21-22 アナスタシアグバノワ

2002年12月2日生まれ

シニア4シーズン目

シーズン獲得賞金:$8,000

世界ランキング:35位

シーズンランキング:17位

シーズンベストスコア 203.91 (32位) フィンランディア杯

ショートプログラムシーズンベスト 69.50 フィンランディア杯

フリーシーズンベスト 135.58 オリンピック

ショートプログラム楽曲:Une vie d'amour

フリープログラム楽曲:王冠を賭けた恋より

スピンレベル4率 29/33=87.9%

ステップレベル4率 5/11=45.5%

スピンオールレベル4 2/5

スピンステップオールレベル4  1/5

ジャンプ要素回転不足率 0/53=0.00%

ジャンプ回転不足なし 5/5

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 1/5

 

○21-22シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
CS Finlandia Trophy 5 203.91 69.50 134.41
CS Golden Spin 1 184.29 65.68 118.61
EC Europe Championships 7 188.17 67.02 121.15
OG OlympicGames Team 4 67.56 67.56  
OG Olympic Games 11 200.98 65.40 135.58
WC World Championships 6 196.61 62.59 134.02

グバノワ選手は久しぶりの国際舞台登場でした。ジュニア時代はロシア代表として活躍するもシニアに上がってグランプリシリーズの枠をもらえず姿を消します。国籍をジョージアに移した今シーズン。国際舞台にしばらく出ていなかったことで逆に所属変更してもスムーズに試合に出る権利を得ました。3年ぶりの国際大会はフィンランディア杯。203.91といきなり200点超え。これはルール変更前も含めてもパーソナルベストとなるスコアです。

久しぶりの国際舞台復帰、当然グランプリの出場権はありません。2戦目もチャレンジャーシリーズのゴールデンスピン。スコア的には低調ながらチャレンジャーシリーズ初優勝を果たします。

ジョージアは前年の世界選手権でオリンピックの出場枠を獲得済み。その出場枠を移籍シーズンにグバノワ選手は確保してヨーロッパ選手権、オリンピックと出場していきます。

ヨーロッパ選手権、ショートでは全要素全ジャッジプラス評価の6位で折り返しフリー最終グループ入り。しかしフリーではコンビネーションジャンプが決まらずにスコアが伸びず7位に終わりました。

オリンピックでは団体戦から出場。だいぶロシア感の強い団体メンバーでしたが、グバノワ選手は4位。もう一歩というところでフリー進出は逃しました。

個人戦のショートは団体戦ほどの出来にはならず10位で折り返すと、フリーはほぼミスのない演技でトータル200点まで乗せて11位となりました。

シーズン最後の世界選手権まで休まず登場。久しぶりにシーズン通して疲れもあり調整難しかったでしょうかショート冒頭のジャンプで転倒。シーズンワーストのスコアで14位スタートとなります。フリーは第2グループから登場、逆に思い切り行けたでしょうか、全要素プラス評価でフリーだけなら5位、総合6位と、グランプリのシードが取れる位置まで入って入賞となりました。これでジョージアの来シーズンの出場枠は2つ。移籍初年度に前シーズンに枠を取ってきた選手からその枠を奪った形になっていましたが、枠を増やし、自分以外の分も確保して返す形でシーズンを終えました。

 

○要素別スコア

Event Pl Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Finlandia Trophy 5 203.91 109.68 95.23 64.66 8.45 23.83 12.74
Golden Spin 1 184.29 93.49 90.80 55.64 5.69 20.47 11.69
Europe Championships 7 188.17 97.78 91.39 60.48 2.41 21.98 12.91
OlympicGames Team 4 67.56 36.90 30.66 19.29 2.79 11.51 3.31
Olympic Games 11 200.98 104.49 96.49 64.66 4.08 22.44 13.31
World Championships 6 196.61 104.72 92.89 65.08 3.78 22.45 13.41

トータルスコアは2回200点に乗せてきました。技術点は悪い時は100点を欠きますが、良い時は100点台。フィンランディア杯は110点に近いところまで出しています。PCSは90点台後半まで。5項目平均8点あたりまでオリンピックでは持ってきました。

ジャンプの基礎点は60点台中盤です。加点はフィンランディア杯の8.45が最高。他は、加点をそれほど伸ばせませんでした。

スピンは23点台が最高、ステップは13点台が最高。上位とは少し差があります。

 

○要素別偏差値

Event Pl Total J Base J GOE Spin Step PCS
Finlandia Trophy 5 62.01 60.62 66.57 59.88 57.27 60.04
Golden Spin 1 56.69 53.88 61.94 49.41 53.09 57.09
Europe Championships 7 57.74 57.50 56.43 54.11 57.95 57.48
Olympic Games 11 61.22 60.62 59.24 55.55 59.54 60.88
World Championships 6 60.03 60.93 58.73 55.58 59.94 58.48

トータルスコアは偏差値60台前半あります。ジャンプの基礎点もミスなく滑ると60に乗ってきます。加点はシーズン前半の方がよく偏差値60台、フィンランディア杯では60台後半まで出ています。

スピンは偏差値50台、チャンピオンシップ3試合では50台中盤にとどまりました。

ステップは偏差値60に乗りそうで乗らないところ。

PCSはいい時は偏差値60に乗ってきます。

 

21-22シーズン グバノワ要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートはこんな形で。ジャンプの加点が大崩れして凹む試合が出る選手が結構いるのですが、グバノワ選手はそういったことがなく凹みがありません。フィンランディア杯で出来がよく、ジャンプの加点が伸びていますが、それ以外は割と全体的にバランスよく、穴がない選手のように見えます。

 

●シーズン最高の基礎点構成

○世界選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3F   5.30   -2.65 2.65 -5.000
2 2A   3.30   0.52 3.82 1.444
3 FCSp4   3.20   0.73 3.93 2.333
4 3Lz+3T   11.11 x 0.17 11.28 0.333
5 CCoSp4   3.50   0.65 4.15 1.778
6 StSq4   3.90   0.95 4.85 2.556
7 LSp4   2.70   0.42 3.12 1.556
  TES   33.01   0.79 33.80  

ショートプログラムの基礎点は33.01があります。ルッツフリップトーループでコンビネーションが1.1倍、スピンステップオールレベル4で33.01です。トリプルアクセル無しでこれより上へ行くには、あとはセカンドループ投入しかなく、今シーズンそういった選手はいませんでした。つまり、トリプルアクセル無しの最高基礎点となっています。

 

○世界選手権 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+3T   10.10   1.43 11.53 2.333
2 2A   3.30   0.57 3.87 1.778
3 3S   4.30   1.11 5.41 2.444
4 3Lo   4.90   0.91 5.81 1.889
5 ChSq1   3.00   0.71 3.71 1.222
6 FCSp4   3.20   0.73 3.93 2.333
7 3F+3T   10.45 x 0.83 11.28 1.444
8 3F+2T+2T   8.69 x 0.61 9.30 1.111
9 2A   3.63 x 0.28 3.91 0.889
10 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
11 StSq4   3.90   0.95 4.85 2.444
12 LSp4   2.70   0.42 3.12 1.667
  TES   61.67   9.25 70.92  

フリーの最高基礎点は61.67でした。1.1倍のところにセカンド3回転を入れたり点を稼ぐ構成になっているのですが、2回飛ぶジャンプがフリップとトーループ。ルッツが1回というあたりで少し基礎点が低くなります。また、スピンでレイバックスピンが入っていることでスピンの基礎点合計が9.40になっています。スピンで最高の基礎点は10.20まであるので、0.80マックスから低くなる形です。そのあたりの細かい積み上げで基礎点を上げることは出来ますが、トリプルアクセルが無い者同士の闘いとなる場合は、あとはトータルの出来栄え勝負です、という形で十分戦えるだけの基礎点が確保されていると言えます。

 

○平均GOE2.500以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Finlandia Trophy SP 3 FCSp4   3.20   1.07 4.27 3.250
Finlandia Trophy SP 6 StSq4   3.90   1.24 5.14 3.125
Finlandia Trophy FS 6 FCSp4   3.20   1.01 4.21 3.125
Olympic Games FS 11 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Olympic Games SP 6 StSq3   3.30   0.94 4.24 2.889
Golden Spin SP 1 3F+3T   9.50   1.48 10.98 2.857
Golden Spin SP 3 FCSp4   3.20   0.96 4.16 2.857
Europe Championships FS 6 FCSp4   3.20   0.91 4.11 2.778
Finlandia Trophy FS 11 StSq3   3.30   0.88 4.18 2.750
Finlandia Trophy FS 12 LSp4   2.70   0.72 3.42 2.750
Europe Championships SP 6 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.667
OlympicGames Team SP 6 StSq2   2.60   0.71 3.31 2.667
Finlandia Trophy SP 1 3F+3T   9.50   1.41 10.91 2.625
Finlandia Trophy FS 2 2A   3.30   0.88 4.18 2.625
Europe Championships SP 1 3F+3T   9.50   1.36 10.86 2.556
Europe Championships SP 7 LSp4   2.70   0.69 3.39 2.556
OlympicGames Team SP 3 FCSp4   3.20   0.82 4.02 2.556
World Championships SP 6 StSq4   3.90   0.95 4.85 2.556
Finlandia Trophy SP 4 3Lz   6.49 x 1.48 7.97 2.500
Finlandia Trophy SP 5 CCoSp4   3.50   0.82 4.32 2.500
Finlandia Trophy SP 7 LSp4   2.70   0.59 3.29 2.500

グバノワ選手は今シーズン平均GOEが+3.000を超えたのはフィンランディア杯の3つのスピンのみでした。GOEの稼ぐ幅はトップ層と比べるとやや差があります。

評価が高いのスピンが多いですが、オリンピックのステップやゴールデンスピンのコンビネーションジャンプのように他の要素も入ってきます。

 

○3回転-3回転の要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Finlandia Trophy SP 1 3F+3T   9.50   1.41 10.91 2.625
Finlandia Trophy FS 1 3Lz+3Tq q 10.10   -0.30 9.80 -0.500
Finlandia Trophy FS 7 3F+3T   10.45 x 0.97 11.42 1.875
Golden Spin SP 1 3F+3T   9.50   1.48 10.98 2.857
Golden Spin FS 1 3Lz+3T   10.10   1.30 11.40 2.286
Europe Championships SP 1 3F+3T   9.50   1.36 10.86 2.556
Europe Championships FS 1 3Lz+3T   10.10   -2.95 7.15 -4.889
OlympicGames Team SP 1 3F+3T   9.50   1.21 10.71 2.333
Olympic Games SP 1 3Fq+3T q 9.50   -0.15 9.35 -0.222
Olympic Games FS 1 3Lz+3T   10.10   1.43 11.53 2.444
Olympic Games FS 7 3Fq+3T q 10.45 x -0.23 10.22 -0.444
World Championships SP 4 3Lz+3T   11.11 x 0.17 11.28 0.333
World Championships FS 1 3Lz+3T   10.10   1.43 11.53 2.333
World Championships FS 7 3F+3T   10.45 x 0.83 11.28 1.444

3回転-3回転はフリップからの方が得意そうですが、最後の世界選手権ではショートで1.1倍にルッツからの3-3を入れるなど、シーズンを通して徐々に完成度を上げて行ったようです。

ヨーロッパ選手権のフリーでは転倒しましたが他は転倒無し。回転不足による基礎点減点もありません。高い安定感がありました

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Finlandia Trophy FS 8 3F+2T+2T   8.69 x 0.62 9.31 1.125
Europe Championships FS 8 3F+2T+2T   8.69 x 0.38 9.07 0.778
Olympic Games FS 8 3F+2T+2T   8.69 x 0.38 9.07 0.667
World Championships FS 8 3F+2T+2T   8.69 x 0.61 9.30 1.111

3連続ジャンプはフリップ起点で2回転トーループを2つ。3つ目をループにする選手が多いですが、ほかのコンビネーションを2つとも3回転付けているので、ダブルトーループが2つ余っており問題なく使えます。ループにした方が基礎点は0.2上がりますが、平均GOEが0.4下がると基礎点の増加分が相殺されてしまうので、変なリスクは冒す必要がない、ともいえるのでしょうか。

ゴールデンスピンでは3-3が1つ3-2になったことで、3連続の3つ目を付けるのをやめていますが、あとの4試合はしっかり決めています。

 

○何らかのマークがついた要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Finlandia Trophy FS 1 3Lz+3Tq q 10.10   -0.30 9.80 -0.500
Golden Spin FS 7 3Fq+2T q 7.26 x -0.85 6.41 -1.571
Olympic Games SP 1 3Fq+3T q 9.50   -0.15 9.35 -0.222
Olympic Games SP 4 3Lzq q 6.49 x -1.10 5.39 -1.889
Olympic Games FS 7 3Fq+3T q 10.45 x -0.23 10.22 -0.444

今シーズン5試合、オリンピックでは団体戦のショートまであって合計53回のジャンプ要素において、qマークは5つほど付きましたが、回転不足で基礎点減点あるいはダウングレードという要素が一つもありませんでした。さらに、フリップ、ルッツのエッジエラー、!もありません。ジャンプのクリーンさは際立っていました。

 

 

国籍移って1シーズン目というか、国際舞台復帰1シーズン目というか。ジュニアの有力選手が18歳になって久しぶりに姿を現しました。ロシア時代は国際大会での200点突破経験はありませんでしたが、復帰してきて初戦から200点を出しています。かつてはロシアジュニアでトップを争ったザギトワさんとスケート年齢では1つ下ですが、日本的学齢で言えば同学年に相当する年齢。若くして栄華を極め引退していくのと、息長く現役を続けていくのはどちらが幸せなのでしょう。そして、運命のめぐりあわせ、国籍変わったことで特に制限なく試合に出ることが来シーズン以降もできることになります。

ロシアの若手が国籍替えたら息長く滑ることができるのか? 少し前から興味ある事柄だったのですが、グバノワ選手の今後でそれも見えてくるのだろうと思います。ただ、練習拠点はロシア国内なままだったはずなのですが・・・、その辺はどうなんでしょうかね。