チャレンジャーシリーズ18 女子シングル

さて、前回まで日本人11選手のチャレンジャーシリーズでの結果を振り返りました。

次は、全体の結果です。

ここまで7大会ありましたが、200点を超えた結果をまず並べてみたいと思います

 

 

Alina Zagitova 238.43(79.93(43.53+36.40) 158.50(83.54+74.96) 優勝 ネーベルホルン杯

紀平梨花 218.16(70.79(40.67+31.12) 147.37(81.05+66.32) 優勝 オンドレイネペラ杯

三原舞依 209.22(70.94(39.06+31.88) 138.28(72.92+65.36) 2位 ネーベルホルン杯

Bradie Tennell 206.41(69.26(37.38+31.88) 137.15(68.51+68.64) 優勝 オータムクラシック

Elizaveta Tuktamysheva 206.07(65.69(35.57+31.12) 140.38(72.30+68.08) 優勝 ロンバルディア

Evgenia Medvedeva 204.89(70.98(36.78+34.20) 133.91(65.63+69.26)  2位 オータムクラシック

Loena Hendrickx 204.16(71.50(39.94+31.56) 132.66(69.26+64.40) 3位 ネーベルホルン杯

Elizaveta Tuktamysheva 202.85(73.83(42.03+31.80) 129.02(67.69+62.33) 優勝 フィンランディア杯

宮原知子 201.13(67.53(32.53+35.00) 133.70(66.54+68.16) 優勝 USインターナショナル

Elizabet Tursynbaeva 200.74(70.95(38.65+32.30) 129.79(66.25+63.54) 2位 フィンランディア杯

 

9選手が10回、200点超えを記録しています。

例年試合数の多いトゥクタミシェワ選手が、今シーズンも二試合出て二勝しています。

 

国籍別で見るとロシア3人日本3人に、アメリカ、ベルギー、カザフスタンが1人づつ

初の200点超えは紀平選手に、ベルギーのヘンドリックスとカザフスタンのトゥルシンバエワの3人

紀平選手は昨年の全日本で200点を超えてますが、ISU公認の試合では初めてです

 

新勢力、という感じがあるのはやはり初めて200点を超えた三人ですかね

昨シーズン、ヨーロッパ選手権でロシア×3+コストナーに次ぐ5位に入ったヘンドリックスと、カナダのブライアンオーサーコーチの下で長く学び、今シーズンからロシアのエテリコーチのところ移籍という、メドベージェワの逆を行ったトゥルシンバエワの二人がここにきて本格化してきた感じでしょうか

 

ヨーロッパ選手権はしばらくロシア一強、というかロシア三強で表彰台、最近はコストナーが復帰して四人で表彰台争いで後はおまけ、みたいな状態でした。

ヘンドリックス選手の204点というスコアは、優勝争いにはちょっと辛いけど、ロシアの3番手となら十分に戦えるスコアなので、ようやく少し表彰台争いが面白くなりそうです

 

一方の四大陸選手権側も今シーズンは、カナダのオズモンドが休み、アメリカもワグナー、長洲未来とベテラン勢が休み、ということで、日本3人vsテネル、みたいな構造になりそうでしたけど、そこにトゥルシンバエワが割って入ってくれれば面白くなります

 

今シーズン稼働予定の有力選手、200点経験者でチャレンジャーシリーズに出てこなかったのは、ロシアのソツコワとラジオノワ、イタリアのコストナーくらいでしょうか。

アメリカのカレンチェンもいなかったかな

 

 

200点以上で9人並べましたが、当然その中でも上の方下の方あります

ザキトワ選手の238.43は突出していました。

合計点はもちろん、ショートもフリーも全選手の中で最高得点。

ショートの技術点、演技構成点、フリーの技術点、演技構成点と区分けしていってもどれも最高得点です

2番目の紀平選手との点差は20点以上ある

ちょっと、これと他の選手がどう戦っていいのか、というのは何とも考えにくい

 

ただ、紀平選手だけは戦いようがあるんだな、というのが見えるスコアでもありました

技術点の差はショートで2.86 フリーで2.19

これはノーミスなら問題なく上に行ける、という点差です

ショートフリーでトリプルアクセルが3本ある紀平選手は、技術点はノーミス比較ならザキトワ選手の上にはっきりと行ける

演技構成点はグランプリシリーズではまだ厳しいでしょうが、しっかり結果を積み重ねていけば世界選手権の時期には、並ぶまでいかずとも1点2点程度の差にまでは持っていけるだろうと予想できます

そうすれば、ノーミスのザキトワが相手でも勝てるかもしれない、とう計算ができます

 

その計算ができるのは紀平選手しかいない

メドベージェワは実績からすればザキトワと近い戦いができるはずなのですが、今シーズンは何か違うものを見ているような気がしてしまいます

もしかしたら、彼女にとって今シーズンが最後のチャンスになる可能性もあるのが怖いのですが、ブライアンオーサーコーチはすぐに結果を出すというより継続してみて長く結果を出せるようにする、というタイプに感じるので、今シーズンの世界選手権で240出して優勝、というような構図はなんとなくイメージしづらいなあ、と感じています

ザキトワ-メドベージェワ-紀平梨花、フリー最終三人で240点決着、なんていう絵柄を見てみたい気もするのですけどね

 

ロシア勢は誰が代表3人になってくるのでしょう。チャレンジャーシリーズを見る限りだと、トゥクタミシェワ選手がだいぶ復調してきているのかな、という印象です。

ロンバルディアではフリーで、フィンランディアではショートで、それぞれ完ぺきではないですがトリプルアクセルを着氷しています

ロシアの有力選手の中では最年長の21歳

浮き沈みありながらここまで何とか続いているのはレオノワ以来でしょうか

彼女より年下のリプニツカヤが先に辞め、ポゴリラヤは結婚し、世界ジュニアレベルでは活躍していたサハノビッチやフェデチキナは伸びてこず、同期のソトニコワは全然試合に出てこない

どうもオリンピックに縁のない選手になってしまっていますし、世界選手権は優勝経験があるものの、実は出場したのも二回だけと、あまり大舞台に出ていくこともできていない

そんな人生ですけど、今年はチャンスが巡ってきているように感じるので、今シーズン、さいたまの世界選手権までたどり着いてほしいような気がします

グランプリシリーズは2戦目のスケートカナダと、4戦目には来日して日本人上位3人と対戦です。ラジオノワと一緒に来日なので、明子の部屋で二人で語ってほしいです

 

 

アメリカはブレイディテネルが頭一つ抜け出た感じでしょうか

二シーズン前の世界ジュニアでは、まだ全然、という感じだったのが、昨年のスケートアメリカで坂本花織選手と同時ブレイクして三位表彰台。以降、全米選手権で勝ち、オリンピック、世界選手権もそれなりの結果を出してきて、今シーズンも206点スタート

すでに20歳なので、そんなに若くもないんですよね

アメリカは17歳18歳くらいから伸びてくる選手が結構いるので、ジュニア時代がいまいちでも、その先どうなるかわからない

ロシアとのカラーの違いが面白い

テネルのグランプリシリーズは当然初戦のスケートアメリカと、もう一戦は最終六戦目のフランスです。スケートアメリカは昨年と同じように宮原知子、坂本花織との対戦で、チャレンジャーシリーズ時点でのスコアは上にいますので、グランプリ初優勝のチャンスでもあります。

 

 

メドベージェワが優勝した年の世界ジュニアで、え? カザフスタン? という選手が目を引く演技をして4位に入りました。トゥルシンバエワでした

その後シニアに上がってからも着実に力をつけてきました

17年世界選手権では9位に入って、カザフスタンにオリンピック出場枠2つを持って帰る、という大貢献をしています。

ただ、すごく目立つ、という結果はこれまでないです。世界選手権最高位は9位。オリンピックでは12位。四大陸選手権も8位が最高。グランプリシリーズも5位が最高で表彰台に乗っていません。

一昔前のグルジアゲデバニシビリさんのような位置づけの選手にも見えていました。

そんな彼女がここにきて200点突破。チャレンジャーシリーズではもう一試合、オンドレイネペラ杯にも出ていましたが、こちらでも192点と悪くないスコアでした

良かったのはどちらもショートで、オンドレイネペラ杯では69.99とわずか70点乗らなかったのが、フィンランディア杯では70.95とついに70点台に乗りました

ただ、フリーがどちらも今一つという印象です。オンドレイネペラ杯では回転不足が三つついての122.31 フィンランディアでも回転不足二つに着氷のミスなども加わって129.79にとどまっています。

フリーの130点台がまだありません

3回転-3回転のコンビネーションジャンプがサルコウ-トーループになってしまうのが一つの弱点になってしまっています。この組み合わせなので、フリーで2回飛ぶジャンプがサルコウトーループになるんですよね。そうなると基礎点が低めに出る。そして、その成功率も決して高くない。

ここが改善されるとフリーで130点台後半が見えてきてトータル210点近いところまで伸びるのですけれど。そのあたりはこれからも一歩一歩進んでいくんでしょうか

 

彼女と、デニス・テンさんを中心とした2022年のアルマトイオリンピック、というのが開催されるのを願っていました。開催地投票では4票差で北京に敗北。そして、つい先ごろ、デニス・テンさんは亡くなりました

悲しみに包まれているカザフスタンフィギュアスケート界に、明るい光を差し込ませてくれたらと思います

 

グランプリシリーズは2戦目のスケートカナダと5戦目のロシアにエントリーです

2戦ともにぶつかる樋口選手あたりの上に出られると、初の表彰台というのが見えてきます

 

 

今シーズンは休養を取った有力選手も多く、ますます10代色、日露色が強い女子シングルとなっていますが、それ以外の様々な国、様々な世代の選手もそれぞれに力を発揮したいい演技を見られるシーズンになってほしいな、と願います。