アンドレイモザレフ Andrei Mozalev 19-20

2003年3月24日生まれ

ジュニア4シーズン目

 

シーズン獲得賞金:$19,000

世界ランキング:33位

シーズンランキング:10位

シーズンベストスコア 245.09(24位) World Junior

ショートプログラムシーズンベスト 84.31 World Junior

フリーシーズンベスト 160.78 World Junior

ショートプログラム楽曲::Juno and Avos

フリープログラム楽曲 : Step Up

スピンレベル4率 25/36=69.4%

ステップレベル4率 2/12=16.7%

スピンオールレベル4 1/6

スピンステップオールレベル4 0/6

ジャンプ回転不足率  3/60=5.00%

ジャンプ回転不足なし試合 4/6

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/6

 

 ●アンドレイモザレフ選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
JGP JGP Riga 1 223.72 78.42 43.05 35.37 145.30 71.38 73.92
JGP JGP Croatia 1 236.44 78.85 43.46 35.39 157.59 82.59 75.00
CS Warsaw Cup 1 223.25 83.81 47.96 35.85 139.44 68.64 72.80
JGPF JGP Final 2 241.48 82.45 44.77 37.68 159.03 81.61 78.42
Others Youth Olympic 2 237.94 79.72 42.14 37.58 158.22 82.28 76.94
WJ World Junior 1 245.09 84.31 46.27 38.04 160.78 82.22 78.56

アンドレイモザレフ選手はジュニア4シーズン目 急激に成績を伸ばしてきました。

今シーズンはジュニアグランプリシリーズからスタート。初戦のリガでは223.72でさっそくパーソナルベストを出しての優勝。2戦目のクロアチアでは236.44まで伸ばしての二連勝でファイナルへ進出します。

ジュニアはファイナルまで時間があるので、ここで一試合、シニアの試合を挟みました。チャレンジャーシリーズのワルシャワカップ。ショートから4回転も使えることで、初めて83.81と80点台に乗せ、シニアの大会ながら優勝します。

 

ジュニアグランプリファイナルはショートでは82.45とジュニアルールの中でのパーソナルベストを出して首位発進。フリーはトリプルアクセルで回転不足の転倒がありましたが、それでも159.03となりパーソナルベスト。トータル241.48もパーソナルベストだったのですが、最終的には2位。四回転3本を決めた佐藤駿選手の逆転を許しました。

 

表にはありませんが、年内にもう一試合、ロシアの国内選手権がありました。これは5位。シニアに交じってショートは2位発進でしたが、フリーで伸ばしきれませんでした。

 

年が明けるとユースオリンピックがあります。ショートは首位発進で折り返しますが、フリーではまたしてもトリプルアクセルで転倒。今度は鍵山優真選手に逆転を許しての2位。タイトル獲得を逃しました。

 

ロシアのジュニア選手権はシニア選手権より後の2月にあります。ここではショートで13位と大きく出遅れましたがフリー1位で3位表彰台。世界ジュニアの代表を辛くもつかみます。

 

世界ジュニアでは今度はショートでパーソナルベストの84.32を出しますがトップには立てずに僅差の二位スタート。フリーでは大きなミスなくまとめ、初めて160点に乗せるスコアで鍵山選手を逆転。ジュニアグランプリファイナル、ユースオリンピックと続けて日本勢にフリーでの逆転を許していましたが、世界ジュニアでは逆にモザレフ選手が2位から逆転優勝を果たしました。

 

 ●アンドレイモザレフ選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
JGP JGP Riga 1 223.72 114.43 109.29 84.83 21.59 8.01
JGP JGP Croatia 1 236.44 126.05 110.39 96.58 21.51 7.96
CS Warsaw Cup 1 223.25 116.60 108.65 84.09 21.32 11.19
JGPF JGP Final 2 241.48 126.38 116.10 96.22 21.96 8.20
Others Youth Olympic 2 237.94 124.42 114.52 92.41 23.28 8.73
WJ World Junior 1 245.09 128.49 116.60 95.42 23.80 9.27

要素別では、どの試合もTESがPCS寄りも高く出ました。PCSは110点台後半までは出てきています。5項目平均7.5で112.5ですので、平均7点台後半あたりまで出してきているのがわかります。

ジャンプのスコアは96.58がベストでした。これは全体で17位のスコアです。

スピンはシーズン後半に23点台まで出るようになってきました。23.80で全体お20位台半ばですので、良い点数というほどでもないですが、足を引っ張るほどでもないというような位置です。

ステップ系要素はシニアカテゴリーでコレオのあった試合で11.19 コレオのないジュニアカテゴリーでは世界ジュニアの9.27が最高でした。11.19となってしまうとだいぶ低いスコアですが、コレオなしで9.27ですとコレオ付いて13点台あたりにまでは来ますので、それほど悪くはないというような位置になります。

 

 ●アンドレイモザレフ選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
JGP Riga 1 54.97 58.50 53.61 53.66 53.28 52.72
JGP Croatia 1 58.21 61.04 63.34 53.41 52.91 53.38
Warsaw Cup 1 54.85 61.51 46.87 52.82 49.01 52.33
JGP Final 2 59.49 59.91 65.09 54.82 54.96 56.85
Youth Olympic 2 58.59 61.13 57.99 58.94 56.55 55.89
World Junior 1 60.41 59.17 65.51 60.56 60.80 57.15

偏差値で見ると、トータルスコアはパーソナルベストで245点まで出た世界ジュニアで、偏差値60まで乗せました。

ジャンプは基礎点が60前後。偏差値というか点数そのものでもそうなわけですが、ジャンプの基礎点がこれだけ安定している選手はなかなかいません。ジャンプのGOEはシニアの試合だったワルシャワカップだけ50を切る悪い数値でしたが、いい時は偏差値65あたりまで出ます。

スピンは一番いい時で偏差値60まで乗せ、ステップも同様に60まで乗ってきます。PCSは50台後半まででした。

ややジャンプが強いですが、全体的に60を少し超えるあたりの偏差値を持っている選手、ジュニアなのでPCSはそれより弱いけど、という位置にいるようです。バランス型。

 

アンドレイモザレフ スケート偏差値

 レーダーチャートはバランス型。左上のPCSがやや凹んで、右下のジャンプのGOEはやや膨らむ形に一番いい時はなるようです。

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Warsaw Cup 1 4T   9.50   1.90 11.40 2.000
Warsaw Cup 2 3A   8.00   1.92 9.92 2.571
Warsaw Cup 3 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
Warsaw Cup 4 3Lz+3T   11.11 x 0.71 11.82 1.286
Warsaw Cup 5 FSSp4   3.00   0.54 3.54 1.714
Warsaw Cup 6 StSq3   3.30   0.59 3.89 1.857
Warsaw Cup 7 CCSp3   2.80   0.39 3.19 1.286
Warsaw Cup   TES   41.21   6.75 47.96  

ショートプログラムは四回転が使えるシニア戦のワルシャワカップで最高基礎点の41.21でした。

四回転はトーループ1本で、1.1倍にコンビネーション。スピンとステップでレベル4が取れていませんが、それが取れると基礎点は1.0上がって42.21にまではなります。

手持ちのカードで基礎点をさらに上げるには、四回転を1.1倍に持ってきてコンビネーションもつける、しか選択肢がありません。現実的には、四回転二種類目を目指すとなるのでしょう。

 

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Youth Olympic 1 4T+3T   13.70   2.58 16.28 2.667
Youth Olympic 2 4T   9.50   2.04 11.54 2.111
Youth Olympic 3 3Lo   4.90   1.19 6.09 2.444
Youth Olympic 4 3A   8.00   -3.89 4.11 -4.778
Youth Olympic 5 FCSp4   3.20   0.78 3.98 2.333
Youth Olympic 6 3A+2T   10.23 x -1.71 8.52 -2.111
Youth Olympic 7 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.01 12.78 1.778
Youth Olympic 8 3F   5.83 x 1.06 6.89 2.222
Youth Olympic 9 CSSp4   3.00   0.64 3.64 2.222
Youth Olympic 10 StSq3   3.30   0.75 4.05 2.222
Youth Olympic 11 CCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.667
Youth Olympic   TES   76.93   5.35 82.28  

フリーの最高基礎点は76.93でした。四回転は一種類の二本。二回飛ぶジャンプは四回転トーループトリプルアクセルです。3回転のジャンプは余りなく使われています。四回転一種類での理想的なジャンプ構成が取れている割に基礎点低いな? と一瞬思いますが、ユースオリンピックはジュニアカテゴリーの試合のため、コレオシークエンスがありません。この構成のままシニアルールでコレオが入れば基礎点は79.93にまでなります。79.93なら全選手中16位の構成なので、なかなかいい方に入ってきます。

ここから基礎点上げるにはステップがレベル4になれば0.6基礎点が上がって80.53にはできます。あとは1.1倍のところにもっと詰め込む、という手はありますが、基本的には二種類目の四回転導入が待たれる、という状況に見えます。

 

●平均GOE+2.500以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Final SP 2 3A   8.00   2.63 10.63 3.333
World Junior SP 2 3A   8.00   2.63 10.63 3.333
JGP Riga SP 2 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
World Junior SP 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
JGP Final SP 1 3Lo   4.90   1.40 6.30 2.889
JGP Final SP 4 3Lz+3T   11.11 x 1.69 12.80 2.889
JGP Final FS 2 4T   9.50   2.85 12.35 2.889
JGP Final FS 3 3Lo   4.90   1.40 6.30 2.889
World Junior SP 1 3Lo   4.90   1.40 6.30 2.778
World Junior SP 3 CCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.778
JGP Final FS 8 3F   5.83 x 1.44 7.27 2.667
Youth Olympic SP 2 3A   8.00   2.17 10.17 2.667
Youth Olympic FS 1 4T+3T   13.70   2.58 16.28 2.667
Youth Olympic FS 11 CCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.667
World Junior FS 10 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.667
Warsaw Cup SP 2 3A   8.00   1.92 9.92 2.571
Warsaw Cup FS 4 3A+2T   9.30   2.08 11.38 2.571
JGP Riga SP 3 CCoSp3   3.00   0.73 3.73 2.556
JGP Final SP 6 StSq3   3.30   0.80 4.10 2.556
JGP Final FS 9 CSSp4   3.00   0.77 3.77 2.556
JGP Final FS 11 CCoSp3   3.00   0.77 3.77 2.556

評価の高い要素はジャンプでした。トリプルアクセルが上から三つ並びます。それ以外にも、ジュニアのショート必須要素である3Loや、3-3のコンビネーション、4回転もあり、ジャンプは評価の高い要素が多いです。

ステップがGOE+3が一度あります。スピンはCCoSp チェンジフットコンビネーションスピンの評価が高めです。

ジュニアで同世代の鍵山選手と比べると、GOEはやや低めなのかな、とも見えます。鍵山選手はGOE+4の要素もありましたし、+3.5以上の要素も、国際試合で多数並べていました。今後シニアで二人は戦っていくことになるのだと思いますが、出来栄え面では、ややモザレフ選手の方が不利になっているようです。

 

●四回転トーループ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Riga FS 1 4T+3T   13.70   1.76 15.46 1.778
JGP Riga FS 2 4T   9.50   -0.95 8.55 -1.000
JGP Croatia FS 1 4T   9.50   -3.26 6.24 -3.444
JGP Croatia FS 2 4T+3T   13.70   2.17 15.87 2.222
Warsaw Cup SP 1 4T   9.50   1.90 11.40 2.000
Warsaw Cup FS 1 4T   9.50   -4.75 4.75 -5.000
Warsaw Cup FS 2 4T<+3T 11.80   -0.76 11.04 -0.857
JGP Final FS 1 4T+2T   10.80   1.90 12.70 2.000
JGP Final FS 2 4T   9.50   2.85 12.35 2.889
Youth Olympic FS 1 4T+3T   13.70   2.58 16.28 2.667
Youth Olympic FS 2 4T   9.50   2.04 11.54 2.111
World Junior FS 1 4T+2T   10.80   0.54 11.34 0.556
World Junior FS 2 4T   9.50   2.31 11.81 2.444

四回転トーループをフリーで2本入れる構成をで今シーズンは常に滑りました。

13回飛んで回転不足は1、GOEマイナスは3で成功ジャンプは9/13 なかなか高確率で成功させていたと言えます。特にジュニアグランプリファイナル、ユースオリンピック、世界ジュニアといった重要な試合でしっかり二本そろえていました。

 

トリプルアクセル

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Riga SP 2 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
JGP Riga FS 4 3A   8.00   -1.94 6.06 -2.556
JGP Riga FS 6 3A+REP   6.16 x -2.40 3.76 -3.000
JGP Croatia SP 2 3A   8.00   2.06 10.06 2.444
JGP Croatia FS 4 3A+2T   9.30   0.69 9.99 1.000
JGP Croatia FS 6 3A   8.80 x 1.83 10.63 2.222
Warsaw Cup SP 2 3A   8.00   1.92 9.92 2.571
Warsaw Cup FS 4 3A+2T   9.30   2.08 11.38 2.571
Warsaw Cup FS 6 3A   8.00   -4.00 4.00 -5.000
JGP Final SP 2 3A   8.00   2.63 10.63 3.333
JGP Final FS 4 3A+3T   12.20   -1.37 10.83 -1.778
JGP Final FS 6 3A< 7.04 x -3.20 3.84 -5.000
Youth Olympic SP 2 3A   8.00   2.17 10.17 2.667
Youth Olympic FS 4 3A   8.00   -3.89 4.11 -4.778
Youth Olympic FS 6 3A+2T   10.23 x -1.71 8.52 -2.111
World Junior SP 2 3A   8.00   2.63 10.63 3.333
World Junior FS 4 3A+2T   9.30   -1.37 7.93 -1.667
World Junior FS 6 3A   8.80 x 0.23 9.03 0.333

トリプルアクセルはショートフリーで合計3回飛ぶ要素です。

今シーズン18回飛んで、回転不足1、コンビネーションにしないといけないところで入らなかったのが1、それ以外でGOEマイナスが6回ですので、成功率は10/18 四回転より低かったりします。

ただ、ショートのトリプルアクセルは6回飛んで6回成功。フリーでの失敗が目立ちます。

フリーでは四回転を二本飛んだあとでトリプルアクセルが来るので、ショートと比べて神経の使い方が弱くなる、とでもいいますでしょうか、トリプルアクセルに払えるエネルギーが減っている分、成功率が落ちているように感じます。

 

●三連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Riga FS 7 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.67 12.44 1.111
JGP Croatia FS 7 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.10 12.87 1.778
Warsaw Cup FS 7 3Lz+1Eu+3S   11.77 x -2.01 9.76 -3.571
JGP Final FS 7 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.43 13.20 2.444
Youth Olympic FS 7 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.01 12.78 1.778
World Junior FS 7 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.26 13.03 2.000

三連続ジャンプはルッツからの3つ目サルコウです。6回飛んで5回がGOEプラスの成功ジャンプ。回転不足が一つもなく、三つ目が2回転になることもなく、成功率高く飛べました。

 

今シーズン、シーズンを通してジャンプの回転不足が3回、率にして5.00%しかありませんでした。回転が抜けて2回転になった要素、というのもまったくありません。ジャンプのGOEこそさすがにばらつくところはありますが、ジャンプの基礎点がしっかり常に取れている、というのはモザレフ選手の強みで、今シーズン、シーズン通じて大崩れすることがなかった要因となっているように見えます。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
JGP Riga SP 6 StSq3   3.30   0.75 4.05 2.333
JGP Riga FS 10 StSq3   3.30   0.66 3.96 2.000
JGP Croatia SP 6 StSq3   3.30   0.75 4.05 2.333
JGP Croatia FS 10 StSq3   3.30   0.61 3.91 1.889
Warsaw Cup SP 6 StSq3   3.30   0.59 3.89 1.857
Warsaw Cup FS 10 StSq3   3.30   0.40 3.70 1.286
Warsaw Cup FS 12 ChSq1   3.00   0.60 3.60 1.286
JGP Final SP 6 StSq3   3.30   0.80 4.10 2.556
JGP Final FS 10 StSq3   3.30   0.80 4.10 2.444
Youth Olympic SP 6 StSq4   3.90   0.78 4.68 2.000
Youth Olympic FS 10 StSq3   3.30   0.75 4.05 2.222
World Junior SP 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
World Junior FS 10 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.667

ステップ系要素は基本的にGOEは+2台です。最後の世界ジュニアで一度+3に乗せました。また、シニアカテゴリーのワルシャワカップでは+1台と低い評価です。

シニア基準で見るとちょっと厳しい扱いになるんでしょうか。

レベルは3が基本ですが、ユースオリンピック以降4も獲れるようになってきました。

 

スピンはレベル4率69.4% あまり高くありません。ただ、一番大事な試合、世界ジュニアではショートフリー通じてオールレベル4 大事なところに合わせる力がありました。

 

 

モザレフ選手はジュニア4シーズン目。昨シーズンまでのISUベストスコアは217.12 ジュニアグランプリの優勝経験はありますが、国際舞台目線で見ると、多数いる将来有望かもしれない選手たちの一人、に過ぎませんでした。

それが今シーズン、一気に花開きます。ジュニアグランプリ2連勝に、シニアのチャレンジャーシリーズでも優勝。ポイントを稼いで世界ランキングの向上に成功します。

ジュニアグランプリファイナル、ユースオリンピックと続けて2位。大きなタイトルを2試合獲り損ねましたが、世界ジュニアでしっかりと表彰台の頂点に上りました。鍵山優馬選手と同じ2003年生まれ。来シーズンシニアに上がればグランプリ2戦がまずもらえるだろう、という位置にいますので、シニアに上がりますでしょうか。

 

ただ、まだシニアの上位と戦うにはちょっと武器が足りないようには見えます。四回転は一種類。トリプルアクセルの成功率はそこそこ。スピンステップのレベル4率も高くない。GOEも全体的にそれほど高いわけでもない。意外とトータルバランスがよい点の取り方になっていて、ジャンプの回転不足率も低いので、大崩れしないという強さはあるのですが、一発当てて上位を脅かすような要素は逆にない、という部分もあります。今のヨーロッパのレベルだと、ヨーロッパ選手権の表彰台くらいまでは十分チャンスがありますが、グランプリファイナルや世界選手権で上位に来るには、もう少しステップアップが必要そうだな、という印象のスコアが並びます。

 

ロシアの世界の枠は今は二つ。240点250点くらいの選手がひしめいているので、シニアに上がってすぐに代表に、というチャンスも十分にある一方で、アリエフサマリン両ジャンパーや、コリヤダ選手が復活した時に、その辺を押しのけて二つしかない枠に入っていくのは大変です。同世代のライバル関係というのはジュニアの最後のころにはよく言われるのに、シニアに上がると実績差がついていってしまうようなことが多い印象ですが、鍵山選手とのライバル関係を、この先世界の舞台で見せてくれることを期待したいです。