今回は、卓球の世界ランキングの決め方のお話をします。今回の対象は2019年のランキングシステムです。割と毎年変わってしまうので、今回の話は昨シーズン以前にはそのまま適用できませんし、また、来シーズンもいくらか変わってしまうことが予想されます
ここではシングルスのランキングについて記します。シングルスであれば男子も女子も変わらず同じ仕組みです
- ランキングポイントはイベントカテゴリー毎に決まります
- ランキングポイントは、次の例外を除いて12カ月有効です
- 世界選手権、世界ジュニア選手権、ワールドツアーグランドファイナル、ワールドカップ、大陸選手権、大陸カップで得たランキングポイントは、次の同じタイプの大会まで有効です
- 世界ランキングの決定に使われるポイントは、得られたポイントの大きい方から8試合分までとなります
- シングルスの大陸選手権、チーム大陸選手権、大陸カップは、これらの中で最大1つのみをランキングポイントとして使うことができます。
- マルチスポーツイベントは最大1つのみカウントされます
- T2ダイヤモンドイベントに出場した選手は、ランキングポイントにカウントする8つの試合をすでに保持していても、それ以外のボーナスポイントとしてT2ダイヤモンドの試合のポイントを得ることができます。
シングルスの大会での結果のみではなくチーム戦でのシングルス戦の結果についても、シングルスの世界ランキングポイントにカウントすることができます。そのルールを以下に記します。
- オリンピックのチーム戦でのシングルスのポイントはシングルスランキングに反映します。
- 大陸チーム選手権の試合は、個人戦の大陸選手権とは分けられ、最大で8勝までカウントできます。
- 大陸チーム選手権の予選での勝利も、②の最大8勝分の中に含まれます。
- 大陸ゲームのチーム戦や個人戦のポイントも、シングルスランキングのポイントにカウントされます。
おおざっぱにまとめてしまうと、基本的にはランキングは直近1年の間の試合の結果で決まるけれど、世界選手権とか特別な大き目な大会は1年単位ではなく、大会単位でポイントが更新され、それも含めて全体でよい方から8試合分のポイントの合計でランキングが決まります、ただしT2ダイヤモンドという選抜された人だけが出られる試合はボーナスポイントとして8試合の外数として上積みできます、ということです。
というわけで、各大会でどんな成績を得ると何ポイント取れるのか? というのが重要になってくるわけですが、その辺もざっと記します
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オリンピック |
世界選手権 |
ワールドカップ |
優勝 |
3000 |
3000 |
2550 |
準優勝 |
2250 |
2250 |
1915 |
3位 |
1950 |
|
1660 |
4位 |
1800 |
|
1530 |
ベスト4 |
|
1950 |
|
ベスト8 |
1500 |
1500 |
1275 |
ベスト16 |
1200 |
1200 |
1020 |
17-20位 |
|
|
765 |
ベスト32 |
900 |
900 |
|
ベスト64 |
600 |
600 |
|
ベスト128 |
450 |
450 |
|
予選負け |
300 |
300 |
|
グループ2 |
|
225 |
|
グループ3 |
|
150 |
|
グループ4 |
|
75 |
|
グループ5 |
|
30 |
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チーム戦の1勝 |
250 |
|
250 |
オリンピックと世界選手権が基本的に同じポイント、というのはフィギュアスケートあたりと同じ考え方です。
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世界選手権 団体戦 |
チャンピオンシップディビジョン |
250 |
チャンピオンシップディビジョン順位決定戦 |
180 |
2ndディビジョン |
100 |
2ndディビジョン順位決定戦 |
72 |
3rdディビジョン |
50 |
3rdディビジョン順位決定戦 |
36 |
世界選手権の団体戦は各個人の1勝毎にポイントが得られます。日本が出るようなチャンピオンシップディビジョンは、基本的に勝てば250ポイントが得られます。順位決定戦というのは、決勝トーナメントに進めなかったチームで行われるものです。団体戦はグループステージが国として5試合あり、その後決勝トーナメントにつながります。全勝で決勝まで勝ち続けると、チームとして8勝出来ます。なので、個人も1人1試合で決勝まですべて勝てば8勝で2,000ポイント得られる、という計算です
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ツアーファイナル |
ツアープラチナ |
ワールドツアー |
優勝 |
2550 |
2250 |
1800 |
準優勝 |
2040 |
1800 |
1440 |
ベスト4 |
1660 |
1465 |
1170 |
ベスト8 |
1275 |
1125 |
900 |
ベスト16 |
1020 |
900 |
720 |
ベスト32 |
|
675 |
540 |
予選決勝負け |
|
450 |
360 |
予選ベスト64 |
|
340 |
270 |
予選ベスト128 |
|
225 |
180 |
予選ベスト256 |
|
170 |
135 |
予選ベスト512以下 |
|
115 |
90 |
ワールドツアーは、通常のものとプラチナグレードの二つに分けられ、年間の最後にツアーファイナルがあります。ツアーファイナルは世界選手権よりポイントは少ないですが、ワールドカップ並みのポイントはあります。出場は16人
プラチナと通常のワールドツアーでは、勝ち上がり1つ分程度のポイント差がつきます。
2019年はワールドツアーが6試合、プラチナも6試合開催されます。
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大陸選手権 |
大陸大会 |
マルチスポーツゲーム |
優勝 |
1800 |
1050 |
600 |
準優勝 |
1350 |
790 |
450 |
3位 |
1170 |
685 |
390 |
4位 |
1080 |
630 |
360 |
5位 |
900 |
525 |
300 |
6位 |
855 |
500 |
285 |
7位 |
810 |
475 |
270 |
8位 |
765 |
445 |
255 |
ベスト16 |
720 |
420 |
240 |
ベスト32 |
540 |
315 |
180 |
ベスト64 |
360 |
210 |
120 |
ベスト128 |
270 |
160 |
90 |
予選ベスト32 |
270 |
160 |
90 |
予選ベスト64 |
180 |
105 |
60 |
予選ベスト128 |
135 |
80 |
45 |
予選ベスト256 |
90 |
55 |
30 |
グループリーグ勝利 |
25 |
18 |
10 |
参加 |
12 |
9 |
5 |
大陸選手権というのは、卓球だけの大会のアジア選手権など各大陸の選手権、大陸大会というのはアジア大会などの総合競技会を指します。マルチスポーツゲームはユニバーシアードや東南アジア大会のような大陸大会以外の総合競技会です。大陸選手権はワールドツアー並みのポイントを得られますが、大陸大会のポイントはそれと比べるとかなり低めです。
2018年のアジア大会に、卓球は日本の上位選手は全然出てこなかった、というのはこのあたりの理由によります。
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チャレンジ+ |
チャレンジ |
T2ダイヤモンド |
優勝 |
1100 |
850 |
1000 |
準優勝 |
880 |
680 |
800 |
3位 |
|
|
700 |
4位 |
|
|
600 |
ベスト4 |
715 |
555 |
|
ベスト8 |
550 |
425 |
500 |
ベスト16 |
440 |
340 |
400 |
ベスト32 |
330 |
255 |
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ベスト64 |
220 |
170 |
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ツアーの下のグレードでチャレンジシリーズがあります。チャレンジプラスは6試合、チャレンジシリーズは9試合予定されています。
T2ダイヤモンドは、ツアー上位15名と開催国枠1の16人で行われる大会で、3大会あります。優勝から初戦敗退までのポイント差が他の試合と比べて小さくなっていて、参加するだけでボーナスポイントが得やすい、という仕組みになっているようです。
その他も細かく設定はありますが、主なものは以上です。
卓球の世界ランキングは、日本では東京オリンピックの代表を決めるために使用されます。男女それぞれ、2020年1月のランキングの上位2人は、シングルスの代表になります。
また、ワールドツアーなどの出場権は世界ランキングで決まります。世界ランキングの上位からシードが付き、上位から本線の出場権を得ていき、本線の出場権が埋まってしまうと、ランキング下位の選手は予選から、ということになります。
世界ランキングで組み合わせが決まってきますので、ランキングは極めて重要です。世界ランキングは飾りに近い競技と、世界ランキングが選手の人生の最重要事項に近い競技とそれぞれありますが、卓球は、世界ランキングが重要な側、特に、オリンピックの選考をこれで決めるという日本人選手にとっては大変重要になっている競技になります。