ジュニアグランプリファイナル23 女子シングル展望

グランプリシリーズが終わったので次はファイナル。ファイナルはジュニアシニア同時開催です。ファイナル進出選手もすべてそろいましたので、展望を見ていこうと思います。

シニアジュニア男女の4カテゴリー、それぞれ追っていきます。今回はまずジュニアの女子シングルからです。

 

○今季の成績

Event Pl Name Nation Total SP FS
JGP Osaka 1 Mao SHIMADA JPN 213.86 73.78 140.08
JGP Armenia 1 Mao SHIMADA JPN 209.81 73.14 136.67
JGP Austria 1 Jia SHIN KOR 201.33 70.38 130.95
JGP Budapest 1 Jia SHIN KOR 200.74 66.25 134.49
JGP Istanbul 1 Ami NAKAI JPN 194.65 67.07 127.58
JGP Gdansk 1 Rena UEZONO JPN 192.31 64.85 127.46
JGP Bangkok 1 Ami NAKAI JPN 190.65 67.49 123.16
JGP Bangkok 2 Yuseong KIM KOR 189.92 63.04 126.88
JGP Istanbul 2 Rena UEZONO JPN 187.71 63.64 124.07
JGP Gdansk 2 Minsol KWON KOR 183.52 64.00 119.52
JGP Budapest 2 Yuseong KIM KOR 176.98 60.03 116.95
JGP Austria 3 Minsol KWON KOR 165.93 50.10 115.83

昨年の6人から、吉田陽菜選手とキムチェヨン選手が上に抜け、下から今年ジュニアに上がった上薗恋奈選手とキムユソン選手が入ってきたというメンバー構成です。後の4人は昨年と同じです。というわけで今年も日韓3vs3決戦となりました。

今期この6選手は国際大会はジュニアグランプリシリーズの2戦のみの出場です。シニアの試合に出場可能な年齢の選手はいませんし、気軽にB級大会のジュニアの試合に出られる場所には住んでいない日韓勢ですし、ということもあってこうなっているでしょうか。

島田麻央選手が2戦とも210点前後のスコアで少し抜けています。次いでシンジア選手が200点台を2戦。昨季の1位2位と同じ序列が今シーズンも続いています。3番目に中井亜美選手ですが今季はまだ200点がありません。全日本ジュニアで体調悪く全日本を逃しながらもジュニアグランプリファイナルに出てくるというのは三原舞依選手以来です。あまり時間は無いですがケガの具合はどうか?

上薗選手がシーズンベストは4番目です。表彰台をうかがう勢いはあります。キムユソン選手は190点台にまだとどいていないくらいまで。2年連続出場のクォンミンソル選手はまだ今シーズン180点台前半までです。2人とも190点を出すポテンシャルはあります。

 

ショートプログラムの構成

  Mao SHIMADA Jia SHIN Ami NAKAI Rena UEZONO Yuseong KIM Minsol KWON
1 2A 3F+3T 2A 2A 2A 2A
2 3F+3T 2A 3F!+3T 3F+3Tq 3F+3T 3Lz!
3 LSp4 FSSp4 CCoSp4 LSp4 FSSp4 FSSp3
4 3Lz 3Lz 3Lz 3Lz 3Lz! 3F+3T
5 FSSp4 CCoSp4 StSq3 FSSp4 CCoSp4 StSq3
6 StSq4 StSq4 FSSp4 StSq4 StSq3 LSp4
7 CCoSp4 LSp4 LSp4 CCoSp4 LSp4 CCoSp4
Base 32.39 32.39 31.79 32.39 31.79 31.75
TES 41.62 40.31 37.67 37.12 35.93 35.49
PCS 32.16 30.07 29.82 27.73 27.11 28.51
Total 73.78 70.38 67.49 64.85 63.04 64.00

2試合のうち技術点の高かった方の試合のショートプログラム構成です。ジュニアルールで滑るショートは構成は似たり寄ったりになります。トリプルアクセルはルール上入れられない。単独ジャンプはルッツ。コンビネーションはセカンドループ勢がいないので、セカンドは3回転のトーループになり、1つ目も全員フリップをきっちり付けました。クォンミンソル選手だけ1.1倍にコンビネーションというのが異なります。ジュニアルールの場合ショートではコンビネーションのリカバリーが不可能ですので、先にコンビネーションを飛ぶ理は、体力面以外にはとくにありませんので、1.1倍に入れるのも手だと思われます。

昔はステップでレベル4を取るジュニアは少なかったのですが、最近のトップジュニアは普通にレベル4を取ってきます。島田選手、シンジア選手、上薗選手とレベル4です。

スピンはレベル4を揃える力は全員持っていますが、クォンミンソル選手だけ1つレベル3が入っていました。その関係で、1.1倍にコンビネーションを入れていてノーミス基礎点ならミンソル選手が一番高くなる計算なのですが、実際にはそうなっていません。ただ、基礎点は一番上から下まで0.64しか差がありませんので、基本的には出来栄えとPCSで決まります。

PCSも島田選手が平均8点に乗せていて、シンジア選手と中井選手は30点前後まで出ますが、あとの3人は平均7点前後に留まる、という差があります。表彰台を狙うにはショートノーミスで行かないと難しくなるでしょうか。

 

○フリーの構成

  Mao SHIMADA Jia SHIN Ami NAKAI Rena UEZONO Yuseong KIM Minsol KWON
1 3A 2A 3A 3Lz+3T+2T 3A 2A
2 4T<< 3Lo 3Lo+2A+SEQ 3Lo 3F+3Tq 3Lo+2T+2Loq
3 3Lz+3T 3S 3Lz+2T 2A 3Lze 3Lz!
4 FCCoSp4 3F+2T+2Lo 3Lo 2A 3Lo 3S
5 3F+2A+SEQ CCoSp4 CCoSp4 FSSp4 FCCoSp4 FCCoSp3
6 3S+3T+2T 3Lz+3T 3F!q+1Eu+2S 3Lz 3Lo+2A+SEQ 3Fq+3Tq
7 3Lo 3F+2A+SEQ 2A 3Fq+3Tq 3F+2T+2Lo 3Lo<+2A+SEQ
8 ChSq1 3Lzq 3Lz 3S+2T 3S 3F
9 3Lz FCSp4 FSSp3 LSp4 ChSq1 FCSp4
10 CCoSp4 ChSq1 ChSq1 ChSq1 FCSp4 CCoSp4
11 LSp4 FCCoSp4 LSp3 CCoSp4 CCoSp4 ChSq1
Base 66.26 61.06 57.73 58.20 63.20 58.32
TES 76.33 73.45 67.02 66.71 69.03 61.16
PCS 64.75 61.04 60.56 60.75 57.85 58.36
Total 140.08 134.49 127.58 127.46 126.88 119.52

フリーは構成に差が出てきます。トリプルアクセル持ちは3人。そこに島田選手は4回転を付けますがこの試合はダウングレードでした。まだ4回転は今シーズン決まっていません。4回転ダウングレードでも他の構成が高いので基礎点66.26で1位です。キムユソン選手もトリプルアクセル入って他の構成もルッツのeで基礎点削られたくらいなので63.20と高めの基礎点になります。中井選手はトリプルアクセルがあるのですが、セカンド3回転や3連の3回転が入っていない結果、57.73と基礎点は伸びていません、ノーミス基礎点なら64.63まで出ます。シンジア選手は高難度ありませんが、ルッツフリップ2本立てでコンビネーションにもかなり詰め込んでいるので61点台という高めな基礎点になっています。

4回転ダウングレードの転倒でも島田選手がやはり強いですが、ここにトリプルアクセルまでミスするとシンジア選手に技術点で劣る構図が出てきます。中井亜美選手やキムユソン選手もトリプルアクセル込みノーミスすれば同じように島田選手2ミスくれば技術点で上回れます。ただし、島田選手の今シーズントリプルアクセルは悪くてもアンダーローテーションで着氷までです。直近の京都府中学校大会でも決めましたし、なんならNHK杯のエキシビジョンでまで決めていました。これなら4回転をダウングレードではなくてアンダーローテーションまでに抑えればなんとかなります。他の選手は自分がノーミスして島田選手の2ミス待ちという構図です。

表彰台争いは、万全なら中井亜美選手が1歩前にいるのですが、全日本ジュニアの状況を見ると、上薗選手とノーミスに近いキムユソン選手の争い、ということになりそうな雰囲気です。キムユソン選手はルッツのe癖が解消されればそれだけでスコア伸びてきます。PCSが上薗選手に抜かれてしまいましたが、ファイナルでノーミスすれば上がって来るかと思いますので、アクセルとルッツ、2つ大事です。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア

Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
Mao SHIMADA 213.86 96.91 72.85 9.20 26.16 9.74
Mao SHIMADA 209.81 94.82 74.65 5.62 26.53 9.19
Jia SHIN 201.33 91.60 67.15 8.14 24.80 9.64
Jia SHIN 200.74 90.44 66.31 9.53 24.53 9.93
Ami NAKAI 194.65 90.60 65.52 6.21 22.65 9.67
Rena UEZONO 192.31 88.48 65.29 6.27 22.77 9.50
Ami NAKAI 190.65 90.16 63.39 5.06 23.48 8.56
Yuseong KIM 189.92 84.96 69.29 4.10 23.27 8.30
Rena UEZONO 187.71 86.01 65.29 7.32 21.50 7.59
Minsol KWON 183.52 86.87 65.27 0.03 22.44 8.91
Yuseong KIM 176.98 79.49 67.99 -0.81 22.06 9.25
Minsol KWON 165.93 81.33 57.28 -1.52 21.00 8.84

ジュニアグランプリ2戦でのショートフリー合わせたそれぞれの選手の要素別スコアです。

PCSは島田選手が抜けていて、シンジア選手、中井亜美選手も90点まであります。上薗選手は2戦目で伸ばしてきていてキムユソン選手やクォンミンソル選手より優位です。

ジャンプの基礎点はやはり島田選手だけ高いですがトリプルアクセル決めたキムユソン選手ならそれに近いところまで出せます。中井選手はアクセル以外で基礎点削られがちで結果としてシンジア選手を上回れていません。上薗選手は65.29と2試合同じで、これはジャンプで基礎点削られたミスが無いということで高い安定感があります。

ジャンプの加点はシンジア選手が高いですが島田選手も4回転のマイナス背負いながらも高い加点をもらっています。上薗選手がそれに次ぐところにいます。

スピンも島田選手が1人だけ26点台です。シンジア選手は24点台、出来栄え勝負派としてはスピンでも1点くらいは足して肉薄したいところでしょうか。中井選手は23点台まで、上薗選手は22点台まで。この辺ももう少し稼ぎたいです。

ステップ系要素はシンジア選手が2試合とも9点台後半まで出していますが、他の選手もほとんど9点台を出す力はあるので、ほとんど差は出ていません。

 

今シーズンも日韓3vs3決戦になった女子のジュニア。6人中4人が去年と同じというのは、シニアのグランプリファイナルみたいな構図です。ジュニアが4シーズン続くことになったためにこんなことになりました。以前のルールであれば中井選手やシンジア選手はシニアのグランプリシリーズへ出ていたでしょう。現行ルールでは今回出場する6選手は全員来期もジュニアです。

ジュニア無敗の島田麻央選手がここでも勝利を続けるのか。ジュニアグランプリファイナルを2勝した選手は、かつて安藤美姫さんが成し遂げていますが、2連覇した選手はいません。世界ジュニアもジュニアグランプリファイナルも2位が続いているシンジア選手はそろそろ勝ちたい。全日本無いけどここでビッグタイトル獲れるか中井亜美選手。島田さんを倒すのは年下からなんですよ、な上薗恋奈選手か。シニアジュニアのシングル4種目で最初に決着するのはジュニアの女子です。再びの日韓決戦を楽しみにしたいと思います。