22-23 ルーカスブリッチギー

1998年2月17日生まれ

シニア6シーズン目

シーズン獲得賞金:$11,000

世界ランキング:18位

シーズンランキング:9位

シーズンベストスコア 257.34(14位) 世界選手権

ショートプログラムシーズンベスト 86.51 ワルシャワカップ

フリーシーズンベスト 171.16 世界選手権

ショートプログラム楽曲: Another Level

フリープログラム楽曲 : Another Level 他

スピンレベル4率 31/42 = 73.8%

ステップレベル4率 5/14 = 35.7%

スピンオールレベル4 1/7

スピンステップオールレベル4 0/7

ジャンプ回転不足率 0/70 = 0.00%

ジャンプ回転不足なし 7/7

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 0/7

 

○22-23シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
CS Finlandia Trophy 5 216.42 66.62 149.80
CS Budapest Trophy 2 239.66 72.85 166.81
GP Skate Canada 6 212.43 64.35 148.08
GP Grand Prix de France 7 222.86 74.25 148.61
CS Warsaw Cup 3 253.66 86.51 167.15
EC Europe Championships 3 248.01 79.26 168.75
WC World Championships 8 257.34 86.18 171.16

ブリッチギー選手は1998年生まれ。シニア6シーズン目に入ってきましたが未だグランプリシリーズの出場無し。昨季はそれでもオリンピックに出場して23位に入ったという選手です。行ってみれば、世界的には無名という選手でありました。

 

初戦はフィンランディア杯から。チャレンジャーシリーズはこれまでの主戦場です。ショートは4回転トーループ転倒、トリプルアクセル転倒というひどいスタート。フリーは立て直しましたが216.42で5位に終わります。

翌週続けてブダペスト杯に出てきます。ショートで4回転トーループをまた転倒、72.85で5位スタート。フリーは4回転降りてマイナス評価無し、166.81というパーソナルベストを出して239.66とこれもパーソナルベストで2位。シニア6シーズン目でチャレンジャーシリーズ初表彰台となりました。

 

グランプリシリーズは当初は1戦、スケートカナダにエントリー。力入ったでしょうか、ショートは4回転で転倒、アクセルが1回転半に。64.35では苦しい。それでもフリーで148.08を出して6位に入ります。

2戦目はない予定でしたが、直前にシャイドロフ選手が欠場を決めて、その代替としてグランプリフランスに入りました。2週連続となります。ここでもショートの4回転を転倒。フリーでは4回転を立っているので、どうにもショートの4回転が鬼門になっています。トータル222.86で7位。2戦で6位と7位なので、どちらもランキングポイントを得ることが出来ました。

 

チャレンジャーシリーズをもう1戦します。ワルシャワカップ。ようやくショートの4回転が決まり86.51 2位スタートでフリーへ。フリーも4回転2本を降りて167.15とパーソナルベスト更新。トータル253.66で初の250点超えをして3位表彰台となりました。

このスコアを合わせてチャレンジャーシリーズの今季ランキングを2位としています。

 

12月はスイスナショナルがあるのですがスキップ。1月のヨーロッパ選手権へ臨みます。

過去最高位は11位。メンバー的には上位入賞できれば、というような位置です。ショートの4回転がやはり転倒。79.26で5位。昨年までの実績考えれば悪くはない位置です。3位まで5.55差。フリー次第でどうなるか? というくらいの点差です。フリーは細かいミスはありましたが4回転2本、トリプルアクセル2本をしっかり降りて全要素プラス評価、168.75のパーソナルベストを更新してトータル248.01で残り4人を待つと、最終的に3位に残り表彰台。チャンピオンシップ初表彰台となりました。

 

続いて世界選手権。過去最高位は15位です。ヨーロッパ3位としては1桁順位くらいまではいきたいところでしょうか。ここでショートを全要素プラス評価で86.18を出して9位スタート。第3グループ後半にまで入ってきます。フリーは4回転トーループが1本3回転になりましたが、他はよく滑って全要素プラス評価。171.16と170点台に初めて乗せてトータル257.34 これも250点台に初めて乗って最終的に8位となりました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Finlandia Trophy 216.42 108.83 110.59 78.67 -6.45 23.20 13.41
Budapest Trophy 239.66 124.66 116.00 83.02 5.10 23.34 13.20
Skate Canada 212.43 99.21 114.22 67.43 -3.55 22.82 12.51
Grand Prix de France 222.86 111.37 112.49 78.87 -1.11 21.36 12.25
Warsaw Cup 253.66 128.41 125.25 78.81 12.90 24.22 12.48
Europe Championships 248.01 126.86 122.15 86.31 7.15 20.46 12.94
World Championships 257.34 134.31 123.03 80.89 16.46 22.22 14.74

スコアは210点台に始まって最後は257.34まで出しました。

技術点は100点に届かないスケートカナダというのもありますが、世界選手権では134.31が出ています。トータルスコアと同じ今シーズン15位にあたります。

PCSは125.25が最高。1項目平均8.5に近いところまで来ています。125.25は今シーズン13位なのでTESより少し順位が上です。

ジャンプの基礎点は86.31までヨーロッパ選手権で出しました。加点の方は世界選手権で16.46まで出しました。これは今シーズン4位にあたる高い加点でした。

スピンは24点台が最高。

ステップ系要素は世界選手権で14.74が出ました。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
Finlandia Trophy 53.39 54.05 45.33 60.39 61.17 53.66
Budapest Trophy 59.95 56.83 61.97 60.86 60.15 57.36
Skate Canada 52.27 46.85 49.51 59.09 56.80 56.14
Grand Prix de France 55.21 54.18 53.02 54.13 55.54 54.96
Warsaw Cup 63.89 54.14 73.21 63.85 56.65 63.69
Europe Championships 62.30 58.94 64.92 51.07 58.89 61.57
World Championships 64.93 55.47 78.34 57.06 67.64 62.17

トータルスコアは50そこそこの普通の選手だったところからシーズン半ばに60台に達して行きました。

ジャンプの基礎点は50台半ばくらいです。一方加点の方は2試合で70台の偏差値を出しています。世界選手権では70台後半まで出ました。

スピンは60前後でしたがヨーロッパ選手権は50近くに沈み込んでいます。

ステップ系要素は50代後半から60あたりが標準的なところ、世界選手権で60台後半の偏差値となりました。

PCSもシーズン前半50台から後半は60台に乗せています。

 

22-23シーズン ルーカスブリッチギー選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートはばらつきありますが、右上が多少へこむことが多いでしょうか。グランプリシリーズのオレンジ黄緑が小さく、紫、ピンク、青が比較的拡がっているように見て取れます。

 

・シーズン最高の基礎点構成

ヨーロッパ選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
2 3A   8.00   1.49 9.49 1.778
3 CSSp4   3.00   0.56 3.56 1.889
4 3Lz+3T   11.11 x 0.67 11.78 1.111
5 CCoSp3   3.00   0.64 3.64 2.111
6 StSq3   3.30   0.94 4.24 2.778
7 FCSp3   2.80   0.68 3.48 2.444
  TES   40.71   0.23 40.94  

ショートプログラムの最高基礎点は40.71でした。4回転1本で1.1倍はルッツトーループ。割と標準的なのですが、スピンステップでレベル3が目立ちます。これをすべてレベル4に出来れば1.50基礎点が上がるので42.21にまでなります。基礎点をそこから上げるには、4回転2種類目が求められます。

この構成でスピンステップオールレベル4でGOE満点取ると技術点は60.71になり、PCS加味して110.71満点となります。

 

ブダペスト杯 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T+2T   10.80   0.95 11.75 1.000
2 4T   9.50   1.49 10.99 1.667
3 3A+2T   9.30   1.60 10.90 1.889
4 3Lo   4.90   1.26 6.16 2.556
5 FCCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.444
6 3A   8.80 x 1.71 10.51 2.222
7 3F!+1Eu+2S ! 7.81 x 0.00 7.81 0.000
8 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.667
9 3Lz   6.49 x 0.93 7.42 1.556
10 ChSq1   3.00   1.00 4.00 2.000
11 CSSp4   3.00   0.69 3.69 2.333
12 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.444
  TES   74.50   12.39 86.89  

フリーの最高基礎点はブダペスト杯で74.50がありました。4回転は1種類2本。2回飛ぶジャンプは4回転トーループトリプルアクセルです。セカンド3回転がなく3連サルコウは2回転でシークエンスアクセルも無し。コンビネーションが弱くなっています。スピンステップはレベル4が取れていました。4T+3Tは飛べているケースがあるのでおそらく本当は跳びたいジャンプ。3連続も3Sで入っていることがありますので本来そうしたいはずです。シークエンスアクセルは実績がないのでその先の課題かと思います。セカンド3Tにして基礎点は+2.90、3連サルコウを3回転に出来れば3.30基礎点プラスなので、その2つで6.20基礎点上がって80.70にまでなります。3つ目の要素をシークエンスアクセルに出来ればさらに2.00基礎点が上がります。コンビネーションで3回転を付けられるかどうかというのは得点に大きく影響してきます。

上記のコンビネーションが2回転のままの構成でGOE満点取ると技術点は109.50となり、PCS加味して209.50満点となります。

 

○平均GOE2.600以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
World Championships FS 5 FCCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.556
World Championships FS 8 StSq4   3.90   1.28 5.18 3.444
World Championships FS 6 3A   8.80 X 2.63 11.43 3.444
World Championships SP 6 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.222
Europe Championships FS 8 StSq3   3.30   1.04 4.34 3.111
World Championships FS 7 3F+1Eu+3S   11.11 X 1.59 12.70 3.111
World Championships SP 4 3Lz   6.49 X 1.69 8.18 2.889
World Championships FS 3 3A+2T   9.30   2.29 11.59 2.889
World Championships FS 10 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
Warsaw Cup FS 8 StSq3   3.30   0.92 4.22 2.857
Europe Championships FS 5 FCCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.778
Europe Championships FS 10 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.778
Europe Championships FS 2 4T   9.50   2.58 12.08 2.778
Europe Championships SP 6 StSq3   3.30   0.94 4.24 2.778
Warsaw Cup SP 3 CSSp4   3.00   0.78 3.78 2.714
Budapest Trophy FS 8 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.667
World Championships FS 4 3Lo   4.90   1.26 6.16 2.667
Grand Prix de France SP 3 CSSp4   3.00   0.81 3.81 2.667
Skate Canada FS 8 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.667
Skate Canada FS 5 FCCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.667
Budapest Trophy SP 6 StSq3   3.30   0.94 4.24 2.667

評価の高い要素が何、というより、世界選手権で全体的に評価が高かったです、というように見えます。スピン、ステップ、トリプルアクセルに3連続まで+3.000を世界選手権では超えていました。これが毎試合出るようになると強いのですが、なかなかそう簡単にはいかないようです。

 

トーループで始まる要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Finlandia Trophy SP 1 4T F 9.50   -4.75 4.75 -4.875
Finlandia Trophy FS 1 4T+3T   13.70   2.22 15.92 2.375
Finlandia Trophy FS 2 4T   9.50   2.06 11.56 2.250
Budapest Trophy SP 1 4Tq F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
Budapest Trophy FS 1 4T+2T   10.80   0.95 11.75 1.000
Budapest Trophy FS 2 4T   9.50   1.49 10.99 1.667
Skate Canada SP 1 4T F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
Skate Canada FS 1 4T+2T   10.80   -2.04 8.76 -2.111
Skate Canada FS 2 4T   9.50   -1.36 8.14 -1.444
Grand Prix de France SP 1 4T F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
Grand Prix de France FS 1 4T   9.50   -1.49 8.01 -1.556
Grand Prix de France FS 2 4T+REP   6.65   1.90 8.55 1.889
Warsaw Cup SP 1 4T+2T   10.80   1.52 12.32 1.714
Warsaw Cup FS 1 4T+2T   10.80   0.57 11.37 0.714
Warsaw Cup FS 2 4T   9.50   2.28 11.78 2.286
Europe Championships SP 1 4T F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
Europe Championships FS 1 4T+2T   10.80   2.44 13.24 2.556
Europe Championships FS 2 4T   9.50   2.58 12.08 2.778
World Championships SP 1 4T+2T   10.80   1.63 12.43 1.556
World Championships FS 1 4T+2T   10.80   2.44 13.24 2.556
World Championships FS 2 3T   4.20   1.08 5.28 2.556

ブリッチギー選手は4回転はトーループ1種類です。ショートフリーで3本飛びます。3回転になったのが1回、転倒が5回、それ以外のGOEマイナスが3回でGOEプラスの成功は12回なので成功率は57%ほどです。ただ、セカンドが2回転になったのを成功と言っていいのかはわかりません。

また、ショートプログラムが7回あったわけですが、そのうち5回が転倒。転倒はすべてショートプログラムです。このショートのうまくいかなさはなんだったのでしょう?

 

○3連続の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Finlandia Trophy FS 7 3F+1Eu+2S   7.81 x 0.80 8.61 1.500
Budapest Trophy FS 7 3F!+1Eu+2S ! 7.81 x 0.00 7.81 0.000
Skate Canada FS 7 3F+1Eu+2S   7.81 x 0.61 8.42 1.222
Grand Prix de France FS 7 3F!+1Eu+2S ! 7.81 x -0.61 7.20 -1.222
Warsaw Cup FS 7 3F+1Eu+3S   11.11 x 1.27 12.38 2.286
Europe Championships FS 7 3F+1Eu+3S   11.11 x 1.29 12.40 2.333
World Championships FS 7 3F+1Eu+3S   11.11 X 1.59 12.70 3.111

3連続ジャンプは7試合でしっかり入りました。3つ目が2回転になったのが4回あります。成功と言い切れるのは3回だけ、となるでしょうか。3つ目のサルコウが2回転か3回転かで3.30違いますので結構効いてきます。

 

シーズン開幕当初は、誰? という感じの世界的には無名とも言えたブリッチギー選手。今シーズンヨーロッパで表彰台に立ち、世界選手権も一桁順位まで上がってきて一気に飛躍しました。今シーズン25歳になりました。日本だとこれくらいの実績でこの年齢までなかなか現役を続けてこられないです。こういう息の長い選手が年齢を経てから上位に上がってこられる環境というのはいいなあ、と思います。

来期は最初からグランプリシリーズ2戦あると思いますので、グランプリシリーズからの活躍を期待します。