21-22 三原舞依

1999年8月22日生まれ

シニア6シーズン目

シーズン獲得賞金:$27,000

世界ランキング:21位

シーズンランキング:8位

シーズンベストスコア 218.03 (12位) 四大陸選手権

ショートプログラムシーズンベスト 72.62 四大陸選手権

フリーシーズンベスト 145.41 四大陸選手権

ショートプログラム楽曲:レミゼラブルより

フリープログラム楽曲:フェアリーオブザフォレスト

スピンレベル4率 40/42=95.2% (国際大会:23/24=95.8%)

ステップレベル4率 9/14=64.3%(国際大会:6/8=75.0%)

スピンオールレベル4 4/6(国際大会:3/4)

スピンステップオールレベル4  2/8(国際大会:1/4)

ジャンプ要素回転不足率 3/74=4.05%(国際大会:0/40=0.00%)

ジャンプ回転不足なし 4/6(国際大会:4/4)

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 1/6(国際大会1/4)

 

○21-22シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
DL げんさんサマーカップ 3 194.75 61.83 132.92
Others Japan Open 5 124.24   124.24
CS Asian Open Figure 1 203.58 67.83 135.75
GP Skate Canada 4 210.01 67.89 142.12
GP Grand Prix Torino 4 214.95 70.46 144.49
NC 全日本選手権 4 206.86 73.66 133.20
4CC Four Continents 1 218.03 72.62 145.41
DL アンリシャルパンティエ 1 139.39   139.39

三原舞依選手の今シーズンは、多くの日本のトップ選手と同じようにげんさんサマーカップから始まりました。194.75の3位。紀平梨花選手のいないこの試合の3位は代表争いで微妙な立ち位置。当然私もいますよ、というのを示している一方、当選圏には入っていない、という位置でした。

少し空いて10月にジャパンオープン。フリーだけの試合ですが124.24とスコア伸びず。日本人だけの試合で5番手というのは嫌な立ち位置です。珍しく転倒もありました。

本格的にシーズンインはジャパンオープン終わった後、と考えるのがいいのでしょうか、すぐに北京に飛んで出場したアジアンオープンフィギュアでは200点に乗せて優勝。本人比では満足いくスコアではなさそうですが勝ちは勝ち。2シーズン前に休養していて世界ランキングポイントゼロのところから貴重な250ポイントを得ます(出場者数が減ってチャレンジャーシリーズ分のポイントはもらえませんでした)

そこからグランプリ2連戦。これこれ、これぞ三原舞依、という演技でまずはスケートカナダで210点に乗せ、グランプリトリノでは214.95までスコアを伸ばします。どちらも表彰台に届かず4位。これでグランプリシリーズは昨シーズンの国内ローカル版NHK杯も含めて7回目の4位です。なお、グランプリ最低順位も4位。誰か4位3つでメダル1つとか交換してあげてほしいです。

そんな形で表彰台は逃しましたが、この214.95は日本人選手のシーズンベスト2位という形で全日本選手権に臨むことになります。

ショートはノーミスのいい演技で73.66を出しますが5位。ただ3位とは0.61差、2位とも1.00差とほぼ差はありません。2位から6位の5人でフリー勝負という状況、むしろ圏外で先に滑る方が心理的に楽かな、という点でいい位置だったと思います。フリー、前半はいい滑りで入っていったのですが、後半に入る1.1倍のジャンプ3つ。これがことごとく決まりませんでした。この時点でトップには立つものの、最終的には4位。3位とは2.79ポイント差。失敗したアクセルの後ろにシングルトーループを付けなければとか、3連続の最後のトーループがしっかり入っていればとか、最後のループからのコンビネーションの2つ目をトーループではなくてループに出来ていればとか、ほんのわずかな違いで、また、この点差だとジャッジ運の差で、表彰台を逃した形でした。結果、オリンピックの代表からは外れます。

かわりに、ということでもないでしょうが派遣されたのは四大陸選手権。ここではショートノーミスで首位に立つとフリーは最終滑走。ジャンプ、スピン、ステップ、高いレベルで次々と決めていきます。実質的にほぼ優勝決まったかな、の最後のスピンの要素でミスが出てレベル2になるご愛敬はありましたが、ショートフリー共に1位、パーソナルベストのスコアで5年ぶり2度目の四大陸優勝を果たしました。

 

○要素別スコア

Event Pl Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
げんさんサマーカップ 3 194.75 103.50 91.25 64.82 5.26 21.76 11.66
Japan Open 5 124.24 63.12 62.12 43.24 -1.39 12.68 8.59
Asian Open Figure 1 203.58 106.86 96.72 62.56 7.02 23.63 13.65
Skate Canada 4 210.01 113.36 96.65 65.66 9.30 24.38 14.02
Grand Prix Torino 4 214.95 116.30 98.65 65.66 12.33 24.26 14.05
全日本選手権 4 206.86 107.55 99.31 59.90 7.46 24.89 15.30
Four Continents 1 218.03 115.67 102.36 65.66 11.96 22.62 15.43
アンリシャルパンティエ 1 139.39 72.03 67.36 42.93 5.74 13.20 10.16

技術点はシーズン序盤は100点台にとどまっていましたが中盤以降110点台に乗せてきます。ただ、全日本で107.55と前後の試合と比べて低めのスコアで終わってしまったのは残念でした。グランプリトリノの116.30という技術点はロシア勢以外では今シーズン5番目のスコアです。

一方PCSは100点に乗らないことが多いです。トップ選手の中では残念ながらやや低めの評価にとどまっています。四大陸では102.36と100点台に乗せてきました。5項目平均8.5前後まで出してきました。

ジャンプの基礎点は65.66というスコアが3つあります。これは、予定構成をすべて基礎点欠けることなく実施できた、という試合が3つあったということであり、なかなかない事象です。また、ジャンプの加点は2試合で10点を超えました。12.33のグランプリトリノは今シーズン11位のスコアにあたります。コンスタントに10点超えると安定して出来のいい選手、と見ていいと思います。

スピンは24点台が多いです。ステップは四大陸で15.43まで伸ばしました。今シーズン8位のスコアです。

 

○要素別偏差値

Event Pl Total J Base J GOE Spin Step PCS
げんさんサマーカップ 3 59.53 60.74 61.22 53.43 52.97 57.39
Asian Open Figure 1 61.92 59.05 64.17 59.25 60.89 61.04
Skate Canada 4 63.67 61.37 68.00 61.59 62.37 60.99
Grand Prix Torino 4 65.01 61.37 73.09 61.21 62.49 62.32
全日本選手権 4 62.81 57.06 64.91 63.18 67.46 62.76
Four Continents 1 65.84 61.37 72.47 56.11 67.98 64.80

偏差値で見ると、グランプリトリノや四大陸で65台の値になります。

ジャンプの基礎点は60に乗せたくらいですが、加点は偏差値70超えと高い評価です。

スピンは60台前半、ステップは60台後半まで出します。PCSは60台前半。

それなりに高めなジャンプの基礎点で高い評価を受けつつステップが得意、苦手な穴になる要素がない、という風に見えます。

21-22シーズン 三原舞依要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートで見るとこうなります。ジャンプの基礎点がやや偏差値伸びていないでしょうか。一方で加点は高く伸びます。

四大陸のスピンが凹んでいて目立っていますが、基本的には下、左下は高い側にいるチャートです。

 

●シーズン最高の基礎点構成

四大陸選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.75 4.05 2.444
2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
3 FSSp4   3.00   0.69 3.69 2.222
4 3F   5.83 x 1.29 7.12 2.444
5 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.889
6 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.333
7 LSp4   2.70   0.69 3.39 2.667
  TES   32.33   6.94 39.27  

ショートプログラムの最高基礎点は32.33でした。グランプリトリノ、全日本、四大陸と3試合で32.33です。基礎点が削られるミスが少ないことが見て取れます。

ルッツフリップトーループ、3回転3つで1.1倍には単独フリップが来ます。1.1倍にコンビネーションを持ってくることができれば、0.48基礎点を上げることができます。コンビネーションでGOEが1段階下がれば、その基礎点上昇は相殺されてしまうので、そのリスクを取るには確実性がかなり要求されることになります。

 

○グランプリトリノ フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+3T   10.10   1.69 11.79 2.667
2 2A   3.30   0.99 4.29 2.889
3 3F   5.30   1.44 6.74 2.667
4 3S   4.30   1.41 5.71 3.111
5 CCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.667
6 2A+3T   8.25 x 1.20 9.45 2.889
7 3Lz+2T+2Lo   9.79 x 1.01 10.80 1.778
8 3Lo   5.39 x 1.12 6.51 2.111
9 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.444
10 StSq4   3.90   1.11 5.01 3.000
11 ChSq1   3.00   1.14 4.14 2.111
12 FCCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.444
  TES   63.33   13.68 77.01  

フリーでは63.33まで基礎点を出しました。これはトリプルアクセル以上の高難度ジャンプが入っていない構成として今シーズントップの基礎点でした。これより基礎点上げるには、3Lz+3Tを3Loと入れ替えてコンビネーションすべてを1.1倍に持ってくる、という手に出れば0.52基礎点を上げることは出来ます。リカバリーが全くできなくなりますしこれくらいのバランスの方がいいような気はします。

 

○平均GOE3.000以上(国際大会+全日本選手権より)

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Four Continents FS 10 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.889
Four Continents FS 11 ChSq1   3.00   1.79 4.79 3.667
Skate Canada FS 12 FCCoSp4   3.50   1.25 4.75 3.556
全日本選手権 SP 6 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.556
全日本選手権 FS 10 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.556
全日本選手権 FS 12 FCCoSp4   3.50   1.30 4.80 3.556
Four Continents FS 9 FSSp4   3.00   1.07 4.07 3.556
Skate Canada FS 5 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.444
Skate Canada FS 10 StSq4   3.90   1.28 5.18 3.333
全日本選手権 FS 11 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.333
Four Continents SP 6 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.333
Skate Canada FS 11 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.222
全日本選手権 SP 5 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.222
Four Continents FS 5 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.222
Asian Open Figure FS 5 CCoSp4   3.50   1.11 4.61 3.125
Skate Canada SP 7 LSp4   2.70   0.85 3.55 3.111
Grand Prix Torino SP 5 CCoSp4   3.50   1.10 4.60 3.111
Grand Prix Torino FS 4 3S   4.30   1.41 5.71 3.111
全日本選手権 SP 7 LSp4   2.70   0.85 3.55 3.111
全日本選手権 FS 4 3S   4.30   1.35 5.65 3.111
全日本選手権 FS 5 CCoSp4   3.50   1.10 4.60 3.111
Asian Open Figure SP 6 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
Grand Prix Torino FS 10 StSq4   3.90   1.11 5.01 3.000

三原舞依選手はステップ、スピンと高めの評価です。シーズン最高の評価は四大陸選手権フリーで、すべてのジャンプを着氷し、ほぼ優勝が見えたところで入っていったステップからコレオの流れの要素でした。GOEの評価と共に、三原舞依選手が今シーズン一番輝いていた場面だったのだろうと思います。

ジャンプの中ではサルコウジャンプが2回、平均GOEで+3.000を超える高い評価を得ました。単独で飛ぶから、という点はあるかとは思いますが、トリプルサルコウは得意なジャンプと見てよさそうです。今シーズンとんだトリプルサルコウは全大会全ジャッジでプラス評価でした。

 

○3回転-3回転を含む要素(国際大会+全日本選手権より)

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Asian Open Figure SP 4 3F!+3T ! 10.45 x -0.18 10.27 -0.375
Asian Open Figure FS 1 3Lz+3T   10.10   1.67 11.77 2.750
Skate Canada SP 2 3Lz+3Tq q 10.10   -0.34 9.76 -0.667
Skate Canada FS 1 3Lz+3T   10.10   1.26 11.36 2.111
Grand Prix Torino SP 2 3Lz+3T   10.10   1.26 11.36 2.111
Grand Prix Torino FS 1 3Lz+3T   10.10   1.69 11.79 2.667
全日本選手権 SP 2 3Lz+3T   10.10   1.52 11.62 2.556
全日本選手権 FS 1 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.778
全日本選手権 FS 7 3Lz+3Tq+2T< 12.25 X -1.94 10.31 -3.111
Four Continents SP 2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
Four Continents FS 1 3Lz+3T   10.10   1.77 11.87 2.889

3回転-3回転の安定度も三原舞依選手は高いです。今シーズンの国際大会と全日本で、セカンド3回転が回転不足で基礎点削られたという例がありません。リカバリーで3連続の2つ目も3回転にした全日本では3つ目の2回転が回転不足と取られていますが、セカンドはqで抑えました。

 

○3連続ジャンプ(国際大会+全日本選手権より)

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Asian Open Figure FS 7 3Lz+2T+2Lo   9.79 x 0.98 10.77 1.750
Skate Canada FS 7 3Lz+2T+2Lo   9.79 x 1.10 10.89 1.667
Grand Prix Torino FS 7 3Lz+2T+2Lo   9.79 x 1.01 10.80 1.778
全日本選手権 FS 7 3Lz+3Tq+2T< 12.25 X -1.94 10.31 -3.111
Four Continents FS 7 3Lz+2T+2Lo   9.79 x 1.35 11.14 2.222

3連続ジャンプはルッツ起点で2回転を2つ付けるのが基本形です。国際大会では問題なく成功させているのですが、全日本でセカンド3回転にしたこともあり大きくGOEマイナスとなりました。これが成功していればオリンピックだったのですが・・・。

 

○回転不足があった要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
げんさんサマーカップ SP 2 3Lz+3T< 9.26   -0.44 8.82 -0.750
Japan Open FS 6 2Aq+3T<< <<  5.06 X -1.57 3.49 -4.667
全日本選手権 FS 7 3Lz+3Tq+2T< 12.25 X -1.94 10.31 -3.111

今シーズン回転不足があった要素はすべての試合を通じて3つだけでした。それもすべて国内の試合で出たもので、国際大会では1つの回転不足もありません(qまではあります)。素晴らしい安定感でした。ただ、全日本の回転不足は、結果的に致命傷になった、というのは運命のめぐりあわせでしょうか。

 

あと一歩、あと半歩、あと0.1歩くらいの差でオリンピックを逃した三原舞依選手。それでも四大陸選手権は獲りました。チャンピオンシップ2勝目。素晴らしい出来でした。全日本の直接対決でスコアとして僅差とはいえ負けたのは事実なので、オリンピック代表に選出されないのは仕方ないと思いますが、世界選手権はあってもよかったのではと思います。

218.03という四大陸選手権のスコアは世界選手権2位相当のスコア。オリンピックでも5位相当のスコアです。これでもシーズン通じての日本人としてのスコア順位は3番目、というのが日本の恐ろしさ。来期も厳しい戦いが待っています。

全日本とグランプリシリーズ、4位が多い三原選手のめぐりあわせ。来期のグランプリシリーズはメンバーがおそらくだいぶ変わることになるわけで、初優勝の芽もありますし、ファイナル進出チャンスもあるでしょうし、そうやって活躍してPCSの評価が上がっていく、ということもあるのでしょう。運に恵まれないことも多い選手のような感じがありますが、来期は不運をねじ伏せる活躍が期待できそうに感じます。