21-22 ジェイソンブラウン

1994年12月15日生まれ

シニア9シーズン目

シーズン獲得賞金:$22,000

世界ランキング:6位

シーズンランキング:7位

シーズンベストスコア 281.24(8位) オリンピック

ショートプログラムシーズンベスト 97.24 オリンピック

フリーシーズンベスト 184.00 オリンピック

ショートプログラム楽曲:シナーマン

フリープログラム楽曲:シンドラーのリストより

スピンレベル4率 25/30=83.3%

ステップレベル4率 10/10=100%

スピンオールレベル4 1/5

スピンステップオールレベル4  1/5

ジャンプ要素回転不足率 1/50=2.00%

ジャンプ回転不足なし 4/5

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 1/5

 

○21-22シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
CS Finlandia Trophy 1 262.52 92.39 170.13
GP Skate Canada 2 259.55 94.00 165.55
GP Internationaux de France 3 264.20 89.39 174.81
NC US Championships 4 289.78 100.84 188.94
OG Olympic Games 6 281.24 97.24 184.00

すっかりベテランのジェイソンブラウン選手。8年ぶり2度目のオリンピックを目指すシーズンです。

シーズン初戦はフィンランディア杯となりました。262.52 ジェイソンブラウン選手の標準位のスコアでまず優勝します。4回転無しでもショートで90点台を普通に出してくるジェイソンブラウン選手です。

グランプリは2戦。ショートは4回転無しで94.00まで来てノ2位スタート。フリーはこの時期は4回転を試してきますがダウングレード。165.55とそれほどスコアは伸びませんでしたが2位に入ります。

2戦目はフランス。ショートでトリプルアクセルにqがついて90点に届きませんでした。フリーは4回転サルコウで基礎点満額もらいGOEもわずかなマイナスで実質的に成功ジャンプになりました。後半ジャンプが乱れる場面もありましたがコレオ満点などでまとめ174.81 3位表彰台でグランプリファイナル進出券を得ました。これでグランプリシリーズ3位は4回目、2位は6回ありファイナル進出権獲得は2回目ですが、優勝がまだなかったりするジェイソンブラウン選手です。

ファイナルは中止で次戦は全米選手権。シニアの有力選手は3人でその下とは少し差があるな、という感じだったのですが、ここでジュニアから殴り込みをかけてきた選手がいてピンチが訪れます。ショートは4回転無しで100.84と100点に乗せたのですがそれでも4位。ネイサンチェン選手、ヴィンセントジョウ選手までは予想できる展開ではありましたが、ここにジュニアのイリアマリニン選手が入ってきます。

フリーは4回転サルコウを投入しますが転倒、以降はほぼノーミスなのですが最後のスピンがレベル2になりました。4回転決まらずでフリー188.94というのはとてつもないスコアではあるのですが、それでもトータル4位。表彰台には0.38差 スピンレベル2が致命傷でした。

ちょっと危なかったのですが、経験の差、ということでオリンピックの代表には選出されます。

3番手扱いということでか団体戦の出場はなし。個人戦からの登場です。ショートプログラムは全要素全ジャッジプラス2以上という高評価で4回転無しながら97.24の6位スタート、フリー最終グループに入ります。フリーは4回転を入れて表彰台を目指すか、4回転無しでパーフェクトを目指すか。ここで4回転無し構成を選んでフリーは全要素全ジャッジプラス1以上の評価を得て184.00 トータル281.24で6位となりました。全要素全ジャッジプラス評価はジェイソンブラウン選手のみ。4回転は入りませんでしたが、それでもここまでできる、というのを見せてくれました。

 

○要素別スコア

Event Pl Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Finlandia Trophy 1 262.52 126.04 137.48 74.57 8.40 26.75 16.32
Skate Canada 2 259.55 124.14 136.41 75.66 5.40 26.22 16.86
Internationaux de France 3 264.20 125.16 139.04 76.87 6.10 25.38 16.81
US Championships 4 289.78 145.57 145.21 84.36 16.71 27.30 17.20
Olympic Games 6 281.24 137.61 143.63 74.46 17.77 28.29 17.09

シーズンベストはオリンピックの281.24で今シーズン8位のスコアでした。

技術点はオリンピックの137.61が最高、一方PCSはオリンピックでは143.63まで出しました。5項目平均で9.5を超える高いスコア。今シーズン2位に相当します。PCS側にだいぶ寄っている選手です。

ジャンプの基礎点は70点台半ばです。この基礎点に対して加点がオリンピックで17.77出ました。この加点は今シーズン5位に相当します。

スピンはオリンピックで驚異の28.29 全選手中最高。2位の宇野昌磨選手で27.01ですからとびぬけて高いスコアになっています。

ステップ系要素でオリンピックの17.09がありますがこれも全選手中最高です。2位の羽生結弦選手で16.39ですから、やはり飛びぬけて高い評価になります。全米選手権は国内参考記録ながら17.20となっており、ステップ2つとコレオすべて満点評価となっていました。

 

○要素別偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
Finlandia Trophy 1 64.53 50.28 64.65 69.75 71.03 70.75
Skate Canada 2 63.72 50.98 60.72 68.03 73.36 70.02
Internationaux de France 3 64.98 51.76 61.64 65.30 73.15 71.81
US Championships 4 71.94 56.55 75.52 71.53 74.83 75.99
Olympic Games 6 69.62 50.21 76.91 74.74 74.36 74.92

偏差値に直すと、トータルスコアはオリンピックで70の近いところまで出ていました。

ジャンプの基礎点は50前後 グランプリシリーズやチャレンジャーシリーズに出る全選手の中で普通くらい、という位置になっています。

ジャンプの加点の方はオリンピックで70台後半と伸ばしました。

スピンはレベルの取りこぼしがあるときもあって60台が多いですが、オールレベル4のオリンピックでは74.74と70台中盤まで出ていますし、ステップは常に偏差値70台、PCSも70台です。ジャンプの基礎点以外は極めて高い評価を受けています。

 

21-22シーズン ジェイソンブラウン要素別レーダーチャート

レーダーチャートはこうなって、とにかく右上が凹んでいる、という形です。4回転無しルールで戦ったら誰も太刀打ちできないんじゃ、みたいなことになっています。

 

●シーズン最高の基礎点構成

○オリンピック ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3F   5.30   1.89 7.19 3.444
2 3A   8.00   2.17 10.17 2.778
3 FSSp4   3.00   1.03 4.03 3.444
4 3Lz+3T   11.11 x 1.94 13.05 3.222
5 StSq4   3.90   1.95 5.85 4.889
6 CCoSp4   3.50   1.50 5.00 4.333
7 CCSp4   3.20   1.46 4.66 4.556
  TES   38.01   11.94 49.95  

ショートプログラムの最高基礎点は38.01でした。4回転なし。1.1倍はコンビネーション。スピンステップレベル4でこの値になります。全体の最高基礎点が49.87ですから11.86の差があり、トップと勝負するのは非常に苦しいというのは認めざるを得ないかと思いますが、4回転2本で45.80という構成の選手が多く、この辺までなら7.79の差。GOEで稼げないくらいの選手になら4回転無しでも出来栄えとPCS差で上回っていける、という形になっています。

 

○フランス杯 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4S   9.70   -0.97 8.73 -1.000
2 3A+2T   9.30   1.94 11.24 2.333
3 3Aq q 8.00   -0.46 7.54 -0.444
4 CCoSp4   3.50   1.25 4.75 3.667
5 2Lo   1.70   0.29 1.99 1.778
6 3F+3T   10.45 x 1.97 12.42 3.778
7 3Lz!+1Eu+1S ! 7.48 x -0.34 7.14 -0.444
8 ChSq1   3.00   2.50 5.50 5.000
9 3F   5.83 x 1.97 7.80 3.778
10 FCCoSp4   3.50   1.25 4.75 3.556
11 StSq4   3.90   1.67 5.57 4.333
12 CCSp4   3.20   1.46 4.66 4.444
  TES   69.56   12.53 82.09  

フリーの最高基礎点は69.56でした。全体の最高基礎点が97.50ですので30点近い差があります。90点超える選手は少ないですが、それでも上位と戦うには20点近い基礎点差を他で埋め合わせないといけないことになります。

この構成は4回転が1本基礎点満額で入りました。2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルトリプルフリップ。この時はループが1つ2回転になり、3連続の3つ目が1回転になりました。その2つをしっかり3回転に出来ていたら、7.49基礎点を上げることが出来て77.05にまで出来ました。ジェイソンブラウン選手はそこがマックスでしょう。4回転無し構成だとノーミスで70,45まであります。やはり普通に滑ると世界の頂点と戦うには少し辛いのは否めません。

 

○平均GOE4.500以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Internationaux de France FS 8 ChSq1   3.00   2.50 5.50 5.000
US Championships FS 8 ChSq1   3.00   2.50 5.50 5.000
US Championships FS 11 StSq4   3.90   1.95 5.85 5.000
Skate Canada FS 8 ChSq1   3.00   2.50 5.50 4.889
US Championships SP 1 3F   5.30   2.65 7.95 4.889
US Championships SP 5 StSq4   3.90   1.95 5.85 4.889
US Championships SP 7 CCSp4   3.20   1.60 4.80 4.889
Olympic Games SP 5 StSq4   3.90   1.95 5.85 4.889
Olympic Games FS 8 ChSq1   3.00   2.50 5.50 4.889
Olympic Games FS 12 CCSp4   3.20   1.60 4.80 4.889
US Championships FS 9 3F   5.83 x 2.57 8.40 4.778
Internationaux de France SP 5 StSq4   3.90   1.84 5.74 4.667
US Championships FS 4 CCoSp4   3.50   1.65 5.15 4.667
US Championships FS 6 3F+3T   10.45 x 2.50 12.95 4.667
Olympic Games FS 11 StSq4   3.90   1.84 5.74 4.667
Finlandia Trophy FS 8 ChSq1   3.00   2.33 5.33 4.625
Finlandia Trophy FS 12 CCSp4   3.20   1.49 4.69 4.625
Skate Canada SP 5 StSq4   3.90   1.78 5.68 4.556
Skate Canada FS 11 StSq4   3.90   1.78 5.68 4.556
US Championships SP 6 CCoSp4   3.50   1.60 5.10 4.556
US Championships FS 10 FCCoSp4   3.50   1.60 5.10 4.556
Olympic Games SP 7 CCSp4   3.20   1.46 4.66 4.556

ジェイソンブラウン選手の各要素の評価は極めて高いです。平均GOE+5.000 つまり全ジャッジ満点がナショナル含めてですが3つもあります。平均GOE+4.889は1人以外の全員が+5を付けて、採点的には満点になるのですが、これも7つもあります。コレオシークエンスは5回滑って4回満点だったことになります。ステップも10回中3回が満点。他にスピンの満点もありましたし、ナショナルですがトリプルフリップも満点がついていました。

4回転はないですが、極めて評価の高いスケーティングになっています。

 

○4回転サルコウ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Skate Canada FS 1 4S<< <<  4.30   -2.03 2.27 -4.667
Internationaux de France FS 1 4S   9.70   -0.97 8.73 -1.000
US Championships FS 1 4Sq F 9.70   -4.85 4.85 -4.889

4回転サルコウはまだ挑戦中といったところで今シーズンは3回飛びました。しっかり着氷したのは1度だけ。まだ博打ジャンプの水準なようです。

 

トリプルアクセルを含む要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Finlandia Trophy SP 2 3A   8.00   1.07 9.07 1.250
Finlandia Trophy FS 2 3A+2T   9.30   1.33 10.63 1.750
Finlandia Trophy FS 3 3A   8.00   -4.00 4.00 -5.000
Skate Canada SP 2 3Aq q 8.00   -0.11 7.89 -0.111
Skate Canada FS 2 3A   8.00   -4.00 4.00 -5.000
Skate Canada FS 3 3A+2T   9.30   1.14 10.44 1.444
Internationaux de France SP 2 3Aq q 8.00   -2.51 5.49 -3.111
Internationaux de France FS 2 3A+2T   9.30   1.94 11.24 2.333
Internationaux de France FS 3 3Aq q 8.00   -0.46 7.54 -0.444
US Championships SP 2 3A   8.00   2.74 10.74 3.444
US Championships FS 2 3A+2T   9.30   2.29 11.59 2.667
US Championships FS 3 3A   8.00   2.86 10.86 3.444
Olympic Games SP 2 3A   8.00   2.17 10.17 2.778
Olympic Games FS 2 3A+2T   9.30   2.17 11.47 2.778
Olympic Games FS 3 3A   8.00   2.51 10.51 3.222

トリプルアクセルは1試合で3回飛びます。シーズン中盤まではこれが3回飛ぶと1回ミスが出るかたちで3本そろわなかったのですが、全米選手権、オリンピックと大事なところでは3本そろえることが出来ていました。

 

○セカンド3回転の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Finlandia Trophy SP 4 3Lz+3T   11.11 x 1.48 12.59 2.625
Skate Canada SP 4 3Lz+3T   11.11 x 1.85 12.96 3.111
Skate Canada FS 6 3F+3T   10.45 x 1.74 12.19 3.333
Internationaux de France SP 4 3Lz+3T   11.11 x 1.94 13.05 3.222
Internationaux de France FS 6 3F+3T   10.45 x 1.97 12.42 3.778
US Championships SP 4 3Lz+3T   11.11 x 2.11 13.22 3.444
US Championships FS 6 3F+3T   10.45 x 2.50 12.95 4.667
Olympic Games SP 4 3Lz+3T   11.11 x 1.94 13.05 3.222
Olympic Games FS 6 3F+3T   10.45 x 1.97 12.42 3.667

3回転-3回転がジェイソンブラウン選手はショートフリーで入ってきます。これの確率は高かったです。基本的にGOEは+3以上であり、しっかり点を取ることが出来ています。

 

○3連続の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Finlandia Trophy FS 7 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.38 13.15 2.375
Skate Canada FS 7 3Lz+1Eu+2S   8.47 x 1.26 9.73 2.222
Internationaux de France FS 7 3Lz!+1Eu+1S ! 7.48 x -0.34 7.14 -0.444
US Championships FS 7 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 2.02 13.79 3.444
Olympic Games FS 7 3Lz+1Eu+2S   8.47 x 1.18 9.65 2.222

3連続はルッツ起点で最後にサルコウが入ります。これはサルコウがしっかり3回転に出来たのが2回だけ。大きなミスには見えないのですが、サルコウが1回転になると基礎点が大きく削られるので痛いです。4回転無しだけにこういうところで基礎点を削られたくないのですが、オリンピックもここで2回転になっていました。これが3回転に出来てれば、オリンピックは4位にまでなっていたはずです。

 

すっかりベテランのジェイソンブラウン選手。今シーズンも他にはない個性でいい演技を見せてくれていました。全米選手権4位。4年前の悪夢が頭をよぎりましたが何とか代表に選ばれ、オリンピックでも6位入賞。チャンピオンシップの表彰台には届いていませんが、唯一無二の存在として独自の立場を築いているように感じます。

現在27歳。4年後には31歳になります。男子はこれくらいまで現役を続ける選手も結構な数いますが、ブラウン選手はどうでしょう? またNHK杯あたりで試合で来日していただけるとよいのですけれど、その辺はエントリー次第ですかね。

長いご活躍を祈願いたします。