紀平梨花 19-20

2002年7月21日生まれ

シニア2シーズン目

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所属:関西大学KFSC  N高等学校

スポンサー関連:レッドブル Avex コーセー 他

CM:東進ハイスクール

シーズン獲得賞金:$53,000

世界ランキング:1位

シーズンランキング:2位

シーズンベストスコア 232.34(4位) 四大陸選手権

ショートプログラムシーズンベスト 81.35 スケートアメリカ

フリーシーズンベスト 156.38 チャレンジカップ

ショートプログラム楽曲:Breakfast in Baghdad

フリープログラム楽曲:International Angel of Peace

スピンレベル4率 42/45=93.3%

ステップレベル4率 13/15=86.7%

スピンオールレベル4 4/7

スピンステップオールレベル4 3/7

ジャンプ回転不足率  6/77=7.79%

ジャンプ回転不足なし試合 3/7

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 3/7

 

 ●紀平梨花選手の19-20シーズン大会結果

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
CS Autumn Classic 1 224.16 78.18 44.54 33.64 145.98 77.02 68.96
Others Japan Open 3 144.76       144.76 77.33 67.43
GP Skate Canada 2 230.33 81.35 45.96 35.39 148.98 77.50 71.48
GP NHK Trophy 2 231.84 79.89 44.44 35.45 151.95 79.43 72.52
GPF Grand Prix Final 4 216.47 70.71 37.29 34.42 145.76 77.90 68.86
NC 全日本選手権 1 229.20 73.98 39.35 34.63 155.22 81.62 73.60
4CC Four Continents 1 232.34 81.18 46.16 35.02 151.16 80.34 70.82
IC Challenge Cup 1 230.65 74.27 41.47 33.80 156.38 85.10 71.28

紀平選手は今シーズンは国際大会6試合と全日本選手権ジャパンオープンへ出場しました。チャレンジャーシリーズで肩慣らしの後グランプリシリーズ2戦。エテリ組には勝てませんでしたが230点台を2戦続けて安定感を見せファイナルへ進出。ファイナルはショートから点を伸ばせず、フリーで4回転サルコウ投入も届かず4位。連覇は果たせませんでした。

一方、全日本選手権は二位に二十点以上の差をつけて圧勝。初タイトルを手にしています。

また、ロシア以外チャンピンを決める、という装いの四大陸選手権はしっかり連覇を果たしました。

世界選手権へのつなぎというような形で入れていたチャレンジカップはショートが伸びませんでしたがフリーはシーズンベストを出して当然のように優勝。四回転無しでも150点台後半まで出してきたことで、ショートの80点台と合わせると四回転無しの240点が見えてきたのですが、世界選手権は延期。シーズンを終えました。

 ●紀平梨花選手の点の取り方

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
CS Autumn Classic 1 224.16 121.56 102.60 82.44 23.87 15.25
Others Japan Open 3 144.76 77.33 67.43 55.99 11.78 9.56
GP Skate Canada 2 230.33 123.46 106.87 83.50 24.42 15.54
GP NHK Trophy 2 231.84 123.87 107.97 84.74 24.89 14.24
GPF Grand Prix Final 4 216.47 115.19 103.28 76.21 24.06 14.92
NC 全日本選手権 1 229.20 120.97 108.23 82.15 24.17 14.65
4CC Four Continents 1 232.34 126.50 105.84 86.69 24.46 15.35
IC Challenge Cup 1 230.65 126.57 105.08 87.75 23.84 14.98


PCSはショートフリー合わせると120点満点になりますが、100点台半ばを出しています。国内大会の全日本が一番高く、また、国内で開催されたNHK杯が次に高い、ということで、地元で点が出やすい傾向にあるようなないような今シーズンは7試合中4試合で230点台を出すという安定感を見せました。ただ、結果的に一番大きな試合となったグランプリファイナルでジャンプが決まらず210点台に留まり表彰台に乗れず。グランプリファイナルはPCSも伸びませんでしたね。ただ、シーズンベストの232.34でもファイナルの表彰台ラインに届いていないのもまた事実です。

スピンはグランプリシリーズ以上の大会では24点台になっています。トップ層では26点台、さらには27点台出してくる選手がいますので、実はここでもちょっと差がついています。

ステップは15点前後。ステップ系要素は日本人選手が強く、紀平選手の一番高いスケートカナダの15.54でも、日本人選手中3番目なのですが、全選手の中でも4番目で、この部分ではロシアエテリ組の上に行っています。

 

 ●紀平梨花選手のスケート偏差値

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
CS Autumn Classic 1 67.96 66.71 68.91 61.30 69.01 65.36
GP Skate Canada 2 69.63 66.74 70.70 63.13 70.32 68.17
GP NHK Trophy 2 70.04 66.07 74.50 64.68 64.44 68.89
GPF Grand Prix Final 4 65.87 70.30 49.21 61.93 67.51 65.81
NC 全日本選手権 1 69.33 65.92 70.32 62.30 66.29 69.06
4CC Four Continents 1 70.18 66.56 76.75 63.26 69.46 67.49
IC Challenge Cup 1 69.72 70.28 69.53 61.20 67.78 66.99

各要素の偏差値はこんな形で、トータルスコアは偏差値70に届きます。

偏差値50を下回るのはファイナルのジャンプGOE ファイナルは四回転を組み込んで基礎点高い構成でしたが、転倒などでGOEが伸びないとやはりトップとは戦えない形になります。

スピンの偏差値は60台前半で、紀平選手の中では少し落ちる要素になっています。

ステップはNHK杯全日本選手権という国内の試合で伸びていませんが、これはレベル4が取れなかったことが効いています。全日本は紀平選手に限りませんが、レベル判定が厳しかった印象がありました

 

紀平梨花選手のスケート偏差値

レーダーチャートで表すとこんな形に

ジャンプのGOEがやはり大きく動くのが見て取れます。偏差値50割れから70台後半までありうるわけで、ジャンプの出来というものの得点への影響力の高さがよくわかります。

 

紀平梨花選手のシーズン最高の基礎点構成 ショートプログラム

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Challenge Cup 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
Challenge Cup 2 3Lz   5.90   0.00 5.90 0.143
Challenge Cup 3 FCSp4   3.20   0.70 3.90 2.143
Challenge Cup 4 3F+3T   10.45 x -2.44 8.01 -4.571
Challenge Cup 5 CCoSp4   3.50   0.91 4.41 2.571
Challenge Cup 6 StSq4   3.90   1.33 5.23 3.429
Challenge Cup 7 LSp4   2.70   0.92 3.62 3.286
Challenge Cup   TES   37.65   3.82 41.47  

ショートプログラムでは基礎点37.65の構成がチャレンジカップで組まれました。
ルッツの投入とコンビネーションを1.1倍ボーナスタイムに組み込んだことによります。

この37.65というショートプログラムの基礎点は、コストルナヤ選手とならんで全選手の中でトップです。トリプルアクセル無し構成での基礎点最高は、シェルバコワ選手あるいはトゥルソワ選手の33.78ですので、このフル構成で行けば、基礎点段階で3.87ポイントのリードを持つことができます。

ただ、チャレンジカップではコンビネーションジャンプに失敗。基礎点が高くても、ジャンプミス一つでこれくらいの差はひっくり返ります。

 

 ●紀平梨花選手のシーズン最高の基礎点構成 フリープログラム

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Grand Prix Final 1 4S   9.70   -4.85 4.85 -5.000
Grand Prix Final 2 3A<+2T 7.70   -0.37 7.33 -0.556
Grand Prix Final 3 3F   5.30   1.06 6.36 1.889
Grand Prix Final 4 FCSp4   3.20   0.91 4.11 2.889
Grand Prix Final 5 3A   8.00   1.94 9.94 2.444
Grand Prix Final 6 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.222
Grand Prix Final 7 3F+3T   10.45 x 0.76 11.21 1.444
Grand Prix Final 8 2A+1Eu+3S   8.91 x 1.35 10.26 3.222
Grand Prix Final 9 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.889
Grand Prix Final 10 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
Grand Prix Final 11 3Lo   5.39 x 0.77 6.16 1.444
Grand Prix Final 12 LSp4   2.70   0.85 3.55 3.222
Grand Prix Final   TES   71.75   6.15 77.90  


今シーズンのフリー基礎点最高はトゥルソワ選手のスケートカナダで88.40というのがありました。そこと比べると基礎点段階で実績値16.55の差があります。4S,3Lz投入のフル構成組めてもまだ10点以上の差は確実にある。ただし、コストルナヤ選手の最高構成は70.15ですので、これよりは上に出ています。逆に言えば、紀平選手が73.35の構成を組めれば、あとは出来栄え勝負で上まで行けるかどうかということになる、ともいえるわけです。フリーの基礎点最高構成はグランプリファイナルの71.75でした。四回転が入ったことで基礎点が上がっていますが、この構成はトリプルアクセルが回転不足ですので、この試合でやりたかったことがすべてできているわけでもないです。トリプルアクセルの回転が足りていればもう1.6高くて73.35にまでなります。また、ルッツも未投入です。

 

紀平梨花選手の平均GOE+3.500以上の要素

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Skate Canada SP 6 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.889
NHK Trophy SP 7 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
NHK Trophy FS 12 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.778
Four Continents FS 6 StSq4   3.90   1.43 5.33 3.750
Autumn Classic SP 1 3A   8.00   3.04 11.04 3.714
Autumn Classic FS 12 LSp4   2.70   0.97 3.67 3.714
Skate Canada FS 6 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.667
Grand Prix Final SP 6 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.667
Autumn Classic FS 10 ChSq1   3.00   1.80 4.80 3.571
Skate Canada SP 1 3A   8.00   2.86 10.86 3.556
Skate Canada FS 10 ChSq1   3.00   1.79 4.79 3.556
NHK Trophy FS 10 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.556
Grand Prix Final SP 5 CCoSp4   3.50   1.25 4.75 3.556
Four Continents SP 6 StSq4   3.90   1.37 5.27 3.500
Four Continents FS 10 ChSq1   3.00   1.75 4.75 3.500

出来栄えですが、実は紀平選手はシーズンを通じて、平均GOEが4.0に達した要素がありません。この辺がコストルナヤ選手との差になっていることが否めません。とはいえ、GOE平均3.5以上の要素をこれだけ並べられる選手もそんなにはいません

紀平選手の中での最高評価はスケートカナダのショートステップシークエンスと、NHK杯ショートのレイバックスピンでした。

ステップ、コレオの評価は高く、平均3.5以上を軒並み出しています。レイバックスピンも割と評価高めですが、残念ながら基礎点が低い。

また、ジャンプの中ではトリプルアクセルがこの高評価リストに入ってきています。それはそれでもちろんすごいことなのですが、ほかのジャンプでももう少し高評価が欲しいところではあります。そのあたりは、序盤に飛ぶジャンプは集中しやすく、うまく跳べたときに完璧度合いも高くてGOEが高く出しやすい、という要素があるのかもしれません。

また、今シーズンのジャンプ以外の要素、スピンステップコレオシークエンスは、全部で68回実施されたのですが、この68要素の中での平均GOEが一番低くて2.111でした。つまりジャンプ以外の要素では、今シーズン平均GOEがすべて2を超える水準だったということになります。

 

 ●紀平梨花選手のトリプルアクセル要素

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Autumn Classic SP 1 3A   8.00   3.04 11.04 3.714
Autumn Classic FS 1 3A+2T   9.30   0.80 10.10 1.143
Autumn Classic FS 2 3A< 6.40   0.00 6.40 0.000
Japan Open FS 2 3A   8.00   1.71 9.71 2.222
Japan Open FS 5 3A+2T   9.30   1.37 10.67 1.778
Skate Canada SP 1 3A   8.00   2.86 10.86 3.556
Skate Canada FS 1 3A   8.00   -1.94 6.06 -2.222
Skate Canada FS 2 3A+2T   9.30   1.71 11.01 2.111
NHK Trophy SP 1 3A   8.00   2.29 10.29 2.889
NHK Trophy FS 2 3A+2T   9.30   2.40 11.70 3.000
NHK Trophy FS 5 3A   8.00   2.51 10.51 3.222
Grand Prix Final SP 1 3A   8.00   -0.91 7.09 -1.111
Grand Prix Final FS 2 3A<+2T 7.70   -0.37 7.33 -0.556
Grand Prix Final FS 5 3A   8.00   1.94 9.94 2.444
全日本選手権 SP 1 3A   8.00   -2.40 5.60 -2.778
全日本選手権 FS 2 3A+3T< 11.36   1.03 12.39 1.222
全日本選手権 FS 5 3A   8.00   2.51 10.51 2.778
Four Continents SP 1 3A   8.00   2.13 10.13 2.500
Four Continents FS 5 3A+2T   9.30   2.13 11.43 2.625
Challenge Cup SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
Challenge Cup FS 2 3A+2T   9.30   2.08 11.38 2.571
Challenge Cup FS 5 3A   8.00   2.08 10.08 2.714

今シーズン要素としてトリプルアクセルが入ったのは22回ありました。このうち2回は回転不足(コンビネーションの二つ目が回転不足なものを除く)。GOEがマイナスなものは4回。残りは成功ジャンプです。実際には、抜けてシングルアクセルになったというのが1回あります。したがって、全23回中成功と呼べるのは17回あり、成功率73.9%となります。ある意味ではダブルアクセルより点が高ければGOEマイナスでも成功、とも言えますのでそういう観点で見れば23回中22回成功、とも言え、今シーズンは昨シーズンと比べて、極めて高い成功率だった、と言えます。ようは、今シーズンはトリプルアクセルに絡んだ転倒が一つもなかった、ということでもあります。すごいな

 

 ●紀平梨花選手の今シーズンのショートのコンビネーション

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Autumn Classic SP 2 3F+3T   9.50   0.95 10.45 1.714
Skate Canada SP 2 3F+3T   9.50   1.14 10.64 2.111
NHK Trophy SP 2 3F+3T   9.50   1.74 11.24 3.222
Grand Prix Final SP 2 3F+3T< 8.66   -2.65 6.01 -5.000
全日本選手権 SP 2 3F+3T   9.50   1.44 10.94 2.333
Four Continents SP 2 3F+3T   9.50   1.06 10.56 2.125
Challenge Cup SP 4 3F+3T   10.45 x -2.44 8.01 -4.571

ショートプログラムのコンビネーションジャンプ。これは今シーズン3F-3Tで固定ですが、7回飛んで2回が失敗ジャンプになっています。ショートのトリプルアクセルは7回飛んで2回がGOEマイナスの不成功ジャンプ。このトリプルアクセルとコンビネーション、二つでマイナスが重なったのがグランプリファイナルでした。さすがにショートからジャンプ二つ失敗するとトップ3人とは戦えない。チャレンジカップでは1.1倍コンビネーションを試みていますが、そういう観点では結構リスクが高い。ただ、これをすることでコストルナヤ選手と並んで基礎点が最高値になる。何とも難しいですね。

 

 ●紀平梨花選手の三連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Autumn Classic FS 8 3Lz<+2T+2Lo 8.49 x -0.47 8.02 -1.143
Japan Open FS 8 2A+2T+2Lo   6.93 X 0.90 7.83 2.556
Skate Canada FS 8 2A+2T+2Lo   6.93 x 0.80 7.73 2.444
NHK Trophy FS 8 2A+2T+2Lo   6.93 X 0.80 7.73 2.444
Grand Prix Final FS 8 2A+1Eu+3S   8.91 x 1.35 10.26 3.222
全日本選手権 FS 8 2A+2T+2Lo   6.93 X 0.85 7.78 2.333
Four Continents FS 7 3F+3T+2T   11.88 x 1.59 13.47 3.000
Challenge Cup FS 8 3Lz+2T+2Lo   9.79 x 1.18 10.97 2.143

一方、フリーの三連続ジャンプは案外成功率高くなっています。ジャパンオープン含め8回飛んで7回が加点です。

ただ、オータムクラシックを除くと、シーズン序盤はダブルアクセル起点で2回転3連続なので難易度は低いです。圧巻なのは4大陸での後半3-3-2でGOE+3を取ったところでしょうか。

紀平選手の3連続がどういう種類になるのかは、4回転の投入やルッツの投入の有無により大きく変わってくるようです。四回転サルコウありのトリプルアクセルトリプルルッツ2本構成で行くと、トリプルサルコウが余るので3連続の三本目に入れる、となって高難度3連続になってくる可能性が高くなります。その高難度3連続をきっちり跳べるか? というのも、4回転を入れた時の一つのポイントになってくるかもしれません。

 

 ●紀平梨花選手の単独三回転ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Autumn Classic SP 4 3Lo   5.39 x 0.29 5.68 0.571
Autumn Classic FS 3 3F   5.30   1.27 6.57 2.571
Autumn Classic FS 5 3S   4.30   1.29 5.59 3.000
Autumn Classic FS 11 3Lo   5.39 x 1.27 6.66 2.571
Japan Open FS 1 3S   4.30   1.23 5.53 2.889
Japan Open FS 3 3F   5.30   1.44 6.74 2.556
Japan Open FS 11 3Lo   5.39 X -1.47 3.92 -3.000
Skate Canada SP 4 3Lo   5.39 x 1.47 6.86 3.000
Skate Canada FS 3 3F   5.30   1.59 6.89 3.000
Skate Canada FS 5 3S   4.30   1.41 5.71 3.222
Skate Canada FS 11 3Lo   5.39 x 0.84 6.23 1.778
NHK Trophy SP 4 3Lo   5.39 X -0.21 5.18 -0.333
NHK Trophy FS 1 3S   4.30   1.29 5.59 3.111
NHK Trophy FS 3 3F   5.30   1.67 6.97 3.111
NHK Trophy FS 11 3Lo   5.39 X 0.84 6.23 1.778
Grand Prix Final SP 4 3Lo   5.39 x 1.61 7.00 3.444
Grand Prix Final FS 3 3F   5.30   1.06 6.36 1.889
Grand Prix Final FS 11 3Lo   5.39 x 0.77 6.16 1.444
全日本選手権 SP 4 3Lo   5.39 X 1.47 6.86 2.778
全日本選手権 FS 1 3S   4.30   1.11 5.41 2.333
全日本選手権 FS 3 3F   5.30   1.74 7.04 3.000
全日本選手権 FS 11 3Lo   5.39 X 1.61 7.00 3.000
Four Continents SP 4 3Lz   6.49 x 1.57 8.06 2.625
Four Continents FS 1 3S   4.30   1.36 5.66 3.125
Four Continents FS 3 3Lz   5.90   1.57 7.47 2.625
Four Continents FS 11 3Lo   5.39 x 1.47 6.86 3.000
Challenge Cup SP 2 3Lz   5.90   0.00 5.90 0.143
Challenge Cup FS 1 3S   4.30   1.20 5.50 2.714
Challenge Cup FS 3 3Lz   5.90   1.42 7.32 2.143
Challenge Cup FS 11 3Lo   5.39 x 1.18 6.57 2.429

単独の三回転ジャンプ、というのは紀平選手にとってはそれほど難易度の高いものではないと考えられます。ところが、シーズン前半は、今一つしっかり決まっていない部分がありました。トリプルループでGOEマイナスが2回。ただ、シーズン後半はミスがなくなってきました。ルッツは四大陸選手権から投入。チャレンジカップでは怪しげではありましたが、何とか加点がつくジャンプになっています。

 

 

数が多くなりすぎるので具体的には上げませんが、スピンオールレベル4の試合は4試合。スピンステップオールレベル4は3試合ありました。年が明けてからの四大陸、チャレンジカップはどちらもスピンステップオールレベル4でした。また、ジャンプの回転不足率も7.79%とかなり低く抑えられており、年が明けてからの二試合ではやはり回転不足がありません。

今シーズン、構成の難易度も徐々に上げて行っていましたし、スピンステップでのレベルの取りこぼしも徐々になくなり、ジャンプの回転不足もなくなっていった。シーズン通じて徐々に調子を上げていく、調子を合わせて行っていた形でしたので、世界選手権がなくなったのは本当に残念でした。

 

 

今シーズン、ショートプログラムはBreakfast in Baghdad 衣装が二パターンありましたが、どちらの評判がよかったのですかね? 私には、青系の衣装の色合いは、ラピスラズリのそれに見えました。ラピスラズリアフガニスタンあたりを産地として、古代のオリエント地方で重宝されていた宝石です。かつて、女子シングルでオリンピックに勝つには青の衣装が必要、という都市伝説がありましたが、それにも通じるような深い青。女王にふさわしい衣装にも感じました

フリーのInternational angel of peaceも衣装二パターン。ジャパンオープンの時はこちらも青系で水色系統の色でしたが、グランプリシリーズに入って緑系の薄い色合いの衣装に変わっていました。青系二枚を避けたのかな? とも思ったのですが、ショートの方も一時期替えて赤系にしていたのですが、どういう心境で衣装を替えていっているんでしょうかね? フリーは結局緑系を本線にしてシーズン後半まで来ていたでしょうか。

シニアに上がってからは選曲が、ストーリーに縛られないもの、特にフリーは壮大な印象を与えるもので続けているように感じます。壮大な印象の曲で小さい演技をするとみすぼらしさが増してしまうのですが、フリーに上がった時点で壮大な曲も演じられる、という自信が本人に、コーチに、あったということなんでしょうか。実際、ノーミスの演技をしてくると、演技自体が壮大な印象を与えてくれます。

トップ選手たちには、シーズン終わった時点で、この曲オリンピックシーズンにまたやってくれないかな、と思ったりすることがよくあるのですが、紀平選手の場合、毎年それが繰り返される感じになっていきそうで、ショートフリーで二曲じゃ足りない、というようなことになっていきそうです。

 

競技以外の面では、今シーズンCMに初出演しました。東進ハイスクール。かつて、村上佳菜子さんが同じようにシニア二シーズン目の時期に東進ハイスクールのCMに出演していたと記憶しています。フィギュアスケーターというのは基本的には一般好感度も高く、かつ、高校生段階で世界で活躍している割と希少な競技である、という二つを合わせると、塾・予備校のCMというのは、親和性が高くてよいのかもしれません。あまり露出が多くなって負担が増えてもいけないのだと思いますが、通常のリンクの上での練習シーンをアレンジした程度なようにみえますので、いい形だったのではないかと思います。

 

紀平選手が今シーズン負けた相手は、トゥルソワ、コストルナヤ、シェルバコワ、三選手のみでした。昨シーズン負けたのはザギトワ、トゥルシンバエワ、メドベージェワ、坂本花織、四選手。こう並べると、坂本選手の異質さが目立ちますが、負けた試合は全日本。国際大会で負けた相手は、全員新旧エテリ組です。

来シーズンは、あまり大きな顔ぶれの変化なくトップは戦うことになると思いますが、どうなっていくでしょう。打倒エテリ組の筆頭格。まだシニアでの成功者のいない、四回転とトリプルアクセルの一つのプログラムでの成功、といったことをはじめ、来シーズンも好演技を期待したいです。