アンナシェルバコワ Anna SHCHERBAKOVA 19-20

2004年3月28日生まれ

シニア1シーズン目

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シーズン獲得賞金:$70,000

世界ランキング:9位

シーズンランキング:3位

シーズンベストスコア 240.92(3位) グランプリファイナル

ショートプログラムシーズンベスト 78.27 グランプリファイナル

フリーシーズンベスト 162.65 グランプリファイナル

ショートプログラム楽曲: Perfume より

フリープログラム楽曲: Gnossienne No.1 / Firebird

スピンレベル4率 28/30=93.3%

ステップレベル4率 5/10=50.0%

スピンオールレベル4 5/5

スピンステップオールレベル4 3/5

ジャンプ回転不足率  9/50=18.0%

ジャンプ回転不足なし試合 0/5

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/5

 

 ●アンナシェルバコワ選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
CS Lombardia Trophy 1 218.20 67.73 37.09 30.64 150.47 86.15 64.32
GP Skate America 1 227.76 67.60 36.91 31.69 160.16 92.20 67.96
GP Cup of China 1 226.04 73.51 40.08 33.43 152.53 84.71 67.82
GPF Grand Prix Final 2 240.92 78.27 43.72 34.55 162.65 94.52 69.13
ECC Europe Championships 2 237.76 77.95 42.78 35.17 159.81 89.62 71.19

シェルバコワ選手は今シーズンシニアデビューです。エテリ三人衆の一人として、シーズン前から注目されていました。ただ、三人の中では一人だけ、国際舞台での大きなタイトルがありませんでした。強豪ぞろいのロシア選手権でジュニアながら優勝はしていましたが、ジュニアグランプリファイナルは5位ですし、世界ジュニアはトゥルソワ選手に敗れ2位。雰囲気としては三番手なのかな? という感じのものが漂っていました。

 

シニアデビュー戦はチャレンジャーシリーズロンバルディア杯。218.20はもちろん高いスコアではあるのですが、エテリ組の後の二人と比べるとややインパクトが弱かったのも事実です。それでもフリーでは4回転ルッツを決めての150点到達。力のあるところを見せます。

グランプリも2戦2勝。220点台なので、紀平選手とぶつかっていたら、実はこの段階では負けていたのですが、組み合わせの関係でそうはならず。グランプリシリーズ開幕戦のスケートアメリカではフリーで160点到達。ここでインパクトを残します。

2戦2勝で進んだファイナルは、この時点ではベストスコアは4位だったのですが、ショートフリーとノーミスに近い演技で240点に乗せて、コストルナヤ選手に次ぐ2位にまで入ってきました。

その勢いでロシア選手権はコストルナヤ選手にも勝って優勝、連覇を果たします。

ヨーロッパ選手権は2位。そして、世界選手権は中止。

ということで、結果的に今シーズンも国際大会の大きなタイトルは取れなかったのですが、ロシア選手権では連覇を果たしており、力のあるところを見せています。

 

●アンナシェルバコワ選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
CS Lombardia Trophy 1 218.20 123.24 94.96 85.45 24.21 13.58
GP Skate America 1 227.76 129.11 99.65 92.03 26.78 10.30
GP Cup of China 1 226.04 124.79 101.25 87.46 24.79 12.54
GPF Grand Prix Final 2 240.92 138.24 103.68 96.12 27.16 14.96
ECC Europe Championships 2 237.76 132.40 106.36 91.73 26.70 13.97

要素別を並べてみると、シニア1シーズン目だなあ、というのが感じ取れるスコア変遷になっています。

PCSがシーズン初戦から毎試合上がっていく、という形になりました。ロンバルディア杯ではショートフリー合わせて95点にも届かず、ということで評価が低かったのですが、グランプリ二戦目の中国杯の時点で100点到達。ファイナルでは103.68、ヨーロッパ選手権では106.36にまで至りました。初戦はあまり評価してもらえず、シーズン通じていい演技をすることでPCSが上がっていく、というのがシニアデビューシーズンのよくある姿。それを体現したのが今シーズンのシェルバコワ選手のように感じます

ジャンプは最高で96.12 これは上にトゥルソワ選手とコストルナヤ選手がいます。

スピンは最高で27.16 これも極めて高いスコアで、上にはワリエワ選手とザギトワ選手だけです。

ステップの14.96は、割と高い方というくらいで、15点台がたくさんいますので、とてつもないというほどではありません

 

 ●アンナシェルバコワ選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
Lombardia Trophy 1 66.34 69.51 67.36 62.43 61.46 60.35
Skate America 1 68.93 72.57 71.48 70.95 46.63 63.43
Cup of China 1 68.47 73.15 62.02 64.35 56.75 64.48
Grand Prix Final 2 72.51 78.70 63.71 72.21 67.69 66.07
Europe Championships 2 71.65 73.96 67.56 70.68 63.22 67.83

要素別に偏差値を取ると、流石にジャンプの基礎点がすごい値となりました。グランプリファイナルのジャンプ基礎点偏差値は78.7 驚異的な領域です。GOEの方はスケートアメリカの偏差値が70超えていますが、あとは60台。GOEで稼ぐというよりも高い基礎点で勝負という姿が見えます。

スピンも偏差値70台に乗りました。

ステップはあまり得意ではないようですが、グランプリファイナルでは60台後半の偏差値。十分に高い領域です。

ステップもある程度克服して、PCSも伸びてきて、シーズン後半は穴がなくなってきています。

 

 

アンナシェルバコワスケート偏差値

レーダーチャートはこうなります。突出しているのはジャンプの基礎点。ただ、ヨーロッパ選手権あたりだと、それほどでもなく、回転不足なく滑れるかどうかが一つのポイントなようにも見えます。

グランプリファイナル並みのジャンプの基礎点をそろえられて、ヨーロッパ選手権並みのPCSをもらえると、250点が見えてくるんでしょうか

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Grand Prix Final 1 2A   3.30   1.08 4.38 3.444
Grand Prix Final 2 3F   5.30   1.82 7.12 3.444
Grand Prix Final 3 FCSp4   3.20   1.10 4.30 3.333
Grand Prix Final 4 3Lz+3Lo   11.88 x 1.69 13.57 2.889
Grand Prix Final 5 LSp4   2.70   1.20 3.90 4.333
Grand Prix Final 6 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.667
Grand Prix Final 7 CCoSp4   3.50   1.60 5.10 4.444
Grand Prix Final   TES   33.78   9.94 43.72  

シェルバコワ選手はトリプルアクセルがありません。ただ、トリプルアクセル無し勢の中で、ショートプログラムの基礎点は最高値の33.78となっています。ジャンプ構成で1.1倍ボーナスをルッツループで得る、というのがダブルアクセル組で最高値にたどり着くための条件です。

全選手の最高基礎点はコストルナヤ選手の37.65ですので、基礎点差は3.87  基礎点高い方がGOEも稼ぎやすくなるので、同じような出来栄えになると5点ほどの差がつくという構成差になります。ノーミスで滑ってPCSを36点とかもらえると、80点まで見えてくる水準ではあるのですが、トリプルアクセル無しで80点まで届かせるのはそう簡単なことではありません。ただ、それができたのが、ロシア選手権のショート79.93というスコアだったりもしました。ロシアは、国内選手権の点数をそのままうのみにはちょっとしがたいですが、条件揃えばそこまで行く、というのが見えているのも事実です。

 

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Grand Prix Final 1 4Lz+3T   15.70   3.45 19.15 3.000
Grand Prix Final 2 4F   11.00   -5.50 5.50 -4.889
Grand Prix Final 3 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
Grand Prix Final 4 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
Grand Prix Final 5 4Lz< 9.20   -0.39 8.81 -0.444
Grand Prix Final 6 FCSp4   3.20   0.96 4.16 3.000
Grand Prix Final 7 3Lz+3Lo   11.88 x 0.84 12.72 1.222
Grand Prix Final 8 3F+1Eu+3S   11.11 x 1.29 12.40 2.444
Grand Prix Final 9 3Lz   6.49 x 1.69 8.18 3.000
Grand Prix Final 10 FCCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.333
Grand Prix Final 11 StSq4   3.90   1.28 5.18 3.333
Grand Prix Final 12 CCoSp4   3.50   1.55 5.05 4.333
Grand Prix Final   TES   85.78   8.74 94.52  


フリーの最高基礎点もグランプリファイナルで85.78でした。これは四回転ルッツが一つ回転不足でのスコア。回転が足りていたら88.08まで高まる計算になっています。

この85.78より高い基礎点を今シーズン出しているのは、トゥルソワ選手ただ一人です。シェルバコワ選手が88.08まで出しても、トゥルソワ選手の最高基礎点は88.40なので、まだわずかに足りませんが、ほぼそれに匹敵するところにまで行きます。

 

●平均GOE+3.200以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Skate America SP 5 LSp4   2.70   1.23 3.93 4.444
Grand Prix Final SP 7 CCoSp4   3.50   1.60 5.10 4.444
Grand Prix Final SP 5 LSp4   2.70   1.20 3.90 4.333
Grand Prix Final FS 12 CCoSp4   3.50   1.55 5.05 4.333
Skate America FS 12 CCoSp4   3.50   1.45 4.95 4.111
Cup of China SP 5 LSp4   2.70   1.12 3.82 4.111
Europe Championships SP 7 CCoSp4   3.50   1.45 4.95 4.111
Europe Championships SP 5 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
Europe Championships FS 12 CCoSp4   3.50   1.40 4.90 3.889
Grand Prix Final SP 6 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.667
Skate America SP 7 CCoSp4   3.50   1.30 4.80 3.556
Skate America SP 2 3F   5.30   1.82 7.12 3.444
Grand Prix Final SP 1 2A   3.30   1.08 4.38 3.444
Grand Prix Final SP 2 3F   5.30   1.82 7.12 3.444
Europe Championships SP 3 FCSp4   3.20   1.10 4.30 3.444
Europe Championships FS 10 FCCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.444
Grand Prix Final SP 3 FCSp4   3.20   1.10 4.30 3.333
Grand Prix Final FS 10 FCCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.333
Grand Prix Final FS 11 StSq4   3.90   1.28 5.18 3.333
Lombardia Trophy SP 5 LSp4   2.70   0.92 3.62 3.286
Skate America SP 3 FCSp4   3.20   1.10 4.30 3.222
Skate America FS 6 FCSp4   3.20   1.05 4.25 3.222
Europe Championships FS 1 4Lz+3T   15.70   3.61 19.31 3.222
Europe Championships FS 9 3Lz   6.49 x 1.85 8.34 3.222

平均GOE+3.200以上の要素にはスピンが並んでいます。この辺が、スピンで最高27点を超えるところまで稼いでいることの一つの現れでしょうか。

ステップは一つだけ、グランプリファイナルのショートで大きく稼ぎました。

ジャンプは、基礎点で稼ぐものであって加点で稼ぐもの、という形にはあまりなっていないようです。

ただ、それでも、4Lz-3Tという超高難度コンビネーションで、+3.222というすごい加点を引き出したことがありました。

 

 

●四回転ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Lombardia Trophy FS 1 4Lz   11.50   2.53 14.03 2.000
Skate America FS 1 4Lz+3T   15.70   2.96 18.66 2.667
Skate America FS 2 4Lz   11.50   3.29 14.79 2.889
Cup of China FS 1 4Lz!<+3T 13.40   -0.92 12.48 -1.000
Cup of China FS 2 4Lz! ! 11.50   0.66 12.16 0.556
Grand Prix Final FS 1 4Lz+3T   15.70   3.45 19.15 3.000
Grand Prix Final FS 2 4F   11.00   -5.50 5.50 -4.889
Grand Prix Final FS 5 4Lz< 9.20   -0.39 8.81 -0.444
Europe Championships FS 1 4Lz+3T   15.70   3.61 19.31 3.222
Europe Championships FS 2 4F< 8.80   0.50 9.30 0.556
Europe Championships FS 5 4Lz<< <<  5.90   -2.95 2.95 -5.000

 

今シーズン四回転は、初戦は1本だけでしたが、グランプリシリーズで2本になり、ファイナル以降は3本になりました。

全体で11本。フリップが2回、単独ルッツが5回、コンビネーションでルッツは4回です。回転不足率は4/11なので4割弱。転倒は2回。

フリップは回転が足りての転倒か、回転不足なので、成功率はゼロ、と見るのが良いでしょうか。ロシア選手権ではGOEわずかにマイナスですが、着氷していますけれど。

単独ルッツはシーズン序盤は良かったのですが、中盤以降うまくいかず、特に、5番目の要素に入れるようになったファイナル以降、つまり、四回転3本構成にしていこうは回転不足となっています。

コンビネーションでのルッツは成功率3/4  冒頭に飛ぶことで高い集中力があるためでしょうか、単独ルッツよりもむしろうまく跳べていたりします。

四回転三本構成はまだ成功していませんし、それ以前に四回転のフリップはまだ成功と言えるものがありませんが、この3本が決まるようになると、とてつもないことになってきます。

ちょっと変わっているのは、飛ぶ4回転が、基礎点高い側からなところでしょうか。ルッツで始まって次にフリップ。トーループは入ってきていない。これは、どういうことなんでしょうかね。

 ●3連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Lombardia Trophy FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 x 0.42 11.53 0.714
Skate America FS 8 3F+1Eu+3S< 10.16 x -0.23 9.93 -0.556
Cup of China FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 x 0.98 12.09 1.889
Grand Prix Final FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 x 1.29 12.40 2.444
Europe Championships FS 8 3F+1Eu+3S   11.11 x 1.14 12.25 2.222

3連続ジャンプは3F-1Eu-3Sで固定。成功率は4/5で80% ただ、失敗の時も、三つ目のサルコウが回転不足になり、GOEもわずかにマイナス、という程度で、3連続にならなかったり、転倒したりといったことはありません。

 

●セカンドループ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Lombardia Trophy SP 4 3Lz+3Lo< 10.80 x -0.24 10.56 -0.286
Lombardia Trophy FS 2 3F+3Lo   10.20   1.27 11.47 2.571
Skate America SP 4 3Lz+3Lo< 10.80 x -0.84 9.96 -1.444
Skate America FS 7 3Lz+3Lo< 10.80 x 0.17 10.97 0.222
Cup of China SP 4 3Lz!+3Lo ! 11.88 x 0.25 12.13 0.444
Cup of China FS 7 3Lz!+3Lo ! 11.88 x 0.51 12.39 0.889
Grand Prix Final SP 4 3Lz+3Lo   11.88 x 1.69 13.57 2.889
Grand Prix Final FS 7 3Lz+3Lo   11.88 x 0.84 12.72 1.222
Europe Championships SP 4 3Lz+3Lo   11.88 x 1.60 13.48 2.667
Europe Championships FS 7 3Lz+3Lo< 10.80 x -0.08 10.72 -0.222

 

シェルバコワ選手はルーパー族の一員。ショートフリーでどちらも3Lz-3Loを投入してきます。ルッツループは全9回中回転不足が4回。フリップループの時の成功を含めて、成功率は6割。まあ失敗してもそれほど大きな減点ではないので、特にフリーでは元は取れていると思います。多少減点があっても、セカンド3Loを入れることにより、セカンド3Tを2回というような構成にせずに、4Lzと3Lzを2回という、ルッツ4回構成を組むことが出来ています。

 

●単独三回転

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Lombardia Trophy SP 2 3F   5.30   0.85 6.15 1.429
Lombardia Trophy FS 9 3Lz   6.49 x 1.42 7.91 2.286
Skate America SP 2 3F   5.30   1.82 7.12 3.444
Skate America FS 9 3Lz   6.49 x 1.52 8.01 2.667
Cup of China SP 2 3F   5.30   1.59 6.89 3.000
Cup of China FS 9 3Lz! ! 6.49 x 0.34 6.83 0.444
Grand Prix Final SP 2 3F   5.30   1.82 7.12 3.444
Grand Prix Final FS 9 3Lz   6.49 x 1.69 8.18 3.000
Europe Championships SP 2 3F   5.30   1.59 6.89 3.111
Europe Championships FS 9 3Lz   6.49 x 1.85 8.34 3.222


実は、4回転が二つあるのに単独のダブルアクセルも二つある、という不思議構成なためなのですが、3Loや3Sをコンビネーションの後ろで使うことにより、こういったかたちになりました。単独の三回転ジャンプの要素を並べても、シーズン全部合わせてこれしかない、というのがシェルバコワ選手の特徴です。ショートは3回転のジャンプが1つだけ、というのはあたりまえなのですが、フリーも1つしかありません。

シェルバコワ選手のジャンプ構成というのは、シーズン通じでコンビネーションも含めて、2回転ジャンプというものがありません。二回転半、としてみなすダブルアクセルはあるのですが、コンビネーションは2連続はセカンドが3Tか3Lo、3連続は-1Eu-3Sになり、二回転ジャンプを使わないのです。それでもシーズン通じて一度くらいは、余裕がなくて2回転にしてしまう、みたいなことが普通はありそうなものですが、シェルバコワ選手はそれさえもなく、シーズン通じて2回転ジャンプを使いませんでした。

 

その結果の裏返しとして、単独の3回転ジャンプも少なくなっています。

ちょっと意外なところとしては、コンビネーションや四回転でもそうなのですが、ルッツに結構!がつくんですね。中国杯なんかだと、ショートフリーで5回飛んでルッツすべてに!がついていました。

ただ、ファイナルやヨーロッパ選手権では!がつかず。ジャッジによるのか、修正が進んでいるのか。何とも言えませんが、少し気になる部分ではあります。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Lombardia Trophy SP 6 StSq3   3.30   0.79 4.09 2.286
Lombardia Trophy FS 3 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.143
Lombardia Trophy FS 11 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.857
Skate America SP 6 StSq4   3.90   -1.34 2.56 -3.333
Skate America FS 3 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.778
Skate America FS 11 StSq2   2.60   0.78 3.38 2.889
Cup of China SP 6 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.778
Cup of China FS 3 ChSq1   3.00   1.29 4.29 2.556
Cup of China FS 11 StSq3   3.30   0.75 4.05 2.333
Grand Prix Final SP 6 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.667
Grand Prix Final FS 3 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
Grand Prix Final FS 11 StSq4   3.90   1.28 5.18 3.333
Europe Championships SP 6 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.111
Europe Championships FS 3 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.111
Europe Championships FS 11 StSq3   3.30   1.04 4.34 3.111

ステップシークエンスは、シーズン後半の方が点が出るようになってきたかな、という風に見えます。ジャンプやスピンほど、得意とはいいがたいようですが、それでもレベル4を普通に取るようになってきましたし、平均GOEが3を超えるようになってますし、弱点とはとてもいいがたいくらいになってきました。

 

●平均GOE+4.000以上のスピン

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Skate America SP 5 LSp4   2.70   1.23 3.93 4.444
Skate America FS 12 CCoSp4   3.50   1.45 4.95 4.111
Cup of China SP 5 LSp4   2.70   1.12 3.82 4.111
Grand Prix Final SP 5 LSp4   2.70   1.20 3.90 4.333
Grand Prix Final SP 7 CCoSp4   3.50   1.60 5.10 4.444
Grand Prix Final FS 12 CCoSp4   3.50   1.55 5.05 4.333
Europe Championships SP 7 CCoSp4   3.50   1.45 4.95 4.111

スピンは高評価が結構並びます。レイバックスピンで高評価を得る選手というのは多数いるのですが、チェンジフットコンビネーションスピンで、平均GOE+4を何度も超えてくる選手というのは少ないです。

グランプリファイナルのCCoSpの平均GOE+4.444というのは全選手中2番目、シニアではザギトワ選手と並んでトップの評価でした。

 

今シーズンシニアデビュー。全勝したコストルナヤ選手、驚異的な技術点をたたき出した四回転神トゥルソワ選手、二人の間に少し埋もれてしまった感じもありますが、実際には素晴らしい実績を上げたシーズンでした。シーズン通じて負けた相手はコストルナヤ選手のみです。

 

演技の方は、まだ、難しい技発表会、というように感じる側面もあるように思います。フリーの衣装早替えも、曲が変わるからという部分もあるでしょうけれど、そういう目を引く演出をすることで、シニアを何年もやっている選手との差を埋めようとしているというところがあるのではないかと思われます

ただ、エテリ三人衆の中で、今シーズン一番成長したのはシェルバコワ選手なのかな、とも感じました。年を取ればすぐにジャンプ跳べなくなるよ、という声もあるようですが、シニアに上がった今シーズンも、まだ、下降線ではなく成長段階にしっかりありました。

四回転が1本だったのが2本になり、決まらなかったけれどシーズン後半からは2種類3本構成になりました。スピンのレベル4率も上がり、加点も取れるようになり、スピンで得られる点数も世界トップクラスになってきています。ステップもレベル4がしっかりとれるようになり、弱点克服。シーズン通してPCSを上げていき、各要素9点台に近い水準にまで持ってきた。

今シーズンはっきりと成長が見られたと言えそうなシェルバコワ選手。来シーズン以降、特に2シーズン後、ワリエワ選手がシニアに上がってくる北京オリンピックシーズンにどうなっているか、というのが楽しみであり、怖くもあります。