22-23 ケビンエイモズ

1997年8月1日生まれ

シニア6シーズン目

シーズン獲得賞金:$35,000

世界ランキング:17位

シーズンランキング:7位

シーズンベストスコア 282.97(4位) 世界選手権

ショートプログラムシーズンベスト 100.58 国別対抗戦

フリーシーズンベスト 187.41 世界選手権

ショートプログラム楽曲:Euphoria

フリープログラム楽曲:Gladiator より

スピンレベル4率 38/42 = 90.5%(国際大会:33/36 = 91.7%)

ステップレベル4率 10/14 = 71.4%(国際大会:8/12 = 66.7%)

スピンオールレベル4 4/7(国際大会:4/6)

スピンステップオールレベル4 2/7(国際大会:2/6)

ジャンプ回転不足率 3/70 = 4.29%(国際大会:3/60 = 5.00%)

ジャンプ回転不足なし 5/7(国際大会:4/6)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 1/7(国際大会:1/6)

 

○22-23シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
CS US International 2 236.17 83.52 152.65
CS Warsaw Cup 1 258.02 89.60 168.42
GP Grand Prix Espoo 3 255.69 88.96 166.73
NC French Championships 2 256.61 82.91 173.70
EC Europe Championships 4 240.92 83.75 157.17
WC World Championships 4 282.97 95.56 187.41
WT World Team Trophy 3 279.43 100.58 178.85

昨季はオリンピック、世界選手権で二桁順位と今一つ伸び切らなかったエイモズ選手。今季は再浮上を狙いたいシーズンになります。

初戦はUSインターナショナルでした。ジャンプが今一つ決まらず236.17の2位に終わります。あまり出場実績がないこともあって、これがチャレンジャーシリーズ初表彰台となりました。

この後、ケガがあってしばらく時間が空きます。2か月空いてワルシャワカップに出てきました。回復途上ということで4回転無し構成ですがショートで89.60まで出すと、フリーはトリプルアクセルも1本だけ、セカンド3回転も無しというかなり落とした構成ながら168.42まで出してトータル258.02で優勝。結果的に今シーズンのチャレンジャーシリーズの総合優勝という形になりました。

連戦でグランプリエスポ―に出てきたので、ケガはほとんど問題なくて試合勘を戻したいという感覚の方が強い状態になってきているのかな、と感じさせられましたが、この試合も4回転無し構成。それでもショートは88.96で首位に。さすがにフリーを4回転無し構成で逃げ切れませんでしたが3位に入って3シーズンぶりのグランプリシリーズ表彰台となりました。

 

12月にはナショナルがあります。フランス選手権は事実上アダムシャオイムファ選手との一騎打ちです。4連覇中のナショナルでしたが、4回転無しでアダムシャオイムファ選手に勝つのはちょっと厳しくて2位に終わります。それでもフランスはワールド2枠ありますので、そういう意味では特に問題なくシーズン後半へ。

 

ヨーロッパ選手権は過去最高位4位。そろそろ表彰台に乗りたい試合です。ショートプログラム、4回転トーループを戻してきて決めたのですが、まさかのトリプルアクセルが1回転半で零点に。83.75の4位スタートとなります。3位は1.06差、2位とも2.71差。大きな差はなくチャンスはあります。このフリーはジャンプが今一つ決まらずに157.17止まり。トータル240.92では4位で表彰台には今回も届きませんでした。

 

今期はジャンプ戻ってこないし来期に期待かなあ、と思ったりもしていたところでの世界選手権。このショートプログラムで素晴らしい演技。ほぼミスのない演技で95.56 5位に付けます。3位まで4.08差、表彰台チャンスを持ってのフリー。4回転1本構成ながらほぼノーミスを見せて187.41 トータル282.97を出して首位に立ち残り4人を待ちます。最終的には4位。表彰台には届きませんでしたが、過去最高順位となりました。

 

国別対抗戦はフランスは常連です。エイモズ選手も世界選手権に続いて再来日。このショートでついに100点超えの100.58という素晴らしい演技を見せます。フリーは4回転2本を入れてきましたが、2本目はアンダーローテーション。それでも178.35まで出してシーズンを終えました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
US International 236.17 111.25 124.92 74.85 -2.69 24.94 14.15
Warsaw Cup 258.02 124.36 133.66 72.28 12.45 25.31 14.32
Grand Prix Espoo 255.69 121.15 134.54 72.58 8.68 24.50 15.39
French Championships 256.61 120.11 137.50 69.36 12.27 25.03 13.45
Europe Championships 240.92 111.46 129.46 75.35 -1.13 23.71 13.53
World Championships 282.97 147.77 135.20 90.39 15.56 25.72 16.10
World Team Trophy 279.43 142.90 136.53 92.09 8.71 25.64 16.46

トータルスコアは280点台までだしましたが、ヨーロッパ選手権で240.92まで沈んだのが残念でした。

技術点は120点台が多いですが、シーズン最後は140点台を2試合で出しています。世界選手権の147.77は今シーズン5位の技術点です。4回転1種類でもここまで出ます。

PCSは130点台が標準です。国別対抗戦では136.53まで出ました。1項目平均9点超え。世界選手権でも135点を超えています。136.53でも135.20でも今シーズン5位のPCS順位です。

ジャンプの基礎点はシーズン最後には90点台まで戻してきました。加点の方は2試合で二桁もらっています。世界選手権は15.56で今シーズン7位の加点です。

スピンは25点台を普通に出してきます。世界選手権の25.72が今シーズン6位のスピンです。

ステップ系要素はヨーロッパ選手権で13点台に沈んだりしていますが、シーズン終盤は16点台まで出しました。国別対抗戦の16.46は今シーズン2位のスコア。世界選手権の16.10でも国別を除いた全体の3位にあたるスコアになります。

ジャンプの基礎点以外はすべて高い順位のスコアを出してきています。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
US International 58.96 51.60 50.75 66.30 64.77 63.46
Warsaw Cup 65.12 49.96 72.56 67.56 65.60 69.44
Grand Prix Espoo 64.47 50.15 67.13 64.80 70.80 70.04
French Championships 64.73 48.08 72.30 66.61 61.37 72.07
Europe Championships 60.30 51.92 52.99 62.12 61.76 66.57
World Championships 72.16 61.56 77.04 68.95 74.25 70.49
World Team Trophy 71.16 62.64 67.17 68.68 75.99 71.40

偏差値で見るとトータルスコアはシーズン終盤は70に乗せました。

ジャンプの基礎点はシーズン中盤までは50前後の平均程度でしたが、シーズン終盤には60に乗せるところまで戻してきました。

加点の方はいい時は70を超えていっています。

スピンは60台後半までです。

ステップ系要素は60台を普通に出して70台半ばまで出す力があります。

PCSも70台に普通に乗せています。

 

22-23シーズン ケビンエイモズ選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートで見ると右上が凹む形です。4回転1種類なのでジャンプの基礎点はどうしても伸びていません。しかしながら加点を大きく稼ぐ力があるのでスコアとしてはだいぶ上位に来る、という形になっています。

 

・シーズン最高の基礎点構成

○国別対抗戦 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T+3T   13.70   2.44 16.14 2.667
2 3A   8.00   2.86 10.86 3.444
3 CCSp4   3.20   1.01 4.21 3.111
4 3Lz   6.49 X 1.94 8.43 3.333
5 FSSp4   3.00   0.99 3.99 3.333
6 CCoSp4   3.50   1.25 4.75 3.556
7 StSq4   3.90   1.89 5.79 4.778
  TES   41.79   12.38 54.17  

ショートの最高基礎点は国別対抗戦でした。世界選手権でも同じ41.79の基礎点を出しています。4回転はトーループ1本で、1.1倍にはトリプルルッツを単独で入れています。スピンステップオールレベル4で41.79 基礎点としてはそれほど高くはありません。

エイモズ選手は昨シーズンは4回転サルコウを構成に入れようとしていましたので、それが完成して2本入ってくるようになれば基礎点は上がってきます。トーループの方にセカンドで3回転を付けることが出来ているので、サルコウは単独で降りることができれば入れられます。

この41.79の基礎点構成でGOE満点のとき技術点は60.29になり、PCS加味して110.29満点となります。

 

○国別対抗戦 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T+3T   13.70   1.09 14.79 1.000
2 4T< 7.60   -3.80 3.80 -4.889
3 3A+2A+SEQ   11.30   -1.03 10.27 -1.222
4 3Lo   4.90   1.26 6.16 2.444
5 CCSp4   3.20   0.82 4.02 2.556
6 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
7 3F+1Eu+3S   11.11 X 0.23 11.34 0.444
8 3A   8.80 X 2.29 11.09 2.889
9 3Lz   6.49 X 1.43 7.92 2.222
10 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.667
11 ChSq1   3.00   2.21 5.21 4.333
12 CCoSp4   3.50   1.40 4.90 3.889
  TES   80.50   8.23 88.73  

フリーの最高基礎点も国別対抗戦で出していました。世界選手権では4回転1本で78.80でした。国別対抗戦の80.50は、2回飛ぶジャンプが4回転トーループトリプルアクセルトーループはアンダーローテーション付きましたが、他はミスなくスピンステップオールレベル4です。セカンド3回転、3連サルコウ、シークエンスアクセル、コンビネーションも十分に使っています。トーループ基礎点満額取れれば1.90基礎点上がって82.40にまでなります。

おそらく、そこから基礎点上げていこうとすると4回転サルコウというのが視野に入ってくるはずです。ループのところに単純に置き換えると4.80基礎点が上がるのでノーミス時に87.20にまですることができます。あとは、スピンの基礎点合計が9.70なので、マックスの10.20とは0.50の差があります。スピンの組み換えで基礎点上げる手はあります。

上記の構成の時にノーミスでGOE満点だと技術点は117.25になりPCS加味すると217.25満点となります。

 

○平均GOE3.600以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
World Team Trophy SP 7 StSq4   3.90   1.89 5.79 4.778
World Championships SP 7 StSq4   3.90   1.84 5.74 4.667
French Championships FS 6 StSq4   3.90   1.82 5.72 4.600
World Team Trophy FS 11 ChSq1   3.00   2.21 5.21 4.333
World Championships FS 6 StSq4   3.90   1.67 5.57 4.111
US International SP 7 StSq3   3.30   1.32 4.62 4.000
World Team Trophy FS 6 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
French Championships FS 12 CCoSp4   3.50   1.40 4.90 4.000
World Team Trophy FS 12 CCoSp4   3.50   1.40 4.90 3.889
World Championships FS 4 3Lo   4.90   1.89 6.79 3.889
French Championships FS 11 ChSq1   3.00   2.00 5.00 3.800
Grand Prix Espoo SP 7 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.778
US International SP 6 CCoSp4   3.50   1.26 4.76 3.714
Warsaw Cup FS 6 StSq4   3.90   1.40 5.30 3.714
Europe Championships SP 7 StSq3   3.30   1.23 4.53 3.667
Grand Prix Espoo FS 6 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.667
World Championships FS 12 CCoSp4   3.50   1.30 4.80 3.667
French Championships FS 3 3A   8.00   2.93 10.93 3.600

評価の高い要素はステップです。ひたすらステップ。国別対抗戦の+4.778は今シーズン全体で2位の評価です。

スピンではCCoSp 足替えのコンビネーションスピンが得意です。他のスピンより基礎点3.50のスピンが得意でGOEを稼げるというお得スタイル。国別対抗戦の+3.889は今シーズン5位の足替えコンビネーションスピンでした。

 

○4回転トーループを含む要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
US International FS 1 4T+2T   10.80   0.95 11.75 0.857
US International FS 3 4T< 7.60   -3.19 4.41 -4.143
Europe Championships SP 1 4T   9.50   2.58 12.08 2.778
Europe Championships FS 1 4T   9.50   -2.99 6.51 -3.111
World Championships SP 1 4T+3T   13.70   0.41 14.11 0.333
World Championships FS 1 4T   9.50   2.71 12.21 2.778
World Team Trophy SP 1 4T+3T   13.70   2.44 16.14 2.667
World Team Trophy FS 1 4T+3T   13.70   1.09 14.79 1.000
World Team Trophy FS 2 4T< 7.60   -3.80 3.80 -4.889

今シーズンはケガもあり、シーズン中盤は4回転の投入を見送っていました。4回転トーループは9本飛んでアンダーローテーションが2回、それ以外のGOEが1回で成功ジャンプは6本。確率2/3です。フリーで2本決めることができませんでしたが、そこまでは十分決める力はありそうです。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
US International FS 9 3Feq+1Eu+2S e 6.64 x -1.78 4.86 -4.143
Warsaw Cup FS 8 3S+1Eu+3S   10.01 x 0.77 10.78 1.857
Grand Prix Espoo FS 7 3T+1Eu+3S   9.90 x 0.92 10.82 2.222
French Championships FS 9 3T*+1Eu+3S * 5.28 x 1.29 6.57 2.800
Europe Championships FS 9 3T+1Eu+3S   9.90 x 0.74 10.64 1.667
World Championships FS 7 3F!+1Eu+3S ! 11.11 X 0.23 11.34 0.556
World Team Trophy FS 7 3F+1Eu+3S   11.11 X 0.23 11.34 0.444

3連続ジャンプはいろいろ試行錯誤ありながらも7試合すべてで入っては来ました。GOEマイナスはフリップにeが付いた1回だけです。フランス選手権でトーループがキックアウトになっているという失敗はありますが、GOEの評価は高くそのジャンプとしての成否で言えばきれいに飛べていました。

トリプルアクセル以上がない3連続なので、男子としては難易度低めの形ですが、しっかり成功させることは出来ています。

 

フランスの第一人者として活躍をつづけるエイモズ選手。今季はケガに悩まされながらもヨーロッパ選手権、世界選手権、ともに4位とあと一歩のところまで来ました。4回転1本構成で280点台まで出してきています。サルコウ入ってノーミスすれば300点が見える。一方で、ジャンプに力を注ぎこみすぎてあの魅力が失われてほしくない、とも思います。4回転なしのワルシャワカップなんか素晴らしかった。

ナショナル以外の大きなタイトルがないので、来期はグランプリシリーズやヨーロッパ選手権でタイトル持って行っていただけるといいなあ、と思います。