クランベリーインターナショナル チャレンジャーシリーズ開幕

今期は8月上旬からチャレンジャーシリーズが始まりました。クランベリーインターナショナル。昨季は無かったアメリカでのチャレンジャーシリーズです。この試合は映像も届いておらず、全く見ることが出来ていないのですが、ジャッジシートのみから結果をお伝えしておきます。

 

○女子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Sarah EVERHARDT USA 196.42 63.46 132.96
2 Elyce LIN-GRACEY USA 193.99 67.88 126.11
3 Isabeau LEVITO USA 193.81 65.08 128.73
4 Ahsun YUN KOR 185.57 60.46 125.11
5 Starr ANDREWS USA 164.89 57.19 107.70
6 Madeline SCHIZAS CAN 155.52 49.84 105.68
7 Sonja HILMER USA 151.43 49.60 101.83
8 Clare SEO USA 147.66 56.92 90.74
9 Wren WARNE-JACOBSEN USA 141.63 50.86 90.77
10 Eliska BREZINOVA CZE 126.15 52.38 73.77
11 Emilia MURDOCK ESP 120.09 40.08 80.01
12 Barbora VRANKOVA CZE 104.38 40.74 63.64
13 Eugenia GARZA MEX 97.18 34.80 62.38
14 Katherine ONG PUI KUAN MAS 89.12 31.73 57.39

女子はアメリカ勢が表彰台を独占しました。優勝したのはサラエバーハート選手、2006年11月生まれの17歳。レビト選手と同じ学年で、ぎりぎりシニアで活動できる年齢です。昨季はナショナル4位はありましたが、国際大会ではジュニアグランプリシリーズのグダンスクで6位に入った、という成績があるくらい。パーソナルベストも168.69しか持っていなかった選手が、大幅自己ベスト更新でチャレンジャーシリーズ初出場初優勝を果たしました。

2位にはエリスリングレーシー選手が入っています。こちらも2007年6月生まれで、スケート年齢的にはレビト選手やレバーハート選手と同じ、シニアギリギリ年齢になります。179.16の自己ベストをこちらも大幅更新しての2位表彰台です。

レビト選手は3位でした。こちらはまだまだ小手調べといったところでしょうか。最後のスピンノーバリューが無ければちゃんと優勝出来ていたわけで、この時期としては十分ともいえるかもしれません。

韓国のユンアソン選手が4位でした。韓国女子はシーズンオフの合宿で大騒動を起こしてしまい、看板2枚が出場停止とあって、オリンピックの枠取りなどを考えると、何とか層を厚くしていきたいところ。グランプリ枠を持っていないユンアソン選手はここで勝って、補欠枠待ち、それも、自国の欠場見込みからの枠割り当てが欲しいところだったのですが、届かず。195.87の自己ベストを持っている選手ですので、ここは勝っておきたい試合でした。

アソン選手も2007年2月生まれの17歳。今大会は上位4選手まで、シニアギリギリ年齢の選手が占める形となりました。

 

○サラエバーハート選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz   5.90   1.77 7.67 2.857
2 2A+3T   7.50   0.76 8.26 1.571
3 3F   5.30   0.85 6.15 1.429
4 3Lo+2A+SEQ   8.20   0.98 9.18 2.143
5 CCoSp3   3.00   0.78 3.78 2.429
6 StSq3   3.30   0.79 4.09 2.286
7 3Lo   5.39 x 0.88 6.27 1.714
8 3Lz+2T+2Lo   9.79 x 0.83 10.62 1.286
9 3S   4.73 x 0.86 5.59 2.143
10 FSSp4   3.00   0.54 3.54 1.857
11 ChSq1   3.00   0.80 3.80 1.571
12 FCCoSp4   3.50   0.70 4.20 1.857
  TES   62.61   10.54 73.15  

2回飛ぶジャンプはルッツとループ。スピンが1つレベル3、ステップもレベル3で基礎点62.61となりました。スピンステップレベル4取れれば63.71の基礎点になりますので、トリプルアクセル以上が無い構成としては十分な基礎点と言えそうです

全要素プラス評価となりました。回転不足なども取られるマーク無し。フリーのISUパーソナルベストは108.50で技術点は58.21しかなかった選手が、大幅大幅自己ベスト更新です。

エバーハート選手はこの優勝により、グランプリシリーズの補欠枠を手に入れました。補欠枠も、世界ランキング、シーズンベストスコアのそれぞれを基準に回って来るようなので、すぐ入れるかはわかりませんが、シーズンベストの方は196.42でかなり高いので、どこかの段階で枠が回ってきそうに感じます。

 

○男子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Lucas BROUSSARD USA 246.48 85.77 160.71
2 Luc ECONOMIDES FRA 236.87 81.57 155.30
3 Jimmy MA USA 236.77 78.24 158.53
4 Camden PULKINEN USA 226.97 77.83 149.14
5 Andrew TORGASHEV USA 224.94 84.30 140.64
6 Roman SADOVSKY CAN 224.70 80.50 144.20
7 Hyungyeom KIM KOR 217.42 81.15 136.27
8 Yaroslav PANIOT USA 206.59 69.78 136.81
9 Michael XIE USA 198.73 74.56 124.17
10 Liam KAPEIKIS USA 196.64 65.96 130.68
11 Tomoki HIWATASHI USA 190.56 84.40 106.16
  Tao MACRAE GBR 46.73 46.73  

男子はルーカスブルサード選手がショートフリー共に1位のスコアで優勝しました。246.48はパーソナルベスト更新。ブルサード選手もグランプリシリーズの枠をもっていないので、この優勝により補欠枠獲得です。

2位にはフランスのエコノミド選手が入りました。25歳ながら自己ベスト更新でチャレンジャーシリーズ初表彰台となります。

3位にはジミーマ選手が入りました。クランベリーインターナショナルとしては2年連続の表彰台です。チャレンジャーシリーズとしては21年のゴールデンスピン以来3シーズンぶりの表彰台となりました。ショート7位でしたが、フリーで2本の4回転を揃えて逆転表彰台となりました。

 

○ルーカスブルサード選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T+3T   13.70   3.04 16.74 3.143
2 3A   8.00   1.28 9.28 1.429
3 3Lz+3T   10.10   1.77 11.87 2.857
4 FCSSp4   3.00   0.60 3.60 2.143
5 3Lo   4.90   -0.10 4.80 -0.143
6 FCSp3   2.80   0.50 3.30 1.571
7 3F+1Eu+3S   11.11 x 0.95 12.06 1.714
8 ChSq1   3.00   1.50 4.50 2.857
9 3Lz   6.49 x 1.30 7.79 2.143
10 2A F 3.63 x -1.45 2.18 -4.429
11 StSq3   3.30   0.53 3.83 1.571
12 CCoSp3   3.00   0.84 3.84 2.857
  TES   73.03   10.76 83.79  

ブルサード選手は4回転1本構成です。4回転トーループからのコンビネーションジャンプは国際大会で初成功となりました。平均GOEも+3.143と高評価です。トリプルアクセルも1本だけで2回飛ぶジャンプはルッツとトーループになっています。最後のダブルアクセルは構成としては最初から単独ダブルアクセルのつもりで跳んで、それが転倒になったという形でした。最終滑走で点差も少しあっての最後のジャンプなので、転倒しても問題は生じませんでしたが、しっかり決めていれば250点もあり得ただけにもったいなかったです。

ブルサード選手は昨季シニアに上がって、初めてグランプリシリーズに出場したわけですが、その中国杯は12位と結果を残せず、今期はグランプリ枠無しでした。この時期に優勝して補欠枠を取り、246.48を持っていると、おそらく1枠は入ってきて、もう一度チャンスが来るのではないかと思われます。

マリニン選手、ジェイソンブラウン選手とアメリカは強いですが、3枠目がなかなか混戦の世界選手権代表争いにも名乗りを上げる形となる試合だったかと思います。

 

8月上旬という早い時期の試合でしたが、パーソナルベスト連発というしっかりと点の出る試合となりました。日本からも、国内戦出るよりはISUスコアもらえるチャンスですので、点の出やすいこういう試合に派遣があるといいのにな、と思ったりもします。女子は、18枠埋まっているので意味がやや薄いですが、男子は優勝すればグランプリ補欠枠でチャンスが膨らみますし。吉岡選手や壷井選手あたりにこういうチャンスを回してあげてほしい、と思ったりもします。

チャレンジャーシリーズの2戦目は9月13日からのロンバルディア杯になります。エントリー選手はまだ未定です。その前にペアだけは9月3日からジョンニックスチャレンジがあります。また、ISUの試合としては8月28日からジュニアグランプリシリーズの初戦、リガが開催されます。

今シーズンもいよいよ始まりました。