宮原知子 19-20

 

1998年3月26日生まれ

シニア7シーズン目

ブログ

所属:木下グループ 関西大学

スポンサー関連:木下グループ 味の素 コーセー  他

マネジメント契約:IMG

出版:宮原知子の英語術 スケートと英語のさとこチャレンジ

シーズン獲得賞金:$16,000

世界ランキング:3位

シーズンランキング:12位

シーズンベストスコア 211.18(14位) 中国杯

ショートプログラムシーズンベスト 74.16 USインターナショナル

フリーシーズンベスト 142.27 中国杯

ショートプログラム楽曲:Egyptian Disco 他

フリープログラム楽曲: シンドラーのリスト

スピンレベル4率 28/33=84.8%(国際試合:25/27=92.6%)

ステップレベル4率 8/11=72.7% (国際試合:8/9=88.9%)

スピンオールレベル4 2/5

スピンステップオールレベル4 1/5

ジャンプ回転不足率  28/57=49.1%(国際試合:21/47=44.7%)

ジャンプ回転不足なし試合 0/7

 

 ●宮原知子選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
CS US International 1 204.30 74.16 40.20 33.96 130.14 61.34 68.80
Others Japan Open 4 134.94       134.94 66.96 68.98
GP Cup of China 2 211.18 68.91 33.76 35.15 142.27 69.91 72.36
GP Rostelecom Cup 4 192.42 63.09 28.55 34.54 129.33 59.88 70.45
NC 全日本選手権 4 191.43 70.11 33.88 36.23 121.32 52.23 69.09
IC Bavarian Open 1 192.02 66.11 32.95 33.16 125.91 58.95 66.96

宮原知子選手は19-20シーズンに国際大会4試合と全日本選手権、プラスしてジャパンオープンに出場しました。

初戦は例年通り、USインターナショナルに出て優勝。ただ、ショートは良かったのですがフリーで130点にとどまり、シーズン当初から心配な姿がありました。同じ日にトゥルソワ選手のシニアデビュー戦があり、フリーでものすごいスコアを出していたのと対照的だったことが記憶されています。

ジャパンオープンもいま一つ、という中、グランプリシリーズに入って中国杯では2位表彰台。フリーでしっかり140点を出し210点に乗せてきて、ああ、やっぱりちゃんとこの辺からエンジン掛けていくんだな、さすがだな、5年連続グランプリファイナルも何とかなるのかな、と思った翌週ロステレコム杯で、ショートも伸びずフリーも伸びず、表彰台に乗れず、ファイナルに進めず、国際試合連続200点記録も途絶。とにかくジャンプが決まっていないし、今更シーズン前半から頑張らないといけない選手でもないので、ここでファイナルに出ないで調整時間が確保できるのはむしろいいのかな、と思ったのですが、全日本はジャンプがさらに決まらず6年ぶりに表彰台から陥落しました。

それでも世界選手権の切符はもらえたのですが、それに向けての調整試合、ハバリアンオープンでもジャンプは決まらないままで190点台のスコアでした。そして世界選手権は中止。

何とも苦しいシーズンだったなあ、という印象です。

ただ、6シーズン連続で世界選手権の代表、12年世界ジュニアから9シーズン連続でISUチャンピオンシップ試合の代表となっており、日米露、あるいはカナダあたりの伝統強豪国の女子シングルに、現在こんな選手は他にいません。

 

 ●宮原知子選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
CS US International 1 204.30 101.54 102.76 62.14 23.56 15.84
Others Japan Open 4 134.94 66.96 68.98 44.24 12.50 10.22
GP Cup of China 2 211.18 103.67 107.51 63.95 24.94 14.78
GP Rostelecom Cup 4 192.42 88.43 104.99 48.67 24.13 15.63
NC 全日本選手権 4 191.43 86.11 105.32 48.69 23.02 14.40
IC Bavarian Open 1 192.02 91.90 100.12 52.11 24.66 15.13

宮原選手はすべての試合で技術点TESよりも演技構成点PCSの方が高く出ました。

技術点がどの分野も取れないかというとそんなことはなく、中国杯のスピン24.94は19-20シーズンの日本人選手の中でトップ。USインターナショナルでのステップ系スコア15.84は、19-20シーズンの全選手の中でのトップスコアです。ロステレコム杯の15.63でも全体3番目。ステップ系要素の評価は現役選手のトップにいます。

問題は結局ジャンプ。一番良くても63.95にとどまってしまうと、やはり上位と戦うには苦しくなります。

PCSは100台後半の試合もあり、中国杯の107.51はPCSの今シーズンベストとしては全体5番目。ステップ系要素と合わせて、こういった魅せる部分では世界のトップ層を形成している一人であることは今シーズンも変わりありませんでした。

 

宮原知子選手のスケート偏差値

Grade Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
CS US International 1 62.56 55.14 61.44 60.28 71.67 65.47
GP Cup of China 2 64.43 57.65 58.50 64.85 66.88 68.59
GP Rostelecom Cup 4 59.33 50.12 50.00 62.16 70.72 66.93
NC 全日本選手権 4 59.06 52.43 44.39 58.49 65.16 67.15
IC Bavarian Open 1 59.22 51.69 52.21 63.92 68.46 63.74

各要素の偏差値はこうなっていて、ステップ系では70を超えてきます。スピンは60台前半。日本ではトップクラスのスピンですが、ロシア勢がその上を行っているので60台後半までは出ていません。

ジャンプがやはり苦しくて、基礎点段階で偏差値が50台。それも回転不足が嵩んだロステレコム杯以降は偏差値50程度、全体の平均程度しかありません。その上で加点も取れない、という姿があります。

 

宮原知子スケート偏差値

レーダーチャートで表すとこんな形に

極端な左寄りのチャートです。左側に魅せる系の要素がある配置なのですが、そちらに非常に偏ったチャートです。

 

 

ショートプログラムのシーズン最高の基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
US International 1 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
US International 2 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
US International 3 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
US International 4 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
US International 5 3Lo   5.39 x 1.37 6.76 2.857
US International 6 FCSp4   3.20   0.77 3.97 2.429
US International 7 LSp4   2.70   1.19 3.89 4.286
US International   TES   32.09   8.11 40.2  

ショートプログラムの最高基礎点は32.09でした。全体トップは37.65ですので基礎点段階で5.56の差があります。トリプルアクセル無し組の最高基礎点は33.78 こことの差は1.69程度なので、これなら出来栄え勝負で追いつける範疇ではあります。

 

●フリープログラムのシーズン最高の基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open 1 3Lz<+2T 6.02   -0.54 5.48 -1.111
Japan Open 2 3F   5.30   -2.65 2.65 -5.000
Japan Open 3 3Lo   4.90   1.12 6.02 2.333
Japan Open 4 FCSp4   3.20   0.78 3.98 2.333
Japan Open 5 3S< 3.44   -0.69 2.75 -2.000
Japan Open 6 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
Japan Open 7 2A+3T+2T   9.68 X 0.90 10.58 2.111
Japan Open 8 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
Japan Open 9 3Lz   6.49 X 1.18 7.67 2.000
Japan Open 10 2A+3T   8.25 X 0.84 9.09 2.000
Japan Open 11 ChSq1   3.00   1.93 4.93 3.889
Japan Open 12 LSp4   2.70   1.27 3.97 4.556
Japan Open   TES   60.38   6.58 66.96  

 

フリーの基礎点最高はジャパンオープンの60.38でした。基礎点最高の試合がジャパンオープンになってしまうところが、今シーズンの不調の一つの現れにも見えます。

それはさておき、これでも二つ回転不足があるんですね。回転不足がなければ62点台にはなります。その水準でノーミスなら技術点70点台半ばは出せて、PCSが伸びれば150点も見えるところまでは出せます。ただ、それくらいまででしかない、という表現になってしまうくらいに、今シーズンは周りのレベルが上がってしまいました。

 

宮原知子選手の今シーズン平均GOE+3.500以上の要素

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open FS 12 LSp4   2.70   1.27 3.97 4.556
Rostelecom Cup FS 12 LSp4   2.70   1.23 3.93 4.556
US International FS 12 LSp4   2.70   1.24 3.94 4.429
Cup of China FS 12 LSp4   2.70   1.20 3.90 4.333
US International SP 7 LSp4   2.70   1.19 3.89 4.286
Bavarian Open SP 7 LSp4   2.70   1.13 3.83 4.143
Cup of China SP 7 LSp4   2.70   1.12 3.82 4.111
全日本選手権 SP 7 LSp3   2.40   1.10 3.50 4.111
US International SP 4 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
US International FS 11 ChSq1   3.00   2.00 5.00 4.000
Rostelecom Cup FS 6 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
Japan Open FS 11 ChSq1   3.00   1.93 4.93 3.889
Cup of China FS 11 ChSq1   3.00   2.00 5.00 3.889
Rostelecom Cup FS 11 ChSq1   3.00   1.93 4.93 3.889
US International FS 6 StSq4   3.90   1.48 5.38 3.857
Bavarian Open FS 12 LSp4   2.70   1.03 3.73 3.857
Cup of China FS 6 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.778
全日本選手権 SP 4 StSq3   3.30   1.41 4.71 3.778
全日本選手権 FS 11 ChSq1   3.00   2.07 5.07 3.778
Japan Open FS 6 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
Rostelecom Cup SP 7 LSp3   2.40   0.82 3.22 3.556
全日本選手権 FS 6 StSq3   3.30   1.32 4.62 3.556
全日本選手権 FS 12 LSp4   2.70   1.08 3.78 3.556

平均GOEが4.0を超える値がたくさん並んでいます。宮原選手としては6番目となる平均GOE4.143までは、他に日本人選手で超える要素を持つ選手はいません。

ただ、平均GOE4.0を超えているのはレイバックスピンのみだったという現実もあります。昨シーズンは全ジャッジGOE+5の満点を取った試合もありましたが、今シーズンは満点はなし。レイバックスピンで得た平均GOE+4.556は、今シーズンのシニア選手の中で、レイバックスピンとしての最高GOEではありました。

平均GOE4.0のところからステップシークエンスやコレオシークエンスが入ってきます。

平均GOE3.5以上あるのは、レイバックスピン、ステップ、コレオの三要素のみです。

 

ショートプログラムのコンビネーションジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
US International SP 1 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
Cup of China SP 1 3Lz+3T< 9.26   -0.17 9.09 -0.333
Rostelecom Cup SP 5 3Lo+2T   6.82 x 0.84 7.66 1.778
Bavarian Open SP 1 3Lz<+3T< 8.08   -0.94 7.14 -2.000
全日本選手権 SP 1 3Lz+3T< 9.26   -0.08 9.18 -0.111

今シーズン苦しんだジャンプ。

ショートプログラムのコンビネーションでは回転不足率が6割ありました。ロステレコム杯は冒頭でコンビネーションを入れられずのリカバリー3-2なので、実質的にショートのコンビネーションで成功ジャンプだったのはUSインターナショナルの1回だけだった、ということになります。

 

●3連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
US International FS 7 3F+2T+2Lo   9.13 x 0.64 9.77 1.143
Japan Open FS 7 2A+3T+2T   9.68 X 0.90 10.58 2.111
Cup of China FS 7 3F<+2T+2Lo 7.96 x -0.12 7.84 -0.222
Rostelecom Cup FS 10 2A+3T<+2T 8.76 x -0.53 8.23 -1.444
Bavarian Open FS 9 3Lz<+2T+2Lo 8.49 x -0.56 7.93 -1.143
全日本選手権 FS 7 3F<!+2T<+2Lo<< ! 6.36 X -2.12 4.24 -4.333

フリーで後半に入れている3連続ジャンプ。これも6試合中4試合で回転不足がありました。ジャパンオープンがある分ショートより回数は多いですが、グランプリシリーズ以降の試合でしっかり飛べたジャンプがない、という点では同じです。

今シーズンはコンビネーションジャンプがことごとく決まりませんでした。

 

ダブルアクセル以外の単独ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
US International SP 5 3Lo   5.39 x 1.37 6.76 2.857
US International FS 2 3Lz<< <<  2.10   -0.59 1.51 -2.857
US International FS 3 3Lo   4.90   1.08 5.98 2.286
US International FS 5 3S   4.30   0.69 4.99 1.571
Japan Open FS 2 3F   5.30   -2.65 2.65 -5.000
Japan Open FS 3 3Lo   4.90   1.12 6.02 2.333
Japan Open FS 5 3S< 3.44   -0.69 2.75 -2.000
Japan Open FS 9 3Lz   6.49 X 1.18 7.67 2.000
Cup of China SP 5 3Lo< 4.31 x -0.50 3.81 -1.222
Cup of China FS 3 3Lo   4.90   1.19 6.09 2.333
Cup of China FS 5 3S   4.30   0.68 4.98 1.667
Cup of China FS 9 3Lz< 5.19 x -0.34 4.85 -0.778
Rostelecom Cup SP 1 2Lz* * 0.00   0.00 0.00  
Rostelecom Cup FS 3 3Lo< 3.92   -0.39 3.53 -1.000
Rostelecom Cup FS 5 3S   4.30   0.80 5.10 1.889
Rostelecom Cup FS 7 3F< 4.66 x -2.12 2.54 -5.000
Rostelecom Cup FS 9 3Lz< 5.19 x -0.54 4.65 -1.111
Bavarian Open SP 5 3Lo< 4.31 x -0.23 4.08 -0.714
Bavarian Open FS 2 3Lz<< <<  2.10   -0.97 1.13 -4.429
Bavarian Open FS 3 3Lo   4.90   0.78 5.68 1.571
Bavarian Open FS 5 3S   4.30   0.52 4.82 1.429
Bavarian Open FS 7 3F< 4.66 x -0.59 4.07 -1.286
全日本選手権 SP 5 3Lo< 4.31 X -0.22 4.09 -0.556
全日本選手権 FS 3 2Lo   1.70   0.02 1.72 0.111
全日本選手権 FS 5 3S< 3.44   -0.24 3.20 -0.667
全日本選手権 FS 9 3Lz< 5.19 X -2.36 2.83 -4.333

単独ジャンプでダブルアクセル以外を並べました。単独2回転も載ってますが、これは3回転を飛びたくて2回転になった、と考えてよいでしょう。

全体で27回あって、回転不足10、ダウングレード2、2回転になったもの2

こう見ると、単独三回転で回転が十分に足りる確率が5割を切っている形になっています。これだとちょっと辛いですね・・・。

ジャンプ要素全体で28/57が回転不足だったわけですが、その中で単独ダブルアクセルがさすがに10/10回転が足りていましたので、それを除くと28/47が回転不足だった、ということになるわけです。

逆に、よくこれだけの回転不足があっても、シーズン通じて190点を切る試合がなかったな、と思います。宮原選手のシーズンワーストを上回るスコアを国際試合で出した日本人選手は、宮原選手自身を含めて6人しかいません。

また、回転不足は多いのですが、転倒が多いわけではないんですね。ジャパンオープンを除くと5試合で転倒は1回のみ。 回転は不足していても着氷しているので、遠目の印象は悪くない、ということも多く、鑑賞の対象としては好演技でした、でも点は出ない、というケースも多かったように感じます。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
US International SP 4 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
US International FS 6 StSq4   3.90   1.48 5.38 3.857
US International FS 11 ChSq1   3.00   2.00 5.00 4.000
Japan Open FS 6 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
Japan Open FS 11 ChSq1   3.00   1.93 4.93 3.889
Cup of China SP 4 StSq3   3.30   1.13 4.43 3.333
Cup of China FS 6 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.778
Cup of China FS 11 ChSq1   3.00   2.00 5.00 3.889
Rostelecom Cup SP 4 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.444
Rostelecom Cup FS 6 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
Rostelecom Cup FS 11 ChSq1   3.00   1.93 4.93 3.889
Bavarian Open SP 4 StSq4   3.90   1.40 5.30 3.429
Bavarian Open FS 6 StSq4   3.90   1.33 5.23 3.286
Bavarian Open FS 11 ChSq1   3.00   1.60 4.60 3.143
全日本選手権 SP 4 StSq3   3.30   1.41 4.71 3.778
全日本選手権 FS 6 StSq3   3.30   1.32 4.62 3.556
全日本選手権 FS 11 ChSq1   3.00   2.07 5.07 3.778

宮原選手の強さを支えているのがステップとコレオシークエンスです。今シーズンの全試合で、一番悪くても平均GOEが3.143ありました。ステップ、コレオで、平均GOE4.0に達することができる選手は、今シーズン6人だけ。宮原選手の他には坂本花織選手に、メドベージェワ選手、ザギトワ選手にコストルナヤ選手、さらにはアメリカのカレンチェン選手だけです。ステップレベル4率も国際試合では88.9%あり、レベル4が標準です。スピンではレベル4が当たり前な今の女子シングルですが、ステップレベル4が安定して出せる選手は極めて少ないです。

 

スピンの方もレベル4率が国際試合では92.6%ありましたので、やはり安定してレベル4なわけですが、昨シーズンは全スピン要素がレベル4だったことと比べると、やや安定度は低下しました。

 

今シーズンのショートプログラムはEgyptian Disco他。

日本を中心に、地域色のある楽曲を演じることも多かった宮原選手ですが、アラブ系のイメージをはらんだ曲は初でしたでしょうか。同じエジプトでも、鼻っ柱が強そうなクレオパトラ方面だとちょっと違うかな? と感じたかもしれませんが、こういう楽曲は、これはこれでありだな、と感じました。

フリーはシンドラーのリスト。当然重苦しいイメージの曲ですが、こういうのもしっかり当然のように演じられる。ただ、曲のイメージと、あ、回転足りてない、というのが見えるのと相まって、見ていてすごく苦しく感じる演技が多かったです。

今シーズンは衣装がショートが黒系、フリーが灰色と、モノトーン系統で二つ揃いました。ミスサイゴンの赤、蝶々夫人の青、といったように、はっきりした色を着ることもおおかったのですが、次はどんな衣装で来るでしょう

 

競技以外の面では、この3月で大学を卒業・・・、なはずの年齢だったのですけど、一回休学挟んでいるので在籍は続くようです。

また、宮原知子の英語術 スケートと英語のさとこチャレンジを初出版しました。

真面目にコツコツ頑張るイメージな宮原選手には、学習塾系のCMなど向いているかと思っていましたが、それよりある種難易度高いところで、自身の英語術、という自分が教える立場での出版という方向に行きました。発売直後の4月頭の時点では、amazon外国語学習法・旅行会話集の売れ筋ランキング1位になっています。英語術、と言いつつ中身の半分はこれまでのスケート人生振り返る系だったりするようですが、基本的にはファン層向けかと思いますので、それくらいでちょうどよいのでしょうか。

単価1,650円。どれくらい売れますかね。販売1万部で、著者印税10%だと165万円ほど。グランプリシリーズの優勝$18,000ドルに足りないくらい。もうちょっと宮原選手の手元に渡ってほしい気もしますけれど。こういう形でも、選手に活動資金が渡ってくれるとよいなと思います。

 

今シーズンは拠点を海外に移す、という新しい試みで迎えたシーズンでした。残念ながら結果を出せたとは言い難い。おそらくジャンプの調整というのが拠点を移す一つの大きな動機だったのだと思いますが、一シーズンでは難しいのでしょうか。昨シーズンもジャンプの矯正ということを言っていたかと記憶していますが、まだその時点では、あまり崩さずに変えていこうという感じだったのが、今シーズンは、一度崩すところに入っていたんでしょうか。

やはり宮原選手の課題はジャンプの回転なのでしょうね。それさえクリアできれば220点くらいは出してきて、世界の頂点は厳しいにしても、まだまだ世界のトップで戦えます。22歳にして、少し前のコストナー選手ポジションになってきました。

コストナー選手との決定的な違いは、コストナー選手は、何がどう転んでも、自分に出る意志さえあればケガさえなければ世界選手権、オリンピック、問題なく出られる国籍でしたが、日本国籍の宮原選手はそうはいかない、という点でしょうか。

鈴木明子さん、浅田真央さんの引退後、大学を卒業してからも国際舞台で活躍している女子シングル選手、というのが日本では見かけなくなってしまったのですが、大学卒業年齢に達した宮原選手には息長く活躍してもらえたらと思います。