アリョーナコストルナヤ Alena KOSTORNAIA 19-20

2003年8月24日生まれ

シニア1シーズン目

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シーズン獲得賞金:$82,000

世界ランキング:7位

シーズンランキング:1位

シーズンベストスコア 247.59(1位) グランプリファイナル

ショートプログラムシーズンベスト 85.45 グランプリファイナル

フリーシーズンベスト 162.14 グランプリファイナル

ショートプログラム楽曲: The Departure

フリープログラム楽曲: Twilight

スピンレベル4率 30/30=100%

ステップレベル4率 8/10=80.0%

スピンオールレベル4 5/5

スピンステップオールレベル4 3/5

ジャンプ回転不足率  3/50=6.00%

ジャンプ回転不足なし試合 2/5

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/5

 

 ●アリョーナコストルナヤ選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
CS Finlandia Trophy 1 234.84 77.25 43.11 34.14 157.59 85.91 71.68
GP Internationaux de France 1 236.00 76.55 42.98 33.57 159.45 88.38 71.07
GP NHK Trophy 1 240.00 85.04 49.38 35.66 154.96 82.61 72.35
GPF Grand Prix Final 1 247.59 85.45 49.48 35.97 162.14 88.87 73.27
ECC Europe Championships 1 240.81 84.92 48.90 36.02 155.89 84.31 72.58

コストルナヤ選手は今シーズンがシニアデビュー。昨シーズンから四回転を飛んでいたトゥルソワ選手あたりとは異なり、コストルナヤ選手は高難度ジャンプはジュニア時代には跳んでいませんでした。

トリプルアクセルを装備したらしい、という情報はあったものの、練習で飛べるというのはよく聞くこと。実際どうなのかなあ? と見られていたチャレンジャーシリーズ。真打とばかりに次週からグランプリシリーズというタイミングのフィンランディア杯で登場。ショートはトリプルアクセル無し構成でいきなり77.25というお化けスコアを出し、フリーにはトリプルアクセル2本投入。1本は回転不足になったものの2本とも着氷し、フリースコアは157.59 これは強い、というのが初戦からしっかり見せつけられました。

グランプリシリーズではショートプログラムからトリプルアクセル投入。NHK杯ではついに85.04というショートプログラム記録のスコアをマーク。トータル240点に達します。

グランプリファイナルはエテリ三人衆の直接対決。トリプルアクセル三本を成功させ247.59 今シーズンのというか現行ルールの最高スコアで優勝します。

そのあと、リストにないロシア選手権ではシェルバコワ選手に敗れているため、シーズン全勝ではないのですが、ヨーロッパ選手権を制覇し、国際大会全勝で世界選手権へ、というところでシーズン終了となりました。

昨シーズンはジュニアグランプリファイナルを制覇しながらケガにより世界ジュニアを欠場。今シーズンはグランプリファイナルを制覇し、世界選手権は中止。どうにも世界選手権に縁がない感じですが、来シーズンはどうなるでしょう。

 

●アリョーナコストルナヤ選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
CS Finlandia Trophy 1 234.84 129.02 105.82 87.62 25.98 15.42
GP Internationaux de France 1 236.00 131.36 104.64 90.30 26.10 14.96
GP NHK Trophy 1 240.00 131.99 108.01 90.81 26.29 14.89
GPF Grand Prix Final 1 247.59 138.35 109.24 97.88 26.04 14.43
ECC Europe Championships 1 240.81 133.21 108.60 93.52 25.63 14.06

シーズンワーストでも234.84という高スコアの内訳を見ていくことになります。

演技構成点はシニア三戦目からは108点を超えてきます。各スコアで平均9.0まで達しないと108点になりません。シニア一年目の選手でここまで出るのはなかなかありません。グランプリファイナルの109.24は、今シーズンの上から4番目、メドベージェワ選手、ザギトワ選手の2回に次ぐ位置です。

スピンは26点前後。これもなかなか高いスコアですが、これより高いスコアを出した選手が4人います。ステップは一番高い15.42のスコアでも、これより上に5人います。グランプリシリーズ以降、徐々にスコアを下げているのは、ステップに意識を向けにくいなにかがあったのでしょうか。ステップ系要素で14.06となると、かなり平凡なスコアという位置になってきます。

ジャンプのベストは97.88 これより上は一人だけです。アレクサンドラトゥルソワ。四回転神のみが上にいます。

 

 ●アリョーナコストルナヤ選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
Finlandia Trophy 1 70.86 66.04 79.63 68.30 69.77 67.48
Internationaux de France 1 71.17 69.43 76.08 68.69 67.69 66.70
NHK Trophy 1 72.26 69.43 76.98 69.32 67.38 68.91
Grand Prix Final 1 74.33 70.59 86.59 68.50 65.30 69.72
Europe Championships 1 72.48 70.59 78.93 67.14 63.63 69.30

要素別に偏差値を取るとジャンプのGOEにものすごい値が並んでいます。86.59という偏差値は、もはや異常値ともいえるような値です。一番低くてもフランス杯の76.08 偏差値は75超えたら超人という感覚になりますが、ジャンプという水物ともいえる要素のGOEで、一番悪くてもこの偏差値が出るというのは驚異的です。

それと比べるとスピンステップは目立たないのですが、それでもスピンの偏差値は60台後半が並びます。ステップは、シーズン序盤は良かったのですがシーズン後半は、60台前半ですから、それほど大したスコアではない、という位置になります。配点が低いので目立ちにくいですが、かろうじて弱点と言えそうなのがこのステップ系要素になっています。

 

コストルナヤスケート偏差値

レーダーチャートで表すとこんな形に

ジャンプのGOEが突出してしまっているのでややいびつですが、60を切る要素が一つもないので、全体的に高い位置にあります。

ちょっと変わっているのは、PCSの高い選手はたいていステップ系要素も高いのですが、コストルナヤ選手の場合は、PCSは高めなのにステップ系要素がシーズン後半は伸びなかった、というのがあります。他の選手ではあまり見ない構図です。

 

 ●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Grand Prix Final 1 3A   8.00   2.97 10.97 3.778
Grand Prix Final 2 3Lz   5.90   2.02 7.92 3.444
Grand Prix Final 3 FCSp4   3.20   1.01 4.21 3.222
Grand Prix Final 4 3F+3T   10.45 x 2.20 12.65 4.111
Grand Prix Final 5 CCoSp4   3.50   1.25 4.75 3.556
Grand Prix Final 6 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.444
Grand Prix Final 7 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
Grand Prix Final   TES   37.65   11.83 49.48  

ショートプログラムの最高基礎点は37.65でした。グランプリファイナルを例として挙げていますが、NHK杯以降の3試合はすべて同じ構成で37.65の基礎点がありました。トリプルアクセルの回転が足りるようになったところで、この構成が完成した、という形です。

この37.65という基礎点は今シーズンの全選手中最高。紀平選手がチャレンジカップで並んでいますが、紀平選手は1試合でしか37.65に持ってこられなかったのに対し、コストルナヤ選手は3試合で出しています。

 

 ●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Internationaux de France 1 3A+2T   9.30   2.29 11.59 3.000
Internationaux de France 2 3A   8.00   2.63 10.63 3.222
Internationaux de France 3 2A   3.30   0.90 4.20 2.667
Internationaux de France 4 3Lo   4.90   1.33 6.23 2.667
Internationaux de France 5 FCCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.778
Internationaux de France 6 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.778
Internationaux de France 7 3F+3T   10.45 x 2.04 12.49 3.889
Internationaux de France 8 3F!+1Eu+3S ! 11.11 x 0.68 11.79 1.444
Internationaux de France 9 3Lz   6.49 x 1.69 8.18 2.778
Internationaux de France 10 CCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.778
Internationaux de France 11 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
Internationaux de France 12 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
Internationaux de France TES   70.15   18.23 88.38  

フリーの基礎点最高はフランス杯の70.15でした。これは、今シーズン基準で見れば、ものすごく高いというほどではなかったりします。今シーズンこれより高い基礎点があった選手は5人います。トゥルソワ選手、シェルバコワ選手にワリエワ選手とアリッサリュウ選手といったジュニア勢を挟んで、紀平選手で5人。紀平選手は四回転サルコウを入れた構成の時に71点台の構成でした。それも含め、四回転の使い手たちは基礎点ベースではコストルナヤ選手より上に行きます。

ジャンプの構成はトリプルアクセルトリプルフリップが2本。フリップではなくルッツを2本にすれば基礎点を上げることができますが、そうなっていないのは、ルッツの安定感にいくらか不安がある、と考えるのが自然でしょうか。フリップ2本構成なうちは、四回転がなくても、紀平選手は基礎点ベースで上に出ることも可能です。この基礎点からトータル160点を超えるスコアを出す、というのは、よほどの加点がありよほどのPCSがあるということであり、滑りの出来の良さが読み取れます。

 

●平均GOE+3.800以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
NHK Trophy SP 4 3F+3T   10.45 X 2.42 12.87 4.556
Europe Championships FS 7 3F+3T   10.45 x 2.42 12.87 4.556
NHK Trophy FS 7 3F+3T   10.45 X 2.27 12.72 4.333
Finlandia Trophy FS 7 3F+3T   10.45 x 2.30 12.75 4.250
Internationaux de France SP 4 3F+3T   10.45 x 2.20 12.65 4.222
Finlandia Trophy SP 1 2A   3.30   1.38 4.68 4.125
Finlandia Trophy FS 10 CCoSp4   3.50   1.40 4.90 4.125
Grand Prix Final SP 4 3F+3T   10.45 x 2.20 12.65 4.111
Grand Prix Final FS 7 3F+3T   10.45 x 2.20 12.65 4.111
Grand Prix Final FS 6 StSq3   3.30   1.32 4.62 4.000
Internationaux de France FS 7 3F+3T   10.45 x 2.04 12.49 3.889
Internationaux de France FS 12 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
NHK Trophy SP 5 CCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.889
NHK Trophy SP 7 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
Grand Prix Final SP 7 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
Finlandia Trophy SP 2 3Lz   5.90   2.26 8.16 3.875
Finlandia Trophy SP 7 LSp4   2.70   1.08 3.78 3.875

平均GOEを3.5以上で拾うと、乗せる気にならないくらいの数になったので、3.8まで基準を上げました。それでもこれだけの数がある。

特徴的なのは、上に並ぶのがジャンプばかりということです。それも、3F-3Tのコンビネーションジャンプが並びます。3-3のコンビネーションジャンプが平均GOE+4.556というのは驚異的です。5番目の+4.222でも驚異的なのですが、+4を超えるGOEを3F-3Tで当たり前のように出す、というのがコストルナヤ選手の強さです。

こういう切り出し方をするとスピンが上位に並ぶ選手が多いのですが、コストルナヤ選手はそれほどでもありません。ステップもレベル3のもので一度平均GOE+4.000はありますが、それほど出てこない。スピンステップはほどほどでも、ジャンプの質の良さ、特にショートでもフリーでも使う3F-3Tの質の良さ、というのがコストルナヤ選手の高得点を支えています。

 

トリプルアクセル

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Finlandia Trophy FS 1 3A+2T   9.30   2.67 11.97 3.250
Finlandia Trophy FS 2 3A< 6.40   -0.11 6.29 -0.250
Internationaux de France SP 1 3A< 6.40   -0.27 6.13 -0.444
Internationaux de France FS 1 3A+2T   9.30   2.29 11.59 3.000
Internationaux de France FS 2 3A   8.00   2.63 10.63 3.222
NHK Trophy SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
NHK Trophy FS 1 3A+2T   9.30   2.51 11.81 3.111
NHK Trophy FS 2 3A< 6.40   -2.74 3.66 -4.111
Grand Prix Final SP 1 3A   8.00   2.97 10.97 3.778
Grand Prix Final FS 1 3A+2T   9.30   1.49 10.79 1.889
Grand Prix Final FS 2 3A   8.00   2.74 10.74 3.333
Europe Championships SP 1 3A   8.00   2.63 10.63 3.222
Europe Championships FS 1 3A+2T   9.30   2.97 12.27 3.667
Europe Championships FS 2 3A   8.00   2.29 10.29 2.667

トリプルアクセルは今シーズン14回飛んで回転不足は3回でした。回転が足りた時はすべて平均GOEがプラスです。トリプルアクセル成功率78.6% 同じ成功基準で拾った紀平選手の数字は73.9%ですので、成功率として紀平選手を上回ったことになります。

また、今シーズン初めてプログラムに組み込んだにもかかわらず、一度も転倒がありませんでした。それも驚くべきことです。

 

●3連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Finlandia Trophy FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 x 1.68 12.79 3.125
Internationaux de France FS 8 3F!+1Eu+3S ! 11.11 x 0.68 11.79 1.444
NHK Trophy FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 X 1.44 12.55 2.778
Grand Prix Final FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 x 1.82 12.93 3.444
Europe Championships FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 x 1.67 12.78 3.222

3連続ジャンプは3F-1Eu-3Sですべて統一。ショートフリーで3回入っているフリップジャンプはすべてコンビネーションで3回転が後ろにつく。しかもすべて1.1倍ボーナスタイムで飛ぶ。フリップの安定感というか、フリップに対して持っている自信というか、そのあたりを強く感じます。

そんなフリップですが、フランス杯で!がついていました。結構意外。ただ、それでも平均GOEは+1以上付きました。5試合中3試合は平均GOEで3を超える水準です。やはりジャンプの加点は大きくもらえています。

 

●セカンド三回転

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Finlandia Trophy SP 4 3F+3T   10.45 x 1.77 12.22 3.500
Finlandia Trophy FS 7 3F+3T   10.45 x 2.30 12.75 4.250
Internationaux de France SP 4 3F+3T   10.45 x 2.20 12.65 4.222
Internationaux de France FS 7 3F+3T   10.45 x 2.04 12.49 3.889
NHK Trophy SP 4 3F+3T   10.45 X 2.42 12.87 4.556
NHK Trophy FS 7 3F+3T   10.45 X 2.27 12.72 4.333
Grand Prix Final SP 4 3F+3T   10.45 x 2.20 12.65 4.111
Grand Prix Final FS 7 3F+3T   10.45 x 2.20 12.65 4.111
Europe Championships SP 4 3F+3T   10.45 x 1.97 12.42 3.778
Europe Championships FS 7 3F+3T   10.45 x 2.42 12.87 4.556

コストルナヤ選手の3回転-3回転は、フリップトーループで固定です。高GOEの欄でもこの話が中心でしたが、ここで改めて見えるのは、3F-3Tという決して簡単ではないジャンプを、今シーズン10回飛んで、一番悪くても平均GOEが+3.500である、ということです。一番悪くてこの水準、というのが安定度の高さを示しています。

 

●単独三回転

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Finlandia Trophy SP 2 3Lz   5.90   2.26 8.16 3.875
Finlandia Trophy FS 4 3Lo   4.90   1.31 6.21 2.750
Finlandia Trophy FS 9 3Lz   6.49 x 1.77 8.26 3.125
Internationaux de France SP 2 3Lz! ! 5.90   0.51 6.41 0.778
Internationaux de France FS 4 3Lo   4.90   1.33 6.23 2.667
Internationaux de France FS 9 3Lz   6.49 x 1.69 8.18 2.778
NHK Trophy SP 2 3Lz   5.90   1.94 7.84 3.444
NHK Trophy FS 4 3Lo   4.90   1.54 6.44 3.111
NHK Trophy FS 9 3Lz   6.49 X 1.60 8.09 2.778
Grand Prix Final SP 2 3Lz   5.90   2.02 7.92 3.444
Grand Prix Final FS 4 3Lo   4.90   1.61 6.51 3.444
Grand Prix Final FS 9 3Lz   6.49 x 1.85 8.34 3.222
Europe Championships SP 2 3Lz   5.90   2.02 7.92 3.444
Europe Championships FS 4 3Lo   4.90   1.47 6.37 3.000
Europe Championships FS 9 3Lz   6.49 x -2.95 3.54 -5.000

一方で、単独三回転は、決して悪いわけではないのですが、コンビネーションと比べて平均GOEが下がるという、ちょっと不思議な構図があります。単独三回転はルッツかループ。今シーズン唯一の転倒は、ヨーロッパ選手権トリプルルッツでした。本人比では、ルッツは苦手側なジャンプなんでしょうかね。平均GOE+3を何度も超えてくるジャンプを苦手と扱うのも違和感あるのですけれど。

ループも、それほど得意なわけではなさそうです。

四回転無しで基礎点を上げる手段として、トリプルアクセルのコンビネーションを2Tではなく3Tにして、3F-3Tのところを3F-3Loにするという、セカンドループ作戦というのもありえるのですが、コストルナヤ選手は、そういったルーパー族の仲間入りをするほどループジャンプは得意なわけではないようです。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Finlandia Trophy SP 6 StSq4   3.90   1.37 5.27 3.500
Finlandia Trophy FS 6 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.750
Finlandia Trophy FS 11 ChSq1   3.00   1.75 4.75 3.500
Internationaux de France SP 6 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.111
Internationaux de France FS 6 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.778
Internationaux de France FS 11 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
NHK Trophy SP 6 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
NHK Trophy FS 6 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.444
NHK Trophy FS 11 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.667
Grand Prix Final SP 6 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.444
Grand Prix Final FS 6 StSq3   3.30   1.32 4.62 4.000
Grand Prix Final FS 11 ChSq1   3.00   1.57 4.57 3.111
Europe Championships SP 6 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.222
Europe Championships FS 6 StSq3   3.30   1.27 4.57 3.667
Europe Championships FS 11 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.667

ステップとコレオも安定して高めな評価ではあります。ステップの一番悪い評価で平均GOE+3.111  十分高いんですけどね、普通の選手と比べると。一度出した平均GOE+4.000は、今シーズンの全選手の中で、ザギトワ選手に次いで2位タイのスコアではありますし。ただ、この時のステップはレベル3. レベル4で一番高かったときは+3.750でした。

ステップと比べるとコレオシークエンスではやや低さを感じます。一番いい時でフィンランディア杯の+3.500はありますが、グランプリシリーズ以降は+3.111が最高で、あとの3回は+2台です。ステップとコレオで、どちらか一つだけよい、というのは結構多くの選手に起きていることではあるのですが、そういったときは、たいてい、フリーの後ろ側にある要素の方が点が高くなります。おそらく、よし、これでラスト、という、ジャンプが終わった後の後は踊るパート、ということで残りのエネルギーをすべて注げることで点が高くなる、ということだと思うのですが、コストルナヤ選手は逆で、あとはレイバックスピンを残すのみという11番目の要素であるコレオシークエンスの方が、そのあとに1.1倍ボーナスタイムのジャンプ3つが来るという、6番目の要素のステップの方がGOEが高い。何とも不思議な構図です。

 

 

コストルナヤ選手は今シーズン、スピンのレベル4率が30/30で100%でした。昨シーズンの宮原知子選手と同じですが、スピンの取りこぼしなしは素晴らしいです。

 

今シーズン、主要国際大会で全勝したコストルナヤ選手。その結果、当然のようにシーズンランキングは1位なのですが、世界ランキングはまだ7位にとどまっています。

フィギュアスケートの世界ランキングは、その時点での選手の実力を反映していない、と言われますし、この、コストルナヤ選手が7位という世界ランキングは実際そうなのでしょう。

ただ、この世界ランキングは、選手のその時点での実力、と見るよりは、ここ2~3年のフィギュア界でのその選手の活躍度合い、として見るとある程度妥当なところなのではないかと思われます。

コストルナヤ選手は、今シーズン勝ちまくりましたが、まだシニア一年目。昨シーズンもケガで世界ジュニアを欠場。上に並んでいる名前を見ても、この一年ではなく、ここ2~3シーズン、という視点で見ると、これくらいの位置なのかな、と感じます。フィギュアスケートを興業として考えた場合、そういう世界ランキングもありなのでしょうきっと。

コストルナヤ選手が世界ランキング1位になるためには、紀平選手の牙城はかなり険しく、来シーズン全勝したとしても、紀平選手が来シーズンも上位を保っていると、どうなるかわかりません。