21-22 キムイェリム

2003年1月23日生まれ

シニア3シーズン目

シーズン獲得賞金:$11,000

世界ランキング:15位

シーズンランキング:20位

シーズンベストスコア 209.91 (24位) 四大陸選手権

ショートプログラムシーズンベスト 70.56 スケートアメリカ

フリーシーズンベスト 140.98 四大陸選手権

ショートプログラム楽曲:愛の夢

フリープログラム楽曲:トゥーランドット

スピンレベル4率 27/30=90.0%

ステップレベル4率 7/10=70.0%

スピンオールレベル4 2/5

スピンステップオールレベル4  1/5

ジャンプ要素回転不足率 1/50=2.00%

ジャンプ回転不足なし 4/5

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 1/5

 

○21-22シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
GP Skate America 8 199.34 70.56 128.78
GP Grand Prix Torino 6 193.50 62.78 130.72
NC Korean Championships 2 207.64 67.52 140.12
4CC Four Continents 3 209.91 68.93 140.98
OG Olympic Games 9 202.63 67.78 134.85

キムイェリム選手は昨シーズンナショナル選手権で優勝し、世界選手権で11位、韓国2枠に貢献した選手です。その実績もあり、グランプリ枠2枠が回ってきました。

そのグランプリシリーズ2戦は190点台のスコアで8位と6位。202点台のパーソナルベストから考えるとまずまずのスコアだったと思います。

有力選手が多数いて僅差の闘いになった韓国選手権。ショートはセカンド3回転が入らず4位で折り返します。追い込まれたフリーでしたが、ここでスピンステップオールレベル4、全要素プラス評価、ノーミスの滑りで初めて140点台に乗せ、トータルスコアで逆転の2位。オリンピックの代表権を得ました。

オリンピックの前に四大陸選手権。プチ日韓決戦のような形になったこの大会。ショートで大きなミスなく3位。フリーはプレッシャーのかかる場面でしたが、国際大会初の140点をマークし3位表彰台。チャンピオンシップの初表彰台となりました。

オリンピックは入賞ラインあたりを争う選手という位置でした。ショートフリー、大きなミスはなくまずまずの出来ではあったものの、流石にオリンピック、まわりのレベルが高く、結果は9位。入賞は果たせませんでした。

世界選手権の出場権も持っていましたが、欠場。オリンピックで今シーズンを終えました。

 

○要素別スコア

Event Pl Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Skate America 8 199.34 103.75 96.59 62.41 5.79 22.87 12.68
Grand Prix Torino 6 193.50 99.19 95.31 58.01 4.58 22.97 13.63
Korean Championships 2 207.64 107.88 99.76 64.01 7.85 21.92 14.10
Four Continents 3 209.91 110.40 99.51 65.18 10.67 22.66 11.89
Olympic Games 9 202.63 103.88 98.75 63.88 4.38 21.56 14.06

スコアは割と安定的です。トータルスコアは5試合で最高と最低の差が16.41でした

技術点はトリノで100点を欠きましたが他は100点台、四大陸では110点に乗せました。

PCSは100点に少し欠ける水準。5項目平均8点前後です。

ジャンプの基礎点はトリノだけ50点台ですが、他は60点台。最高が四大陸の65.18です。トリプルアクセル無しの最高点ではないですが、それに近い水準にあります。

ジャンプの加点は一桁中盤が多く、これも四大陸が最高で二桁に乗せました。

スピンは22点台が最高なのでやや弱いでしょうか。ステップはオリンピックで14点台に乗せました。

 

○要素別偏差値

Event Pl Total J Base J GOE Spin Step PCS
Skate America 8 60.77 58.94 62.11 56.89 57.03 60.95
Grand Prix Torino 6 59.19 55.65 60.08 57.20 60.82 60.10
Korean Championships 2 63.02 60.13 65.57 53.93 62.69 63.06
Four Continents 3 63.64 61.01 70.30 56.23 53.89 62.90
Olympic Games 9 61.66 60.04 59.74 52.81 62.53 62.39

偏差値で見るとトータルスコアは60前後です。ジャンプの基礎点も60前後、ジャンプの加点は四大陸で70に乗せ優秀層にいます。

スピンはいい時でも偏差値50代後半で本人比で苦手な要素になっています。

ステップ系要素は四大陸では失敗していますが他は60前後、PCSは偏差値60台前半です。

21-22シーズン キムイェリム要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートは下が凹む珍しい形をオリンピックでしています。四大陸は左下が凹んで右下が突出。トータルスコアは割と安定していますが、偏差値ベースで各要素を見るとそれなりのばらつきはあるようです。

 

●シーズン最高の基礎点構成

スケートアメリカ ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+3T   10.10   1.69 11.79 2.889
2 2A   3.30   0.57 3.87 1.667
3 FCSp4   3.20   0.59 3.79 1.889
4 3F   5.83 x 1.21 7.04 2.222
5 StSq4   3.90   0.89 4.79 2.222
6 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.333
7 SSp4   2.50   0.71 3.21 2.889
  TES   32.33   6.51 38.84  

ショートプログラムの最高基礎点は32.33 ルッツフリップトーループと3つの3回転があり、1.1倍は単独フリップです。コンビネーションを1.1倍に持ってくれば基礎点上がります、という定番の他に、キムイェリム選手はシットスピンが構成に入っていて、これが基礎点2.50と低めです。レイバックスピンに変えられれば基礎点がさらに0.20あがります。

32.33あれば、トリプルアクセル無し組との基礎点差は0.78ですので、出来栄え勝負という舞台には立てます。

 

四大陸選手権 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+3T   10.10   2.02 12.12 3.333
2 2A+3T   7.50   1.08 8.58 2.667
3 3Lo   4.90   0.84 5.74 1.778
4 3F   5.30   1.29 6.59 2.333
5 FCSp4   3.20   0.78 3.98 2.444
6 3Lz   6.49 x 1.85 8.34 3.111
7 3S+2T+2Lo   8.03 x 0.31 8.34 0.778
8 CCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.333
9 ChSq1   3.00   1.29 4.29 2.556
10 2A   3.63 x 0.57 4.20 1.556
11 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
12 SSp4   2.50   0.79 3.29 3.111
  TES   61.45   12.61 74.06  

フリーは四大陸選手権が最高基礎点で61.45でした。2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。ステップがレベル3なのでこれをレベル4に出来ると62.05まで基礎点が上がります。韓国選手権ではその62.05でした。

トリプルアクセル無しで今シーズン一番高い基礎点を出したのは63.33ですので、それほど差はないです。逆に、そこと少し差があるのは、スピンにシットスピンがあることと、1.1倍部分の構成がやや弱いこと、というのがあります。ただ、その辺の基礎点を上げていくよりも、出来栄えでスコアを上げていくことの方が効果が高い、というのが現状だったようにも見えます。

 

○平均GOE2.600以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Four Continents FS 1 3Lz+3T   10.10   2.02 12.12 3.333
Skate America FS 12 SSp4   2.50   0.79 3.29 3.222
Four Continents SP 7 SSp4   2.50   0.79 3.29 3.222
Grand Prix Torino SP 2 2A   3.30   1.04 4.34 3.111
Four Continents FS 6 3Lz   6.49 x 1.85 8.34 3.111
Four Continents FS 12 SSp4   2.50   0.79 3.29 3.111
Four Continents FS 11 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
Skate America SP 1 3Lz+3T   10.10   1.69 11.79 2.889
Skate America SP 7 SSp4   2.50   0.71 3.21 2.889
Olympic Games FS 12 SSp4   2.50   0.71 3.21 2.889
Korean Championships FS 11 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.857
Korean Championships FS 2 2A+3T   7.50   1.18 8.68 2.714
Grand Prix Torino SP 7 SSp4   2.50   0.68 3.18 2.667
Four Continents SP 2 2A   3.30   0.90 4.20 2.667
Four Continents SP 5 StSq2   2.60   0.71 3.31 2.667
Four Continents FS 2 2A+3T   7.50   1.08 8.58 2.667
Olympic Games SP 5 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.667
Olympic Games SP 7 SSp2   1.60   0.43 2.03 2.667
Olympic Games FS 11 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.667

評価が高い要素にジャンプがいくつか入ってきています。最高評価は四大陸選手権のコンビネーションジャンプ。最高評価が3回転-3回転というのはなかなか珍しい選手です。

シットスピンは安定的に評価が高いです。ジャンプはダブルアクセルトリプルルッツ、この2つ起点が多いので、この2種類のジャンプは得意なジャンプと受け取ってよいのだろうと思います。

 

○3回転-3回転の要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Skate America SP 1 3Lz+3T   10.10   1.69 11.79 2.889
Grand Prix Torino FS 1 3Lz!+3T ! 10.10   0.76 10.86 1.222
Korean Championships SP 1 3Lz+3T   10.10   0.83 10.93 1.429
Korean Championships FS 1 3Lz+3T   10.10   1.53 11.63 2.429
Four Continents SP 1 3Lz!+3T ! 10.10   0.67 10.77 1.111
Four Continents FS 1 3Lz+3T   10.10   2.02 12.12 3.333
Olympic Games SP 1 3Lz!+3T ! 10.10   0.42 10.52 0.778
Olympic Games FS 1 3Lz!+3T ! 10.10   0.42 10.52 0.667

3回転-3回転は入ればすべて成功のGOEプラスになっています。スケートアメリカのフリー、グランプリトリノのショートでは予定のところでコンビネーションに出来ず、リカバリーは3-2になりました。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Skate America FS 7 3S+2T+2Lo   8.03 x 0.43 8.46 1.00
Grand Prix Torino FS 7 3S+2T+2Lo   8.03 x 0.74 8.77 1.56
Korean Championships FS 7 3S+2T+2Lo   8.03 x 0.43 8.46 0.86
Four Continents FS 7 3S+2T+2Lo   8.03 x 0.31 8.34 0.78
Olympic Games FS 7 3S+2T+2Lo   8.03 x 0.68 8.71 1.56

3連続は5試合すべてでしっかり入ってプラス評価になっています

サルコウ起点で2回転を2つ付けるもの。基礎点はそれほど高くなく、確実性を取りに行く選択になっているようです。

 

○今シーズンのマイナス評価要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Skate America FS 1 3Lzq q 5.90   -2.95 2.95 -5.000
Grand Prix Torino SP 1 3Lz   5.90   -2.95 2.95 -4.889
Korean Championships SP 4 3F< 4.66 x -0.42 4.24 -1.000
Olympic Games SP 4 3Fq q 5.83 x -0.45 5.38 -0.889
Olympic Games FS 2 2A+3Tq q 7.50   -0.06 7.44 -0.222
Olympic Games FS 6 3Lze e 5.19 x -0.54 4.65 -1.222

キムイェリム選手は今シーズン通じて減点になった要素が6つしかありませんでした。国際大会では4試合で5つ。これより少ないのは坂本選手とシェルバコワ選手くらいなものです。ジャンプの回転不足はqが3つ、<は1つだけ。アンダーローテーションは韓国選手権のもので国際大会では1つもありませんでした。極めて安定度の高い選手です。

 

ジャンプの安定度を武器にスコアを少しづつ上げてオリンピックにまでたどり着きました。年齢的には紀平梨花世代。シニアデビュー時には特に目立つところはありませんでしたが、今や韓国のトップ選手です。ここからさらに上位に行くには安定度にプラスして、一つ一つの要素の加点をもう少し伸ばしていく必要があるのだろうと思います。

韓国は来シーズンは世界選手権3枠になりました。一方で、次々にジュニアが出てくる国でもあります。二十歳になる来シーズンも活躍できるか? グランプリシリーズの表彰台チャンスも出てくると思いますし、期待してみていたいと思います。