22-23 島田高志郎

2001年9月11日生まれ

シニア4シーズン目

シーズン獲得賞金:$3,000

世界ランキング:44位

シーズンランキング:20位

シーズンベストスコア 247.17(17位) MKジョンウィルソン杯

ショートプログラムシーズンベスト 89.18 ロンバルディア

フリーシーズンベスト 166.33 MKジョンウィルソン杯

ショートプログラム楽曲:Sing, Sing, Sing

フリープログラム楽曲:死の舞踏

スピンレベル4率 26/42 = 61.9%(国際大会:20/30 = 66.7%)

ステップレベル4率 0/14 = 0.00%(国際大会:0/10 = 0.00%)

スピンオールレベル4 0/7(国際大会:0/5)

スピンステップオールレベル4 0/7(国際大会:0/5)

ジャンプ回転不足率 2/70 =2.86%(国際大会:2/50 = 4.00%)

ジャンプ回転不足なし 5/7(国際大会:3/5)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 0/7(国際大会:0/5)

 

○22-23シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
CS Lombardia Trophy 2 235.90 89.18 146.72
RT 東京選手権 1 233.83 89.90 143.93
GP Skate America 9 215.12 62.54 152.58
GP MK John Wilson Trophy 4 247.17 80.84 166.33
NC 全日本選手権 2 252.56 87.69 164.87
4CC Four Continents 11 217.85 74.06 143.79
IC Coupe de Printemps 2 214.98 73.99 140.99

海外暮らしが長く、コロナになってからは国内戦との兼ね合いである種苦しんでいた島田選手。なかなか結果も出せないまま二十歳を過ぎて難しい時期になってきていました。

 

今期はグランプリシリーズアサイン発表時には1戦のみ入っている、という状況で初戦はロンバルディア杯に出場してきました。ショートプログラム、全要素プラス評価の素晴らしい演技で89.18 首位に立ちます。フリーは148.02出せれば優勝、という最終滑走。グランプリ1枠しかない立場としてはチャレンジャーシリーズの優勝は欲しい。そういった場面でしたが、4回転決まらず、後半のフリップも1回転にとスコア伸ばせず146.72はトータル235.90で2位。チャレンジャーシリーズ初優勝とはなりませんでした。ただ、235.90でもパーソナルベスト更新ではありました。

1次帰国して全日本へつなぐための東京選手権へ出場します。この試合もロンバルディアと似たような展開でショートは89.90と高いスコアを出してきますがフリーはジャンプ決まらずスコア伸びず。優勝してブロック突破という点では問題ないのですが、世界のトップで戦うにはちょっと物足りなりスコアでした。

 

グランプリシリーズは1戦予定でしたが、直前に鍵山優真選手の欠場により繰り上げでスケートアメリカに入りました。直前過ぎて調整ままならなかったか、ショートはジャンプ全ミスの62.54というひどい入り。フリーはまずまずの出来でしたがトータル215.12では9位。今の立場だと少しでもランキングを上げたいところなので、せめて8位に入ってポイントが欲しかったのですが、8位までも0.62差と、非常にもったいない試合、せっかくのチャンスを生かせませんでした。とはいえフリーの152.58は初の150点台でパーソナルベスト。一定の結果を残したとも言えます。

 

グランプリ2戦目は当初からエントリーのあったMKジョンウィルソン杯。おそらく前半の山場をここにイメージしていたのではないかと思われる試合です。ショートプログラム、4回転2本降りはしましたが、加点稼げず80.84の5位スタートになります。ただ、3位まで2.17差、逆転のチャンスはありそうなフリー。冒頭のサルコウは3回転でしたが次の4回転トーループは平均GOE+3.333をもらう人生最高の4回転を下ります。以降も大きなミスなく滑り166.33のパーソナルベスト。トータルも247.17のベストを出して残り4人を待ちます。結局表彰台には1.86届かずの4位でしたが、グランプリシリーズ最高位であり、過去1番の試合となりました。

 

勝負の全日本はグランプリファイナル出場者が4人いる、という試合で、島田選手は7番手8番手くらいの位置付けです。ショートプログラムは最後から2人目で登場。4回転2本を何とか耐えて降り、他の要素はしっかり決めて87.69で2位に入ります。1位とは12.76差ありちょっと届きそうにないですが、4位と2.26差、7位まで6.84差、表彰台争いはまだまだ大変という状況です。フリーは161.96で表彰台確定、163.16で2位以内確定という

ところで出てきます。パーソナルベスト相当を出せればいいけど、160点超えたことはその1度しかまだありません。冒頭のサルコウを降りましたが大きくバランス崩れてGOEは-4.111と厳しい評価。2本目のトーループダメなら終わり、というところはしっかり決めます。トリプルアクセル2本も決め行けるか、と思った矢先のフリップが1回転に。これは際どい、際どい、どうなんだ?どうなんだ? という採点待ちの時間が長く感じましたが、結局164.87でトータル252.56 ショートのわずかなリードを生かして逃げ切って2位、全日本初表彰台となりました。

非常に難しかった代表選考。世界選手権は補欠の2番目という形で代表権得られず。全日本2位も実績足りないという扱いでした。一方で4大陸選手権は第1代表となり、シニアのチャンピオンシップ初出場権を得ます。

 

国内在住ではないこともあって国体などを経ずに4大陸選手権へ。初のシニアのチャンピオンシップ。ショートは安全策で4回転1本にして、そのトーループは降りたのですが、まさかのルッツで2回転、コンビネーションが2-2になる大ミス。74.06の10位と出遅れます。フリーはとにかく単純にスコアを伸ばして順位を上げていきたいところ。4回転サルコウはq、次のトーループは3回転に、トリプルアクセルからのコンビネーションはセカンドが2回転、今一つしっくりジャンプが決まりません。フリーは143.79 スコア伸ばせずトータル217.85では順位を上げることもできず、残念ながら11位で終わることになりました。

 

B級大会もう1試合、214.98とこれもスコア伸びませんでしたが2位には入ってランキングポイントを確保してシーズン終わりました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Lombardia Trophy 235.90 114.57 121.33 73.15 6.42 23.21 11.79
東京選手権 233.83 118.02 116.81 88.62 -3.43 22.50 10.33
Skate America 215.12 105.98 111.14 78.45 -6.00 22.91 10.62
MK John Wilson Trophy 247.17 129.11 118.06 93.13 1.00 22.81 12.17
全日本選手権 252.56 128.20 124.36 93.25 0.28 22.14 12.53
Four Continents 217.85 101.30 116.55 73.56 -4.47 20.53 11.68
Coupe de Printemps 214.98 104.33 112.65 79.05 -9.53 23.47 11.34

トータルスコアは210点台が3試合あってもったいないですが全日本では250点台まで出しています。

技術点は100点台も目立ちますが120点台後半までは出しました。

PCSも120点台までは出しています。7試合中4試合で技術点よりPCSが高くなっています。1項目平均8点前後のPCSです。

ジャンプの基礎点は90点台までは出ています。悪い試合は70点台前半まで落ち込むこともありました。

ジャンプの加点はマイナスの試合も多いです。2位表彰台の全日本でも意外ですが+0.28と加点はほとんど稼げていませんでした。ロンバルディア杯の+6.42が1番いいですが、この試合は基礎点の方が伸びていないです。

スピンは22点台まで。ランビエール門下生はもう少し出してほしいように感じます。スピンオールレベル4の試合がない、というのが残念です。

ステップ系要素は12点台までです。こちらもステップレベル4がない、ということで基礎点が取れていないです。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
Lombardia Trophy 58.89 50.51 63.87 60.42 53.30 61.01
東京選手権 58.30 60.42 49.68 58.01 46.21 57.92
Skate America 53.03 53.91 45.98 59.40 47.62 54.04
MK John Wilson Trophy 62.06 63.31 56.06 59.06 55.15 58.77
全日本選手権 63.58 63.39 55.02 56.78 56.90 63.08
Four Continents 53.80 50.78 48.18 51.31 52.77 57.74
Coupe de Printemps 52.99 54.29 40.89 61.30 51.11 55.07

トータルスコアは60まで乗せる試合も出てきています。

ジャンプの基礎点も60台前半までは出せます。加点の方は50割れが目立ちます。基礎点で平均程度だったロンバルディア杯だけは加点の方で60超える偏差値でした。

スピンは2試合で60台に乗せました。

ステップ系要素は50台中盤くらいまでです。50割れもあります。

PCSは60に乗せる試合がありましたが、50台半ばくらいが標準です。

安定して60を超える要素はなく、50台の標準値で、ある程度いい要素が揃ったときにトータルで60を超えていく、というくらいの力になっています。

 

22-23シーズン 島田高志郎選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートは両肩が膨らんだ細マッチョみたいな形で左下右下が凹んでいるように見えます。

 

・シーズン最高の基礎点構成

○MKジョンウィルソン杯 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Sq q 9.70   -1.66 8.04 -1.667
2 4Tq+3T q 13.70   -0.68 13.02 -0.556
3 FCSp4   3.20   0.59 3.79 1.778
4 3A   8.80 x -2.29 6.51 -2.778
5 CSSp4   3.00   0.69 3.69 2.222
6 StSq3   3.30   0.75 4.05 2.333
7 CCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.222
  TES   45.20   -1.80 43.40  

ショートプログラムの最高基礎点は45.20をMKジョンウィルソン杯で出しています。今シーズン全体でも6位にあたる高い基礎点です。4回転はサルコウトーループ、セカンド3回転入って1.1倍はトリプルアクセルです。ステップレベル3を4にすることができれば0.60基礎点が上がって45.80になります。基礎点をここから上げていく、とi

うことを考えるよりはこの基礎点構成で完成度を上げていく、というのを考える段階なのだろうと思います。

この構成でスピンステップオールレベル4にGOE満点取ると技術点は66.20となりPCS加味して116.20満点となる構成です。

 

○MKジョンウィルソン杯 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3S   4.30   0.37 4.67 0.889
2 4T   9.50   3.26 12.76 3.333
3 3A+3T   12.20   -1.49 10.71 -1.333
4 3Lo   4.90   -1.40 3.50 -2.778
5 StSq3   3.30   0.75 4.05 2.333
6 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.667
7 3A+1Eu+3S   14.08 x 2.17 16.25 2.667
8 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.222
9 3F   5.83 x 1.29 7.12 2.444
10 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 1.43 11.55 2.444
11 CCoSp2   2.50   0.46 2.96 1.889
12 FCCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.222
  TES   76.23   9.48 85.71  

フリーの最高基礎点もMKジョンウィルソン杯でした。4回転はサルコウトーループの2本のつもりなところがサルコウは3回転になっています。2回飛んだジャンプは結果的にトリプルアクセルと3回転のサルコウです。

単純にサルコウが4回転になれば5.40基礎点が上がって81.63にまで基礎点は上がります。後はスピンステップで1.60基礎点が上がる余地があって83.23までこの構成のまま上げることができます。さらに基礎点を上げることを考えると、2回飛ぶジャンプが1つ余るのでセカンド2Aを3Tにして0.99基礎点を上げることが出来たり、あるいは3Loを3Lzにして1.00基礎点を上げるみたいな手はあります。あるいは3連続を3A+2A+2Aにすると1.98基礎点が上がるので、4回転2種類2本のまま86.20まで基礎点を上げることは可能です。

上記の構成でサルコウが4回転に出来た時、スピンステップオールレベル4でGOE満点を取ると技術点は118.33になりPCS加味して218.33満点となります。

 

○平均GOE2.600以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Coupe de Printemps SP 7 CCoSp4   3.50   1.17 4.67 3.400
全日本選手権 SP 7 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.333
MK John Wilson Trophy FS 2 4T   9.50   3.26 12.76 3.333
Coupe de Printemps SP 6 StSq2   2.60   0.78 3.38 3.200
東京選手権 SP 6 StSq2   2.60   0.78 3.38 3.200
Lombardia Trophy SP 7 CCoSp4   3.50   1.12 4.62 3.143
Lombardia Trophy FS 5 StSq3   3.30   1.06 4.36 3.000
東京選手権 SP 5 CSSp4   3.00   0.90 3.90 3.000
東京選手権 SP 7 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
全日本選手権 FS 6 FSSp3   2.60   0.74 3.34 2.889
全日本選手権 SP 6 StSq3   3.30   0.94 4.24 2.889
Lombardia Trophy SP 6 StSq2   2.60   0.73 3.33 2.857
Lombardia Trophy SP 1 4S   9.70   2.72 12.42 2.857
Lombardia Trophy SP 5 CSSp4   3.00   0.84 3.84 2.857
全日本選手権 SP 4 3A   8.80 X 2.29 11.09 2.778
Skate America SP 7 CCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.778
Four Continents SP 7 CCoSp3   3.00   0.77 3.77 2.778
Four Continents FS 5 StSq2   2.60   0.74 3.34 2.778
Lombardia Trophy FS 6 FSSp3   2.60   0.73 3.33 2.714
MK John Wilson Trophy FS 7 3A+1Eu+3S   14.08 x 2.17 16.25 2.667
MK John Wilson Trophy FS 6 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.667
東京選手権 SP 1 4S   9.70   2.59 12.29 2.600

評価の高い要素はCCoSp 足替えのコンビネーションスピンが目立ちます。

ただしISU公認試合の最高評価は4回転トーループでした。4回転サルコウもリストに乗っていて、しっかり飛べた時にはきちんと高い評価をもらえるジャンプを持っている、とは見えます。

ステップも割と上の方に載っていますが、レベルが2だと意味がない・・・、レベル3もありますが、やはりステップはまずレベルを上げる方が優先されるのではないかと思われます。

 

○4回転サルコウ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Lombardia Trophy SP 1 4S   9.70   2.72 12.42 2.857
東京選手権 SP 1 4S   9.70   2.59 12.29 2.600
Skate America SP 1 4S   9.70   -3.88 5.82 -4.000
MK John Wilson Trophy SP 1 4Sq q 9.70   -1.66 8.04 -1.667
全日本選手権 SP 1 4S   9.70   -3.33 6.37 -3.333
全日本選手権 FS 1 4S   9.70   -4.02 5.68 -4.111
Four Continents SP 1 4Sq q 9.70   -0.55 9.15 -0.444
Four Continents FS 1 4Sq q 9.70   -1.66 8.04 -1.667
Coupe de Printemps FS 1 4Sq F 9.70   -4.85 4.85 -5.000

4回転サルコウは今シーズンショートの冒頭に入れるのが基本でフリーは全日本以降で冒頭に入っていました。9回飛んで転倒は1回、それ以外のGOEマイナスが6回で成功ジャンプは2回のみとなっていました。もう少し成功率上げたいところかと思います。

 

○4回転トーループを含む要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
東京選手権 SP 2 4Tq+3T q 13.70   0.00 13.70 0.000
東京選手権 FS 1 4Tq q F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
Skate America SP 2 4T<+COMBO F 7.60   -3.80 3.80 -5.000
Skate America FS 1 4T   9.50   -0.54 8.96 -0.444
MK John Wilson Trophy SP 2 4Tq+3T q 13.70   -0.68 13.02 -0.556
MK John Wilson Trophy FS 2 4T   9.50   3.26 12.76 3.333
全日本選手権 SP 2 4Tq+3T q 13.70   -0.95 12.75 -1.000
全日本選手権 FS 2 4T   9.50   1.76 11.26 1.889
Coupe de Printemps FS 2 4T< 7.60   -2.28 5.32 -3.200

4回転トーループはショートではコンビネーションで、フリーでは単独で入れる要素です。今シーズン合計9回飛んで転倒が2回、それ以外のアンダーローテーションが1回、それ以外でGOEマイナスが3回あって成功ジャンプは3回です。

サルコウと合わせて2種類の4回転をもう少し確率高く跳べるようにしていきたいところなのだろうと思います。

 

○3連続の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
東京選手権 FS 7 3T+1Eu+2S   6.60 X 0.56 7.16 1.200
Skate America FS 7 3A+1Eu+2S   10.78 x 1.83 12.61 2.222
MK John Wilson Trophy FS 7 3A+1Eu+3S   14.08 x 2.17 16.25 2.667
全日本選手権 FS 7 3A+1Eu+3S   14.08 X 1.49 15.57 1.889
Four Continents FS 7 2A+1Eu+3S   8.91 x 0.43 9.34 1.000
Coupe de Printemps FS 7 3Aq+1Eu+2S q 10.78 x -1.60 9.18 -2.000

3連続ジャンプは7試合すべてでしっかり入りました。クープドプランタン以外はGOEプラスの成功ジャンプです。ただ、3つ目のサルコウが2回転になったり、冒頭がダブルアクセルになったりというのは本質的には成功ではなさそうです。トリプルアクセルからの3連続がしっかり決まると点も高いですし見た目にも映えるので、これが中盤で決まると締めまでいい流れで行けそうに感じます。

 

木下アカデミーではないけど木下グループ所属。昨季までは結果が出ないシーズンが続いていましたが、今期全日本表彰台という結果をついにつかみました。ただ、4大陸では結果を出せずに終わりました。次は国際舞台で結果を出したい、というステップになります。

来期はおそらくグランプリ2枠が最初から回って来ると思われます。4回転2種類の確率を上げ、スピンもレベル4をしっかりとり、ステップも何とかレベル4を取れるようにし、と、実は課題が多くて武器がない問題があるのですが、1つ1つ克服して、もう1ステップ上がっていく姿を見られればと思います。