山本草太 19-20

2000年1月10日生まれ

シニア4シーズン目

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所属:中京大学

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シーズン獲得賞金:$0

世界ランキング:37位

シーズンランキング:34位

シーズンベストスコア 240.11 (29位) US International

ショートプログラムシーズンベスト 92.81 Finlandia Trophy

フリーシーズンベスト 157.23 US International

ショートプログラム楽曲: エデンの東

フリープログラム楽曲: In This Shirt

スピンレベル4率 22/36=61.1%(国際試合12/18=66.7%)

ステップレベル4率 1/12=8.33%(国際試合0/6=0.00%)

スピンオールレベル4 0/6 (国際試合0/3)

スピンステップオールレベル4 0/6(国際試合0/3)

ジャンプ回転不足率  10/60=16.7%(国際試合4/30=13.3%)

ジャンプ回転不足なし試合 2/6(国際試合1/3)

スピンステップオールレベル4ジャンプの回転不足もなしの試合 0/6

 

 ●山本草太選手の19-20シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP TSS SP TES SP PCS FS TSS FS TES FS PCS
DL げんさんサマーカップ 2 207.68 67.50 32.30 35.20 140.18 68.04 73.14
CS US International 2 240.11 82.88 42.08 40.80 157.23 81.33 77.90
CS Finlandia Trophy 2 223.24 92.81 51.89 40.92 130.43 61.75 74.68
RT 西日本選手権 2 213.84 75.05 38.30 36.75 138.79 68.19 72.60
GP NHK Trophy 6 226.27 74.88 36.97 37.91 151.39 75.95 75.44
NC 全日本選手権 7 220.49 68.16 31.73 37.43 152.33 78.19 75.14

本草太選手の今シーズンは国内ローカル戦から始まりました。

げんさんサマーカップは207.68 だいぶ物足りないスコアで2位 まあ、8月前半なので、調整中も調整中な段階ですので、結果をあんまり気にしても仕方ない時期と思っておけばよかったんでしょうか。

 

9月に入り国際大会へ。チャレンジャーシリーズを2戦戦います。USインターナショナルはショートで82.88のパーソナルベスト。フリーの157.23もISU公認スコアとしてはベストとなるスコアで、トータル240.11 昨シーズンの世界選手権3位のヴインセントジョー選手を上回る2位に入りました。

チャレンジャー2試合目はフィンランディア杯ショートプログラムでは四回転二本にトリプルアクセルも決め92.81というパーソナルベストを出して首位に立ちます。しかしフリーで崩れてトータルスコアは223.24と伸ばせず2位に終わりました。

 

グランプリシリーズは1戦しか持っていない山本選手は、ここで一つ西日本選手権を挟みます。ショートフリーとも満足いく演技にならず213.84 全日本進出は問題なく果たしますが、スコア的には今一つでした。

 

グランプリはNHK杯に出場。表彰台のチャンスもある試合だと思っていたのですが、ショートから四回転トーループが2回転になり零点となったこともあり7位と出遅れます。フリーで四回転3本中2本は決めて巻き返すものの総合順位は6位にとどまりました。

 

年末全日本はショートが散々でした。冒頭四回転は回転不足。二つ目の四回転は二回転になり零点。トリプルアクセルも回転不足。68.16の13位でフリーは第2グループになってしまいます。フリーは150点台には乗せてきて巻き返すものの、トータルスコアは7位止まり。シーズン後半のチャンピオンシップの出場権は得られませんでした。

 

本草太選手は大学生なのですが、年が明けてからの学生選手権、あるいは国体への出場はありませんでした。昨シーズンもそうだったので、国内のそういった試合は出ない、ときめているんでしょうかね。

 

世界選手権の直前にあるクープドプランタンにはエントリーしていたのですが、試合自体が結局中止になってしまいました。なので、本格的な試合は全日本で今シーズンは終了した、ということになっています。

 

 ●山本草太選手の今シーズンの要素別得点

Grade Event Pl Total TES PCS Jump Spin Step
DL げんさんサマーカップ 2 207.68 100.34 108.34 76.91 12.81 10.62
CS US International 2 240.11 123.41 118.70 89.51 22.44 11.46
CS Finlandia Trophy 2 223.24 113.64 115.60 79.13 21.38 13.13
RT 西日本選手権 2 213.84 106.49 109.35 71.81 21.14 13.54
GP NHK Trophy 6 226.27 112.92 113.35 77.75 22.63 12.54
NC 全日本選手権 7 220.49 109.92 112.57 74.52 23.58 11.82

要素別の得点ではTESよりPCSの方が高い試合が多くなっています。シーズンベストのUSインターナショナルのみTESの方が高いです。

PCSはUSインターナショナルで118.70に達しました。不思議なもので、国際試合3試合は国内試合3試合より高い。日本の選手はこういう、国内試合の方が点が低いという選手が結構多いです。調整の問題なのか、採点基準の影響なのかはわかりませんけれど

五項目平均7.5で合計112.5というラインを国際試合3試合では超えていますが、平均8.0の合計120には届かない、というくらいのPCSです

ジャンプは70点台が多く、USインターナショナルのみ89.51に達しました。このスコアだと全体で28位。これくらい出れば悪くはないですが、点が稼げているという領域までは達していません。

スピンは22点前後が多く、全日本の23.58が最高。国際試合ではNHK杯の22.63まで。22.63だと全体で50位台ですのであまりよくはありません。トップは27点台、上位は26点台を出していますので、24点台くらいまでは欲しいように感じます

ステップ系要素は西日本の13.54が最高でフィンランディア杯の13.13が国際試合の最高点。13.13だと全体で30位台。決して悪くはないですが、いい成績とも言えない水準です。

突出した要素というものはなく、全体的にバランスが取れている選手なようです。

 

 ●山本草太選手のスケート偏差値

Event Pl Total Jump Base Jump GOE Spin Step PCS
げんさんサマーカップ 2 50.88 51.57 57.16 26.24 46.32 52.14
US International 2 59.14 61.33 53.97 56.31 50.29 58.42
Finlandia Trophy 2 54.84 59.46 44.66 53.00 58.17 56.54
西日本選手権 2 52.45 59.49 35.49 52.25 60.11 52.75
NHK Trophy 6 55.62 56.22 49.20 56.91 55.39 55.18
全日本選手権 7 54.14 54.79 47.96 59.88 51.99 54.71

トータルスコアは偏差値50台が並んでいます。シーズンベストのUSインターナショナルも、240点台に乗ったくらいだと、偏差値60には届きませんでした。

ジャンプは基礎点は60前後でそれほど低くはないのですが、GOEが稼げていません。平均の50割れが4試合。出来栄えの面で苦労しているようです。

スピンは、げんさんサマーカップは、ノーバリューの零点二ついうなかなか見ることのないことが起きていたのでちょっと横に置きますが、他は50台の偏差値。全日本が一番良かったですが60までは届かず。

ステップは西日本で偏差値60に乗りましたが他は50台が標準でPCSも50台

全体的に偏差値50代後半の選手、ということになります。

 

 

山本草太スケート偏差値

レーダーチャートは全体的にバランス型ですが、ジャンプのGOEが凹む形になっているでしょうか。ジャンプで加点を稼ぐ、というのが上位の選手の形ですので、ここで稼げないと上位進出は苦しい、という現実があります。例外としてジェイソンブラウン選手みたいな方向性もありますが、いまのところそっちの側へ極端に振る、ということにもなっていないようです。プログラム構成を見ると、ジャンプで点を取れる選手に、そしてトータルスコアを高く出せる選手になりたい、という意識が見えています。

 

●シーズン最高のショートプログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Finlandia Trophy 1 4S+2T   11.00   1.78 12.78 1.875
Finlandia Trophy 2 4T   9.50   3.17 12.67 3.375
Finlandia Trophy 3 FCSp4   3.20   0.69 3.89 2.250
Finlandia Trophy 4 3A   8.80 x 1.73 10.53 2.250
Finlandia Trophy 5 CSSp3   2.60   0.82 3.42 3.125
Finlandia Trophy 6 StSq3   3.30   1.10 4.40 3.500
Finlandia Trophy 7 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
Finlandia Trophy   TES   41.90   9.99 51.89  

ショートプログラムの最高基礎点は41.90でした。全体で20位。

四回転二本入っています。ただ、コンビネーションが2回転。本来は3回転にしたいようなのですが、4-3のコンビネーションと4回転単独と、両立出来た試合が今シーズンはありませんでした。コンビネーションが3回転に出来れば基礎点は2.9上がって44.80まで上がります。ここまで行くと全体8位タイの基礎点になりますので、トップクラスの仲間入りです。

後はスピンステップのレベルをすべて4に出来れば1.0基礎点が上がり45.80にまでなります。この構成の到達点はそこまでになります

現在は、この四回転二本の高難度構成をこなせるようにしている最中、ということなのだろうと思われます。

 

●シーズン最高のフリープログラム基礎点構成

Event   Elements    BaseValue   GOE Scores  
US International 1 4S+3T   13.90   -0.97 12.93 -0.714
US International 2 4S< 7.76   -3.88 3.88 -5.000
US International 3 4T   9.50   2.47 11.97 2.429
US International 4 3A+2T   9.30   1.44 10.74 1.429
US International 5 FCSSp4   3.00   0.84 3.84 2.857
US International 6 ChSq1   3.00   1.10 4.10 2.286
US International 7 3A   8.80 x 2.08 10.88 2.571
US International 8 3Lz< 5.19 x -2.36 2.83 -5.000
US International 9 3F+1Eu+3S   11.11 x -1.48 9.63 -2.857
US International 10 FCCoSp1   2.00   0.16 2.16 0.714
US International 11 StSq3   3.30   0.73 4.03 2.286
US International 12 CCoSp4   3.50   0.84 4.34 2.429
US International   TES   80.36   0.97 81.33  

フリーの最高基礎点は80.36 80点台に乗せていて、全体12位という高い値です。日本人選手では4番目。田中刑事選手、友野一希選手、あるいは鍵山優真選手といったあたりより上の基礎点を持っています。

四回転は二種類三本。二回飛ぶジャンプは四回転サルコウトリプルアクセル。3回転のジャンプではループがあまりますが、セカンドループでも入れないと使えないので仕方ない。

基本的には持っているカードで一番難しい構成を組んでいる、という風に見てよいのだろうと思います。

この構成としては、回転不足が二つあるので、そこをきっちりできればまだ基礎点は上がります。四回転サルコウで1.94 トリプルルッツで1.30なので合わせて3.34上がって83.70にまでなる。また、スピンのレベル1なんてものやステップもレベル3なので、ここもきっちりレベルを取れば基礎点は2.1上がるので85.80まで上げることができます。この構成のマックス値はそこになります。

 

●平均GOE+2.500以上

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
Finlandia Trophy SP 6 StSq3   3.30   1.10 4.40 3.500
US International SP 5 CSSp4   3.00   1.02 4.02 3.429
Finlandia Trophy SP 2 4T   9.50   3.17 12.67 3.375
Finlandia Trophy FS 11 StSq3   3.30   1.10 4.40 3.375
Finlandia Trophy SP 5 CSSp3   2.60   0.82 3.42 3.125
NHK Trophy FS 11 StSq3   3.30   1.04 4.34 3.111
US International SP 4 3A   8.80 x 2.40 11.20 3.000
US International SP 7 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
NHK Trophy FS 12 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.889
US International SP 6 StSq2   2.60   0.73 3.33 2.857
US International FS 5 FCSSp4   3.00   0.84 3.84 2.857
全日本選手権 FS 11 StSq3   3.30   1.04 4.34 2.778
Finlandia Trophy FS 6 ChSq1   3.00   1.33 4.33 2.750
US International SP 3 FCSp3   2.80   0.73 3.53 2.714
NHK Trophy SP 5 CSSp4   3.00   0.81 3.81 2.667
全日本選手権 SP 5 CSSp4   3.00   0.90 3.90 2.667
US International FS 7 3A   8.80 x 2.08 10.88 2.571
NHK Trophy FS 6 ChSq1   3.00   1.29 4.29 2.556
Finlandia Trophy FS 5 FCSSp4   3.00   0.80 3.80 2.500

ここは、国際試合と全日本のみから拾いました。

評価の高い要素は、あまり傾向がなく様々入っています。上からスピンステップジャンプ、と三系統すべてある。四回転トーループトリプルアクセルで、いいジャンプが飛べればGOE+3まで出せるということです。スピンも一種類ではなく、様々なスピンが入ってきています。

おそらく、一つ一つの要素を、その要素だけやればかなり質の高いものがあるのだけど、プログラムを通じてショートで7つ、フリーで12、それぞれ2分40秒であるとか4分であるとか、通して演じてすべてをこなす、というのがなかなか難しい、ということなのではないかと思われます。

 

●一本目サルコウ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
US International SP 1 4S+3T   13.90   1.55 15.45 1.571
US International FS 1 4S+3T   13.90   -0.97 12.93 -0.714
US International FS 2 4S< 7.76   -3.88 3.88 -5.000
Finlandia Trophy SP 1 4S+2T   11.00   1.78 12.78 1.875
Finlandia Trophy FS 1 4S+2T   11.00   0.81 11.81 0.750
Finlandia Trophy FS 2 4S< 7.76   -3.88 3.88 -5.000
NHK Trophy SP 1 4S+3T   13.90   0.83 14.73 0.889
NHK Trophy FS 1 4S+2T   11.00   0.69 11.69 0.556
NHK Trophy FS 2 2S   1.30   0.06 1.36 0.556
げんさんサマーカップ SP 1 4S   9.70   0.00 9.70 0.000
げんさんサマーカップ FS 1 2S   1.30   0.00 1.30 0.000
西日本選手権 SP 1 4S<+2T 9.06   -1.55 7.51 -2.000
西日本選手権 FS 1 4S   9.70   -4.85 4.85 -4.857
全日本選手権 SP 1 4S<+2T 9.06   0.00 9.06 0.111
全日本選手権 FS 1 4S   9.70   -2.91 6.79 -2.556

今シーズン、国際大会では四回転サルコウを三本構成としていました。国内ではショートフリー一本づつの二本構成です。

シーズン通じて15回飛んで2回転になったもの2つ、回転不足4つ、それ以外のGOEマイナス3つで、成功ジャンプは6回。成功率は4割ほどです。

コンビネーションで後ろに3回転を付けたいのだろうと思うのですが、3回転がちゃんとついたのは3回、2回転になったのが5回と、これは2回転になる確率の方が高い。

冒頭に入れていますので、体力的な問題云々はほぼ関係ありませんから、四回転サルコウは、飛べるのだけどまだ確率が十分ではない、というジャンプなのだろうと思われます。

 

●一本目トーループ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
US International SP 2 2T* * 0.00   0.00 0.00  
US International FS 3 4T   9.50   2.47 11.97 2.429
Finlandia Trophy SP 2 4T   9.50   3.17 12.67 3.375
Finlandia Trophy FS 3 4T< 7.60   -3.80 3.80 -5.000
NHK Trophy SP 2 2T*   0.00   0.00 0.00  
NHK Trophy FS 3 4T   9.50   1.76 11.26 1.778
げんさんサマーカップ SP 2 2T+2T* * 1.30   -0.65 0.65 -5.000
げんさんサマーカップ FS 2 4T+3T   13.70   2.38 16.08 2.500
げんさんサマーカップ FS 3 4T   9.50   1.66 11.16 1.750
西日本選手権 SP 2 4T   9.50   2.28 11.78 2.429
西日本選手権 FS 2 4T<+2T 8.90   -2.89 6.01 -3.714
西日本選手権 FS 3 4T   9.50   1.71 11.21 1.571
全日本選手権 SP 2 2T* * 0.00   0.00 0.00  
全日本選手権 FS 2 4T< 7.60   -3.80 3.80 -4.444

四回転トーループは国際試合ではショートフリーで一本づつの構成。国内では全日本のみ一本づつでしたが、あとの二試合では三本構成にしていました

今シーズン14本飛んで、2回転になったのが4回、回転不足が3回で成功ジャンプは7回。確率5割です。ショートで6回飛んで3回が零点になってしまっているのが大変痛いです。

サルコウ同様に、飛べるのだけどまだ確率はそれほど高くない、ということだと思いますが、要素順としてサルコウより後ろなので、少し負荷がかかる位置にはなります。

 

●アクセル

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
US International SP 4 3A   8.80 x 2.40 11.20 3.000
US International FS 4 3A+2T   9.30   1.44 10.74 1.429
US International FS 7 3A   8.80 x 2.08 10.88 2.571
Finlandia Trophy SP 4 3A   8.80 x 1.73 10.53 2.250
Finlandia Trophy FS 4 2A   3.30   -0.28 3.02 -0.750
Finlandia Trophy FS 7 3A   8.80 x -4.00 4.80 -5.000
NHK Trophy SP 4 3A   8.80 X -1.94 6.86 -2.333
NHK Trophy FS 4 3A   8.00   -2.40 5.60 -3.111
NHK Trophy FS 7 3A+2T   10.23 X 0.00 10.23 0.000
げんさんサマーカップ SP 4 3A   8.80 X 1.60 10.40 2.000
げんさんサマーカップ FS 4 1A+2T   2.40   0.00 2.40 0.000
げんさんサマーカップ FS 7 3A   8.80 X -3.80 5.00 -4.750
西日本選手権 SP 4 3A   8.80 X -3.68 5.12 -4.571
西日本選手権 FS 4 1A+3T   5.30   -2.10 3.20 -5.000
西日本選手権 FS 7 3A< 7.04 X -2.69 4.35 -4.143
全日本選手権 SP 4 3A< 7.04 X 0.27 7.31 0.222
全日本選手権 FS 3 3A+2T   9.30   -0.80 8.50 -0.667
全日本選手権 FS 7 3A   8.80 X 1.71 10.51 1.889

トリプルアクセルは各試合3本構成です。ショートでは1.1倍に入れ、フリーでは1.1倍に単独を入れるのが基本です。

18回飛んで、シングルになったのが2回、ダブルアクセルになったのが1回、回転不足2回、それ以外のGOEマイナスが6回。成功ジャンプは7回で確率4割弱です。

3本しっかりそろったのがUSインターナショナルでこの試合がシーズンベストになっています。

 

四回転二種類とトリプルアクセル。この高難度ジャンプ3種類が成功率5割に満たない程度なところが今シーズン得点を伸ばしきれなかった要因かな、という風に見えます。

3種類ともある程度跳べるジャンプなので、3つ全部同時に確率が上がって来る、ということもあるかと思いますので、そういうことが起きると、来シーズンには一気にトップに顔を出す、ということもありえるんでしょうか。

 

●3連続ジャンプ

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
US International FS 9 3F+1Eu+3S   11.11 x -1.48 9.63 -2.857
Finlandia Trophy FS 8 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.89 12.66 1.500
NHK Trophy FS 9 3F+1Eu+3S   11.11 X 0.53 11.64 0.889
げんさんサマーカップ FS 8 3Lz+1Eu+3S   11.77 X 1.03 12.80 1.750
西日本選手権 FS 8 3Lz+1Eu+3S   11.77 X -0.35 11.42 -0.714
全日本選手権 FS 8 3Lo+1Eu+3S   10.67 X 0.77 11.44 1.444

3連続ジャンプは3パターン。ルッツからが3回、フリップからが2回、ループからが1回、最後は3Sが入ります。1.1倍ボーナスタイムに飛ぶというのは共通です。全日本以外は、8番目の要素のルッツからの時に入れるのが基本で、ちょっと違和感というか不安があったときにリカバリーで9番目の要素のフリップからにしている、というように感じられます。全日本はこの3連続に限りませんが、ショートがよくなかったから、ほかの試合とフリーの構成がだいぶ変わっていました。

回転不足はなく、GOEマイナスが2回。成功率は三分の二、とも言えますが、まあ、大きな失敗にはならないある程度計算できるジャンプ要素になっている、と見てよいのだろうと思います。

 

●ステップシークエンスとコレオシークエンス

Event     Elements    BaseValue   GOE Scores  
US International SP 6 StSq2   2.60   0.73 3.33 2.857
US International FS 6 ChSq1   3.00   1.10 4.10 2.286
US International FS 11 StSq3   3.30   0.73 4.03 2.286
Finlandia Trophy SP 6 StSq3   3.30   1.10 4.40 3.500
Finlandia Trophy FS 6 ChSq1   3.00   1.33 4.33 2.750
Finlandia Trophy FS 11 StSq3   3.30   1.10 4.40 3.375
NHK Trophy SP 6 StSq3   3.30   0.61 3.91 1.556
NHK Trophy FS 6 ChSq1   3.00   1.29 4.29 2.556
NHK Trophy FS 11 StSq3   3.30   1.04 4.34 3.111
げんさんサマーカップ SP 6 StSq2   2.60   0.57 3.17 2.200
げんさんサマーカップ FS 6 ChSq1   3.00   1.00 4.00 2.000
げんさんサマーカップ FS 11 StSq2   2.60   0.85 3.45 3.250
西日本選手権 SP 6 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
西日本選手権 FS 6 ChSq1   3.00   1.10 4.10 2.143
西日本選手権 FS 11 StSq4   3.90   1.25 5.15 3.143
全日本選手権 SP 6 StSq2   2.60   0.67 3.27 2.333
全日本選手権 FS 6 ChSq1   3.00   1.21 4.21 2.000
全日本選手権 FS 11 StSq3   3.30   1.04 4.34 2.778

ステップはレベル4があまり取れておらず、西日本選手権で1度レベル4だっただけでした。基本的にはレベル3 です。GOEは+2台が標準で+3台も多くあり、悪くはありません。レベル4が取れれば5点を取れて、ショートフリーで10点を超えられる。

コレオは+2くらいの評価が標準です。全体の中盤にあるコレオの評価より、終盤に来るステップの方が評価が高い、という割と多くみられる構図が山本草太選手にもあります。

 

スピンのレベル4率も60%台であまり高くありません。この辺は、プログラムの負荷として、ジャンプの難易度が高い構成になっているせいで、スピンステップにまで意識が行ききらないというか、そこに力を注げない、というところからきているようにも見えます。

ただ、スピンは、レベル3ならともかく、2や1も多くあり、それはいくらなんでも、と思う部分もあります。

スピンもステップも、GOEは低いわけではないので、レベルの方を高く保てると得点源になります。

 

 

残念ながら今シーズンもグランプリシリーズは1戦だけでしたし、シーズン後半の試合にも出ることができなかった山本草太選手。躍進のシーズンとすることは出来ませんでした。

大きなけがからは復活して、昨シーズン今シーズンと、ケガで休むことはなく試合に出ることは出来ていますが、かつての周囲の期待、あるいは本人の期待にこたえられるような成績は出せていない、というのが現状です。

 

今シーズン二十歳になりました。北京オリンピックは22歳、大学四年生で迎えることになります。そこを目指すには来シーズンは足掛かりになる成績が欲しい。今シーズン終わった時点で、そこそこの世界ランクとそこそこのシーズンベストが得られました。グランプリ枠は確実とはいえないまでも、二つもらえないことはないくらいな成績にもみえなくはない。際どい位置なので何とも言いづらく、あやふやな表現でしかないのですが、二つもらえたらいいな、という位置。グランプリシリーズに二戦出ないと、グランプリシリーズ分のランキングポイントがしっかり入らないので、世界ランクが上がらず、グランプリ二戦をもらうのが難しくなる、というパラドックス

それを回避するには中堅国以下だとチャンピオンシップの大会に出てポイントが獲得できてランクがあげられるのですが、日本レベルの強豪国になるとそちらはよりハードルが上がります。

 

基礎点の高い構成を組めるところまで今シーズンはたどり着けました。そして、一つ一つの要素は成功させることができるし、高いGOEを得ることもできます。あとは、それを一つのプログラムとして成功させられるか? 二つのプログラム、ショートとフリーと合わせて成功させられるか? というのが求められる段階にまでは持ってきました。そういう意味では、今シーズンは結果は出せなかったけれど、準備は出来たと言えるのかもしれません。

代表を争う主要選手の中で、これまでは最年少でしたが、来シーズンは高校生がシニア挑戦を表明していることから、最年少ではなくなります。ただ、そういった選手と比べても基礎点では負けていない、一つ一つの要素では負けていない。あとは、プログラムとしてそろえることができれば。

 

来シーズン、チャンスは十分にあるし、オリンピックも、まだまだ十分にチャンスのある位置にいるのではないかと思いますので、すべてがぴったりそろったプログラムを、大きな舞台で見せてくれることを期待したいと思います。