ブレイディテネル Bradie TENNELL 19-20

1998年1月31日生まれ

シニア3シーズン目

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シーズン獲得賞金:$30,000

世界ランキング:4位

シーズンランキング:6位

シーズンベストスコア 222.97(8位) 四大陸選手権

ショートプログラムシーズンベスト 75.93 四大陸選手権

フリーシーズンベスト 147.04 四大陸選手権

ショートプログラム楽曲:Mechanisms , Chronos

フリープログラム楽曲:Cinema Paradiso

スピンレベル4率 28/33=84.8%

ステップレベル4率 10/11=90.9%

スピンオールレベル4 1/5

スピンステップオールレベル4 1/5

ジャンプ回転不足率  13/56=23.2%

ジャンプ回転不足なし試合 1/5

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 1/5

 

 ●ブレイディテネル選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
Others Japan Open 5 124.91       124.91 59.79 66.12
GP Skate America 2 216.14 75.10 41.33 33.77 141.04 71.88 69.16
GP Skate Canada 4 211.31 72.92 38.46 34.46 138.39 68.79 69.60
CS Warsaw Cup 2 189.01 70.10 36.58 33.52 118.91 56.43 64.48
GPF Grand Prix Final 5 212.18 72.20 37.74 34.46 139.98 71.65 68.33
4CC Four Continents 3 222.97 75.93 40.93 35.00 147.04 76.17 70.87

ブレイディテネル選手は19-20シーズンは国際試合は5試合プラスジャパンオープンに出場しました。

初戦のジャパンオープンはパッとしない出来で120点台前半で終わりましたが、ジャパンオープンに出てくるアメリカ選手ってこんな感じだよね、というところで、あまり気にすることもなかったのでしょうか。テネル選手ももう、シーズン序盤から結果を出していかないといけない選手ではありませんし。ただ、実際にはジャパンオープンより前のオータムクラシックへエントリーしていたのに欠場だったので、そういう点で少し心配なところはありました。

本格的にシーズンインしての初戦は、相性のいいスケートアメリカで2位表彰台。ショートから75点台を出し、フリーも140点台に乗せての216.14はパーソナルベスト更新でした。

スケートカナダは周りも強く表彰台に乗れませんでしたが210点台は確保。ファイナルは他の選手の結果待ちで、つなぎのワルシャワカップを入れていましたが、ここはあまりいい滑りではなく、シーズン唯一の200点割れです。まあ、完全な調整試合だったということでしょうか。

宮原選手が伸びなかったことで2位と4位ながらファイナル進出がかない、初のグランプリファイナルは5位。これでグランプリ三戦はすべて210点台となっています。

年が明けて、リストにありませんが全米選手権は220点台で3位表彰台。世界選手権の代表に選べれました。

全米選手権から中一週で、アメリカ選手には軽視されがちな四大陸選手権はスキップするかな? とも思ったのですが出てきまして、チャンピオンシップ大会初の3位表彰台でした。結果的にこの試合でシーズン終了となりましたが、この試合で222.97とパーソナルベストを更新しています。

 

ちょっと意外なのは、今シーズン、優勝が一つもないんですね。シニアに上がってからで見ても、昨シーズンのオータムクラシックで勝ったくらいで、ほかは優勝がありません。

ただ、どの大会でも常に上位には顔を出してきて、それが三シーズン続いたことで、世界ランキングも4位まで上がってきました。

 

●ブレイディテネル選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
Others Japan Open 5 124.91 59.79 66.12 37.58 12.64 9.57
GP Skate America 2 216.14 113.21 102.93 72.33 26.04 14.84
GP Skate Canada 4 211.31 107.25 104.06 66.85 25.16 15.24
CS Warsaw Cup 2 189.01 93.01 98.00 54.11 25.02 13.88
GPF Grand Prix Final 5 212.18 109.39 102.79 70.01 24.54 14.84
4CC Four Continents 3 222.97 117.10 105.87 75.53 26.14 15.43

テネル選手のPCSは100点台前半が標準で四大陸では105点に達した、というあたりなようです。ワルシャワカップの98点は忘れてよいのでしょうきっと。


ステップ系要素は15点前後。四大陸選手権の15.43は、今シーズンの全選手の中で5番目のスコアになります。スピンはグランプリファイナルで24点台に沈みましたが、スケートアメリカや四大陸といった、総合成績の良かった試合では26点台にまで達しています。四大陸選手権の26.14というのは、ロシア選手以外では今シーズンの最高点です。シニアでこれより上のスコアがあるのは、ザギトワ、シェルバコワ、コストルナヤの三選手だけになります。

 

 ●ブレイディテネル選手のスケート偏差値

Grade Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
GP Skate America 2 65.78 59.61 68.45 68.50 67.15 65.58
GP Skate Canada 4 64.46 58.45 61.65 65.58 68.96 66.32
CS Warsaw Cup 2 58.40 51.55 56.06 65.11 62.81 62.35
GPF Grand Prix Final 5 64.70 59.79 63.92 63.52 67.15 65.49
4CC Four Continents 3 67.63 61.91 68.47 68.83 69.82 67.51

各要素の偏差値はこうなっています。70を超える要素はありませんが、逆に50を下回る要素もありません。

調整試合としてカウントできそうなワルシャワカップを除くと、一番悪いのはスケートアメリカのジャンプの基礎点偏差値が58.45 偏差値の高い要素と低い要素の差が割と小さく、全体のバランスが取れた選手であり、ジャンプの大崩れもなかったシーズンなんだな、というのが見て取れます。

 

 ブレイディテネルのスケート偏差値

レーダーチャートで表すとこんな形に

ジャンプで高難度要素がないので、やはり多少へこむ形になります。

 

ショートプログラムシーズン最高の基礎点構成 

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Skate America 1 3Lz+3T   10.10   1.69 11.79 2.778
Skate America 2 2A   3.30   0.90 4.20 2.667
Skate America 3 LSp4   2.70   0.81 3.51 3.000
Skate America 4 3F   5.83 x 1.74 7.57 3.333
Skate America 5 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Skate America 6 FSSp4   3.00   1.24 4.24 4.000
Skate America 7 CCoSp4   3.50   1.45 4.95 4.111
Skate America   TES   32.33   9.00 41.33  

ショートプログラムの最高基礎点は32.33でした。ショートプログラムの構成は今シーズンはすべて同じだったのですが、レベルの取りこぼし、あるいは回転不足なくといったことがなくこなせたのがこのスケートアメリカだった、という形です。トリプルアクセル無しで基礎点をさらに上げるには、冒頭の3Lz-3Tを後半1.1倍ボーナスタイムに持ってくる、という手はあります。また、テネル選手は一時期3Lz-3Loにチャレンジしていましたので、それを導入すればもう一段階基礎点はあがりますが、それでもトリプルアクセル勢にはちょっと及びません。

トリプルアクセル無し組の最高基礎点は33.78でトゥルソワ選手とシェルバコワ選手なのですが、そことの基礎点差は1.45 このあたりまでなら出来栄えとPCS勝負で上回ることもできます。なので、ショートでは上位に入って世界選手権レベルの試合でも最終グループに入ってくることは出来る水準かと思います。

 

●フリープログラムシーズン最高の基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Four Continents 1 3Lz+3T   10.10   -0.79 9.31 -1.375
Four Continents 2 2A   3.30   0.83 4.13 2.500
Four Continents 3 3S   4.30   1.22 5.52 2.750
Four Continents 4 2A   3.30   0.88 4.18 2.625
Four Continents 5 LSp4   2.70   1.13 3.83 4.000
Four Continents 6 StSq4   3.90   1.43 5.33 3.500
Four Continents 7 3Lz+3T   11.11 x 1.77 12.88 3.000
Four Continents 8 3F!+2T+2Lo ! 9.13 x 0.27 9.40 0.500
Four Continents 9 3Lo   5.39 x 1.39 6.78 2.750
Four Continents 10 ChSq1   3.00   1.83 4.83 3.750
Four Continents 11 FCCoSp4   3.50   1.52 5.02 4.375
Four Continents 12 CCoSp4   3.50   1.46 4.96 4.125
Four Continents   TES   63.23   12.94 76.17  

フリーの基礎点最高は四大陸選手権の63.23でした。このフリーはスピンステップオールレベル4の回転不足なし、という形ですので、やりたいことが全部できた姿ですので、テネル選手の今シーズンの本当の意味での基礎点上限かと思われます。

得られた技術点は76.17 冒頭のコンビネーションがGOEマイナスついてますので、ここもしっかり飛べれば78点くらいまでは出せる、というのが今の上限値でしょうか。PCSで72点がつけば150点もあり得るのですが、今シーズンのフリーPCSの最高値は70.87 シーズン最後の世界選手権でフリー最終グループにはいってノーミスで演じればその辺まで出るかな、という印象ではあります。

一応、昨シーズンの国別対抗戦で150点だしてますが、ちょっとそれはカウント外に感じてしまうんですよね。でも、それくらいの点数までは出せるのだろうと思われます。

 

●平均GOE+3.500以上の要素

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Four Continents FS 11 FCCoSp4   3.50   1.52 5.02 4.375
Four Continents SP 3 LSp4   2.70   1.13 3.83 4.250
Four Continents SP 7 CCoSp3   3.00   1.30 4.30 4.250
Skate Canada SP 7 CCoSp4   3.50   1.50 5.00 4.222
Four Continents FS 12 CCoSp4   3.50   1.46 4.96 4.125
Skate America SP 7 CCoSp4   3.50   1.45 4.95 4.111
Skate America SP 6 FSSp4   3.00   1.24 4.24 4.000
Skate America FS 11 FCCoSp4   3.50   1.40 4.90 4.000
Four Continents SP 6 FSSp4   3.00   1.20 4.20 4.000
Four Continents FS 5 LSp4   2.70   1.13 3.83 4.000
Skate America FS 5 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
Skate Canada FS 5 LSp3   2.40   0.93 3.33 3.778
Skate Canada FS 11 FCCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.778
Four Continents FS 10 ChSq1   3.00   1.83 4.83 3.750
Warsaw Cup SP 7 CCoSp4   3.50   1.33 4.83 3.714
Grand Prix Final SP 6 FSSp4   3.00   1.07 4.07 3.667
Grand Prix Final FS 12 CCoSp3   3.00   1.11 4.11 3.667
Warsaw Cup FS 11 CCoSp4   3.50   1.33 4.83 3.571
Skate Canada SP 3 LSp3   2.40   0.86 3.26 3.556
Skate Canada SP 5 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
Skate Canada SP 6 FSSp4   3.00   1.07 4.07 3.556
Four Continents SP 5 StSq4   3.90   1.37 5.27 3.500
Four Continents FS 6 StSq4   3.90   1.43 5.33 3.500

平均GOEが4.0を超える要素が結構な数あります。並んでいるのはスピンなのですが、今シーズン使った四種類のスピン、すべてで平均GEO4.0以上を一度は出しています。このスピンが得意、ということではなく、トータルにスピンが得意で点が出せる、ということがこのあたりから見て取れます。

FCCoSpでの平均GOE4.375は今シーズンのシニア選手の中でのトップスコアです。スピン一つで5点入るというのはいいですね。レベル4で基礎点3.5になる種類のスピンなら、平均GOEが4.2から4.3あたりで、得点が5点に乗ります。

平均GOE3.5以上、という閾値で見ると、コレオやステップまでは入ってきますが、ジャンプ要素は入ってきていませんでした。

 

●ルッツからのコンビネーションジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open FS 1 3Lz+3T< 9.26   -0.34 8.92 -0.333
Japan Open FS 7 3Lz+3T< 10.19 X -2.95 7.24 -5.000
Skate America SP 1 3Lz+3T   10.10   1.69 11.79 2.778
Skate America FS 1 3Lz+3T   10.10   1.43 11.53 2.333
Skate America FS 7 3Lz+2T   7.92 x -1.10 6.82 -1.556
Skate Canada SP 1 3Lz+3T< 9.26   -0.08 9.18 -0.222
Skate Canada FS 1 3Lz+3T   10.10   1.77 11.87 2.889
Skate Canada FS 7 3Lz+3T< 10.19 x -0.08 10.11 -0.222
Warsaw Cup SP 1 3Lz+3T   10.10   1.30 11.40 2.143
Grand Prix Final SP 1 3Lz+3T< 9.26   -0.67 8.59 -1.111
Grand Prix Final FS 1 3Lz+3T   10.10   1.85 11.95 3.111
Grand Prix Final FS 7 3Lz+3T< 10.19 x -0.59 9.60 -0.889
Four Continents SP 1 3Lz+3T   10.10   1.57 11.67 2.625
Four Continents FS 1 3Lz+3T   10.10   -0.79 9.31 -1.375
Four Continents FS 7 3Lz+3T   11.11 x 1.77 12.88 3.000

テネル選手はショートフリーで合計3Lz-3Tを3回飛ぶという構成です。フリーで同じジャンプを単独で2回飛ぶと怒られますが、同じコンビネーションジャンプを2回飛んでもよい、という、納得いくようないかないような、そんなルールになってますが、3Lz-3Tを2回入れるというのがテネル選手の今の標準構成。

さすがにこの難度のコンビネーションは、どうしても回転不足がついて回っているようです。15回飛んで6回回転不足があり、回転不足率40% スケートアメリカのフリー二つ目は3Lz-2Tになっていて、これも本当は3-3にしたかったんだろうな、と思うと、ちゃんと3-3になって回転足りた、というのは15回のうち8回だけとなります。ようは、一試合3回すべてを成功させるのはかなり確率低い。また、後半1.1倍ボーナスタイムの成功率がかなり低く、5回中3回が回転不足、1回が3-2になっているので、結果的に成功したのは5回に1回、四大陸選手権だけだったということになります。

ただ、転倒は1回だけで、それもジャパンオープンでしたので、多少乱れても着氷は出来る、という形で、痛手は小さく抑えることができているようです。

 

●3連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open FS 8 3F<+2T+2Lo 7.96 X -0.48 7.48 -1.333
Skate America FS 8 3F+2T+2Lo   9.13 x 0.83 9.96 1.556
Warsaw Cup FS 7 3F<+2T+2Lo 7.96 x -0.17 7.79 -0.286
Grand Prix Final FS 8 3F<+2T+2Lo 7.96 x -0.36 7.60 -0.778
Four Continents FS 8 3F!+2T+2Lo ! 9.13 x 0.27 9.40 0.500

3連続ジャンプは3F-2T-2Loが基本構成です。スケートカナダではトリプルフリップを飛んだ時点でバランスを崩しコンビネーションにつなげられず、リカバリーも2連続になったので、3連続要素が入りませんでした。

それも含めて、3連続ジャンプでGOEがプラスに出来たのは6回中2回。その2回のうち1回も!付きなので、あまり加点は伸びていません。十分な加点を取れれば10点台になる要素で、7点台が目立っています。

 

コンビネーションジャンプの確率を上げていくことができれば、全体のスコアをもう3点4点は押し上げていくことが出来そうに見えます。

 

●平均GOEが3.0以上のジャンプ要素

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Skate America SP 4 3F   5.83 x 1.74 7.57 3.333
Four Continents SP 4 3F   5.83 x 1.59 7.42 3.125
Grand Prix Final SP 4 3F   5.83 x 1.67 7.50 3.111
Grand Prix Final FS 1 3Lz+3T   10.10   1.85 11.95 3.111
Grand Prix Final FS 4 2A   3.30   1.04 4.34 3.111
Skate Canada SP 4 3F   5.83 x 1.59 7.42 3.000
Skate Canada FS 4 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
Four Continents FS 7 3Lz+3T   11.11 x 1.77 12.88 3.000

ジャンプ要素でしっかり加点が取れているものもあります。平均GOEが3.0以上のものも毎試合ありました。目立つのは単独のトリプルフリップです。ショートのトリプルフリップは高加点がついていて、ショートで75点までもっていく一つの原動力となっています。

3Lz-3Tも、いい時はGOE+3がついてくる。

意外とダブルアクセルは伸びてこないのかな、とも感じます、平均GOEで+3.0以上になっているのはフリーのダブルアクセルのみです。単純に考えると、ショートで1.1倍時に飛ぶトリプルフリップより、先に飛ぶダブルアクセルの方が簡単で、GOEも高く出そうなものですが、不思議なものですね。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Japan Open FS 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Japan Open FS 10 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
Skate America SP 5 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Skate America FS 6 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.111
Skate America FS 10 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.222
Skate Canada SP 5 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
Skate Canada FS 6 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.444
Skate Canada FS 10 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.444
Warsaw Cup SP 5 StSq3   3.30   0.99 4.29 2.714
Warsaw Cup FS 5 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.857
Warsaw Cup FS 9 ChSq1   3.00   1.60 4.60 3.143
Grand Prix Final SP 5 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.222
Grand Prix Final FS 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Grand Prix Final FS 10 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.222
Four Continents SP 5 StSq4   3.90   1.37 5.27 3.500
Four Continents FS 6 StSq4   3.90   1.43 5.33 3.500
Four Continents FS 10 ChSq1   3.00   1.83 4.83 3.750

テネル選手のステップとコレオは、平均GOEが3.0台でほぼ並んでいます。スケートカナダ四大陸選手権でやや評価が高かったでしょうか。ステップは10/11レベル4で、レベル4率が90%を超えます。レベル3になった一回は、調整試合のチャレンジャーシリーズワルシャワカップ。グランプリ以上のレベルの試合ではすべてレベル4でした。スピンよりもステップの方がレベル4率が高い、という選手はめったにいません。GOEはテネル選手より高く出る選手も数人いますが、レベル4率の高さにより、ステップ系要素で得る得点の高さは安定して高いです。

 

 

テネル選手は1月に22歳になりました。年齢的には宮原知子選手と同じです。ただ、19歳まで世界ジュニアに出ていたので、まだシニア三年目。シニアデビューはザギトワ選手と同じです。他には坂本花織選手や本田真凜選手がいます。その三人が世界ジュニアの表彰台だったのにたいし、テネル選手は7位。19歳までジュニアをやっていてその順位だった選手が、シニアに上がってから安定して好成績を上げています。アメリカの選手は二十歳を過ぎてから伸びるケースも多くある。十代前半から活躍する選手ももちろんいますが、大人になってから成績が伸びる選手と並び立っているのがアメリカの良さのように感じています。

 

今シーズンのショートプログラムはすべて70点台で揃えました。赤い衣装が映えて、手足の長さの生きたステップシークエンスは印象的。テネル選手には赤が似合うように感じています。テネル選手のこのショートはザ・アメリカ、を体現したような、そんな雰囲気を感じました。

フリーは、シンデレラ、ロミオとジュリエットと続いたところから今シーズンはニューシネマパラダイス。シニアに上がってからも二シーズンはテーマ的には十代半ばくらいの曲を選んでいた感じがしましたが、今シーズンはシニアな選曲に感じました。

 

18年以降の新ルールで220点を超えたただ一人のアメリカ選手です。来シーズンはオリンピックでアメリカが三枠を取るために非常に重要な役回りを演じることになると思われます。