23-24 松生理乃

2004年10月10日生まれ

シニア3シーズン目

シーズン獲得賞金:$9,000

世界ランキング:41位

シーズンランキング:99位

シーズンベストスコア 198.62 (16位) スケートカナダ

ショートプログラムシーズンベスト 66.29 スケートカナダ

フリーシーズンベスト 132.33 スケートカナダ

スピンレベル4率 37/51 = 72.5%(国際大会:4/6 = 66.7%)

ステップレベル4率 7/17 = 41.2%(国際大会:2/2 = 100%)

スピンオールレベル4 0/8(国際大会:0/1)

スピンステップオールレベル4 0/8(国際大会:0/1)

ジャンプ回転不足率 15/83 = 18.1%(国際大会:2/10 = 20.0%)

ジャンプ回転不足なし 0/8(国際大会:0/1)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 0/8(国際大会:0/1)

 

○23-24シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
DL みなとアクルス 1 183.16 57.45 125.71
DL げんさんサマーカップ 5 187.01 59.51 127.50
RT 中部選手権 2 187.44 67.06 120.38
GP Skate Canada 3 198.62 66.29 132.33
DL 愛知県代表選考会 1 71.64 71.64  
NC 全日本選手権 17 174.34 58.97 115.37
CC 日本学生氷上選手権 5 175.76 60.54 115.22
NG 国民スポーツ大会 2 202.32 69.37 132.95
DL 愛知県選手権 1 202.03 64.49 137.54

松生理乃選手はシニア3シーズン目。昨季、グランプリシリーズ2試合に出場したのですが結果が出せませんでした。大学生になって今期こそ飛躍したいというシーズンです。

 

初戦は7月1日からみなとアクルス杯。ショート、フリー共にルッツ絡みで転倒がありましたが183.16とまずまずのスコアを出します。

8月はげんさんサマーカップ。グランプリ組も多数顔をそろえる試合で187.01まで出して5位。上位に顔を出してきました。

昨季の全日本が今一つだったこともあり、チャレンジャーシリーズの派遣はなし。中部選手権に出てきます。ここでも187.44としっかりしたスコアを出して2位。西日本へ駒を進めます。

 

グランプリシリーズは当初は枠が無かったのですが、紀平梨花選手の欠場によりスケートカナダに入りました。坂本花織選手とキムチェヨン選手がシード。日本からは他に渡辺倫果選手がいて、カナダのシザース選手、アメリカのソーングレン選手あたりが強豪です。

ランキングが高くないのでショートは3番滑走。後半コンビネーション構成で、このセカンドでアンダーローテーションもらいましたが、あとはいい滑りでした。66.29を出してシード2人次ぐ3位に付けます。ただ、4位とは1.10差。まだまだ分かりません。フリーは10番滑走。123.63以上で表彰台確定。パーソナルベストは2期前の142.05を持っていますのでちゃんと滑れば出せるスコアです。3つのコンビネーションでやや苦労したものの、大きなミスなく滑り切り132.33 トータル198.62を出して結果3位表彰台。グランプリシリーズの初表彰台となりました。

2戦目あればファイナルの芽も、というところで、欠場者待ちだったのですが枠は回ってこず。グランプリシリーズはこの1戦で終了です。

12月に入って愛知県内の試合でショートを滑り71.64 好調ぶりを見せます。

 

全日本に向けて、シーズン後半の代表選考基準で見ると、わずかにシーズンベストが4位で入っていません。ただ、坂本選手が優勝すればその時点で3番目に名前は入ってくることができます。2試合平均で上位にもでそうなスコアを持っていそうに見えたのですが、対象となる試合に2試合出られていない不運。西日本選手権は対象試合なのですが、スケートカナダ出場で免除になってしまっていて、1試合しか出ていないため、平均が取れません。もう1つ、世界ジュニアの代表選考でシーズンベスト3番目にいます。展開次第でこちらもあり得るという立場です。

 

いずれにしても上位で折り返したいショートプログラム。コンビネーションジャンプで転倒してしまいます。しかもそれだけで終わらずそのあとスピンでノーバリュー。58.97で12位スタートは痛いです。ただジュニア勢で櫛田選手がショート落ち、髙木選手も20位スタートとなり、世界ジュニア3枠目争いとしてはフリーで順位を上げていくと十分チャンスのある位置にいます。フリーは第3グループ1番滑走。2つ目の要素でルッツ転倒。後半でフリップがダウングレード。コンビネーションが1つ余る、という展開だとスコアは伸びずに115.37 トータル174.34はシーズンワーストで11人残して6位。結局17位で終わり、代表選考は何もなし、となりました。

 

1月に入って学生選手権。これも175.56で5位。スコア伸びてきません。年末年始調子が悪い。

1月も下旬になってくると調子が上がって来る。国体改め国民スポーツ大会は202.32まで出して2位に入ります。

2月後半は愛知県の県大会。完全なローカル大会ですが相性のいい試合。これも202.03で優勝。国内参考記録ですが200点台2試合を続けて、これが全日本で出ればなあ・・・、と今年もまた思わされてシーズンを終えました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
みなとアクルス 183.16 91.28 93.88 56.73 1.75 20.31 12.49
げんさんサマーカップ 187.01 93.89 94.12 56.86 0.57 23.94 12.52
中部選手権 187.44 94.88 93.56 60.47 -1.85 23.98 12.28
Skate Canada 198.62 100.62 98.00 64.00 -0.12 22.18 14.56
愛知県代表選考会 71.64 38.47 33.17 19.71 2.10 11.59 5.07
全日本選手権 174.34 81.10 95.24 53.47 -3.59 18.72 12.50
日本学生氷上選手権 175.76 88.99 87.77 55.42 -1.44 22.65 12.36
国民スポーツ大会 202.32 105.99 96.33 64.37 3.15 24.94 13.53
愛知県選手権 202.03 101.88 100.15 62.71 0.21 24.24 14.72

シーズン序盤は180点台。国際舞台で190点台を出したのに、年末年始は170点台に沈み、シーズン終盤に200点に乗せます。

全日本で結果が出ないのでB級大会ももらえない。結果、ランキングが上がらない。悪循環になっていますが、198.62はISUシーズンベスト14位です。これがあるので来期のグランプリシリーズ1枠には繋がりました。国際大会で十分戦える選手です。

技術点はいい時には100点に乗ってきます。PCSは国際大会で98.00 今シーズン全選手中9位、ISU公認なら8位という高い評価。試合数少なくなっていますが、それでも国際舞台での評価は高い選手です。

ジャンプの基礎点は64点台まで出ます。加点の方はマイナスの試合が目立っています。

スピンはシーズン終盤は24点台を出してきました。

ステップ系要素はスケートカナダで14.56を出しています。今シーズン全選手中10位、ISU公認なら8位という高い評価になります。

ステップ系要素とPCSで高い評価を受けています。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
みなとアクルス 59.06 55.73 59.20 50.20 56.57 61.75
げんさんサマーカップ 60.48 55.87 56.78 64.84 56.72 61.94
中部選手権 60.64 59.72 51.82 65.00 55.54 61.48
Skate Canada 64.76 63.49 55.37 57.74 66.72 65.14
全日本選手権 55.82 52.24 48.26 43.79 56.62 62.87
日本学生氷上選手権 56.34 54.33 52.66 59.64 55.93 56.71
国民体育大会 66.12 63.89 62.07 68.87 61.67 63.76

トータルスコアは60前後の偏差値ですが、スケートカナダで60台中盤まで出しました。

ジャンプの基礎点は50台が多く評価が低めですがスケートカナダはしっかり取れて60台中盤近い偏差値がありました。加点の方もやはり50台にとどまります。

スピンはノーバリューがあった全日本は沈んでいますが、他は60台も多いです、スケートカナダは50台後半の普通の偏差値でした。

ステップ系要素はスケートカナダで60台後半の領域の偏差値になっています。

PCSは60台前半から中盤あたりあります。

 

松生理乃選手の要素別偏差値レーダーチャート23-24

レーダーチャートは左寄りです。国民スポーツ大会はステップ伸びずに下に伸びています。ステップレベル4率は5割を切るので、ステップ系要素の偏差値はばらついていきます。

右側のジャンプがしっかり稼げると200点をシーズン最後以外でもだせるようになるはずです。

 

●シーズン最高の基礎点構成

スケートカナダ ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   1.04 4.34 3.111
2 3F   5.30   1.44 6.74 2.667
3 FCSp3   2.80   0.36 3.16 1.444
4 3Lz!q+3T< 10.19 x -2.44 7.75 -4.000
5 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
6 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.444
7 LSp4   2.70   0.73 3.43 2.556
  TES   31.69   3.15 34.84  

ショートプログラムから後半にコンビネーションを入れています。スケートカナダではセカンドがアンダーローテーションになり、スピンも1つレベル3で基礎点31.69でした。これをノーミスで滑ると33.01の基礎点になります。愛知県のローカル大会で33.01を出していました。セカンドループなし、トリプルアクセル無しの最高基礎点が33.01になります。

松生選手はコンビネーションさえしっかり入れられればそれを出していく力があります。

 

スケートカナダ フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lo   4.90   1.40 6.30 2.778
2 3Lzq+3Tq q 10.10   -1.18 8.92 -1.889
3 2A   3.30   0.85 4.15 2.556
4 FCCoSp3   3.00   0.17 3.17 0.667
5 2A   3.30   0.90 4.20 2.667
6 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.222
7 3Lz!q+3T<+2T 11.62 x -2.44 9.18 -4.222
8 3Fq+2T q 7.26 x -0.61 6.65 -1.222
9 3S   4.73 x 0.92 5.65 2.222
10 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.778
11 CCoSp4   3.50   1.10 4.60 3.111
12 LSp4   2.70   0.77 3.47 2.889
  TES   61.31   4.47 65.78  

フリーはスケートカナダの61.31が最高でした。国内の試合でもこれより高い基礎点は出していません。2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。1.1倍にセカンド3回転含む3連続がいます。アンダーローテーション1つあり、それをしっかり飛べていれば62.23の基礎点になります。スピンが1つレベル3があるのでこれをレベル4にすると62.73にまで達します。松生選手は単独のダブルアクセルを2本飛びます。これをシークエンスに入れていくと、もう少しジャンプの選択の幅が拡がって基礎点を上げやすいようにも見えます。3連続でセカンドを2回転やアクセルにすれば3つ目をダブルループにしやすいなど、細かく基礎点を上げられる要素はあります。

 

○平均GOE3.200以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
愛知県代表選考会 SP 3 FCSp4   3.20   1.12 4.32 3.667
中部選手権 FS 6 StSq2   2.60   0.95 3.55 3.600
中部選手権 FS 11 CCoSp4   3.50   1.28 4.78 3.600
全日本選手権 SP 3 FCSp3   2.80   1.00 3.80 3.444
愛知県選手権 FS 6 StSq4   3.90   1.33 5.23 3.429
げんさんサマーカップ SP 3 FCSp4   3.20   1.07 4.27 3.400
国民体育大会 FS 11 CCoSp4   3.50   1.17 4.67 3.400
国民体育大会 SP 3 FCSp4   3.20   1.07 4.27 3.400
中部選手権 SP 5 StSq3   3.30   1.10 4.40 3.400
愛知県代表選考会 SP 1 2A   3.30   1.07 4.37 3.333
愛知県選手権 SP 1 2A   3.30   1.06 4.36 3.286
みなとアクルス SP 3 FCSp4   3.20   1.09 4.29 3.286
Skate Canada FS 6 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.222
中部選手権 FS 12 LSp4   2.70   0.81 3.51 3.200
げんさんサマーカップ FS 11 CCoSp4   3.50   1.17 4.67 3.200
中部選手権 SP 1 2A   3.30   0.99 4.29 3.200

松生選手は比較的ステップやスピンの要素が評価高めです。ジャンプはあまり入ってこず、ショートのダブルアクセルがそれなりに評価高いです。

 

○セカンド3回転を含む要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
みなとアクルス SP 4 3Lzq+3T<< << F 7.92 X -2.95 4.97 -5.000
みなとアクルス FS 2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
げんさんサマーカップ FS 2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 1.800
げんさんサマーカップ FS 7 3Lzq+3T<<+2T <<  9.35 X -2.16 7.19 -3.800
中部選手権 SP 4 3Lzq+3Tq q 11.11 X -1.38 9.73 -2.400
中部選手権 FS 7 3Lz+3T+2T   12.54 X 1.18 13.72 2.200
Skate Canada SP 4 3Lz!q+3T< 10.19 x -2.44 7.75 -4.000
Skate Canada FS 2 3Lzq+3Tq q 10.10   -1.18 8.92 -1.889
Skate Canada FS 7 3Lz!q+3T<+2T 11.62 x -2.44 9.18 -4.222
愛知県代表選考会 SP 4 3Lz+3T   11.11 X -0.30 10.81 -0.667
全日本選手権 SP 4 3Lz!q+3T< ! F 10.19 X -2.95 7.24 -5.000
全日本選手権 FS 7 3Lz!<+3T<+2T ! 10.32 X -1.96 8.36 -3.778
日本学生氷上選手権 SP 4 3Lz+3T   11.11 X 1.18 12.29 1.800
日本学生氷上選手権 FS 8 3F+3T<+2T 10.96 X -1.24 9.72 -2.600
国民スポーツ大会 SP 2 3F!+3T ! 9.50   0.18 9.68 0.400
国民スポーツ大会 FS 2 3Lz+3T+2T   11.40   0.59 11.99 1.000
国民スポーツ大会 FS 7 3Lz+3T< 10.19 X -0.59 9.60 -1.000
愛知県選手権 SP 2 3F!q+3T< ! 8.66   -2.44 6.22 -4.571
愛知県選手権 FS 2 3Lz+3T<+2T<< <<  9.66   -2.36 7.30 -3.857
愛知県選手権 FS 7 3Lz!+3T ! 11.11 X 0.47 11.58 0.571

松生選手は今期コンビネーションに苦しみました。ショートもフリーもルッツから飛びます。フリーは3連続もセカンド3回転で、シーズン中盤までは後半に入れていて、終盤には前半に入れるようにしていました。またシーズン終盤はショートで後半コンビネーションをやめ、前半にフリップからと変えていました。

3連続は今期GOEプラスになったのは2度だけ。回転不足も目立ちます。後半の3-3-2はやはり負担が大きそうです。

また、ルッツもフリップもどちらもエッジで!を取られるケースが目立ちます。比較的フリップの方が取られない、ルッツの方が取られるということが多いでしょうか。

ルッツ、フリップ、コンビネーション。ここが鍵になっているようです。

 

どうしても全日本で結果が出なくなっている松生選手。グランプリシリーズ表彰台があるのに代表選考には全く絡めませんでした。一方、2月はいつも調子がいい。今期も2試合200点台。昨季も国内ローカルですが219点まで出し、一昨年はチャレンジカップの224点があります。オリンピックは2月にある。代表にさえ選べれればもしかして。

来期は、少なくともグランプリシリーズ1試合は回って来ると思われますので、そこでまた結果を出して、そして今度こそ全日本で、20年の時のような結果を出して、後半へつなげていってもらえればと思います。