ゴールデンスピン アメリカ勢で締める

今シーズンのチャレンジャーシリーズ最終戦です。チャレンジャーシリーズは中堅選手がISU公認のパーソナルベストを得るための大事な試合。これが終わると以降は代表レベルの選手以外はISUベストスコアを記録することが出来なくなります。

今回ゴールデンスピンライブストリーミングも見つけられず、残念ながら全く視聴出来ていないので結果からしか読み取れませんでしたが、最後の試合はアメリカ勢が締めたようです。

 

○女子シングル 上位12名

Pl Name Nation Total SP FS
1 Lindsay THORNGREN USA 196.48 60.49 135.99
2 Bradie TENNELL USA 193.31 68.84 124.47
3 Madeline SCHIZAS CAN 183.28 58.66 124.62
4 Lara Naki GUTMANN ITA 175.71 50.06 125.65
5 Lindsay van ZUNDERT NED 174.81 58.66 116.15
6 Kristina ISAEV GER 163.79 49.47 114.32
7 Nicole SCHOTT GER 162.96 52.36 110.60
8 Jade HOVINE BEL 161.66 49.51 112.15
9 Yasmine Kimiko YAMADA SUI 159.62 47.35 112.27
10 Anastasia GOZHVA UKR 155.23 52.35 102.88
11 Marilena KITROMILIS CYP 150.01 54.58 95.43
12 Anna LEVKOVETS KAZ 146.57 48.65 97.92

優勝はアメリカのソーングレン選手でした。チャレンジャーシリーズ初優勝。ショートは出遅れたのですがフリーは135.99のパーソナルベストを出して逆転優勝です。196.48はISU公認のシーズンベストです。アメリカの中でシーズンベスト順位はこれで3番目ですが、B級大会では203.62まで出しています。世界選手権代表枠にそのまま入ってこられるか。

2位にはブレイディテネル選手が入りました。ショートでは68.84の首位でした。フリーはそれほどスコアを伸ばせず2位に終わった、という見方もできますが、今シーズンのベストまでは出してきました。193.31はアメリカのシーズンベスト順位で4番目にまで上がってきています。来期に向けてはここでランキングポイントを確保できたのも価値があります。

3位にはカナダのマデリンシーザス選手が入りました。チャレンジャーシリーズ初表彰台。今季は3回目の180点台です。スコアは安定しているのですが、たぶん本当はもう少し伸ばしたいのだろうと思います。カナダでは今シーズン180点を超えているのはシーザス選手のみですので、おそらく順当にいけば世界選手権の代表には入ってこられるとは思うのですが、来期に2枠取れるトップ10に入っていくためには200点台を出すところまで行きたいでしょうか。

 

○ブレイディテネル選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+2T   7.20   0.47 7.67 0.857
2 3Lo   4.90   0.78 5.68 1.571
3 3S   4.30   0.69 4.99 1.571
4 FCCoSp4   3.50   1.26 4.76 3.571
5 2A   3.30   0.92 4.22 2.857
6 3Lo+1Eu+2S   7.37 x 0.98 8.35 2.000
7 3Lz!< F 5.19 x -2.36 2.83 -5.000
8 2Aq q 3.63 x -0.53 3.10 -1.429
9 StSq4   3.90   1.40 5.30 3.571
10 ChSq1   3.00   1.40 4.40 2.857
11 CCSp4   3.20   1.09 4.29 3.286
12 CCoSp3   3.00   1.20 4.20 4.000
  TES   52.49   7.30 59.79  

テネル選手は今シーズンはケガからの復帰シーズン。まだ本調子ではないようでセカンド3回転がありません。2回飛ぶジャンプはルッツとループ。ルッツまで入ってきているあたりは紀平選手より状態は良く見えますが、ショートもフリーもセカンド3回転なしなあたりは状態が少し悪いようにも見えます。その辺はケガの場所にもよるのでしょうか。

3回転は3種類5本。トーループの他にフリップが入っていません。単独ダブルアクセルのところはセカンドで使わない単独トーループを入れた方が基礎点は上がるのですが、セカンド3回転を入れるための準備段階であって、今この試合でより高い基礎点を求めていく必要はない、というところかと思います。それにしても基礎点52.49だとかなり低いです。ここから転倒ありで124点台を出していけるわけですから、しっかりした構成を組めれば140点近いところまで行けるのでしょう

2週間前のグランプリシリーズと比べてスコアは格段に上がってきました。これなら全米選手権で十分戦えます。全米はまだ1カ月以上ありますので状態を上げていけば表彰台に乗るのが順当というところになりそうです。それがだめでも4大陸に派遣されるくらいまでは来るかと思われます。

○男子シングル 上位12名

Pl Name Nation Total SP FS
1 Camden PULKINEN USA 242.09 85.45 156.64
2 Matteo RIZZO ITA 228.86 68.79 160.07
3 Mihhail SELEVKO EST 217.51 77.32 140.19
4 Mikhail SHAIDOROV KAZ 211.21 73.97 137.24
5 Aleksandr SELEVKO EST 211.11 65.18 145.93
6 Mark GORODNITSKY ISR 203.42 71.93 131.49
7 Corey CIRCELLI CAN 193.65 60.03 133.62
8 Alexander ZLATKOV BUL 188.07 62.14 125.93
9 Dias JIRENBAYEV KAZ 180.31 56.19 124.12
10 Edrian Paul CELESTINO PHI 178.35 69.46 108.89
11 Lev VINOKUR ISR 159.76 49.95 109.81
12 Noah BODENSTEIN SUI 158.32 48.46 109.86

男子も優勝はアメリカのプルキネン選手でした。チャレンジャーシリーズ初優勝。242.09はシーズンベストであり、昨年の世界選手権に次ぐセカンドベストにもなります。フリーは伸びなかったのですがショートのリードを生かして逃げ切りました。このスコアは今シーズンのアメリカ勢の中ではマリニン選手に次ぐ2番目のスコアです。この調子なら今シーズンも世界選手権に出てきそうに見えます。

2位にイタリアのマッテオリッツォ選手が入ってきています。こちらはショートでジャンプ決まらず出遅れましたがフリーで巻き返しました。ただ、それでもスコアは本人比でみて今一つです。レベルが上がってきていてイタリアで代表に入るのは簡単ではなくなっているのですが、次週イタリア選手権。そちらに照準合わせていてこの試合は調整、という理解でよいのか、調子が上がっていないのか。

3位にはエストニアのミハイルセルフコ選手が入りました。チャレンジャーシリーズ初表彰台です。スコアは本人比で平凡ではありますが、オリンピックに出たお兄さんのアレクサンデル選手に勝ちました。エストニアは世界選手権代表枠1を兄弟プラスアルファで争うことになるのですが、まずその前に兄弟仲良くヨーロッパ選手権には出ることになると思います。コロナでつぶれた4大陸選手権とか世界ジュニアとか、代理開催国として行ってくれるフィギュア界にとって恩のあるエストニアなので、頑張ってほしいところ。話変わってますが、ああいうのは開催国枠増とかしてもいいと思ったりします。

 

○マッテオリッツォ選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T+3T   13.70   0.57 14.27 0.429
2 4Lo<< <<  4.90   -2.45 2.45 -4.857
3 3F+1Eu+2S   7.10   1.06 8.16 1.857
4 3Lz   5.90   1.18 7.08 2.143
5 CCoSp3V   2.25   0.50 2.75 2.143
6 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
7 3A+2A+SEQ   12.43 x 2.40 14.83 2.857
8 4T<< <<  4.62 x -2.10 2.52 -4.857
9 3A   8.80 x 2.08 10.88 2.714
10 CCSp4   3.20   0.51 3.71 1.714
11 FSSp4   3.00   0.54 3.54 1.714
12 StSq4   3.90   1.40 5.30 3.571
  TES   72.80   7.19 79.99  

リッツォ選手は4回転2種類3本構成。今シーズンから4回転ループを構成に入れてきています。そのループはダウングレードとなりました。4回転ループはまだGOEプラスの成功は1度だけ。完成度の向上が待たれます。

もう1種類の4回転、トーループは冒頭はコンビネーションで成功しましたが、後半はダウングレードになりました。全体がこの出来で160点出せているのは逆に流石と言えるかもしれません。

2回飛ぶジャンプは4回転トーループトリプルアクセル。セカンド3回転を1つ入れ、3連続にサルコウで、新ルールのシークエンスアクセルも使っていてノーミス時には持ち札の中で基礎点がしっかり高くなる構成を組んでいます。現行基礎点は72.80ですがノーミス時には88.48までになります。技術点100点超えが普通に見える構成です。

 

チャレンジャーシリーズがこれで終了しました。

誰も気にしてませんがチャレンジャーシリーズにも順位というものは付きます。順位点関係なしに、出場した中でスコアのいい2試合の合計点で順位付けされます。

男子は1位ケビンエイモズ選手、2位ルーカスブリッチギー選手、3位マッテオリッツォ選手。女子は1位キムイェリム選手、2位エカテリナクラコワ選手、3位リンジーソーングレン選手となりました。みなさんグランプリ級の選手なので、あまりうれしくもなんともないというか、場合によってはご本人も把握されてなかったりするのではないかとは思われます。