グランプリシリーズ19 女子シングル エントリー

フィギュアスケートのシーズンは7月はじまりの6月エンドで1年、ということになっていて、6月はまだ18-19シーズンの枠組みではあるのですが、来シーズン19-20シーズンのグランプリシリーズのエントリーが発表されました

 

まずは女子シングルについて全6試合のエントリーを、昨シーズンというか今シーズンというか、18-19シーズンのベストスコアを併記しつつ眺めてみようと思います。ベストスコアは、ISU公認のものとは限らず、以前に記した、ユニバーシアードや2月3月の一部のB級大会の得点も含むものとして記します。国内大会は国を問わず含めません。

 

Skate America    
Elizaveta TUKTAMYSHEVA (RUS) 234.43
Bradie TENNELL (USA) 225.64
Elizabet TURSYNBAEVA (KAZ) 224.76
坂本花織 (JPN) 223.65
Anna SHCHERBAKOVA (RUS) 219.94
Stanislava KONSTANTINOVA (RUS) 205.91
Eunsoo LIM (KOR) 205.57
山下真瑚 (JPN) 203.06
樋口新葉 (JPN) 186.24
Veronik MALLET (CAN) 170.68
Karen CHEN (USA) 52.93
TBD (USA) 0

 

初戦はラスベガス開催のスケートアメリカ

初戦から、昨シーズンのベストスコア200点越えが8人並ぶというハイレベルな試合です。

昨シーズンはグランプリファイナル4位の坂本選手も、ベストスコアでは4番手と、表彰台に乗るにも苦労するというレベルです

坂本選手とブレイディテネル選手は三年連続の出場。この二人にとっては、二年前のスケートアメリカが、ジュニア上がり即平昌オリンピックへとつながるきっかけとなった大会でした。今年はどうでしょう

 

エテリ三人衆の一人シェルバコワがさっそくシニアデビューです。いきなりトゥルシンバエワ選手との四回転共演なるでしょうか?

 

アメリカの地元枠があと一つ誰か入ります。ワグナー選手も長洲未来選手も引退するとは言っていませんが、今シーズンもグランプリシリーズへのエントリーなし。ポリーナエドモンズ選手とかどうしてるんだろう。

 

カレンチェン選手のベストスコアが52.93とあるのは、ショートだけ出てフリーで棄権した試合が昨年あり、国際大会はその1試合しか出場していないためそうなっています

 

 

Skate Canada Int.    
紀平梨花 (JPN) 233.12
Bradie TENNELL (USA) 225.64
Evgenia MEDVEDEVA (RUS) 223.80
Alexandra TRUSOVA (RUS) 222.89
三原舞依 (JPN) 220.68
Serafima SAKHANOVICH (RUS) 202.62
Yelim KIM (KOR) 196.34
Gabrielle DALEMAN (CAN) 192.67
Young YOU (KOR) 183.98
Alexia PAGANINI (SUI) 182.50
Aurora COTOP (CAN) 162.56
TBD (CAN) 0

 

2戦目スケートカナダでは、シニアデビューのトゥルソワ選手が、いきなり紀平梨花選手と激突します。昨シーズンのベストスコアは222.89でエントリー選手中4番手扱いのトゥルソワ選手ですが、ジュニアカテゴリーのスコアであり、コレオシークエンス一つ分要素が少ないことを考えると、実質的にはテネル選手の上くらいのスコアはあります。そこに、シニアに上がってプレゼンテーションスコアが上がってくると、どこまでトータルスコアは伸びてくるでしょうか

 

日本からは紀平選手のほかに三原選手もエントリーの二人体制です。日本選手は17枠すべて埋めると思っていたので、海外試合で二人しかエントリーがない試合が出る、というのは意外でした。全体のレベルが上がっていますね

 

 

Internationaux de France    
Alina ZAGITOVA (RUS) 238.43
坂本花織 (JPN) 223.65
Alena KOSTORNAIA (RUS) 217.98
Mariah BELL (USA) 208.07
Loena HENDRICKX (BEL) 204.16
Ting CUI (USA) 199.79
白岩優奈 (JPN) 191.46
樋口新葉 (JPN) 186.24
Laurine LECAVELIER (FRA) 180.05
Maria SOTSKOVA (RUS) 179.72
Mae Berenice MEITE (FRA) 179.56
TBD (FRA) 0.00

 

3戦目はグルノーブル開催のフランス杯。ここでザギトワ選手が登場です。

エテリ三人衆からここではコストルナヤ選手がデビューです。エテリ組のジュニア上がり三人は、まるでシード選手かのように、きれいに直接対決なく、六試合にばらけています。エテリ先生は六試合フル出場・・・、お疲れ様です。

 

メンバーを見る限りでは、坂本選手はこの試合では確実に二位以内には入って、一試合目に悪くても表彰台に乗っている、くらいにはしておかないとファイナル進出はなさそうです。

比較的この試合は昨シーズンの実績は落ちる選手が多めです

 

日本からは白岩選手と樋口選手がエントリー。昨シーズンの成績はいま一つだった二人ですが、なんとかグランプリ2枠は確保しています。

 

ロシアからソツコワ選手がエントリー。昨シーズンかなり悪かったので、今シーズンは無しかな、と思っていましたが、何とか1枠は残してもらえたようです。17-18シーズンがよかったこともあり、世界ランキングが上位で残っていたので、1枠は何とか残った、という構図なようです

 

 

Cup of China    
Elizaveta TUKTAMYSHEVA (RUS) 234.43
Elizabet TURSYNBAEVA (KAZ) 224.76
三原舞依 (JPN) 220.68
Anna SHCHERBAKOVA (RUS) 219.94
宮原知子 (JPN) 219.71
Sofia SAMODUROVA (RUS) 213.84
Viveca LINDFORS (FIN) 194.40
Gabrielle DALEMAN (CAN) 192.67
本田真凛 (JPN) 188.61
Hongyi CHEN (CHN) 165.55
Yi ZHU (CHN) 0.00
TBD (CHN) 0.00

 

4試合目は中国杯。今年はちゃんとやるかな中国杯

昨シーズンの自己ベストが6番目の選手でも213.84でそれがヨーロッパ選手権優勝スコアというハイレベルな試合です

 

トゥクタミシェワ選手は昨シーズンよかったのですが今シーズンはどうなるでしょう? あまり二シーズン続けてよい、ということがない選手なイメージです。

トゥルシンバエワ選手は世界選手権で2位表彰台でしたが、実はグランプリシリーズの表彰台はありません。どう転んでも世界選手権の代表にはなれる、という存在なので、シーズン前半にピークを持ってくる必要性は何もないですので、今シーズンもどうかな

そうなってくると、シーズン前半から勝負するしかない立場で、かつ、実力もあるという三原選手に初優勝のチャンスもある、という試合なのかもしれません。

 

宮原選手はここがグランプリ初戦。現役女子最多の4年連続ファイナル出場中という安定感が今シーズンも発揮できるんでしょうか。

日本からはもう一人本田真凛選手もエントリー。何とか今シーズンも一枠は確保して残りました。エントリー選手中昨シーズンのベストは9番目、というのが現在の立ち位置。ルール改正前の自己ベストのスコアまで出してきても、まだ上位6選手とは差がある、という状況の中、どこまで上げていけるでしょう

 

地元中国からは国際試合経験のない選手もエントリー。李子君選手の引退後、次の選手がなかなか伸びてきてくれない中国。北京オリンピックを控えているのですが、次世代の選手は表れてくれるでしょうか

 

Rostelecom Cup    
Evgenia MEDVEDEVA (RUS) 223.80
Alexandra TRUSOVA (RUS) 222.89
宮原知子 (JPN) 219.71
Mariah BELL (USA) 208.07
Stanislava KONSTANTINOVA (RUS) 205.91
Loena HENDRICKX (BEL) 204.16
白岩優奈 (JPN) 191.46
横井ゆは菜 (JPN) 184.09
Alexia PAGANINI (SUI) 182.50
Laurine LECAVELIER (FRA) 180.05
Ekaterina RYABOVA (AZE) 179.88
Hongyi CHEN (CHN) 165.55

 

5戦目はモスクワ開催のロステレコム杯

メドベージェワ選手は2戦続けてトゥルソワ選手と同じ試合、という形です。やりづらいだろうなあ・・・。

宮原選手は二週連続のエントリー。中国⇒ロシアという移動での連戦。なかなかきつそうですが、メンバー的には普通にやれば表彰台には、という感じはあります。中国でしっかり勝ってロシアに乗り込んでくる展開なら、3位表彰台でファイナル決定ですが、2位あるいは3位でここに来る展開だと、トゥルソワかメドベージェワに勝っていかないと厳しい、という状況が待っています。

 

日本からは他に白岩選手と横井選手がエントリー。横井選手はグランプリシリーズデビュー戦です。世界ジュニアは表彰台のチャンスがある状況だったのですが、点を伸ばせず、シーズンベストスコアもあまり伸びず、な結果として、グランプリシリーズは1枠だけになっています。白岩選手と二人、早く200点台に乗りたいところ

 

 

NHK Trophy    
Alina ZAGITOVA (RUS) 238.43
紀平梨花 (JPN) 233.12
Alena KOSTORNAIA (RUS) 217.98
Sofia SAMODUROVA (RUS) 213.84
Eunsoo LIM (KOR) 205.57
山下真瑚 (JPN) 203.06
Ting CUI (USA) 199.79
Viveca LINDFORS (FIN) 194.40
Starr ANDREWS (USA) 187.69
Mae Berenice MEITE (FRA) 179.56
Karen CHEN (USA) 52.93
TBD (JPN) 0.00

 

6戦目、最終戦は札幌開催のNHK杯です

ここで紀平選手とザギトワ選手の直接対決。もしかしたらコストルナヤ選手が割って入れるかもしれない力はありますが、昨シーズンの実績からすると、やはりまだ二人が抜けているという形です。

ザギトワ選手、昨シーズンは非常に不安定なところをシーズン中盤は見せていましたけど、今シーズンはどうなんでしょうかね

 

日本からはもう一人山下選手がエントリー。宇野選手が抜けた山田-樋口チームのエース格になりました。よき手本がいなくなってしまったのか、先生たちに見てもらう時間が増えたのか、どちらに振れるのかわかりませんが、全日本で3強+1に絡んでいくためには、この試合で表彰台に乗っていくくらいの力が必要そうに見えます。

 

日本はこの試合にもう一人分開催国枠を持っています。

開催国枠に入る可能性があるのは、グランプリエントリーが1試合以下の選手になります。

今シーズン1試合エントリーは本田真凛選手と横井ゆは菜選手。NHK杯の開催国枠は、開催国枠選考会というのがあるはずなのですが、現在アメリカ在住の本田真凛選手は受けに来ますかねえ。来ないとなると横井選手が有力になるわけですが、エントリー0の選手にも有力な選手がいます。

国際経験はほぼゼロですが、昨シーズンの全日本選手権で8位に入った細田采花選手が今シーズンは強化A選手に指定されました。例年ですと強化A選手は少なくともチャレンジャーシリーズには派遣されますので、シーズン初戦はチャレンジャーシリーズになるかと思われます。その上で、国際大会2戦目として、NHK杯の地元枠を取れるかどうか。紀平梨花選手とのトリプルアクセルの競演をNHK杯で見てみたい気もします。

 

 

全六試合で延べ72枠あるのですが、その国別の枠数は、地元枠のエントリー者未定まで含めて以下のようになっています

ロシア18 日本17 米国10 カナダ5 フランス5 韓国4 中国4 カザフスタン2 スイス2 ベルギー2 フィンランド2 アゼルバイジャン1

日露でほぼ半分の35を占め、そこに米国の10まで足すと6割を超えます。他は、カナダフランス中国は自国開催で3枠ある上でこの数なので、存在感という点で見ると日米露からかなり離されています。カザフスタン以下は人数で見ると1人だけのエントリーです

 

上位があまりにもいくつかの国で寡占状態になっているのがよいことかどうか。フィギュアスケートは冬季五輪の華とされていますが、最近は、北米での人気も陰っていますし、ヨーロッパ地域でも観客席には空席が目立つように見えます。もう少し国際色豊かにしていく方策が、今後長く、フィギュアスケートが競技として繁栄していくためには必要なのかもしれません。

 

今年のグランプリシリーズは10月18日スタートです。