22-23 紀平梨花

2002年7月21日生まれ

シニア5シーズン目

シーズン獲得賞金:$5,000

世界ランキング:55位

シーズンランキング:49位

シーズンベストスコア 192.43(25位) Grand Prix Espoo

ショートプログラムシーズンベスト 64.07 Grand Prix Espoo

フリーシーズンベスト 128.36 Grand Prix Espoo

ショートプログラム楽曲:The Fire Within

フリープログラム楽曲:映画「タイタニック」より

スピンレベル4率 23/27 = 85.2%(国際大会:12/12 = 100%)

ステップレベル4率 4/9 = 44.4%(国際大会:1/4 = 25.0%)

スピンオールレベル4 3/4(国際大会:2/2)

スピンステップオールレベル4  0/4(国際大会:0/2)

ジャンプ要素回転不足率 2/47=4.26%(国際大会:1/20=5.00%)

ジャンプ回転不足なし 2/4(国際大会:1/2)

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 0/4(国際大会0/2)

 

○22-23シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
RT 中部選手権 6 154.49 56.69 97.80
Others Japan Open 5 113.44   113.44
GP Skate Canada 5 184.33 59.27 125.06
GP Grand Prix Espoo 4 192.43 64.07 128.36
NC 全日本選手権 11 188.62 60.43 128.19

紀平選手は昨シーズン全休からの復帰シーズン、というか、復帰できるのかシーズン、という感じで始まりました。

出場しないと全日本が消える中部選手権。13枠あるので出場してくるなら通過は問題ないだろう、と思いつつも、大丈夫かなあ? とやっぱり心配な試合でした。ショートプログラム、2A、3S+2T、3T というなかなか上位のレベルでは見ない構成でしたがこれでも56.69まで出します。このレベルならこのスコア出しておけば当確です。フリーは決まった3回転はサルコウ2本だけ、という状態でしたがトータル154.49まで出して無事ブロック大会通過です。西日本の時期にグランプリシリーズが入っているので全日本の出場権を確保となります。

1週挟んでジャパンオープン。この状態で出るの? ホントに? と思いましたが、中部選手権のフリーより、少しだけ構成を上げて113.44まで出しました。

 

10月最後にスケートカナダ。2年ぶりのグランプリシリーズです。ショートでは3S+3T、GOE-5扱いですがセカンド3回転降りて59.27で8位スタート。フリーはルッツフリップ無しのトリプル5本を全要素全ジャッジプラス評価のノーミス、125.06出して最終的に5位に入りました。ジャンプを求めて点を取ろうとしなくても、フィギュアスケートってこれでいいのでは、というようなことも考えさせられる試合でもありました。

 

グランプリ2戦目は最終戦エスポ―。万が一高得点で優勝すればファイナルがある、というシチュエーションですが、流石にまだそういう状態ではなかったようです。ショートは3S+3Tをクリーンに決めて64.07を出して6位、後半グループでフリーへ進みます。このフリーはフリップまで入っての6トリプルで全要素プラス評価の128.36 総合4位に入りました。

 

グランプリ2戦目からさらに1か月。怪我の回復が進んでいればすごいことになるのでは、という期待ももたれた全日本だったのですが、実際には怪我はむしろ悪化していたようでした。

ショートプログラムサルコウの着地が安定せず3回転は付けられない形となって60.43は11スタート。ただ、6位までなら4.08差、5位5.86差、このあたりまでなら届かないこともない、というフリー。後半のループでステップアウトしたくらいで全体的にいい演技だったのですが、いかんせん基礎点がまだどうしても低い。フリー128.19まで出してトータル188.62でしたが11位に終わりました。この結果、4大陸選手権の補欠3には入りました。

 

シーズン後半はクープドプランタンへの派遣があったのですがケガの影響で辞退。怪我はまだ芳しくなかったようで、結局全日本でシーズンを終えた形となりました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
中部選手権 154.49 67.51 87.98 34.33 1.92 19.03 12.23
Japan Open 113.44 48.69 64.75 28.31 0.71 10.43 9.24
Skate Canada 184.33 88.51 95.82 51.40 2.06 23.06 11.99
Grand Prix Espoo 192.43 98.06 94.37 55.12 6.63 22.72 13.59
全日本選手権 188.62 91.87 96.75 53.56 1.53 22.79 13.99

トータルスコアは150点台から始まり190点台までは出しました

技術点は98.06まで出せています。全日本でも90点台までは出ました

PCSは95点前後まで来ています。96点で1項目8点平均ですのでそれに近いところまでは出ました。

ジャンプの基礎点はグランプリエスポ―の55.12が最高。この水準からトータルスコア190点台まで出せるのは他にいません。

ジャンプの加点は全試合プラスでグランプリエスポ―は6.63と1桁後半まで出ました。

スピンは23点前後です。元々それほど得意な要素ではありませんでした。

ステップ系要素は13点台までは出ています。こちらは得意な要素でしたがレベル4がまだなかなか取れていないようです。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
中部選手権 49.80 34.55 60.12 46.66 56.73 56.97
Skate Canada 59.66 51.20 60.41 60.12 55.65 62.67
Grand Prix Espoo 62.34 54.83 69.76 58.98 62.85 61.61
全日本選手権 61.08 53.31 59.32 59.21 64.65 63.34

偏差値で見ると中部選手権は50割れしていましたが最後は60台までは出してきています。

ジャンプの基礎点は何とか50台。基礎点削られるミスがあまりないのでルッツなしでも平均は超えられるようです。

ジャンプの加点はエスポ―で70近いところまで出ました。

スピンは偏差値60前後です。ステップ系要素の方がやや高いところまで出せているようです。

PCSも60台前半。

まだ全く本調子ではないわけですが、ジャンプの基礎点以外は偏差値60程度は出してきています。

 

中部選手権はなかなか見られない水準になっていました。

他は右上が凹んだ珍しい形をしています。トリプルアクセル紀平梨花としてシニア最初のシーズンを戦っていた選手ですが、ジャンプの構成が5トリプルでも6トリプルでも、選手としての魅力は失われていないようです。後はここにジャンプが戻れば、といったところです。

 

・シーズン最高の基礎点構成

○グランプリエスポ― ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.85 4.15 2.444
2 3S+3T   8.50   0.86 9.36 2.000
3 FCSp4   3.20   0.69 3.89 2.222
4 3Lo< 4.31 x -1.18 3.13 -3.000
5 LSp4   2.70   0.66 3.36 2.444
6 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.889
7 CCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.556
  TES   29.41   3.89 33.30  

最高基礎点が29.41 なかなかしっかりした構成を組むことができませんでした。それでもセカンド含め3回転3本入れています。ループをしっかり回り切っていれば1.08基礎点が上がって30.49という基礎点になります。

この構成はGOE満点で技術点が43.39 PCS加味して83.39満点となります。ショートプログラムのパーソナルベスト83.97を持っている紀平選手からしたら、寂しい構成ではあります。

 

全日本選手権 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Sq+3T q 8.50   -0.06 8.44 -0.111
2 3F   5.30   1.21 6.51 2.333
3 2A   3.30   0.71 4.01 2.111
4 3Lo+2T   6.20   1.05 7.25 2.222
5 FSSp4   3.00   0.64 3.64 2.111
6 3Lo   5.39 X -1.40 3.99 -2.778
7 2Aq+2T+2Lo q 6.93 X -0.19 6.74 -0.667
8 3S   4.73 X 0.74 5.47 1.778
9 CCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.556
10 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
11 StSq3   3.30   1.13 4.43 3.556
12 LSp4   2.70   0.77 3.47 2.889
  TES   55.85   6.93 62.78  

フリーは全日本で55.85の基礎点になりました。サルコウとループを2回飛んで6トリプル。ステップがレベル3ですがこれを4に出来れば56.45の基礎点になります。

この構成はGOE満点の時に技術点79.65 PCS加味して159.65満点です。紀平選手はフリーは154.72のパーソナルベストを持っていますし、その時の技術点は87.17でした。そこまで戻せる日が来るでしょうか。

 

○平均GOE2.400以上(国際大会+全日本選手権より)

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
全日本選手権 FS 11 StSq3   3.30   1.13 4.43 3.556
Skate Canada FS 10 ChSq1   3.00   1.57 4.57 3.222
Skate Canada FS 11 StSq3   3.30   1.04 4.34 3.222
全日本選手権 SP 6 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.111
Japan Open FS 11 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Grand Prix Espoo SP 6 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.889
Skate Canada SP 7 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 2.889
全日本選手権 FS 10 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
全日本選手権 FS 12 LSp4   2.70   0.77 3.47 2.889
Grand Prix Espoo FS 10 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.778
Grand Prix Espoo FS 2 2A+1Eu+3S   8.10   1.17 9.27 2.667
Grand Prix Espoo FS 12 LSp4   2.70   0.69 3.39 2.667
Grand Prix Espoo SP 7 CCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.556
全日本選手権 FS 9 CCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.556
Grand Prix Espoo FS 11 StSq3   3.30   0.85 4.15 2.556
Grand Prix Espoo SP 1 2A   3.30   0.85 4.15 2.444
Skate Canada SP 5 LSp4   2.70   0.66 3.36 2.444
Grand Prix Espoo SP 5 LSp4   2.70   0.66 3.36 2.444
Japan Open FS 10 ChSq1   3.00   1.17 4.17 2.400
Japan Open FS 12 LSp4   2.70   0.63 3.33 2.400

評価の高い要素はステップとコレオです。全日本ではフリーはレベル3でしたが、ショートフリー共に+3以上の評価を得ました。

ジャンプはダブルアクセル起点のものが比較的評価高く入っています。ただ、以前は+3以上のジャンプは多数ありましたので、ルッツが戻らないだけでなく、1つ1つのジャンプの質的にも、まだ戻ってきていないという風にも見えます。

 

○3回転-3回転を含む要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Skate Canada SP 2 3Sq+3Tq q 8.50   -2.15 6.35 -4.778
Grand Prix Espoo SP 2 3S+3T   8.50   0.86 9.36 2.000
全日本選手権 FS 1 3Sq+3T q 8.50   -0.06 8.44 -0.111

3-3はスケートカナダから入れていますが、しっかり成功と言えるのはエスポ―のショートプログラムのみでした。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Japan Open FS 7 2A+1Eu+2S   5.61 X -0.77 4.84 -2.400
Skate Canada FS 2 2A+1Eu+2S   5.10   0.61 5.71 1.778
Grand Prix Espoo FS 2 2A+1Eu+3S   8.10   1.17 9.27 2.667
全日本選手権 FS 7 2Aq+2T+2Lo q 6.93 X -0.19 6.74 -0.667

3連続はダブルアクセルから。まだ3回転の数が十分ではないので、3連続をどう組むか苦慮しているようにも見えました。

 

今シーズン復帰シーズンでしたが思うようには滑ることが出結局できなかった紀平選手。それでもこの条件の中190点台までは出していてそれなりの位置で勝負はしていました。

ただ、最終的にシーズンベストスコアはISU公認で25位。世界ランキングも昨シーズン全休の影響で55位。日本人選手のレベルが高い中で、来期のグランプリシリーズの枠が回って来るかは微妙な情勢です。

ロシアがいない今、トリプルアクセルを決めた本数が一番多い現役選手は紀平選手です。ショートフリーで3本飛ぶ構成まで戻して、230点台を出してくる姿をもう一度見られる日は来るでしょうか?