サビカの今シーズン予定とリズキーのクラウドファンディング

インドネシアのスケート少女サビカ

彼女が今シーズン前半の試合日程を公開しました。

2004年4月4日生まれ、15歳になった彼女は、レギュレーション上シニアに上がることもできますが、やはりジュニアに今シーズンも残るようです

スケジュールは昨年同様、まず、8月5日から開幕するアジアンオープンフィギュアのジュニアカテゴリーにエントリーします

続いて、ジュニアグランプリシリーズは8/29からのアメリカ、レークプラシッドの試合に派遣されます。

前半戦はこの二試合です。この試合のうち、ジュニアグランプリの方が重要な大会で、ここで高い点を出すことが、世界ジュニアへの道へとつながります。来シーズンの世界ジュニアの出場に必要なミニマムスコアはまだ明らかになっていませんが、昨シーズン並みだとすると、それぞれ技術点で、ショートプログラム23.0 フリー38.0が必要です。

これまでの実績ではまだ届いていないのですが、3回転ジャンプが一種類でいいから入って、ダブルアクセルをしっかり飛べるようになれば、十分に届くくらいの位置にいます。

このオフシーズンにトリプルサルコウが飛べるようになっていれば、世界ジュニアへの道が見えてきます。

 

一方、同じクラブでインドネシアジュニア男子のチャンピオン、リズキーは、サビカと同じようにクラウドファンディングを始めました

リズキーのページも日本語での紹介があります。2013年5月生まれの彼は16歳になりました。インドネシアのジュニア選手権を三連覇中、と言っています。ジュニアに上がったシーズンから全勝、という意味になりますね。

彼は9歳の時、父親の仕事でアラスカに行っていたそうで、それがスケートを始めたきっかけでした。ただ、アラスカにいたのは短期間で、すぐにインドネシアに帰国したようです。

リズキーは現在病気を抱えているようで、脊柱側弯症と診断されたそうです。ようは、背骨が曲がってしまっている、というもの。フィギュアスケートの選手としては、ちょっとこれはつらいかもしれないですね

 

そんなこんなもあり、遠征に練習に、やはりお金がかかります、というのがクラウドファンディングの趣旨です。

 

リズキーは、具体的な今後の目標も記載しています

ジュニアグランプリのインドネシアの枠を増やしたい

東南アジア競技会5位以内

冬季アジア競技大会5位以内

世界ジュニア2020出場

四大陸選手権出場

 

これは、サビカのクラウドファンディングにはなかったものです

 

ジュニアグランプリシリーズの枠を増やす、という方法は唯一にして単純で、世界ジュニアに出て好成績を上げることです。インドネシアの場合、世界ジュニアへの出場選手がいないため枠が7試合で2つですが、世界ジュニアに出場する選手が出れば、どんな成績であっても枠は3つ以上になります。すなわち、ジュニアグランプリの枠を増やしたい、という目標は、世界ジュニアに出たい、そして好成績を上げたい、というのと同じ意味です

 

世界ジュニアの出場、よりさらに高い目標として四大陸選手権出場が入っています。

世界ジュニアも四大陸選手権も、出場するためにはショートプログラム、フリー、それぞれで技術点がミニマムスコアを超える実績をISU公認大会で上げる必要があります。昨シーズンの場合は、ショートプログラムで世界ジュニアなら23.00 四大陸は28.00 フリーは世界ジュニアで42.00 四大陸は46.00

彼の実績は、昨シーズンはショート14.99 フリー24.98。インドネシア選手権でもショート18.51 フリー20.24ですので、まだまだ遠い、と言わざるを得ません。

ただ、昨シーズンの段階で、三回転のサルコウとループはプログラムに入り始めました。なので、ショートプログラムはジャンプ3本しっかり決めて、スピンでしくじらなければ世界ジュニア程度まではすぐ届きます。フリーはできればトーループも3回転を飛べるようになると、3回転5本とダブルアクセルで、2回転の単独ジャンプをなくせるので、技術点42.00は届かないこともないくらいのスコアになります。リズキーの場合サビカと違って、スピンがひどいのが泣き所なのですが、その分ジャンプで何とか補ってくれればチャンスはある

 

ここで、世界選手権、というのが目標に入っていないのが、逆に、現実を見ていて、クラウドファンディングだから口だけででかいこと言っておこうではなく、本当に目標としていることを書こうとした意思の表れに見えます。世界選手権は昨シーズンのミニマムスコアはショート34.00 フリー64.00  はるかかなたの数字です

 

冬季アジア競技大会という文字が見えます。次回は2021年予定。来シーズンでまだ先です。ただ、トップ5というのは極めて高い目標で、これは、ちょっと大きなこと言ってみました感を感じます。前回の2017年は札幌で行われましたが、ミーシャジー選手が6位の233.93でした。それより上にでて5位のブレンダンケリー選手237.37に匹敵するスコアを出す必要があるわけです。4位なんて無良選手でしたし。二シーズン後ということで、ちょっと大きなこと言ってみました感満載です

 

面白いところでは、東南アジア競技会、という文言が入っています。東南アジアという地域は、世界の中で見るとスポーツのレベルは割と低い、と言わざるを得ません。そのため、世界レベルではなかなか自国の選手が活躍する、ということがありませんし、アジアレベルでも日中韓が強すぎてなかなか歯が立たない。そんな中で、比較的国力や競技レベルの近い東南アジアだけの競技会、SEA Gameともいわれますが、たいてい何かの競技で自国の選手が活躍できるので、大変盛り上がる、と聞きます。前回は2017年、マレーシアのクアラルンプールで行われました。

 

東南アジア競技会 SEA Gameに夏の部冬の部の区分けはありません。また、大会ごとに行われる競技も変わります。2年に一度行われるこのSEA Gameは、前回2017年が29回目だったのですが、フィギュアスケートは初めて開催されました。

男子の優勝は、マレーシアのジュリアン・ジー・ジェー・イー選手。205.43とただ一人200点を超えるスコアで圧勝でした。おそらく、この選手がいて、金メダルが一つ確実に取れる、ということが、マレーシア開催のこの大会で初めてフィギュアスケートが実施された理由かと思われます。出場したのは9選手で、5位にはインドネシアの選手が119.60のスコアで入っています。

第30回のSEAGameは2019年11月30日からマニラでの開催です。今回はあるのかないのか、よくわからずにいたのですが、これを目標にする、とリズキーが言っているからには行われるようですね。フィリピンにも、平昌オリンピックに出場したマイケル・クリスチャン・マルティネス選手がいました。その後大会に出ている形跡が確認できないのでどうしているのかわからないのですが、彼が出場すれば、フィリピンとして金ではないまでもメダルは一つ取れそうですので、フィギュアスケートを開催するインセンティブはありそうです

 

東南アジアで5位、というのも、今のリズキーにとってはやや高めの目標ですが、3回転3種類までそろえば十分手が届きます。

SEA Gameは東南アジアでは大変盛り上がる大会だとされているので、ここで活躍できると、国内での知名度もいくらかは上げることができます。ただ、やはり、日本と同じで、入賞くらいだと扱いは小さく、メダルは欲しいんですけどね

前回大会のインドネシアのメダル数は金38 銀63 銅90 なので、フィギュアスケートというマイナー競技で入賞程度だと、あまり目立てません。

前回3位のスコアは145.52  ジュニアン・ジー・ジェー・イー選手や、マイケル・クリスチャン・マルティネス選手の二人はちょっと実力的に遠すぎますが、それ以外の選手は大した選手はいませんので、3位くらいまで行ってくれたらと思います。

 

SEA Gameの代表枠はおそらく2のはずです。リズキーはインドネシア選手権でジュニアの部優勝。シニアの部の出場者がいませんので、代表には確実になっています。

きわどそうなのがサビカ。ジュニアで2位ですが、シニアの部の出場者が一人いました。シニアの優勝スコアよりサビカの得点の方が上なのですが、代表に選んでもらえたかどうか。

 

リズキーの今シーズン前半の予定はここでは公表されてませんが、基本的にはサビカと同じで、8月頭のアジアンオープンフィギュアに出て、そののち、ジュニアグランプリシリーズの割り当てられた大会に出る、という流れになると思われます。それら序盤の調整を経て、11月30日開幕のSEA Gameに向かう。できれば、ジュニアグランプリで高得点を出して、世界ジュニアのミニマムスコア、あわよくば四大陸のミニマムスコアを狙う、ということになります

 

 

二人の今後の活躍に期待します