儲けの9割は値決めで決まる! 西田順生
中経出版 206ページ
話の内容はタイトルそのもの
言いたいことの9割はタイトルで言ってある、という感じの本である
同じものをいくらで売るか?
それによって儲けが全然違ってくる
当たり前と言えば当たり前なのだけど、日本の企業、特に中堅以下の企業では比較的弱い考え方であったりするのだろう
営業は売上金額だけを考え、製造は原価・コストだけを考える
その間の利益を考える人間がいない
よく見かける構図である
それじゃダメですよ、という話であり、主にはこういうところに意識して値段をつけましょう、という話へつながっていく
本書ではそれを、「裏の売価の6条件」と呼んでいて、
- スペック
- サービス
- 数量
- 時間
- 値引き
- 現物
という区分で、コストの意識付け、価値の意識付けをして、価格に反映させましょう、ということを言っている
価格設定、価格交渉を多くしていて、慣れてくるとある種当たり前のことであったりするのだけど、慣れないうちはこういう書籍に出会うと、目からうろこ、という感じになったりすると思う
特に、別の業界では当たり前だけど、自分の業界では当たり前ではない、というような値付けの慣習というのがあったりもするだろう
スペックが変われば価格が変わる、なんてのは、PCのBTOなんかでは当たり前すぎるくらいに当たり前であるが、機械部品メーカーでは当たり前でなかったりするのだろうか
卸では、数量がまとまった方が安くなる、というのはおそらく常識であるのだろうけれど、業界によってはバラ売りもセット売りも個当たり単価は同じであるような世界もある
特急料金請求は運送業では一般的であるけれど、ITベンダーは短納期だろうとデスマーチが走るだけで、価格同じだったりするだろうか
倉庫に物を置くと倉庫代を取られるけれど、下請け業者に外注して作らせたものをしばらく保管させるのは、無料でやらせたりするんだろうか
そういったことを考えさせられる
載っているのは大まかな事例で、基本的に、その値段をお客さんに飲んでもらうための交渉の話、というようなものはありません
全くないわけではないのですが、大義名分を持てばお客様に通用します、というくらいで、その大義名分が、上記の「裏の売価の6条件」と著者が呼んでいるものになっています
書いてあることは、意識付けの話
どこに意識して値段をつけるか
そういったことがひたすら書かれています
具体的な事柄が多数出てくるので、その発想はなかったわ、というものも中にはあるでしょう
分野が違う事柄であっても、それは自分のフィールドにも当てはまる、というものもあるでしょう
非常に読みやすい本です
製造でも営業でも事業部門長でも中小企業経営者でも、新商品開発者でも、商売に関わる人なら読んでみるとよいと思います
著者のフィールドなんでしょうが、特に製造業に向いた内容です