22-23 クォンミンソル

2009年2月18日生まれ

ジュニア1シーズン目

シーズン獲得賞金:$6,500

世界ランキング:74位

シーズンランキング:31位

シーズンベストスコア 191.06(29位) 世界ジュニア

ショートプログラムシーズンベスト 66.81 ジュニアグランプリ グダンスク2

フリーシーズンベスト 128.24 世界ジュニア

ショートプログラム楽曲:Danse Macabre

フリープログラム楽曲:Cats

スピンレベル4率 26/30 = 86.7%(国際大会:21/24 = 87.5%)

ステップレベル4率 4/6 = 66.7%(国際大会:3/4 = 75.0%)

スピンオールレベル4 1/5(国際大会:1/4)

スピンステップオールレベル4  1/5(国際大会:1/4)

ジャンプ要素回転不足率 1/50=2.00%(国際大会:1/40=2.50%)

ジャンプ回転不足なし 4/5(国際大会:3/4)

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 1/5(国際大会1/4)

 

○22-23シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
JGP JGP Ostrava 2 189.37 62.73 126.64
JGP JGP Gdansk2 3 186.63 66.81 119.82
JGPF JGP Final 5 175.43 59.91 115.52
NC Korean Championships 5 196.43 64.51 131.92
WJ World Junior 5 191.06 62.82 128.24

クォンミンソル選手は今シーズンからジュニアに上がりました。2009年2月生まれは残念ながらミラノオリンピックには年齢制限で出られない世代になります。

初戦は9月頭にジュニアグランプリのオストラバから。これが国際大会のデビュー戦でもあります。同世代の島田麻央選手との激突。ショートノーミスで62.73は2位発進ですが、3位には4回転持ちのミアカリン選手がいてなかなか怖い状況です。フリーは最後から2人目。113.13で表彰台確定、114.30で首位に立って島田選手を待てるという状況。ここで猫耳キャッツを世界へ披露。ほぼミスのない演技で終えて猫パンチ、じゃなくて、ガッツポーズ。126.64を出し首位に立ち、島田選手には届かなかったものの、総合2位でデビュー戦を終えました。

2戦目回ってきてグダンスクの2 ここはファイナルを賭ける試合です。この試合はファイナルを賭けるのが自分含めて4人、そこに4回転持ちミアカリン選手までいるという大変な試合でしたが、ショートは66.81まで出して2位発進、ファイナルが見えてきます。ここでフリーは110.91で表彰台、ファイナル確定させるには127.89で首位に立ちたい、という展開ですが、今シーズン唯一の転倒がここのルッツで出ます。他はまずまずまとめての119.82で最終順位は3位。次戦の最終戦待ちを経て、ジュニアグランプリファイナルの出場権が手に入りました。

 

ジュニアグランプリファイナルは日韓3vs3の決戦。立ち位置としては韓国の3番手といったところでシーズンベストは6人中6位です。ショートはループ回転不足がついたりと伸びずに59.91 シーズンワーストがここで出てしまいます。フリーも悪くない演技に見えたのですが、qやeがついたり、この試合PCSも厳しく、スコアが伸びずの115.52 総合5位で終わりました。

 

年が明けて韓国選手権。ターゲットは世界ジュニアです。韓国ジュニアは激戦、多士済々。ジュニアグランプリの表彰台が4人います。ショート64.51は悪くない出来でしたがこれでも8位。フリーは7人残して登場なのでこの時点で首位に立ちたいところですが、先に滑ったキムユジェ選手がトリプルアクセルを決めて好スコアを出しており、129.47まで出さないと首位に立てません。この難しいところをe1つで乗り切りフリー131.92のトータル196.43で首位に立ち残りを待ちます。最終順位は5位。世界ジュニアの切符を手に入れました。

 

ここから調整試合無く直接3月の世界ジュニアへ。ジュニアグランプリ2戦にファイナル、ナショナルから世界ジュニアへ。韓国ジュニアのエースシンジア選手と全く同じ流れで今シーズン進んでいます。ショートはフリップのqもあり62.82の6位スタート。3位とは4.46差あり基礎点もむしろ上位の方が上、というフリーですがキャッツを猫らしく演じ切ってPCSも初めて60点台に乗せて128.24 トータル191.06で最終順位は5位に入りました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
JGP Ostrava 189.37 104.79 84.58 64.42 8.60 22.38 9.39
JGP Gdansk2 186.63 100.49 87.14 63.10 4.87 22.81 9.71
JGP Final 175.43 95.17 80.26 62.14 2.59 22.00 8.44
Korean Championships 196.43 105.15 91.28 63.12 4.89 23.79 13.35
World Junior 191.06 100.41 90.65 63.12 5.08 23.08 9.13

トータルスコアはジュニアグランプリファイナルの175.43から世界ジュニアの191.06まで。シニアカテゴリーのナショナルでは196.43まで出しました。

技術点は初戦で104.79まで出しています。一方PCSは世界ジュニアでようやく90点に乗りました。1項目平均7.5までです。

ジャンプの基礎点は安定しています。64.42が最高ですが悪くても62.14です。

ジャンプの加点はすべての試合でプラスです。初戦は+8.60まであり、今シーズン全体で12位タイにあたります。

スピンは22点台が標準で23点台までは出ました。

ステップ系要素はジュニアなので1つ足りませんが9点台は出てきています。9.71は今シーズンのジュニアでは4番目、韓国ジュニアの中でトップのスコアでした。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
JGP Ostrava 61.33 63.90 73.80 57.85 65.01 54.50
JGP Gdansk2 60.42 62.61 66.16 59.28 68.21 56.36
JGP Final 56.72 61.68 61.49 56.58 59.97 51.36
Korean Championships 63.66 62.63 66.20 62.55 61.77 59.37
World Junior 61.89 62.63 66.59 60.18 61.68 58.91

偏差値はトータルスコアで60に乗せてきています。

ジャンプの基礎点は安定して60台前半、加点は60台が標準で70台に乗る試合もありました。

スピンは60前後まで。ステップ系要素はジュニア補正入っていますが60台出す力はあるようです。

PCSはまだ出ていなくて50台後半まででした。

 

22-23シーズン クォンミンソル選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートは右寄りなのですが、ステップのレベル4率が高いのでジュニア補正入れてチャート作ると左下も結構伸びています。

 

・シーズン最高の基礎点構成

JGP グダンスク2 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lo   4.90   1.47 6.37 2.889
2 2A   3.30   0.75 4.05 2.333
3 FCSp4   3.20   0.50 3.70 1.556
4 3F+3T   10.45 x 1.21 11.66 2.222
5 LSp4   2.70   0.81 3.51 2.889
6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.111
7 CCoSp4   3.50   0.55 4.05 1.333
  TES   31.95   6.46 38.41  

ショートプログラムの最高基礎点は31.95でした。ジュニアの単独指定ループは最初に飛んでコンビネーションを1.1倍に。ただしフリップ仕様でルッツがありません。クォンミンソル選手はルッツが苦手。ルッツからのコンビネーションなら32.61まで基礎点出るのですが、ルッツなしだと31点台の基礎点になります。

この構成でGOE満点だと技術点45.35でPCS加味して85.35満点となります。

 

○韓国選手権 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3F+3T   9.50   1.06 10.56 2.143
2 3Lo   4.90   0.98 5.88 2.000
3 3F   5.30   0.85 6.15 1.571
4 2A   3.30   0.73 4.03 2.286
5 StSq4   3.90   0.86 4.76 2.286
6 FCCoSp4   3.50   0.98 4.48 2.571
7 2A+3T   8.25 x 0.84 9.09 2.000
8 3Lze+2T+2Lo e 8.49 x -0.94 7.55 -2.143
9 3S   4.73 x 0.26 4.99 0.714
10 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
11 FCSp4   3.20   0.77 3.97 2.286
12 CCoSp4   3.50   0.91 4.41 2.429
  TES   61.57   8.80 70.37  

フリーはシニアカテゴリーのナショナルで61.57の基礎点がありました。ジュニアカテゴリーではオストラバで58.47まで出していたことはあります。

この構成は2本飛ぶのはフリップとトーループです。スピンは合計基礎点10.20あり1番高くなる構成です。基礎点削られているのはルッツ。Eついているのでここで基礎点満額入れば62.87に基礎点はなります。ルッツ1本な分、ノーミスでも基礎点は62点台までです。

この構成でノーミスでGOE満点の場合技術点は89.02となり、PCS加味すると169.02満点の構成と言えます。

 

○平均GOE2.400以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
World Junior FS 9 ChSq1   3.00   1.93 4.93 3.889
JGP Ostrava FS 9 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.444
JGP Gdansk2 FS 9 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.333
JGP Gdansk2 SP 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.111
Korean Championships FS 10 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
JGP Gdansk2 SP 1 3Lo   4.90   1.47 6.37 2.889
JGP Gdansk2 SP 5 LSp4   2.70   0.81 3.51 2.889
World Junior SP 6 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.778
JGP Gdansk2 FS 1 3F+3T   9.50   1.44 10.94 2.667
JGP Ostrava SP 1 3Lo   4.90   1.33 6.23 2.667
Korean Championships FS 6 FCCoSp4   3.50   0.98 4.48 2.571
Korean Championships SP 6 StSq3   3.30   0.79 4.09 2.571
Korean Championships SP 5 LSp3   2.40   0.62 3.02 2.571
World Junior SP 1 3Lo   4.90   1.26 6.16 2.556
JGP Ostrava FS 2 3Lo   4.90   1.26 6.16 2.444
World Junior FS 11 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.444
JGP Ostrava SP 2 2A   3.30   0.80 4.10 2.444
World Junior FS 4 2A   3.30   0.80 4.10 2.444
JGP Ostrava FS 4 2A   3.30   0.75 4.05 2.444
JGP Ostrava SP 5 LSp4   2.70   0.66 3.36 2.444
Korean Championships FS 12 CCoSp4   3.50   0.91 4.41 2.429

クォンミンソル選手の評価の高い要素はコレオです。みんな大好きキャッツコレオ。世界ジュニアの平均GOE+3.889は今シーズン全体で3位、ISU公認試合では2位、チャンピオンシップの試合では1位という高評価でした。猫耳コレオイズナンバーワン。確かに独創的です。ジュニアのフリーがステップではなくてコレオになるのはどうなんだ? と新ルールに不満な人も多かったシーズン序盤でしたが、ジュニアでもこうやって独創的なコレオを見られるのなら、これはこれでいいのではないか、と感じさせるコレオでした。

ジャンプも上位にいてループジャンプは得意なのが見て取れます。

 

○3回転-3回転の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Ostrava SP 4 3F+3T   10.45 x 0.68 11.13 1.222
JGP Ostrava FS 1 3F+3T   9.50   1.21 10.71 2.222
JGP Ostrava FS 6 2A+3T   8.25 x 0.90 9.15 2.222
JGP Gdansk2 SP 4 3F+3T   10.45 x 1.21 11.66 2.222
JGP Gdansk2 FS 1 3F+3T   9.50   1.44 10.94 2.667
JGP Gdansk2 FS 6 2A+3T   8.25 x 0.60 8.85 1.556
JGP Final SP 4 3F+3T   10.45 x 0.76 11.21 1.333
JGP Final FS 1 3Fq+3T q 9.50   -0.30 9.20 -0.556
JGP Final FS 6 2A+3T   8.25 x 0.84 9.09 2.000
Korean Championships SP 4 3Fq+3T q 10.45 x -0.53 9.92 -1.143
Korean Championships FS 1 3F+3T   9.50   1.06 10.56 2.143
Korean Championships FS 7 2A+3T   8.25 x 0.84 9.09 2.000
World Junior SP 4 3Fq+3T q 10.45 x -0.91 9.54 -1.667
World Junior FS 1 3F+3T   9.50   0.83 10.33 1.556
World Junior FS 6 2A+3T   8.25 x 0.84 9.09 2.000

コンビネーションはショートフリーでフリップからの3-3があり、フリーはダブルアクセルからの3T付きもあります。転倒なし。基礎点削られるミスなし。GOEマイナスはフリップqにより3つあるので3-3のGOEプラス成功率は70% 2A+3Tは100%の成功率です。GOEマイナスでも基礎点十分入っていますので、3-3や2A-3Tがしっかり入ると自信を持てるのは強みです。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Ostrava FS 7 3Lz!+2T+2Lo ! 9.79 x -0.17 9.62 -0.444
JGP Gdansk2 FS 8 3S+2T+1Lo   6.71 x 0.12 6.83 0.333
JGP Final FS 7 3Lze+2T+2Loq e 8.49 x -1.62 6.87 -3.222
Korean Championships FS 8 3Lze+2T+2Lo e 8.49 x -0.94 7.55 -2.143
World Junior FS 7 3Lze+2T+2Lo e 8.49 x -1.01 7.48 -2.111

3連続はルッツから入れています。グダンスクではそのルッツ転倒のリカバリーでサルコウから入りました。このルッツが弱点。ルッツは3連続にしていますが5回飛んでe3回!2回とエッジチェック率100%です。これだとショートに入れられないしフリーで2回も跳びづらい。ここの克服が直近の課題なようです。

 

○回転不足の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Final SP 1 3Lo< 3.92   -0.61 3.31 -1.444

クォンミンソル選手の1つの強みとして、回転不足がなかなか出ないというのがあります。今季50回ジャンプを飛んでダウングレード無し。抜けて2回転や1回転になったものも3連続の最後が1回転になった、というのが1つあるだけ。アンダーローテーションも1つだけ。回転十分にできるというのが強みです。また、転倒も1度だけでした。

 

ジュニアグランプリ2戦で表彰台に上がり、主要3大会で5位とジュニアデビューシーズンに上々の結果を残したクォンミンソル選手。ジャンプの安定感が強みです。ただしルッツのエッジ難があり、もう一段階上の構成を組みたいのに組めないという悩みもあります。そこまで組めると200点も見えてくるのですが。

長いジュニアが確定していて、もうしばらく島田麻央選手、中井亜美選手、シンジア選手といったところと戦っていかないといけません。さらには韓国ジュニアは層が厚い。来期もチャンピオンシップに出てこられるかは未知数ですが、まずはジュニアグランプリで盛り上げてもらえればと思います。