22-23 渡辺倫果

2002年7月19日生まれ

シニア1シーズン目

シーズン獲得賞金:$31,000

世界ランキング:14位

シーズンランキング:7位

シーズンベストスコア 213.14 (8位) ロンバルディア

ショートプログラムシーズンベスト 72.57 グランプリファイナル

フリーシーズンベスト 146.31 ロンバルディア

ショートプログラム楽曲:ムーランルージュ

フリープログラム楽曲:ドラマ-仁-より

スピンレベル4率 65/75 = 86.7%(国際大会:34/36 = 94.4%)

ステップレベル4率 15/25 = 60.0%(国際大会:10/12 = 83.3%)

スピンオールレベル4 6/11(国際大会::4/6)

スピンステップオールレベル4 3/11(国際大会:3/6)

ジャンプ要素回転不足率  30/131 = 22.9%(国際大会:14/60 = 23.3%)

ジャンプ回転不足なし 0/11(国際大会:0/7)

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし0/11(国際大会:0/7)

 

○22-23シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
DL げんさんサマーカップ 10 149.55 60.14 89.41
DL 東京夏季フィギュア 2 186.68 68.31 118.37
CS Lombardia Trophy 1 213.14 66.83 146.31
RT 東京選手権 3 170.56 54.69 115.87
DL 国体青森県予選 1 134.62   134.62
CC 東日本学生選手権 1 127.20   127.20
GP Skate Canada 1 197.59 63.27 134.32
GP NHK Trophy 5 188.07 58.36 129.71
GPF Grand Prix Final 4 196.01 72.58 123.43
NC 全日本選手権 12 183.99 56.23 127.76
CC 日本学生氷上選手権 2 129.97   129.97
NG 国民体育大会 2 208.63 60.14 148.49
4CC Four Continents 5 200.50 65.60 134.90
WC World Championships 10 192.81 60.90 131.91

昨シーズンの全日本で大躍進したものの、世界ジュニアでは結果が出せず、さてあの全日本は本物なのか? という空気の中で始まった今シーズン。まずは国内戦でげんさんサマーカップ。これが149.55という、ちょっと、え??? というような出来で始まります。ショートでトリプルアクセル転倒。フリーはトリプルアクセル2つ含めて3転倒にルッツはダウングレードと1回転とでコンビネーションは1つ余る。ちょっとこれ大丈夫なの??? というシーズン初戦となります。

8月もう1試合、都内での試合は186.68まで出してまずまず。ショートでqのGOEマイナスではありますがトリプルアクセルを今期初着氷させます。

この時点ではグランプリシリーズは無い、という状態でのチャレンジャーシリーズロンバルディア杯。ショートはトリプルアクセルダウングレードで66.83 本人比ではいいスコアながら上には72.93出した坂本花織選手がいましたので、優勝はないけどしっかり2位を確保して帰りましょう、みたいなシチュエーションでフリーに臨む形になりました。このフリーで冒頭トリプルアクセルをクリーンに着氷。国際大会初成功。その後も最後のルッツがダウングレードになった以外はミスなく滑り、技術点77.56 でフリー146.31 トータル213.14まで出します。最終滑走坂本選手が得意のフリップで転倒するなど伸びず、チャレンジャーシリーズ初優勝となりました。

この初優勝が非常に大きかったです。チャレンジャーシリーズの優勝者はグランプリシリーズの補欠枠を手に入れることができます。その後、樋口新葉選手の欠場発表によりスケートカナダ、次いでNHK杯の椅子が回ってきました。

 

グランプリシリーズなんて当初予定されていなかったこともあるでしょうか、ここから少し過密スケジュール。ロンバルディア杯後間1週で東京選手権。ここは170.56のスコアで、ロンバルディアはなんだったんだ?? みたいな出来。ただし東日本へは問題なく通過です。国体青森県予選や東日本学生はフリーのみの試合ですが、どちらもトリプルアクセルを着氷。スコア的にはそれほど伸びているわけでもないですが着実にこなしていきます。

念願の、まさかのスケートカナダ。20歳にしてグランプリシリーズデビュー。最近の日本ではなかった流れです。メンバー的に突出した選手がいないのでひょっとしたらひょっとするよ、という可能性は確かにありました。ショートではトリプルアクセルアンダーローテーション、コンビネーションアンダーローテーションで63.27の6位。3位までは3.22差、1位まで4.63差。トリプルアクセルによる基礎点差により射程圏内ですというところに付けます。フリーはトリプルアクセルをクリーンに着氷、コンビネーションでアンダーローテーション、最後のルッツがまたダウングレードと完ぺきではないながらも134.32まで出してトータル197.59で残り5人を待ちます。後続は結局130点を超えてこず、渡辺選手が20歳のグランプリシリーズデビュー戦で優勝となりました。20代のグランプリデビュー戦の優勝は女子では史上初になります。まじか!

その勢いでNHK杯も、と行きたいところでしたがそんなに甘くはなく5位。4位に入っていればファイナル確定だったのですが0.93届かず。最後のルッツが1回転になったところが致命傷でファイナル進出は最終戦の結果待ちとなります。最終戦ではファイナル進出を賭けたグバノワ選手が伸びなかったので1位と5位ながら初のファイナル進出の椅子が回ってきました。

 

シーズンベストが非常に僅差の6人が集まったファイナル。渡辺選手は崩れると1人だけ蚊帳の外になる可能性もある一方、いい演技が出来ればいきなり勝つ可能性もありました。ショートで初めてトリプルアクセルをGOEマイナスながら着氷。72.58を出した4位に付けます。優勝、あるいは表彰台くらいまで十分にチャンスのある展開だったのですがフリーは123.43と伸ばせず4人残して2位。結局最終順位は4位。ただ3位とは0.34差、2位とは1.22差。トリプルアクセルはともかくルッツで転倒しなければ、転倒してもアンダーローテーションでなければ、なんならリカバリーのシークエンスが1Aではなく2Aついていたら・・・、などなど、あと1つなにかうまくできていれば表彰台だったわけで、非常にもったいない試合でした。

 

シーズン後半の各種出場権のかかった全日本。今シーズンの流れだと非常に有力だけど、過去実績は全然、という立場はどうなのかという試合です。ここでショートでトリプルアクセルダウングレード、ルッツダウングレード、ああこれ最後コンビネーションはいらないとショート落ちだよどうしよう、という中何とかqながらも3-3付けて18位で通過。ショート落ちとの差は3.96でしたからひやひやものでした。フリーで逆転は得意パターンですが、流石に18位は後ろすぎ。トリプルアクセル着氷したものの、前半で力使い果たしたようで3連続でアンダーローテーション付けて転倒、最後のルッツはまたダウングレード。127.76だと上位にまで上がっていくことは出来ず総合12位で終わります。これ、代表選考どうするの??? という展開だったのですが、他のシニア勢も振るわず、ジュニアからの飛び級も表彰台乗ってない選手にそこまでするのもちょっと、みたいなところもあってか、世界選手権の代表が回ってきました。全日本12位で世界選手権代表は、欠場救済を除くと最低順位かと思われます。さらに、4大陸の出場権も確保です。

 

年明けて1月は学生選手権で2位。上に坂本選手いるので仕方ない。国体も2位。これも上に坂本選手いるので仕方ない。国体のフリーでは全要素プラス評価の148.49というすごいスコアを出していました。

4大陸はショート8位スタート。フリーはトリプルアクセル着氷。ルッツが1回転になった以外はしっかり滑って134.90 全体的に硬かったかPCSを今シーズンのいい時ほどもらえなかったのも響いて結果5位。表彰台とは4.48差でした。

世界選手権はジュニア2人を引き連れて出た4大陸とは立場が違って、先輩2人についていけばいい失うものはない立場。しかしながらショートではトリプルアクセル転倒、ルッツ1回転で0点。全日本みたいな展開してこれはショート落ちするかも、と不安にさせておいてリカバリー3-3を決めて60.90 こんな出来ながらPCSは今シーズン最高をもらっていました。ショート落ちとは6.55差があったので全日本よりは余裕がありました。15位なのでフリーは第2グループ。冒頭トリプルアクセルで転倒したところで上位大躍進はなくなりましたが、以降は珍しくルッツもしっかり3回転の基礎点もらって2つとも降りるなどほぼミスなく滑り131.91 最終順位は10位となりました。

この世界選手権でシーズン終了。波乱万丈の今シーズンでした。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
げんさんサマーカップ 149.55 76.00 78.55 53.70 -9.82 19.63 12.49
東京夏季フィギュア 186.68 100.45 87.23 67.48 0.63 20.24 12.10
Lombardia Trophy 213.14 113.47 99.67 67.43 8.05 23.65 14.34
東京選手権 170.56 86.44 85.12 51.33 -0.25 22.22 13.14
国体青森県予選 134.62 75.21 59.41 46.99 7.10 12.05 9.07
東日本学生選手権 127.20 68.70 58.50 50.14 1.41 9.47 7.68
Skate Canada 197.59 101.89 95.70 67.87 -1.34 22.29 13.07
NHK Trophy 188.07 97.69 91.38 62.43 -0.03 22.44 12.85
Grand Prix Final 196.01 103.21 93.80 67.13 -0.47 23.03 13.52
全日本選手権 183.99 91.50 93.49 63.10 -2.70 18.32 12.78
日本学生氷上選手権 129.97 68.00 62.97 48.64 -0.06 11.63 7.79
国民体育大会 208.63 109.70 98.93 68.80 5.34 22.76 12.80
Four Continents 200.50 106.74 93.76 68.98 1.87 21.85 14.04
World Championships 192.81 98.93 95.88 67.20 -4.19 21.92 14.00

トータルスコアはげんさんサマーカップの149.55からロンバルディア杯の213.14まで。あまりにも幅が広いです。分散の大きなデータ。

技術点は100点を超える試合が多いですが世界選手権では100点を割りました。ロンバルディア杯の113.47は今シーズン7位相当です。

PCSは結局100点を超える試合はありませんでした。ロンバルディアの99.67が最高。グランプリファイナル、4大陸、世界選手権と95点前後です。8点平均に少し足りないくらいの領域。

ジャンプの基礎点は4大陸の68.98が最高。東京選手権では51.33とフリーだけの東日本学生の50.14と大差ないことになっています。4大陸の68.98は今シーズン7位の基礎点。シニアだけなら2位相当です。

ジャンプの加点はマイナスの試合も目立ちます。ロンバルディア杯の8.05が最高でしたが国際大会でプラスになったのは他に4大陸の1.87があるくらいでした。

スピンは22点台が標準で1番いい試合でロンバルディア杯の23.65でした。上位は普通に25点台を出して26点台もある中で23.65は平凡です。

ステップ系要素は14点台が標準でロンバルディア杯の14.34が最高。上位は15点台を出してきますのでそれと比べると少し劣ります。

ジャンプの高い基礎点をどれだけ生かせるかの勝負、という形になっているように見えます。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
げんさんサマーカップ 48.17 53.44 36.08 48.67 57.90 50.11
東京夏季フィギュア 60.44 66.89 57.48 50.70 56.15 56.42
Lombardia Trophy 69.18 66.84 72.67 62.09 66.23 65.47
東京選手権 55.11 51.13 55.68 57.31 60.83 54.89
Skate Canada 64.05 67.27 53.44 57.55 60.51 62.58
NHK Trophy 60.90 61.96 56.13 58.05 59.52 59.44
Grand Prix Final 63.52 66.55 55.23 60.02 62.54 61.20
全日本選手権 59.55 62.61 50.66 44.29 59.21 60.97
国民体育大会 67.69 68.17 67.12 59.11 59.30 64.93
Four Continents 65.01 68.35 60.02 56.08 64.88 61.17
World Championships 62.47 66.61 47.61 56.31 64.70 62.71

偏差値で見るとげんさんサマーカップは平均割れの48.17でした。一方でロンバルディア杯では69.18まで出ています。ばらばら過ぎてよくわかりませんが、60台くらいの偏差値は普通に出るようです。

ジャンプの基礎点は60台後半まで出せる構成です。加点の方もいい試合は偏差値70超えですが、50台中盤位が標準的で世界選手権では平均割れしていました。

スピンは50台後半が標準でいい時には60台に乗るというくらいです。

ステップ系要素は60台前半が標準でいい時には60台半ばくらいまで出ます。

PCSも60台前半でした。

全体的に60台の偏差値を出せるけれど、各要素崩れると50台、あるいは40台まで出てしまうこともあるという、コンスタントに力を発揮できると強いんだけどねえ…、という構図でした。

22-23シーズン 渡辺倫果選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートは、ばらばら? ロンバルディア杯が大きく広がっていますが他は結構縮こまっていることもあります。ジャンプの加点のばらつきは大きいですが、それだけでなくほかの要素もばらつきが大きいです。

 

・シーズン最高の基礎点構成

○グランプリファイナル ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Aq q 8.00   -0.57 7.43 -0.667
2 3Lz+3T   10.10   0.76 10.86 1.333
3 CSp4   2.60   0.67 3.27 2.556
4 3Lo   5.39 x 1.19 6.58 2.556
5 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.111
6 StSq4   3.90   1.00 4.90 2.556
7 FSSp4   3.00   0.81 3.81 2.667
  TES   36.49   4.56 41.05  

ショートプログラムの最高基礎点はグランプリファイナルの36.49でした。これは今シーズンの全選手の中の最高基礎点です。トリプルアクセルで基礎点満額入って、3回転-3回転もしっかり基礎点取ると、今の他の選手ではちょっと届きません。

単独ジャンプがループなところがやや弱いですが、フリップはエッジが怪しくなる要素なのでループを選んでいるようです。スピンもCSpがある分基礎点やや低めです。

トリプルアクセル組が集まるとこれを上回る基礎点はありますが、ダブルアクセル組が相手ならこの構成で3点以上基礎点で差をつけることができます。

この構成だとGOE満点で技術点は52.39まで出ますのでPCS加味すると92.39満点となります。

 

○世界選手権 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A< < F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
2 3Lo+3Tq q 9.10   -0.14 8.96 -0.333
3 3Lz+2A+SEQ   9.20   1.10 10.30 1.778
4 3F   5.30   -1.29 4.01 -2.556
5 FCSp3   2.80   0.40 3.20 1.333
6 ChSq1   3.00   0.86 3.86 1.667
7 3Lzq q 6.49 X -0.25 6.24 -0.444
8 2A+1Eu+3S   8.91 X 1.11 10.02 2.556
9 3Lo   5.39 X 0.77 6.16 1.667
10 CCoSp4   3.50   0.40 3.90 1.111
11 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.667
12 FSSp4   3.00   0.90 3.90 3.000
  TES   66.99   1.77 68.76  

フリーの最高基礎点は世界選手権の66.99でした。アンダーローテーションではありましたがトリプルアクセルが入ると基礎点は高く来ます。スピンで基礎点取れていないところもあるので、ノーミス基礎点はこれより2.00上の68.99まで出ます。66.99は今シーズン4位の基礎点です。

2回飛ぶジャンプはルッツとループ。アンダーローテーションありましたがノーミスなら8トリプル構成になります。シークエンスアクセルもつかって3連サルコウではいって2回転が1つもない構成になっています。

この構成で基礎点満額取れた場合GOE満点で技術点は97.89まで出て、PCS加味して177.89満点となります。

 

○平均GOE2.600以上(国際大会+全日本選手権より)

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Lombardia Trophy FS 5 FCSp4   3.20   1.02 4.22 3.143
World Championships SP 6 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.111
Lombardia Trophy SP 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Lombardia Trophy FS 11 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
World Championships FS 12 FSSp4   3.00   0.90 3.90 3.000
Skate Canada SP 4 3Lo   5.39 x 1.47 6.86 2.889
Lombardia Trophy FS 1 3A   8.00   2.40 10.40 2.857
Lombardia Trophy FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 x 1.29 10.20 2.857
Lombardia Trophy FS 12 FSSp4   3.00   0.84 3.84 2.857
Four Continents SP 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 2.778
NHK Trophy SP 6 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.778
Skate Canada SP 3 CSp4   2.60   0.71 3.31 2.778
Lombardia Trophy SP 7 FSSp4   3.00   0.84 3.84 2.714
NHK Trophy FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 X 1.17 10.08 2.667
全日本選手権 FS 2 3Lo   4.90   1.33 6.23 2.667
全日本選手権 SP 6 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.667
World Championships FS 11 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.667
Four Continents FS 11 StSq4   3.90   1.00 4.90 2.667
Grand Prix Final FS 5 FCSp4   3.20   0.82 4.02 2.667
Grand Prix Final SP 7 FSSp4   3.00   0.81 3.81 2.667
World Championships SP 7 FSSp4   3.00   0.81 3.81 2.667
Skate Canada FS 12 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.667

評価が高い要素はステップが上の方に目立ちました。平均GOE+3.000以上はステップ3つにスピン2つ。ジャンプではループやアクセルが入ってきます。ロンバルディア杯フリー冒頭の渾身のトリプルアクセルが渡辺選手の今シーズンのジャンプの中で2番目の評価になっています。

フリップやルッツはこの辺に入ってきません。そのあたりのジャンプで評価を安定して得られると、トリプルアクセルに関係なく安定して上位にいられると思われます。

 

トリプルアクセルを含む要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
げんさんサマーカップ SP 1 3A<< << F 3.30   -1.65 1.65 -5.000
げんさんサマーカップ FS 1 3Aq q F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
げんさんサマーカップ FS 3 3A<+REP < F 4.48   -3.20 1.28 -5.000
東京夏季フィギュア SP 1 3Aq q 8.00   -1.07 6.93 -1.200
東京夏季フィギュア FS 1 3A< < F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
東京夏季フィギュア FS 3 3A<+2T 7.70   -2.77 4.93 -4.200
Lombardia Trophy SP 1 3A<< <<  3.30   -1.58 1.72 -4.714
Lombardia Trophy FS 1 3A   8.00   2.40 10.40 2.857
東京選手権 FS 1 3A< < F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
国体青森県予選 FS 1 3A   8.00   1.33 9.33 1.800
東日本学生選手権 FS 1 3A+3T   12.20   1.60 13.80 2.000
東日本学生選手権 FS 3 3A< 6.40   -3.20 3.20 -5.000
Skate Canada SP 1 3A< 6.40   -3.20 3.20 -4.889
Skate Canada FS 1 3A   8.00   1.26 9.26 1.667
NHK Trophy SP 1 3A< < F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
NHK Trophy FS 1 3A   8.00   -0.46 7.54 -0.556
Grand Prix Final SP 1 3Aq q 8.00   -0.57 7.43 -0.667
Grand Prix Final FS 1 3A< 6.40   -3.02 3.38 -4.667
全日本選手権 SP 1 3A<< <<  3.30   -1.65 1.65 -4.889
全日本選手権 FS 1 3Aq q 8.00   -0.34 7.66 -0.222
日本学生氷上選手権 FS 1 3Aq q F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
国民体育大会 SP 1 3A< 6.40   -3.20 3.20 -4.800
国民体育大会 FS 1 3A   8.00   1.87 9.87 2.400
Four Continents SP 1 3A< 6.40   -3.20 3.20 -5.000
Four Continents FS 1 3A   8.00   0.80 8.80 1.000
World Championships SP 1 3A< < F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
World Championships FS 1 3A< < F 6.40   -3.20 3.20 -5.000

今シーズン、1番トリプルアックセルの試行回数が多かったのは渡辺倫果選手でした。

コンビネーション含め27回構成に入れ、ダウングレード3、アンダーローテーション12なので基礎点満額取れたのは12回。基礎点しっかり入ったのが44.4%ということになります。転倒は9回。GOEプラスの成功ジャンプは6回なので成功率は22.2% スコアとして4.00を超えるところまで入ってダブルアクセルの代替としては十分、というのは9回なので33.3%です。もう少し成功率を高めたいところですが、フリーなら今のルールだとダブルトーループの代替みたいなところもあるので、ダウングレードにさえならなければ十分とも考えられなくもないです。

すごいと思ったのは、これだけの回数飛んで、1回転半になったなどの抜けが1度もないことです。

 

○セカンド3回転を含む要素(国際大会+全日本選手権より)

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Lombardia Trophy SP 2 3Lz+3T   10.10   1.06 11.16 1.714
Lombardia Trophy FS 3 3Lo+3T   9.10   1.08 10.18 2.286
Skate Canada SP 2 3Lzq+3T< 9.26   -2.19 7.07 -3.778
Skate Canada FS 3 3Lo<+3T< 7.28   -1.29 5.99 -3.333
NHK Trophy SP 2 3Lz+3T   10.10   1.01 11.11 1.778
NHK Trophy FS 3 3Lo+3T   9.10   1.19 10.29 2.444
Grand Prix Final SP 2 3Lz+3T   10.10   0.76 10.86 1.333
Grand Prix Final FS 3 3Lo<+3T 8.12   -0.54 7.58 -1.333
全日本選手権 SP 4 3Lo+3Tq q 10.01 X -0.28 9.73 -0.556
全日本選手権 FS 3 3Lo+3Tq q 9.10   -0.21 8.89 -0.444
Four Continents SP 2 3Lz+3Tq q 10.10   -0.42 9.68 -0.667
Four Continents FS 2 3Lo+3T   9.10   1.05 10.15 2.111
World Championships SP 4 3Lo+3T   10.01 X 0.91 10.92 1.778
World Championships FS 2 3Lo+3Tq q 9.10   -0.14 8.96 -0.333

渡辺選手はショートで3Lz+3T フリーでは3Lo+3Tを構成に入れています。ルッツからのコンビネーションは主要大会で5回飛んでGOEプラスは3回。ただ、全日本も世界選手権も本来は飛ぼうとしていたところなので成功率は5割を割ります。

ループからのコンビネーションはフリーで7回、ショートのリカバリーで2回ありますが、アンダーローテーション入ったのが2つ、他は基礎点満額入って、GOEプラスは4回。成功と呼べるのは5割を切りますが、GOEマイナスも小さいので、ルッツからよりは確度は高いです。

 

○3連続ジャンプ(国際大会+全日本選手権より)

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Lombardia Trophy FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 x 1.29 10.2 2.857
Skate Canada FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 x 1.11 10.02 2.444
NHK Trophy FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 X 1.17 10.08 2.667
Grand Prix Final FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 x 0.86 9.77 2.000
全日本選手権 FS 8 2A+1Eu+3S< < F 7.96 X -1.72 6.24 -4.889
Four Continents FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 x 1.04 9.95 2.333
World Championships FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 X 1.11 10.02 2.556

3連続ジャンプはダブルアクセルからの3つ目サルコウ。これは成功率高く主要大会で7回飛んで6回は成功。平均GOEも+2以上出していました。3連サルコウが生きるのはトリプルアクセルが構成にあるからですし、トリプルアクセルを構成に入れている利を3連サルコウを使うことで行かせています。

 

○フリーに入っているルッツジャンプ(国際大会+全日本選手権より)

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Lombardia Trophy FS 7 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 1.30 11.42 2.286
Lombardia Trophy FS 10 3Lz<< <<  2.31 x -1.01 1.30 -4.714
Skate Canada FS 7 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 1.10 11.22 1.889
Skate Canada FS 10 3Lz<< <<  2.31 x -0.87 1.44 -4.111
NHK Trophy FS 7 3Lz+2A+SEQ   10.12 X 1.43 11.55 2.444
NHK Trophy FS 10 1Lz   0.66 X -0.23 0.43 -3.778
Grand Prix Final FS 7 3Lz<< F 2.31 x -1.05 1.26 -5.000
Grand Prix Final FS 10 3Lz+1A+SEQ   7.70 x -0.34 7.36 -0.556
全日本選手権 FS 7 3Lz+2A+SEQ   10.12 X 1.10 11.22 1.778
全日本選手権 FS 10 3Lz<< <<  2.31 X -1.02 1.29 -4.667
Four Continents FS 3 1Lz+2A+SEQ   3.90   0.05 3.95 0.222
Four Continents FS 7 3Lzq q 6.49 x -0.25 6.24 -0.556
World Championships FS 3 3Lz+2A+SEQ   9.20   1.10 10.30 1.778
World Championships FS 7 3Lzq q 6.49 X -0.25 6.24 -0.444

実はトリプルアクセルより成功率低いんじゃないか…、というのがフリーのルッツジャンプです。フリーでは2本入れているのですが、特に2本目のルッツの成功率が低く、全日本までの主要5試合ではグランプリファイナルで1Aを付けるシークエンスが組めた以外は全滅でした。シーズン後半はそれにより少し考えなおしたのか要素を変更して、7番目に持ってきたことでqながらも基礎点満額はしっかり取れるようになりました。なお、ショートのルッツも主要大会で7回飛んで1回転が1つ、ダウングレード1つ、アンダーローテーション1つ。GOEプラスは3回だけでした。ショート出遅れの大きな要因はアクセルよりこちらにあります。

トリプルアクセルを構成に入れる場合、他のジャンプがしっかり飛べること、というのが重要になって来るのですが、渡辺選手はそこに大きな課題があって、それにより全体のスコアのばらつきが大きくなってきています。

これならルッツ早めてフリップ2本構成にしたら、と一瞬思うのですが、フリップの方はルッツでつかない!が付きがちなので、そちらもやりにくいのでしょう。ルッツとフリップの安定がアクセル以上の課題になっています。逆に言えば、トリプルアクセルの成功率が今のままでも、ルッツとフリップが安定すれば、上位で安定して戦えます。

 

なんだかジェットコースターみたいなシーズンだった渡辺倫果選手。結局序盤だけだったじゃないか、という指摘もあるのかもしれませんが、4大陸5位の世界選手権10位は十分な結果だったようにも思えます。日本の女子のレベルが高すぎるので、出る人への要求水準が高くなってしまうのですよねどうしても。

昨シーズン全日本で躍進して今シーズンが勝負の年だったわけですが、その勝負には勝ちました。勝ち過ぎたことで4大陸や世界選手権まで回ってきて相当な負荷がかかってしまいましたが、これで来シーズンは確実にグランプリシリーズ2枠があります。シニアのトップで1シーズン戦うことが最初から前提でシーズンが始まる。それが今シーズンとの大きな違いになるはずです。トリプルアクセルも魅力ですが、ルッツとフリップの安定を期待しつつ、ムーランルージュとかカルミナブラーナとか強めな曲が似合う選手だと思いますので、そちらの面でもまた期待します。