佐藤駿 19-20

2004年2月6日生まれ

ジュニア3シーズン目

 

所属:埼玉栄高校

スポンサー関連:

シーズン獲得賞金:$10,000

世界ランキング:54位

シーズンランキング:20位

シーズンベストスコア 255.11 (14位) JGP Final

ショートプログラムシーズンベスト 82.68 全日本選手権

 国際大会のベストは82.18 Bavarian Open

フリーシーズンベスト 177.86 JGP Final

ショートプログラム楽曲: ロシュフォールの恋人たちより

フリープログラム楽曲: Romeo and Juliet

スピンレベル4率 31/60=51.7%(国際試合17/30=56.7%)

ステップレベル4率 0/20=0.00%(国際試合0/10=0.00%)

スピンオールレベル4 0/10 (国際試合0/5)

スピンステップオールレベル4 0/10(国際試合0/5)

ジャンプ回転不足率  4/100=4.00%(国際試合2/50=4.00%)

ジャンプ回転不足なし試合 6/10(国際試合3/5)

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/10

 

 ●佐藤駿選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
DL 関東サマートロフィー 2 222.10 72.49 38.58 33.91 149.61 83.93 66.68
JGP JGP LakePlacid 1 217.12 79.19 44.03 35.16 137.93 68.91 70.02
JGP JGP Croatia 3 219.69 78.41 42.19 36.22 141.28 70.78 70.50
RT 東日本選手権 3 194.65 77.37 41.72 35.65 117.28 57.18 62.10
NJ 全日本ジュニア 2 213.20 74.19 40.44 33.75 139.01 73.41 65.60
JGPF JGP Final 1 255.11 77.25 41.32 35.93 177.86 98.22 79.64
NC 全日本選手権 5 246.50 82.68 47.62 35.06 163.82 91.10 73.72
IH 全国高等学校総合体育大会 1 222.01 75.72 40.72 35.00 146.29 79.13 68.16
IC Bavarian Open 1 242.31 82.18 44.23 37.95 160.13 83.43 76.70
WJ World Junior 6 221.62 79.30 42.64 36.66 142.32 72.18 71.14

佐藤駿選手はジュニア三シーズン目。ただ、実は、ジュニアグランプリシリーズへの参戦は今シーズンが初めてです。国際大会として、昨シーズンにチャレンジカップへ出場してはいましたが、ISU公認スコアは持っていません。ランキングポイントもゼロです。

 

初戦は国内調整試合。フリーで四回転サルコウを投入したものの転倒。四回転トーループは2本決めて、トータル222.10 このスコアでジュニアで2位というのは驚きですが、買ったのは鍵山優真選手でした。

そしていよいよ、ジュニアグランプリデビュー。レークプラシッドではショートノーミスで首位に立つとフリーは転倒一つを含め、ジャンプで四つのGOEマイナスがありましたが、基本構成の高さもあり逃げ切り。217.12でデビュー戦初優勝を果たします。

2戦目のクロアチアはシリーズでも屈指のレベルの高いメンバーが集まりました。ショートは全要素プラス評価の78.41でも4位。フリーも四回転二本含め転倒無しで踏みとどまったにもかかわらず4位でトータル219.69は初戦よりスコアを伸ばしたにもかからず3位。6位までが210点を超えるというレベルの高い試合で表彰台に踏みとどまって、ジュニアグランプリファイナルの切符を掴みました。

 

ここでいったん国内へ戻ります。東日本選手権は四回転二本転倒などと大崩れ。194.65とシーズンワーストでまさかの3位に沈みます。

全日本ジュニアは鍵山選手との一騎打ちの様相ですが、直前に3位に敗れている佐藤駿選手にとってはそう簡単にはいかない試合でもある。というなかで、ショートはコンビネーションでミスも出て3位スタート。フリーは最終滑走で出てきて、176.82を出せば逆転可能、という条件。冒頭、四回転ルッツを投入。これが決まれば一気に流れが来る可能性もあったのですが、ダウングレードの転倒。その後は四回転のトーループを2本着氷させるなど立て直すものの、トータル213.20 タイトル奪取ならず2位となりました。

 

ここで再び国際試合。ジュニアグランプリファイナル。ショートは混戦でした。特にミスのない演技で77.25を出しましたが3位。首位とは5.20ポイント差、逆に6位とも6.06ポイント差。四回転一本分の成否でひっくり返る差に上も下もいます。5番滑走で出てきたフリー。冒頭の四回転ルッツをGOE+2.667をもらう完璧な形で決めると、勢いに乗り、そのあとの四回転トーループ2本も決めます。その後もノーミスで最後まで滑り切り177.86というジュニアのレコードスコアを出してトータル255.11もジュニア新記録。ジュニアグランプリファイナルのタイトルを獲得しました。

 

凱旋試合は全日本。シニアカテゴリーなのでショートから四回転が使えます。最初のジャンプにトリプルアクセル。2つ目に3Lz-3Tを選んだので、四回転はなしかと思ったら、まさかの1.1倍に四回転トーループを投入。これを決めて見せての82.68は3位スタートとなりました。フリーは宇野選手羽生選手を後ろに残しての最終グループ4番滑走。表彰台に乗るのは鍵山選手か佐藤選手か、というところで、冒頭四回転ルッツ。回転は足りていたものの転倒。以降は全要素プラス評価の演技で163.82 残念ながら届かずの5位となりました。

 

年が明けて、国内でインターハイをこなします。これは圧勝。そして、初のシニアカテゴリーの国際大会としてハバリアンオープンへ出場。ショートは全日本と同じ1.1倍四回転トーループ構成で82.18を出すと、フリーは冒頭のルッツは3回転の回転不足、という形になって決まりませんでしたが、160.13 それぞれシニアとして十分なスコアを出して優勝します。

 

そして勝負の世界ジュニア。ショートはスピンでミスが出るものの79.30はジュニアカテゴリーでのパーソナルベストを出して5位に付けます。首位とは6.52ポイント差。ジュニアグランプリファイナルを再現できれば十分逆転できる範疇。

ところがこのフリーが、ルッツは2回転になり不発。四回転トーループも転倒があり、142.32にとどまり、最終順位は6位に終わりました。

 

 ●佐藤駿選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
DL 関東サマートロフィー 2 222.10 122.51 100.59 96.66 20.57 5.28
JGP JGP LakePlacid 1 217.12 112.94 105.18 84.62 20.35 7.97
JGP JGP Croatia 3 219.69 112.97 106.72 85.56 20.39 7.02
RT 東日本選手権 3 194.65 98.90 97.75 71.80 21.12 5.98
NJ 全日本ジュニア 2 213.20 113.85 99.35 88.49 19.38 5.98
JGPF JGP Final 1 255.11 139.54 115.57 111.10 22.20 6.24
NC 全日本選手権 5 246.50 138.72 108.78 106.26 20.94 11.52
IH 全国高等学校総合体育大会 1 222.01 119.85 103.16 93.17 20.53 6.15
IC Bavarian Open 1 242.31 127.66 114.65 96.01 20.85 10.80
WJ World Junior 6 221.62 114.82 107.80 87.15 21.39 6.28

要素別はどの試合でもTESの方がPCSよりも高くなります。PCSは基本的に国内の試合の方が低いという構図ですが、一番いいのはジュニアグランプリファイナルで115.57にまで達しました。5項目平均7.5で112.5なので、7点台後半までは出ています。

 

ジャンプのスコアがやはり高く、100点を超えたのは二試合。ジュニアグランプリファイナルの111.10が最高です。このスコアは今シーズン全体で3位。上にいるのは、ネイサンチェン、羽生結弦、この二選手のみです。

スピンは20点台が多く、一番良くて22.20でした。ジュニアでも24点台を出す選手は何人もいますしトップは27点台ですから、あまり得意とは言えません。

ステップはシニアカテゴリーの試合で10点に乗せたくらい。ジュニアの試合では7.98というのが一試合ありますが、国内では5点台もありました。これは完全に苦手要素と言えそうです。

 

 ●佐藤駿選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
関東サマートロフィー 2 54.55 61.67 62.22 50.47 40.00 47.44
JGP LakePlacid 1 53.28 60.11 50.24 49.79 52.70 50.22
JGP Croatia 3 53.94 58.03 55.44 49.91 47.82 51.16
東日本選手権 3 47.56 53.69 46.70 52.19 41.95 45.72
全日本ジュニア 2 52.29 60.91 53.51 46.76 42.12 46.69
JGP Final 1 62.97 64.25 75.23 55.57 44.66 56.52
全日本選手権 5 60.77 67.51 62.89 51.63 50.57 52.41
全国高等学校総合体育大会 1 54.53 60.64 59.87 50.35 43.63 49.00
Bavarian Open 1 59.71 63.14 58.57 51.35 47.17 55.97
World Junior 6 54.43 58.20 57.10 53.04 44.85 51.81

 

トータルスコアでは全日本とジュニアグランプリファイナルで偏差値60台に乗せました。

一方、悪い時はそれほど伸びず、東日本選手権では平均割れの47.56 出来不出来のばらつきがあります。

ジャンプは基礎点から高めで、シニアカテゴリーの全日本では67.51と60台後半まで持ってきました。ジュニアカテゴリーでも60台に乗せているのですが、世界ジュニアで58.20と低めの偏差値になりました。

ジャンプのGOEはジュニアグランプリファイナルで驚異の75.23 これがタイトル奪取につながった要因です。それ以外の試合では60に乗せたのが国内の2試合で後は50台以下です。四回転ルッツを入れて成功したのがJGPファイナルだけで、それ以外の試合ではそのルッツで大きなGOEマイナスを背負うので、結果的にジャンプのGOEはそれほど高いものにはなっていなかったりするようです。

スピンの偏差値は50前後。これはいいとして、ステップ系要素は40台の偏差値が並びます。明確に苦手要素であることがあぶりだされています。

PCSは50前後でした。

 

ジャンプで点を取り、ジャンプが決まれば強い、という選手です。

 

佐藤駿スケート偏差値

レーダーチャートはわかりやすく右に凸。

悪い時は左や下も凹むので、悪くても悪いなりに右に凸になります

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
全日本選手権 1 3A   8.00   2.06 10.06 2.333
全日本選手権 2 3Lz+3T   10.10   0.25 10.35 0.556
全日本選手権 3 CCSp3   2.80   0.04 2.84 0.000
全日本選手権 4 FSSp3   2.60   0.45 3.05 1.444
全日本選手権 5 4T   10.45 X 2.71 13.16 2.556
全日本選手権 6 StSq3   3.30   0.61 3.91 1.556
全日本選手権 7 CCoSp4   3.50   0.75 4.25 1.889
全日本選手権   TES   40.75   6.87 47.62  

ショートプログラムの基礎点最高は、シニアカテゴリーの試合の全日本選手権でした。

シニアのもう一試合、ハバリアンオープンでは39.90でした。

四回転一本でそれを1.1倍のところに入れるという割と珍しい構成です。スピンのレベル3二つをレベル4に出来れば基礎点は0.8上がりますし、ステップをレベル4 に出来れば0.6基礎点が上がりますが、実はそれが結構難しかったりするのでしょう。

スピンステップのレベルを上げるよりも四回転二種類目をショートから入れてくる方が早いかもしれません。

 

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
全日本選手権 1 4Lz   11.50   -5.75 5.75 -4.444
全日本選手権 2 4T+2T   10.80   2.04 12.84 2.000
全日本選手権 3 4T   9.50   1.90 11.40 1.889
全日本選手権 4 FCCoSp4   3.50   0.15 3.65 0.556
全日本選手権 5 3A+3T   12.20   2.06 14.26 2.333
全日本選手権 6 FSSp4   3.00   0.64 3.64 2.000
全日本選手権 7 3A   8.80 X 1.71 10.51 2.000
全日本選手権 8 3F+1Eu+3S   11.11 X 0.45 11.56 0.778
全日本選手権 9 StSq3   3.30   0.38 3.68 1.111
全日本選手権 10 3Lo   5.39 X 0.98 6.37 1.889
全日本選手権 11 ChSq1   3.00   0.93 3.93 1.556
全日本選手権 12 CCoSp3   3.00   0.51 3.51 1.444
全日本選手権   TES   85.10   6.00 91.10  

フリー最高の基礎点も全日本選手権で85.10でした。これは極めて高い基礎点で、全体の6位相当になります。今シーズンで見ると宇野昌磨選手のベスト基礎点より上で日本人選手2位相当です。ジュニアカテゴリーですがジュニアグランプリファイナルで基礎点81.40というのもありました、コレオの3.0分を考慮すると、ほぼ全日本並みで、内容もスピンステップのレベルの違いのみの差でした。

四回転二種類三本構成。二本飛ぶジャンプは四回転トーループトリプルアクセル。3回転のあまりジャンプ無し。持っているカードで一番点が出るように組んだ、という構成です。後はコンビネーションを1.1倍に持ってくるといったようなことをする以外にこれより基礎点は上がっていきません。

三種類目の四回転が入ると、おそらく3Loが消えて、一番基礎点が低いのが単独トリプルアクセル、というようなことになる超高難度構成になっていきます。基礎点90点が見えてくる。四回転サルコウ、というカードが入ってくればそれができるわけですが、そんな構成をジュニアウランプリシリーズデビュー、というシーズンにもう組めているのは驚異的です。

 

●平均GOE+2.500以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
World Junior SP 1 3A   8.00   3.09 11.09 3.667
JGP Final FS 3 4T   9.50   3.26 12.76 3.556
JGP LakePlacid SP 1 3A   8.00   2.51 10.51 3.111
JGP Final FS 7 3A   8.80 x 2.40 11.20 3.000
全日本ジュニア SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
JGP Final SP 5 3Lo   5.39 x 1.40 6.79 2.889
JGP Final FS 10 3Lo   5.39 x 1.47 6.86 2.889
JGP LakePlacid SP 2 3Lz+3T   10.10   1.69 11.79 2.778
JGP Croatia SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 2.778
JGP Final FS 11 CCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.778
World Junior SP 5 3Lo   5.39 x 1.40 6.79 2.778
Bavarian Open SP 1 3A   8.00   2.24 10.24 2.714
JGP Final FS 1 4Lz   11.50   2.96 14.46 2.667
Bavarian Open FS 3 4T   9.50   2.66 12.16 2.571
JGP LakePlacid SP 5 3Lo   5.39 x 1.26 6.65 2.556
全日本選手権 SP 5 4T   10.45 X 2.71 13.16 2.556

ここから先は、国際大会と全日本ジュニア及び全日本選手権からのみ拾っていきます。

評価の高い要素はジャンプです。単独ジャンプが目立ちます。特にトリプルアクセル。ショート冒頭のトリプルアクセルは大きな加点を得ることが多いようです。

+2.5以上の評価を受けたのはジャンプ以外ではスピンが一つだけ。ジャンプに振り切った得点構成になるゆえんです。ただ、ここまでジャンプに偏るなら、もう少しコンビネーションジャンプも入ってきてよいような気もします。

 

●フリー冒頭のルッツ

 

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Final FS 1 4Lz   11.50   2.96 14.46 2.667
Bavarian Open FS 1 3Lz!< 4.72   -2.36 2.36 -4.714
World Junior FS 1 2Lz! ! 2.10   -0.18 1.92 -1.111
全日本ジュニア FS 1 4Lz<< <<  5.90   -2.95 2.95 -4.857
全日本選手権 FS 1 4Lz   11.50   -5.75 5.75 -4.444

今シーズン、全日本ジュニアから四回転ルッツを試合に投入。成功したのはJGPファイナル一回のみです。回転が足りたのも全日本選手権と含めて二回だけ。

まだまだ確率的には高くないジャンプなようです。

 

●四回転サルコウ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP LakePlacid FS 1 4S   9.70   -2.91 6.79 -3.000

四回転サルコウはシーズン序盤に試みていました。ジュニアグランプリでは着氷したもののGOEは大きくマイナスでした。このほかにサマートロフィーと東日本選手権でも飛びましたがどちらも転倒に終わっています。今シーズンの成功はありませんでした。

 

●四回転トーループ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP LakePlacid FS 2 4T+3T   13.70   -2.71 10.99 -2.889
JGP LakePlacid FS 3 4T   9.50   2.04 11.54 2.111
JGP Croatia FS 1 4T   9.50   -2.99 6.51 -3.111
JGP Croatia FS 2 4T+2T   10.80   -1.09 9.71 -1.111
JGP Final FS 2 4T+3T   13.70   1.76 15.46 1.889
JGP Final FS 3 4T   9.50   3.26 12.76 3.556
Bavarian Open SP 5 4T   10.45 x -0.38 10.07 -0.286
Bavarian Open FS 2 4T+3T   13.70   2.28 15.98 2.429
Bavarian Open FS 3 4T   9.50   2.66 12.16 2.571
World Junior FS 2 4T+2T   10.80   -0.95 9.85 -0.889
World Junior FS 3 4T   9.50   -4.75 4.75 -5.000
全日本ジュニア FS 2 4T+2T   10.80   0.19 10.99 0.286
全日本ジュニア FS 3 4T   9.50   -0.57 8.93 -0.571
全日本選手権 SP 5 4T   10.45 X 2.71 13.16 2.556
全日本選手権 FS 2 4T+2T   10.80   2.04 12.84 2.000
全日本選手権 FS 3 4T   9.50   1.90 11.40 1.889

四回転トーループはフリーで2回入れる要素です。シニアカテゴリーの試合ではショートプログラムでも入れていました。

上記試合で16回飛んで転倒が1回、それ以外のGOEマイナスが6回。9/16は成功ジャンプでした。GOEマイナスを失敗に数えていますが、軽いマイナスが多く、それくらいだと四回転を飛んだ分のおつりはちゃんと来ます。なので、いまいちだったとは言えますが失敗とまでは言えないのかもしれません。また、これだけの回数飛んで回転不足がありません。これが素晴らしいことで、基礎点が満額入るとGOEが多少マイナスでも3回転と比べておつりがきます。佐藤駿選手にとっての四回転トーループは、もう完全にものにしていて、得点を計算できるジャンプと言えるだろうと思います。それだけに、世界ジュニアの転倒は残念でした。

 

トリプルアクセル

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP LakePlacid SP 1 3A   8.00   2.51 10.51 3.111
JGP LakePlacid FS 5 3A+2T   9.30   1.83 11.13 2.333
JGP LakePlacid FS 7 3A   8.80 x -2.51 6.29 -3.111
JGP Croatia SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 2.778
JGP Croatia FS 3 3A   8.00   1.37 9.37 1.667
JGP Croatia FS 5 3A+3T   12.20   1.49 13.69 1.889
JGP Final SP 1 3A   8.00   1.71 9.71 2.111
JGP Final FS 5 3A+2T   9.30   1.26 10.56 1.667
JGP Final FS 7 3A   8.80 x 2.40 11.20 3.000
Bavarian Open SP 1 3A   8.00   2.24 10.24 2.714
Bavarian Open FS 5 3A+2T   9.30   -0.16 9.14 -0.143
Bavarian Open FS 7 3A   8.80 x 0.00 8.80 -0.143
World Junior SP 1 3A   8.00   3.09 11.09 3.667
World Junior FS 5 3A+3T   12.20   0.80 13.00 0.889
World Junior FS 7 3A   8.80 x 1.83 10.63 2.333
全日本ジュニア SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
全日本ジュニア FS 5 3A   8.00   -2.08 5.92 -2.714
全日本ジュニア FS 7 3A+3T   13.42 X 1.28 14.70 1.714
全日本選手権 SP 1 3A   8.00   2.06 10.06 2.333
全日本選手権 FS 5 3A+3T   12.20   2.06 14.26 2.333
全日本選手権 FS 7 3A   8.80 X 1.71 10.51 2.000

トリプルアクセルはショートフリーで合計3回飛ぶジャンプです。上記7試合で21回飛んでGOEマイナスが4回。 17/21は成功ジャンプです。

シーズン通じてトリプルアクセルは回転不足も転倒もありませんでした。

トリプルアクセルとコンビネーション分まで含めて、一試合でいい時は35点くらい入ります。トータルスコアの15%以上を稼ぐ得点源となっています。

 

●3連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Croatia FS 8 3Lo+1Eu<<+2S <<  6.82 x -1.47 5.35 -2.889
JGP Final FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 x 0.83 11.94 1.444
Bavarian Open FS 10 3Lo+1Eu+3S   10.67 x 0.49 11.16 1.000
World Junior FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 x 1.06 12.17 2.000
全日本ジュニア FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 X 0.85 11.96 1.571
全日本選手権 FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 X 0.45 11.56 0.778

3連続ジャンプはループから、あるいはフリップからの3つ目サルコウです。6試合で5回は成功ジャンプ。JGPレークプラシッドでは3連続自体が入りませんでしたので、成功率は5/7でしょうか。

シーズン中盤以降はしっかり決まっていて、これも基本的には稼げるジャンプです。

 

また、驚くべきは、ジャンプの回転不足率がシーズン通じて4.00%しかなかったこと。国内の二試合で4回転ルッツの回転不足。国際大会では3連続の真ん中のオイラーと、おそらく四回転にしたかったフリー冒頭のルッツが3回転からのダウングレード扱いになったもの、この4回だけです。

4回のうち3回は最難関ジャンプ4回転ルッツがらみ。ジャンプの申し子と呼べるレベルかと思われます。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP LakePlacid SP 6 StSq3   3.30   0.71 4.01 2.111
JGP LakePlacid FS 9 StSq3   3.30   0.66 3.96 1.889
JGP Croatia SP 6 StSq3   3.30   0.71 4.01 2.111
JGP Croatia FS 9 StSq2   2.60   0.41 3.01 1.556
JGP Final SP 6 StSq2   2.60   0.48 3.08 1.889
JGP Final FS 9 StSq2   2.60   0.56 3.16 2.222
Bavarian Open SP 6 StSq3   3.30   0.59 3.89 1.857
Bavarian Open FS 9 StSq2   2.60   0.31 2.91 1.286
Bavarian Open FS 11 ChSq1   3.00   1.00 4.00 2.000
World Junior SP 6 StSq2   2.60   0.63 3.23 2.444
World Junior FS 9 StSq2   2.60   0.45 3.05 1.667
全日本ジュニア SP 6 StSq2   2.60   0.42 3.02 1.571
全日本ジュニア FS 9 StSq2   2.60   0.36 2.96 1.429
全日本選手権 SP 6 StSq3   3.30   0.61 3.91 1.556
全日本選手権 FS 9 StSq3   3.30   0.38 3.68 1.111
全日本選手権 FS 11 ChSq1   3.00   0.93 3.93 1.556

ジャンプと対照的に、ステップは極めて弱い要素です。レベル4実績なし。レベル3よりもレベル2が多いくらいで、JGPファイナルも世界ジュニアも全日本ジュニアもショートフリーレベル2でした。GOEは+2を超えることもありますが基本は+1台。ここまでステップ系要素が弱いと、トップ選手とのステップの点差を埋めるために四回転が一本多くないといけない、というくらいになってきます。周りのジュニアよりは実際に四回転が一本多かったりしますが、シニアに混ざると四回転3本までは入れてくる選手が多いですので、ちょっと苦しくなってきます。それでも、ステップのレベルが上がる前に、四回転サルコウを装備して、四回転四本、ショートフリーで六本構成を完成させてくるかもしれませんけれど・・。

 

スピンのレベル4率も50%台で、やはりあまり伸びていません。ステップほど極端に悪いわけではないですが、得意要素とは言えません。

 

 

今シーズン、ジュニアグランプリ初出場からファイナル制覇まで駆け抜けた佐藤駿選手。四回転3本、トリプルアクセル2本含め、すべてプラス評価のジュニアグランプリファイナルフリーは圧巻の演技でした。

鍵山選手とのライバル関係がよく話題になりますが、今シーズン、実は1勝5敗です。勝った一勝がジュニアグランプリファイナル。他は、小さな大会、サマートロフィーや東日本選手権に始まり、全日本ジュニア、全日本に世界ジュニアと鍵山選手の方が上でした。それでも、ビッグタイトルを取ったのは佐藤駿選手であり、鍵山選手は残念ながらジュニアのタイトルはISU外のユースオリンピックのみでシニアに上がることになります。

鍵山選手に一勝しかできなかったのにジュニアのタイトルを獲った、というのはスコアの安定感はないけど一発当てると大きく伸びる、という今の佐藤選手の姿によります。ジャンプが全部決まればジュニアではだれも届かない点が出る。

ただ、安定感がないので、ジュニアカテゴリーのベストスコアが255.11なのに対して、セカンドベストが国内戦入れれても222.10となり、30点以上離れます。

 

来シーズンはどうやらシニアに上がるようです。高校二年生で世界選手権に出ることができれば誰以来でしょう? 宇野選手で高校三年生、羽生選手も高校三年生、高橋大輔選手も高校三年生が初出場でした。もしかすると本田武史さんにまでさかのぼるでしょうか。

その、高校二年生での世界選手権出場、という枠も、来シーズン、鍵山選手と争うことになります。

北京オリンピックは高校3年生で迎えます。その次でも大学4年生。なんならそのもう2回先の2034年でも30歳。十分あり得る年齢です。そのころまで、鍵山選手とのライバル関係は続いているでしょうか?