22-23 ニコライメモラ

2003年11月18日生まれ

ジュニア6シーズン目

シーズン獲得賞金:$13,500

世界ランキング:19位

シーズンランキング:14位

シーズンベストスコア 231.47(29位) ブダペスト

ショートプログラムシーズンベスト 83.04 JGP リガ

フリーシーズンベスト 152.69 ブダペスト

ショートプログラム楽曲: 「幻想的小品集 作品3」より

フリープログラム楽曲 : サムスンとデリラ

スピンレベル4率 36/48 = 75.0%(国際大会:30/42 = 71.4%)

ステップレベル4率 7/12 = 58.3%(国際大会:5/10 = 50.0%)

スピンオールレベル4 1/8(国際大会:0/7)

スピンステップオールレベル4 1/8(国際大会:0/7)

ジャンプ回転不足率 0/80 = 0.00%(国際大会:0/70 = 0.00%)

ジャンプ回転不足なし 8/8(国際大会:7/7)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 1/8(国際大会:0/7)

 

○22-23シーズンの戦績

J/S Grade Event Pl Total SP FS
J JGP JGP Ostrava 2 214.11 71.56 142.55
J JGP JGP Riga 1 225.76 83.04 142.72
S CS Lombardia Trophy 3 230.52 81.68 148.84
S CS Budapest Trophy 3 231.47 78.78 152.69
J JGPF JGP Final 1 230.50 79.84 150.66
S NC Italian Championships 2 241.69 80.32 161.37
S Others World University Games 3 231.33 78.96 152.37
J WJ World Junior 4 216.44 76.72 139.72

昨シーズン世界ジュニア7位だったメモラ選手は今シーズンがジュニア最終シーズンになります。

ジュニアグランプリシリーズは2戦目のオストラバから。ショートプログラムはジャンプが今一つの出来で71.56と4位スタートになりますが、フリーは大きなミスなくまとめて142.55 トータル214.11で2位表彰台となりました。

2戦目は連戦でリガ。優勝すれば3戦残してファイナルを事実上確定できます。そんな試合でショートプログラムをスピンステップオールレベル4の全要素プラス評価を出して83.04のパーソナルベスト、2位に13.40の大差をつけて首位に立つと、フリーもまずまずの演技で142.72 トータル225.76でジュニアグランプリ初優勝。ファイナル進出を早々と決めました。

 

すでに18歳ですのでシニアの試合にも出られます。ジュニアグランプリから連戦でロンバルディア杯にも出てきました。ショートではループをフリップに変えて基礎点を上げつつ全要素プラス評価 81.68を出すとフリーは終盤のルッツが1回転になったのがもったいなかったですが、148.84を出してトータル230.52のパーソナルベストで3位。チャレンジャーシリーズ初表彰台となりました。

10月に入ってチャレンジャーシリーズをもう1試合、ブダペスト杯にも出場します。ここでもショートで全要素プラス評価で78.78を出すと、フリーも全要素プラス評価で152.69と初めて150点台に乗せます。トータル231.47と連続でパーソナルベストを更新して3位、2戦連続表彰台です。

 

12月にはジュニアグランプリファイナル。日本勢との勝負です。好調キープでこの試合もショートから全要素プラス評価で79.84の2位スタート。フリーも大きなミスなく滑ってただ一人150点に乗せる150.66でトータル230.50 ジュニアグランプリファイナルを制しました。

 

12月はイタリア選手権もあります。シニアの2強とどう戦うか? ショートはコンビネーションで軽いミスが出ましたが80.32を出して2強に次ぐ3位につけるとフリーはスピンステップオールレベル4に全要素プラス評価というノーミスをして161.37 トータル241.69を出して残り2人を待ちます。最終的にリッツォ選手に次ぐ2位。2強に割って入る結果となりました。

 

メモラ選手はジュニアカテゴリーに入っていますが年齢的には大学生です。ワールドユニバーシティゲームズの代表となって出てきました。ショートプログラム78.96 安定しています。日本勢3人に次ぐ4位スタート。3位と5.47差はチャンスはある位置。フリーはルッツの2つの!がありましたが後はミスなく滑って152.37 トータル231.33と230点台に乗せて日本人3選手を待ちます。結果は3位。ここでも表彰台に乗りました。

 

そして最後の世界ジュニア。表彰台狙いの試合でしたがここでショートのコンビネーション転倒とミスが出たのは残念でした。76.72の6位から逆転を目指したフリーは序盤良かったのですが後半のトリプルアクセルで転倒。139.72のトータル216.44は最終的に3位と1.35差の4位。アクセル転倒が痛く表彰台に届きませんでした。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
JGP Ostrava 214.11 108.91 105.20 80.34 -1.28 21.27 8.58
JGP Riga 225.76 113.38 112.38 79.28 2.86 21.49 9.75
Lombardia Trophy 230.52 115.27 115.25 74.91 6.62 21.61 12.13
Budapest Trophy 231.47 121.52 109.95 80.74 7.62 20.67 12.49
JGP Final 230.50 120.78 109.72 80.34 10.03 20.83 9.58
Italian Championships 241.69 126.61 115.08 80.74 10.30 21.24 14.33
World University Games 231.33 118.08 113.25 80.74 4.21 20.41 12.72
World Junior 216.44 109.87 107.57 80.34 -0.14 20.61 9.06

スコアは最低で214.11 最高でナショナルの241.69があり、国際大会では231.47まで。安定度はかなりあります。

技術点は120点台が最高でブダペスト杯は121.52 ジュニアでハンデあるジュニアグランプリファイナルの120.78の方が価値は高いでしょうか。

PCSは110点前後です。ロンバルディア杯の115.25が最高で1項目平均7.5を少し超えるくらいでした。

ジャンプの基礎点はシニアの試合で80.74 ジュニアの試合で80.34が複数あります。これはショートプログラムのループとフリップの差分であり、つまり、ショートフリー通して予定のジャンプ要素の基礎点をすべて削られることなく得られた試合が多い、という意味になります。これがトータルスコアの安定感にもつながっているように見えます。

ジャンプの加点はジュニアグランプリファイナルで二桁取りました。10.03で今シーズン16位の加点です。

スピンは21点前後でした。ステップ系要素はシニアの試合で12点台、ナショナルでは14点台が出ています。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
JGP Ostrava 52.74 55.12 52.78 53.83 57.87 49.97
JGP Riga 56.03 54.44 58.74 54.57 68.56 54.89
Lombardia Trophy 57.37 51.64 64.16 54.98 54.95 56.85
Budapest Trophy 57.64 55.37 65.60 51.79 56.70 53.22
JGP Final 57.36 55.12 69.07 52.33 66.91 53.07
Italian Championships 60.52 55.37 69.46 53.72 65.64 56.73
World University Games 57.60 55.37 60.69 50.90 57.82 55.48
World Junior 53.40 55.12 54.42 51.58 63.60 51.60

トータルスコアはナショナル以外では50台で、後半まで出ている試合が多かったです。

ジャンプの基礎点は50台半ば、加点の方は60台が普通で後半まで出ています。

スピンは50台前半なのであまり得意ではなさそう。ステップ系要素はジュニア補正で60台出ている試合もありますが、50台後半くらいが実力値でしょうか。

PCSは50台半ばくらいになっています。

割とどの要素も安定的に出来ていて、あとはジャンプの加点で稼ぐ、というスタイルになっています。

 

22-23シーズン ニコライメモラ選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートは、釣り鐘型? 右下は伸びていることが多いです。左下は伸びている試合はナショナルとジュニア補正なので、実質的にはそれほど膨らんでいるわけでもなさそうです。

著しく凹む要素がないというのが特徴とも思います。

 

・シーズン最高の基礎点構成

ロンバルディア杯 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   1.76 9.76 2.143
2 3F   5.30   1.17 6.47 2.286
3 FCSp4   3.20   0.70 3.90 2.286
4 3Lz!+3T ! 11.11 x 0.35 11.46 0.714
5 StSq4   3.90   1.01 4.91 2.429
6 CCoSp4   3.50   0.49 3.99 1.286
7 CSSp4   3.00   0.36 3.36 1.143
  TES   38.01   5.84 43.85  

ショートプログラムの最高基礎点は38.01がありました。ロンバルディア杯、ブダペスト杯、イタリアナショナルと3試合38.01です。ジュニアカテゴリーの試合では37.61が2試合あります。4回転が入っていないこともありますが、ミスなく安定して基礎点が取れているとも言えます。単独ジャンプをフリップで跳んで1.1倍にルッツからの3-3です。ジュニアの試合ではフリップのところがループに変わります。

4回転がまだないのですが、ここから基礎点上げるには4回転の習得が求められます。

上記の構成でGOE満点取ると技術点は54.41になり、PCS加味して104.41満点となります。

 

ブダペスト杯 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.66 3.96 2.000
2 3A+1Eu+3S   12.80   0.91 13.71 1.222
3 3F! ! 5.30   0.08 5.38 0.111
4 3Lo   4.90   0.84 5.74 1.667
5 CSSp4   3.00   0.09 3.09 0.333
6 FCSp3   2.80   0.08 2.88 0.333
7 ChSq1   3.00   0.79 3.79 1.556
8 3A   8.80 x 1.60 10.40 2.000
9 3Lz+3T   11.11 x 0.08 11.19 0.222
10 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 0.67 10.79 1.222
11 StSq3   3.30   0.61 3.91 1.889
12 CCoSp4   3.50   0.25 3.75 0.778
  TES   71.93   6.66 78.59  

フリーの最高基礎点は71.93がありました。イタリアナショナルでは上記の構成でスピンステップレベル4取って72.93があります。

4回転無しで2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルトリプルルッツ。セカンド3回転、3連3サルコウ、シークエンスアクセルとコンビネーションもフルに生かしています。スピンステップオールレベル4にした後は、これより基礎点上げるには4回転投入が求められます。

上記構成でスピンステップレベル4にしてGOE満点取ると技術点は102.88になり、PCS加味して202.88満点となります。

 

○平均GOE2.500以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Riga SP 5 StSq4   3.90   1.28 5.18 3.222
JGP Final FS 10 ChSq1   3.00   1.57 4.57 3.222
World University Games FS 11 ChSq1   3.00   1.60 4.60 3.143
Italian Championships FS 11 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.143
JGP Riga FS 10 ChSq1   3.00   1.57 4.57 3.111
JGP Ostrava FS 10 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
Italian Championships SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 2.857
Italian Championships SP 2 3F   5.30   1.59 6.89 2.857
JGP Riga SP 1 3A   8.00   2.17 10.17 2.778
JGP Final SP 5 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.778
World Junior FS 1 2A   3.30   0.85 4.15 2.667
JGP Ostrava SP 5 StSq3   3.30   0.85 4.15 2.667
Italian Championships SP 5 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.571
Italian Championships FS 1 2A   3.30   0.86 4.16 2.571
World University Games SP 5 StSq3   3.30   0.86 4.16 2.571
JGP Final FS 1 2A   3.30   0.85 4.15 2.556
World Junior SP 2 3Lo   4.90   1.26 6.16 2.556
JGP Riga SP 2 3Lo   4.90   1.26 6.16 2.556
World Junior FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   1.94 14.74 2.556

メモラ選手はステップとコレオの評価が高いです。コレオはコンスタントに+3.000を超える評価を受けています。ジャンプも+2台後半くらいまではアクセル系のものでもらっています。一方、スピンでは+2.500以上のものが1つもないという、ちょっと意外な構図がありました。

 

トリプルアクセルを含む要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Ostrava SP 1 3A   8.00   -2.17 5.83 -2.667
JGP Ostrava FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   1.49 14.29 1.889
JGP Ostrava FS 7 3A   8.80 x 1.94 10.74 2.333
JGP Riga SP 1 3A   8.00   2.17 10.17 2.778
JGP Riga FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   0.00 12.80 0.111
JGP Riga FS 7 3Aq q 8.80 x -2.29 6.51 -2.889
Lombardia Trophy SP 1 3A   8.00   1.76 9.76 2.143
Lombardia Trophy FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   1.92 14.72 2.143
Lombardia Trophy FS 8 3A   8.80 x 1.44 10.24 1.857
Budapest Trophy SP 1 3A   8.00   1.60 9.60 1.889
Budapest Trophy FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   0.91 13.71 1.222
Budapest Trophy FS 8 3A   8.80 x 1.60 10.40 2.000
JGP Final SP 1 3A   8.00   1.83 9.83 2.222
JGP Final FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   1.26 14.06 1.444
JGP Final FS 7 3A   8.80 x 1.71 10.51 2.000
Italian Championships SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 2.857
Italian Championships FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   1.60 14.40 2.000
Italian Championships FS 7 3A   8.80 x 1.60 10.40 2.000
World University Games SP 1 3A   8.00   1.60 9.60 2.000
World University Games FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   0.96 13.76 1.286
World University Games FS 7 3A   8.80 x 1.28 10.08 1.571
World Junior SP 1 3A   8.00   1.71 9.71 2.111
World Junior FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   1.94 14.74 2.556
World Junior FS 7 3Aq F 8.80 x -4.00 4.80 -5.000

メモラ選手は4回転を持っていませんので、1番基礎点が高いジャンプはトリプルアクセルになります。今シーズン24回飛んで転倒が1つ、それ以外のGOEマイナスが2つありますが、あとの21回はGOEプラスの成功ジャンプです。極めて高い成功率になっています。これなら4回転の練習に時間を費やしても問題なさそうです。ただ、世界ジュニアのトリプルアクセル転倒は表彰台に乗れない致命傷になっていたので残念でした。

なお、今シーズンのすべてのジャンプの中で転倒はこの1回だけです。また、アンダーローテーションやダウングレードといったものも1つもありませんでした。4回転持っていませんが、飛んでいるジャンプはしっかり飛べています。

 

○3連続の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Ostrava FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   1.49 14.29 1.889
JGP Riga FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   0.00 12.80 0.111
Lombardia Trophy FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   1.92 14.72 2.143
Budapest Trophy FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   0.91 13.71 1.222
JGP Final FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   1.26 14.06 1.444
Italian Championships FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   1.60 14.40 2.000
World University Games FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   0.96 13.76 1.286
World Junior FS 2 3A+1Eu+3S   12.80   1.94 14.74 2.556

3連続ジャンプは前記のトリプルアクセルと被ってしまいますが、すべての試合で2番目の要素に入れていて、トリプルアクセルから3つ目に3回転サルコウが入っていて、すべてGOEプラスの成功ジャンプです。成功率10割。計算できる安定した要素になっています。

 

ジュニア最終シーズンとなった今シーズン、各試合で好成績を出してきました。ジュニアグランプリファイナル優勝が特に光ります。来期はそのファイナル優勝があるのでグランプリシリーズの出場権も1試合は持っています。ランキングも高いのでおそらく2試合入るんじゃないかな。ただ、4回転がありません。トリプルアクセル以下のジャンプが安定していますので、4回転も入るようになれば250点台が安定して出せて、シニアの上位にも顔を出せそうなのですが、今オフでどうか?

イタリアはリッツォ選手とグラスル選手の2強状態だったわけですが、今シーズンそこに風穴を開けました。来期の世界選手権は2枠。その枠に入ってこられるかどうか? 楽しみになってきました。