FS 8 2A+3T   8.25 x 0.42 8.67 1.000
World Junior SP 1 3Lzeq+3T< 8.08   -2.36 5.72 -4.333
World Junior FS 1 3Lze+3T e 8.92   -0.67 8.25 -1.333
World Junior FS 8 2A+3T   8.25 x 0.66 8.91 1.556
World Championships SP 1 3Lz+3T   10.10   0.08 10.18 0.000
World Championships FS 1 3Lz+3T   10.10   1.01 11.11 1.667
World Championships FS 8 2A+3T   8.25 X 0.60 8.85 1.556

レポンド選手はショートの冒頭で3Lz+3Tをフリーではスイスナショナル以降は3Lz+3Tを冒頭に飛び、後半に2A+3Tを入れています。

3Lz+3Tの確率がどうしても低いです。今シーズン11回飛んでルッツのe2つ!6つ、qは7つあって<1つ 転倒やダウングレードがないのは救いですがGOEプラスの成功ジャンプは1つ、GOE0を含めても2つだけでした。ただし、その2つを世界選手権に出してきたのは素晴らしいです。

ルッツのマークの付き方からするとルッツ得意でもなさそうなのでコンビネーションはフリップからにした方がいいような気もします。

2A+3Tは8回飛んで<2つにq1つ、GOEプラスの成功ジャンプは5回でした。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Riga FS 1 3Lz!q+1Eu+3S ! 10.70   -1.43 9.27 -2.222
JGP Gdansk FS 2 3F+1Eu+3S   10.10   1.06 11.16 1.889
Budapest Trophy FS 8 3F!+1Eu+2S ! 7.81 x -0.83 6.98 -1.667
Ice Challenge FS 2 3F+1Eu+3S   10.10   0.21 10.31 0.286
Swiss Championships FS 7 3Fq+2T+2Lo q 9.13 x -1.06 8.07 -2.000
Europe Championships FS 7 3F+2T+2Lo   9.13 x 0.15 9.28 0.333
World Junior FS 7 3F+2T+2Lo   9.13 x 0.23 9.36 0.444
World Championships FS 7 3F+2T+2Lo   9.13 X 0.23 9.36 0.333

3連続は8試合すべてでしっかり出てきています。どこにどう入れるかは試行錯誤があって、ジュニアグランプリ初戦は3つ目サルコウ型で冒頭に、2試合目はフリップからの2番目の要素に。チャレンジャーシリーズでは1.1倍に入れたのは意図的かリカバリーか、アイスチャレンジでは2番目の要素に戻しますが、スイス選手権以降は7番目の1.1倍の位置に2回転2つ型にして落ち着きました。

GOEプラスの成功ジャンプは5回ですが、+0台が多いです。マイナスも3回ありますが著しいマイナスでもないです。ある程度計算は出来るけど加点はそもそもそれほどもらえない、という形になっています。

 

○転倒した要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Ice Challenge SP 1 3Lz!< F 4.72   -2.36 2.36 -5.000

今期8試合に出場したレポンド選手は転倒が1つだけでした。ジャンプではqや!さらにはeなどマークが多数つくのですが転倒は1度だけ。この安定感のままGOEが上がっていくと、かなり強い選手になっていけそうです。

 

ヨーロッパの衰退が久しいフィギュア界。ロシアが出なくてもヨーロッパ選手権で勝つのは元ロシアだったりと、ロシア以外のヨーロッパ勢がなかなか勝てないのですが、ヘンドリックス選手に次ぐ選手として、レポンド選手が徐々に力を付けてきています。今季は早くもヨーロッパ選手権で表彰台に。ワールド8位もありますし、シーズンベストは22位、世界ランキングも20位とどちらも24位以内にいます。来期はジュニアではなくシニアのグランプリシリーズに出てくるでしょうか。まだ、頑張って滑ってます感が強く、1つ1つの要素で加点がしっかりつくには至りませんがヨーロッパの女子の人生は長い。きっとここから少しづつ積み上げていってくれるでしょう。と言ってみたものの、スイスには16歳からオリンピックに出たパガニーニ選手がいたはずですが、あまりその後伸びてこず、今シーズンはナショナル出場ならずチャンピオンシップの連続出場も途絶えてました。スイスはヨーロッパの例外なんて話は通貨だけにして、ヘンドリックス選手と並んでロシア勢と戦える選手になっていっていただけたらと思います。