22-23 ユヨン

2004年5月27日生まれ

シニア4シーズン目

シーズン獲得賞金:$12,000

世界ランキング:9位

シーズンランキング:27位

シーズンベストスコア 191.36 (27位) MK ジョンウィルソン杯

ショートプログラムシーズンベスト 65.10 スケートカナダ

フリーシーズンベスト 130.15 MKジョンウィルソン杯

ショートプログラム楽曲:Otono Porteno Tango

フリープログラム楽曲:四季など

スピンレベル4率 18/30 = 60.0%(国際大会:13/24 = 54.2%)

ステップレベル4率 2/10 = 20.0%(国際大会:2/8 = 25.0%)

スピンオールレベル4 0/5(国際大会:0/4)

スピンステップオールレベル4  0/5(国際大会:0/4)

ジャンプ要素回転不足率 14/50=28.0%(国際大会:8/40=20.0%)

ジャンプ回転不足なし 1/5(国際大会:1/4)

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 0/5(国際大会0/4)

 

○22-23シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
CS US International 2 183.40 63.19 120.21
GP Skate Canada 3 190.15 65.10 125.05
GP MK John Wilson Trophy 4 191.36 61.21 130.15
NC Korean Championships 11 172.96 64.06 108.90
IC Challenge Cup 6 175.80 52.59 123.21

昨季はオリンピック6位、世界選手権5位。チャンピオンシップの表彰台まであと一歩まで行っており、今期こそは、というユヨン選手です。

初戦はUSインターナショナル。ダブルアクセルで安定構成を組んだショートですがコンビネーションダウングレードで63.19 これでも首位でしたがフリーはトリプルアクセル入れるもダウングレード、他アンダーローテーション3つに転倒1つで120.21のトータル183.40は2位。チャレンジャーシリーズ初優勝とはなりませんでした。

 

グランプリシリーズはスケートカナダから。ここもダブルアクセル構成でショート入りますが、3-3入らず単独フリップがeと伸びずに65.10で4位。3位と1.39差で1位と2.80差、逆転のチャンスは十分にあります。フリーはトリプルアクセルがまたもダウングレード、それでも他はセカンド3回転が入らないなどはありつつもある程度まとめて125.05でトータル190.15で最終的に3位。グランプリシリーズ4度目の表彰台となります。

MKジョンウィルソン杯はファイナルを賭けた試合。最低表彰台、2位なら高確率でファイナルだけど、三原選手、レビト選手強そうね、という試合。ショートはダブルアクセル構成で次のルッツが決まらずアンダーローテーション、コンビネーションはリカバリーで付けましたが2回転で61.21で6位。3位まで5.61差はまだあるとして2位までは10.85差。現実的には表彰台まで何とか、という展開。フリーはトリプルアクセル回避、ジャンプはコンビネーションが1つ1回転になったくらいでほぼ決め130.15まで出してトータル191.36を出して首位に立ち残り5人を待ちます。最終的にグバノワ選手に届かず4位。ファイナルは届きませんでした。

 

年が明けるとチャンピオンシップの切符を賭けた韓国選手権。今季の韓国はシニアもジュニアも有力選手が多く、シーズンベストは6位という状態での試合です。ショートプログラムからトリプルアクセルを投入したもののアンダーローテーションで転倒。コンビネーションでもアンダーローテーションが出て64.06は9位スタート。3位まで6.66差。チャンスはまだあるフリー。冒頭トリプルアクセルがまたもアンダーローテーションの転倒。その後も転倒2つあり力を出せずスコアは108.90のトータル172.96 最終順位は11位。一応4大陸選手権の補欠3は入りましたが、実質的にはシーズン後半なにもなし、という結果になりました。

 

2月終わりにチャレンジカップには出場してきました。ショートフリー共にトリプルアクセル無しで構成を組みましたがスコア伸びず175.80の6位。この試合でシーズンを終えました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
US International 183.40 91.74 92.66 59.77 -2.64 21.19 13.42
Skate Canada 190.15 94.25 96.90 56.58 0.48 23.64 13.55
MK John Wilson Trophy 191.36 95.78 95.58 59.55 3.08 21.09 12.06
Korean Championships 172.96 82.89 95.07 60.26 -11.88 23.35 11.16
Challenge Cup 175.80 86.53 90.27 53.98 3.14 19.27 10.14

トータルスコアは191.36のシーズンベストでワーストはナショナルという珍しいパターンですが170点台もあります

技術点は90点台半ばまででした。PCSも90点台半ばまで。ジャンプのユヨン選手のイメージでしたが今シーズンはほとんどの試合でPCSの方が高いスコアになっています。

ジャンプの基礎点は50点台後半まででナショナルで60点には乗りました。一方ジャンプの加点はナショナルで-11.88と大崩れしてしまっています。

スピンは23点台まででトップ層と比べると少し落ちます。

ステップ系要素も13点台までです。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
US International 59.36 59.37 50.78 53.87 62.09 60.37
Skate Canada 61.59 56.25 57.17 62.05 62.67 63.45
MK John Wilson Trophy 61.99 59.15 62.49 53.54 55.97 62.49
Korean Championships 55.91 59.84 31.86 61.08 51.92 62.12
Challenge Cup 56.85 53.72 62.62 47.47 47.33 58.63

偏差値としてはトータルスコアは60前後ですが年明けてからは50台半ばまでしか出せませんでした。

ジャンプの基礎点が50台にとどまっているのは意外です。加点の方は60台に乗せる試合もありますが、ナショナルで30台前半という残念な結果になっています。

スピンは60台の試合もありますが、50前後に留まる試合もあります。

ステップ系要素も同様に60台に乗せる試合もあるものの50前後に留まる試合もあります。

PCSは60台前半が標準なようでした。

 

22-23シーズン ユヨン選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートで表すと、結構バラバラでよくわかりません。韓国ナショナルは右下陥没の極端さがあり、チャレンジカップは逆に右下がある程度伸びています。

ある程度の結果は出せていた前半3試合は比較的左側に寄っているとみるのがいいのかなあ、という感じで、はっきりした特徴というよりは試合ごとに傾向が違っていました。

 

・シーズン最高の基礎点構成

○韓国選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A< F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
2 3Lz+3T< 9.26   -0.24 9.02 -0.286
3 FCSp4   3.20   0.70 3.90 2.143
4 CCoSp4   3.50   0.77 4.27 2.143
5 3F! ! 5.83 x 0.32 6.15 0.714
6 SSp3   2.10   0.50 2.60 2.286
7 StSq2   2.60   0.99 3.59 3.714
  TES   32.89   -0.16 32.73  

ショートプログラムの最高基礎点はナショナルの32.89でした。トリプルアクセルを入れましたがアンダーローテーション、セカンド3回転もアンダーローテーション。スピンステップでレベルが3と2がありトリプルアクセル入りながら基礎点は32.89にとどまっています。

この構成でノーミスのオールレベル4だと基礎点37.03になりGOE満点で技術点53.18になりPCS加味すると93.18満点となります。

 

○MK ジョンウィルソン杯 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A+3T   7.50   1.14 8.64 2.778
2 3Lz   5.90   1.43 7.33 2.444
3 3Lo   4.90   0.98 5.88 2.000
4 3S   4.30   0.80 5.10 1.889
5 LSp3   2.40   0.51 2.91 2.222
6 ChSq1   3.00   1.00 4.00 1.889
7 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.01 12.78 1.778
8 StSq3   3.30   0.47 3.77 1.444
9 3F!q+1T ! 6.27 x -2.04 4.23 -3.889
10 CCoSp4   3.50   0.65 4.15 1.889
11 2A   3.63 x 0.71 4.34 2.111
12 FCCoSp3   3.00   0.51 3.51 1.444
  TES   59.47   7.17 66.64  

フリーはMKジョンウィルソン杯の59.47が最高でした。トリプルアクセル無し構成です。2回飛ぶジャンプはルッツとサルコウサルコウを2回飛ぶのは珍しいタイプですが、3連続で使うことでその形になったようです。

この構成のノーミス基礎点は61.86になります。GO満点で技術点88.06となりPCS加味して168.06満点です。

 

○平均GOE2.500以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Korean Championships SP 7 StSq2   2.60   0.99 3.59 3.714
Skate Canada SP 7 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
Skate Canada SP 6 LSp4   2.70   0.89 3.59 3.333
US International SP 6 LSp4   2.70   0.81 3.51 3.286
US International SP 1 2A   3.30   1.06 4.36 3.143
US International SP 7 StSq3   3.30   1.06 4.36 3.143
MK John Wilson Trophy SP 7 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.111
Skate Canada SP 4 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 2.889
Challenge Cup FS 1 2A   3.30   0.92 4.22 2.857
MK John Wilson Trophy FS 1 2A+3T   7.50   1.14 8.64 2.778
Skate Canada FS 10 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.778
MK John Wilson Trophy SP 4 LSp3   2.40   0.69 3.09 2.778
Korean Championships FS 12 CCoSp4   3.50   0.98 4.48 2.714
Korean Championships FS 11 ChSq1   3.00   1.40 4.40 2.714
US International SP 3 FCSp4   3.20   0.83 4.03 2.571
Skate Canada SP 1 2A   3.30   0.85 4.15 2.556

ユヨン選手の高評価要素はステップが上位に目立ちます。+3.000以上で4つありました。レベルは4がなかなか取れないですが評価は高く出ています。

ジャンプはダブルアクセルが入ってきます。できれば+2.5くらいまでならもう少し他のジャンプも入ってくると上位で戦えたと思われます。

 

トリプルアクセルを含む要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
US International FS 1 3A<< <<  3.30   -1.19 2.11 -3.571
Skate Canada FS 1 3A<< <<  3.30   -0.99 2.31 -3.000
Korean Championships SP 1 3A< F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
Korean Championships FS 1 3A< F 6.40   -3.20 3.20 -5.000

今期トリプルアクセルは4回飛んでダウングレードが2回、アンダーローテーションが2回でどちらも転倒となりました。成功率は0です。昨季も基礎点満額入ったものはありましたが、GOEプラスの成功ジャンプは無し。トリプルアクセルをしっかり決める力はちょっと今はない、と言わざるをえなさそうです。

 

○3回転-3回転の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
US International SP 2 3Lz+3T<< <<  7.20   -1.53 5.67 -2.714
US International FS 2 3Lz+3T< 9.26   -0.94 8.32 -1.714
MK John Wilson Trophy FS 1 2A+3T   7.50   1.14 8.64 2.778
Korean Championships SP 2 3Lz+3T< 9.26   -0.24 9.02 -0.286
Korean Championships FS 2 3Lzq+3T< 9.26   -1.65 7.61 -2.714

セカンド3回転はシーズン通じて5回しか入りませんでした。そのうち3-3の4回はすべてセカンドでダウングレードかアンダーローテーションになってしまっています。3-3は1度も決められなかったという形です。トリプルアクセル入らない、3-3入らないだと、今の韓国勢の中で勝ち抜いていくのは厳しいのでしょう。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
US International FS 7 3Lz+1Eu+3S< 10.82 x -0.94 9.88 -1.571
Skate Canada FS 7 3Lzq+1Eu+2S q 8.47 x -0.59 7.88 -1.111
MK John Wilson Trophy FS 7 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.01 12.78 1.778
Challenge Cup FS 7 3Lz+2T+2Lo   9.79 x 0.59 10.38 1.143

3連続ジャンプはナショナル以外の4試合では入りました。7番目の要素でルッツ起点の3つ目サルコウ型。最後のチャレンジカップだけ2回転2つ型です。MKジョンウィルソン杯は基礎点高い3連続をしっかり決めました。

 

今期はグランプリファイナルやチャンピオンシップの表彰台を狙う立場だったユヨン選手ですが、実際には調子が上がってこず、出場もかないませんでした。ジャンプがとにかく決まらない。かつての天才少女が年齢上がって苦労する、というのはフィギュア界ではよくある姿と言えば姿ではあるのでしょうが、やはり悲しいものがあります。

韓国の国内の争いは厳しい。グランプリシリーズ表彰台はありましたし、世界ランキングも高いので、来期もグランプリ2戦はあると思いますが、それ以降の闘いはどうなるか。なんとか復活した姿が見られたらと思います。