サビカの夢、北京へ クラウドファンディング

スケート後進国インドネシアフィギュアスケート少女、サビカ

彼女が、北京オリンピックを目指したい、とクラウドファンディングを行っています

スケートにお金がかかるのは万国共通なようで、活動費が足りない、と言います。

来シーズンの活動費として、以下のように見積もっていました

 

海外合宿 32,000ドル

コーチ費 20,000ドル

国内レッスン

 ローカルコーチ4,800ドル

 ゲストコーチ14,800ドル

 個人レッスン1,000ドル

 バレーレッスン250ドル

 振付500ドル

 マッサージ  1時間5ドル (何時間分かは不明)

設備

 ブーツ&ブレード 年間2,800ドル

 研磨 120ドル(1回10ドル)

 衣装400ドル

 プライベートアイス3,000ドル

 

金額が大きいのは海外でのトレーニング費用です

海外というのはアメリカを想定しているようです。フジテレビの企画で安藤美姫さんにレッスンを受けていましたので、その縁で日本でのレッスンを望んでもよさそうですが、安藤美姫さんとのやり取りも英語で行われていたように見えましたし、言葉の通じる国でレッスンを受けた方が効率的、というのはあるでしょうか

日本人選手が海外でのトレーニングを望む、というのとはわけが違います。日本はそれなりのスケート先進国ですが、インドネシアでは国内で受けられるトレーニングの水準が、日本やアメリカと段違いであるのは想像に難くありません。

 

国内での通常のレッスンはとてつもない金額、というほどではないですが、ゲストコーチはやはりだいぶかかります。

マッサージというのが年間何回という想定なのかが見積れませんが、それを除いて国内レッスン枠で21,350ドル、設備費用で6,320ドルかかる想定です。合わせると27,670ドルで、日本円にしてほぼ300万円になります。ゲストコーチとプライベートアイスを除くと9,870ドルとなり、日本円にして100万円ちょっとにまでなんとかなってきます。

それでも、インドネシアの平均年収11,400ドルから考えると、かなりの金額です

 

そういった負担を強いられながら競技を続けていても、サビカはまだ三回転のジャンプを飛べない。そういった厳しい現実があります。

インドネシアではフィギュアスケート自体の知名度がありません。そして、彼女に実績はまだなにもありません。その二つが合わさると、こういった支援を受けようとしても支援が集まらない。そういう現実があります。

彼女は日本のテレビに出演しました。クラウドファンディングのページにはその映像も貼られています。そして、フィギュア先進国でのテレビ出演というのが、彼女が支援を受けるための一縷の望みになっているのでしょう。サイトには日本語でサビカの状況がつづられています。

 

現実的には、サビカが北京オリンピックに出場できる可能性は極めて低い、と言わざるを得ません。北京オリンピックに出るためには、2021年春の世界選手権でインドネシアが枠をとるか、2021年秋口にある最終予選、おそらくネーベルホルン杯で上位に入り出場枠をとることが必要です。残された時間は二年余り。いまだ3回転のジャンプの飛べない彼女がそこまでたどり着くのは容易ではありません。

ただ、世界選手権に出場する可能性はそれなりにあるのではないか、とも思えます。その可能性は、日本で同じようにクラウドファンディングを行っている白岩優奈選手や岩野桃亜選手と比べて、むしろ高いかもしれません。今の日本で、坂本紀平宮原三選手を打ち破って代表になるのはとてつもなく難しいことです。一方、インドネシアでは、ミニマムスコアさえ超えれば基本的に代表になれます。そこまでならたどり着ける可能性がそれなりにある。スピンで点がある程度稼げるので、3回転が3種類入ればショートもフリーもミニマムスコアくらいまでたどり着ける見込みがあります。

オリンピックは、現実的には北京のさらに先、2026年のものを目指す形になるでしょう。2026年2月でもまだ21歳。年齢的に十分です。その出場権がかかる時期まであと6年。3回転5種類をそろえれば世界選手権でフリー進出、あるいはネーベルホルン杯で最後の出場枠を得る、というところまでたどり着く可能性は十分あります

 

サビカはインドネシアフィギュアスケートの歴史そのものです。インドネシアという国は、まだ、冬季オリンピックに選手を派遣したことがありません。彼女がその第一号になる可能性は十分にあります。そのための一つの糧として、クラウドファンディングがあります。

 

サビカへの支援はまだそれほど集まっていません。

実績を考えると仕方ない部分はあるでしょう。

もう少し実績を出して、世界ジュニアくらいまでたどり着いてからこういう募集をかければよかったのかもしれません

 

英語のサイトで名前や住所を入れていくことへの抵抗感はあるかもしれません。謝礼も、バナータオルがもらえるというようなことはないですし、現実問題として試合を見に行くようなこともなかなかできないでしょうから、そういった人へ金銭的支援をする、というのは気が進みにくい部分はあるでしょう。

それでも、彼女を支援する、ということはインドネシアの新しい歴史を支えるということでもあります

 

サビカの夢 オリンピック

北京、ではなくてその次じゃないかとは思いますが、そこにたどり着くまで、見ていけたらいいと思います

 

https://destination-forward.com/campaigns/help-indonesian-junior-skater-continue-training/