本田望結選手の全日本への道

子役として有名だった、と言うべきか、女優として有名と言うべきか、中堅スケート選手と言うべきか、本田家の三女、望結選手が20-21シーズンからシニアへ上がることになりました

2004年6月1日生まれの本田望結選手は16歳高校1年生

スケート年齢で言えば、あと3年は理論上ジュニアでの活動が可能です。一方で、昨シーズンからシニアへ上がることも可能でした

そんな中での今シーズンから出のシニア移行です

 

全日本選手権に出るには、ジュニアからのコースもありますが、シニアからのコースの方が容易です。シニアへ移行した本田望結選手が、全日本選手権に出られるかどうか?

その辺の見通しを、少し考えてみたいと思います

 

全日本選手権に出るためには、まず、全国各六ブロックで開かれるブロック大会に出場する必要があります。この出場資格は、女子の場合はジュニアでもシニアでも変わりません。バッジテスト、という認定試験で7級をもっていること。

本田望結選手はジュニア時代からブロック大会に出ていますから、当然このバッジテスト7級は持っています。問題なくシニアになってもブロック大会への出場は可能です

 

さて、本田望結選手はブロック大会にエントリーしました。濱田美栄先生の下で幼いころからトレーニングをしていた望結選手は、昨シーズンまでは近畿ブロックに出場していました。しかし、今シーズンは東京ブロックへエントリーしています。所属はプリンスホテルの扱いです。

このあたりの所属の変更は、フィギュアスケート的にというより、タレント仕事的に、ジュニアからシニアへ、子役から女優へ、という転換期でもある影響もあるのでしょうか? 年齢的にスポンサー企業の所属にもしやすい時期になってきている。生活の拠点が東京になっているのかどうかはよくわかりませんが、タレント活動するには東京拠点の方がよいでしょう。なお、姉の本田真凜選手は東京ブロックですが、妹の本田紗来選手と兄の本田太一選手は近畿ブロックで今シーズンも登録されています。

 

東京ブロック大会は39選手がエントリーしています。ここを通過して上の大会にあたる東日本選手権へ進むことができるのは18人プラス、シードがついている川畑和愛選手を含めた19人です

昨シーズン、東京ブロック大会の19位の得点は108.29でした。一方、昨シーズン、本田望結選手は6試合に出場し、ベストスコアはげんさんサマーカップの139.18 ワーストでリンスポ杯の120.48です。また、ブロック大会では近畿選手権で132.52でした。

メンバーが入れ替わっていますし、本田望結選手の昨シーズンのスコアはジュニア時のものでシニアとはややルールが変わることもありますが、基本的には問題なく通過できるのではないかと思われます。昨シーズンワーストの120.48でも、昨シーズンの東京ブロックでは15位相当のスコアです。近畿ブロックの132.52なら8位相当。順当にいけば問題ありません。

 

問題は、次、東日本選手権です。

東日本選手権は東京選手権の他、東北北海道選手権、関東選手権を通過した、合計30選手で争われます(エントリー自体は、シード選手である川畑和愛選手、樋口新葉選手、紀平梨花選手がする可能性もあります)。東日本選手権から全日本選手権への通過枠は9です。

 

昨シーズンの東日本選手権の9位のスコアは124.73でした。不思議なもので、東京選手権の9位のスコアが127.44なので、一つ上のグレードの大会なのに、同じ順位でスコアが下がっています。これは、はっきり言ってしまえば、関東選手権(優勝スコア123.39)、東北・北海道選手権(2位が120.64)のレベルが低いためです。

 

本田望結選手が普通に力を発揮すれば、昨シーズンの東日本9位のスコア、124.73は十分に到達出来るスコアです。

 

ただ、問題は、今シーズンは昨シーズンより地区大会のレベルが高い、というのがあります。

昨シーズン、地区大会に出ていなかった選手が多数出てきます。理由は、国際大会がまともに機能していないから。グランプリシリーズに出ている選手は、地区大会が免除になることが多いのですが、今シーズンはこれがありません。

その典型的なのが、姉、本田真凜選手です。本田真凜選手はシニアに上がってから地区大会に出たことはこれまでありませんでした。3シーズンとも、グランプリシリーズに出ていたことにより、地区大会が免除になっていたためです。それが今シーズンは、初めて東京ブロック大会に出場しますし、東日本選手権にも出ることになります。

また、本田望結選手と同様に、ジュニアからシニアに上がった選手、というのがいます。そして、実績的に、本田望結選手より格上の選手たち。まず、関東選手権経由なので、東京ブロックでは合いませんが、東日本選手権では戦うことになる吉岡詩果選手。昨シーズンは全日本ジュニア5位で全日本へ出場し、171.44のスコアで10位に入り、その後のインターハイでは優勝した選手です。本田望結選手から見ると、はっきりと格上です。

もう一人、本田真凜選手とノービス時代によく争っていた青木祐奈選手が大学一年生になりシニアに上がってきました。青木選手は昨シーズンはケガにより全試合欠場しましたが、2シーズン前は全日本選手権で169.28で14位 国際大会ババリアンオープンでは182.90のスコアを出している選手。本田望結選手から見るとはるかに格上です。問題はケガが完全に回復してベストな状態で滑れるかどうか?

 

というわけで、東日本選手権で9位以内に入るラインは、昨シーズンの9位よりはだいぶ上になることが想定されます。ただ、昨シーズンの東日本では6位で131.16 5位でも136.53なので、射程圏内にはあるスコアです。

 

結局最後は、本人の調子、というのがカギを握ると思われます

昨シーズンのベストは139.18でしたが、2シーズン前は157.11を出していました。シーズンワーストの全中でも141.09  2シーズン前の力を発揮できれば、全日本への道は間違いなく見えてきます

この年代は1年あると全然変わってきたりします。それは国内の中堅レベルであっても、世界のトップレベルであっても同じ。昨シーズンからさらに体形変化など起きて調子が落ちていたりすると、かなり難しいことになる一方、これまで飛べていなかったルッツやフリップを習得していたりすると、難なく全日本へ進んで、全日本でも10位台前半くらいにまで躍進できる可能性もある。

今シーズンに入ってからは、まだ、一度も競技会でも滑りを見ることが出来ていないので状態はさっぱりわからないのですが、東京ブロック大会に出てきたときに、だいたい見通しが出るでしょうか

 

調子の他には、どんなプログラム構成で来るか? というのもポイントかと思います。

ジュニアの時にはショートプログラムの単独ジャンプは、そのシーズン通じてルールで決められてしまっていました。今シーズンならルッツなはずですが、これが本田望結選手は三回転でしっかり飛ぶことができません。しかし、シニアならばその縛りはなく、好きにジャンプの種類を選ぶことができます。この先を考えると、まだ飛べないジャンプもチャレンジジャンプとしてプログラムに入れていく、というのは価値あることではありますが、目の前の試合を勝つためには、それは入れずに飛べるジャンプだけで構成した方がいい。

本田望結選手の場合、ショートプログラムでは、ループとサルコウを軸にすれば、飛べるジャンプだけの構成になり安定して点が出せますが、ルッツやフリップを組み込むとエッジエラーやアンダーローテーションで点が出ない。

今シーズン、全日本を目指すというのであれば、ショートもフリーもループ以下の構成で安定を取った方が可能性はだいぶ高まると思うのですが、本人がどんな選択をするか? 

 

それにしても、実は、全日本へ進む可能性を一番高めたのは、近畿ブロックから東京ブロックへの移動、にあったと感じられます。西日本選手権から全日本への進出枠は11 今シーズンの西日本は大激戦で、グランプリレベルにある選手でも展開次第では弾かれてしまうかも、というレベルの高さです。本田望結選手が近畿ブロックのままだったら、全日本の芽はほとんどなかったと言ってよいかと思います。東日本へ移って、かつ、今年は樋口新葉選手、川畑和愛選手がシードを持っているうえに、枠がいつもの年より広い、という恵まれた条件。

 

もしかしたら、その条件を踏まえた上でシニア移行したのかもしれませんが、この千載一遇のチャンスを生かすことができるでしょうか?