スケート連盟の屋台骨は別に背負わない

スポーツ紙(芸能誌?)の記事にいちいち反応しても仕方ないのだろうとも思うのですが、最近ここで書いた話と一部かぶりつつ、見解が全然違うものが出てきたので、少しコメントします

 

日刊ゲンダイの記事にこんなものがありました

逆転Vの紀平梨花 ポスト真央が背負うスケート連盟の屋台骨

ヤフーニュースの方へのリンクも貼っておきます。こちらは10日もすれば消えるんでしょうけれど

 

ポスト真央、の方に食いつきたい方もいるかと思いますが、それはここでは横に置いておきます。ここで食いついたのは、スケート連盟の屋台骨、の方です

文中、次の記載があります。

以下引用

 

 浅田真央が14―15年に休養、そして、17年に引退して以降、日本の女子フィギュアは地盤沈下日本スケート連盟の収益も直撃した。浅田が絶頂期だった13年度の決算で47億円超あった事業収益はどんどん減り、17年度(7月1日から18年6月30日まで)は五輪イヤーにもかかわらず27億7975万円にとどまった。

 

引用ここまで

 

13年度の事業収益と比べて17年度の事業収益が激減していて、その理由は浅田真央の存在の有無である、ということを言いたいようです。

 

これ、数字の部分に間違いはありません。「13年度の決算で47億円超あった事業収益」との記載がありますが、実際の数値は4,720,616,063円。すなわち47.21億円で、47億円超というのに合致します。17年が27億7975万円というのは、実際の数値が2,779,756,899円ですので、普通こういう時切り捨てじゃなくて四捨五入じゃない?というところ以外は、まあ27億7976万円という数値でほぼ合います。

 

数字はあってますので、次はこれが「スケート連盟の収益も直撃した」という話と合うかどうか、なのですが、そこが全然合ってません。

 

13年度と17年度で事業収益に大きな差があるのはどこか? というのを探してみます。

13-14 ソチシーズン、何があったでしょうか?

さいたまスーパーアリーナで世界選手権がありました。

17-18 平昌シーズン、日本で世界選手権を開いたでしょうか?

そのシーズンの世界選手権はミラノで行われました

 

ソチシーズンの世界選手権の収益は試合とエキシビジョン合わせて1,876,746,065円、すなわち18.77億円でした。13年度と17年度の事業収益の差はほとんどこれで説明が付きます。

さらに言えば、13-14シーズンは、スピードスケートでも世界スプリントや、世界選手権のアジア予選などを開催して、その分の収益が66,536,766円ありました。

この辺の、17-18シーズンになくて、13-14シーズンにあった大会の収益を13-14シーズンの事業収益から引くと、

4,720,616,063 - 1,876,746,065 - 66,536,766 = 2,777,333,232円

となります。

これは、17-18シーズンの事業収益、2,779,756,899円とほとんど一緒です。

 

というわけで、13-14シーズンと17-18シーズンの事業収益の差は、浅田真央さんの存在の違い、ではなく、主催した大会の違い、とくに世界フィギュアの有り無しの違いでした、ということになります。

 

なお、17-18シーズンは、毎年あるわけではないグランプリファイナルを日本でやったよね? という指摘もあるかもしれませんが、13-14シーズンもグランプリファイナルを日本でやってますので、そこは同条件です。

 

 

というわけで、紀平梨花選手は、別にスケート連盟の屋台骨なんて背負いませんよ、というお話でした