世界フィギュア21 振り返り4

続いて、男子シングル総合スコア編です

 

ショートプログラム

Pl

Name

Nation

TSS

TES

PCS

1

Yuzuru HANYU

JPN

106.98

59.02

47.96

2

Yuma KAGIYAMA

JPN

100.96

57.86

43.10

3

Nathan CHEN

USA

98.85

53.42

46.43

4

Mikhail KOLYADA

FSR

93.52

49.38

44.14

5

Keegan MESSING

CAN

93.51

49.80

43.71

6

Shoma UNO

JPN

92.62

49.02

44.60

7

Jason BROWN

USA

91.25

44.86

46.39

8

Junhwan CHA

KOR

91.15

49.80

41.35

9

Kevin AYMOZ

FRA

88.24

44.24

44.00

10

Evgeni SEMENENKO

FSR

86.86

48.80

38.06

11

Matteo RIZZO

ITA

83.30

42.80

40.50

12

Han YAN

CHN

81.52

41.17

40.35

13

Michal BREZINA

CZE

81.43

40.96

41.47

14

Deniss VASILJEVS

LAT

81.22

40.90

40.32

15

Daniel GRASSL

ITA

79.43

39.75

39.68

 

上位15選手を並べました

これをバブルチャートで表します

 

f:id:yumegenjitsu:20210406215849j:plain

 黄色:日本

赤色:米国

橙色:ロシア勢

緑色:イタリア

桃色:キーガンメッシング

黄緑:チャジュンファン

水色:ケビンエイモズ

 

二枠以上取った国と最終的にトップ10に入った選手を別色にしています。これは以下すべてのグラフで共通です

 

重なって見えにくいクラスターがありますが、TES50 PCS44付近に、宇野選手、キーガンメッシング選手、ミハエルコリヤダ選手がいます。ショートの4位5位6位です。

左下の方も12~15位のクラスターがあります

 

羽生選手はTESもPCSも最高点でした。鍵山選手はTES寄りでTES2位ですがPCSは8位です。ショート100点越えは、ネイサンチェン選手に続いて史上2位の若さでの達成でした。

ショートではPCSを見ると、羽生選手、ネイサンチェン選手、ジェイソンブラウン選手の三人は別格、という扱いに見えます。宇野選手は転倒があってもPCSがこの位置で4位なので、ミスのない演技をすれば別格群に入るのかもしれません。まあ、ネイサンチェン選手も転倒込みでここなので、転倒無しなら羽生選手と並ぶという扱いなのでしょうきっと。

 

ジェイソンブラウン選手、ケビンエイモズ選手、このあたりはどうしてもTESが伸びてこないようで、TESは9位10位という位置になります。

ワールドデビューのセメネンコ選手はPCSが格段に落ちてしまい10位にとどまりました。チャジュンファン選手もクリケット組としてはPCSが伸びてこずにTES寄りでの8位スタートとなりました

 

 ●フリー

Pl

Name

Nation

TSS

TES

PCS

1

Nathan CHEN

USA

222.03

125.89

96.14

2

Yuma KAGIYAMA

JPN

190.81

102.39

88.42

3

Shoma UNO

JPN

184.82

94.90

89.92

4

Yuzuru HANYU

JPN

182.20

89.78

92.42

5

Mikhail KOLYADA

FSR

178.52

88.82

90.70

6

Keegan MESSING

CAN

176.75

87.15

89.60

7

Evgeni SEMENENKO

FSR

171.59

90.51

81.08

8

Jason BROWN

USA

170.92

80.12

90.80

9

Kevin AYMOZ

FRA

166.28

79.64

86.64

10

Daniel GRASSL

ITA

163.38

88.02

75.36

11

Matteo RIZZO

ITA

162.07

81.07

83.00

12

Morisi KVITELASHVILI

GEO

157.15

82.43

74.72

13

Junhwan CHA

KOR

154.84

72.90

82.94

14

Han YAN

CHN

153.79

70.73

84.06

15

Aleksandr SELEVKO

EST

151.32

78.54

72.78

 

フリーも15位まで並べました。

 

男子フリー TES/PCS

 フリーはネイサンチェン選手が別世界。

TES2位はショートに続いて鍵山選手です。フリーの技術点100点越えも、ネイサンチェン選手に次いで、男子では史上2番目の若さでの達成。まあ、実際には一番若くして技術点100点を達成しているのはトゥルソワ選手なのですが。鍵山選手とネイサンチェン選手は4年違いで同じ5月5日生まれ。ネイサンチェン選手は17歳の四大陸選手権でショート100点越えのフリー技術点100点越えを達成していました。鍵山選手は17歳の世界選手権で達成。四大陸選手権、あるいはグランプリファイナルあたりがあれば、その辺で達成していたようにも感じられますので、ほぼ同等のペースで進化してきた、と見てよいのでしょうか。その上で世界選手権のメダルは羽生選手と同じ17歳で取りました。この二人と同じような10代を過ごしてきている、ということになります。

 

宇野選手が技術点3番手。羽生選手は技術点は5番目でした。ロシアのセメネンコ選手が技術点4位です。しかしながらPCSが伸びずにトータルは170点そこそこに終わっています。

 

今大会はミハエルコリヤダ選手、キーガンメッシング選手といったベテランの域に入ってきた選手がミスの少ない演技で結果を出しました。このあたりは技術点演技構成点ともに90点近いところに来ます。

四回転の少なめな選手はTESよりPCSが高い、という形になっています。コリヤダ選手、メッシング選手は四回転二本。ジェイソンブラウン選手は1本で回転不足。ケビンエイモズ選手は2本で1本回転不足、チャジュンファン選手は1本で回転不足、ハンヤン選手は4回転無し。ハンヤン選手は中国2枠のためにはあと7.5点必要でした。本来はハンヤン選手は13位なら十分で、ボーヤンジン選手が悪くてもトップ10にいて2枠だったはずなのですが、今回は展開としてハンヤン選手が枠を取りに行く形になり、構成も安全策を取ったのですがけっかとして裏目に。トリプルアクセルも1本しかなかったので、技術点が全く伸びずの70.73 これだとどうにも苦しいです

 

 ●総合点との相関係数

 

SP TES

SP PCS

FS TES

FS PCS

相関係数

0.816

0.788

0.936

0.920

 相関係数というのは、あるものとあるものが数字的に相関する度合いはどれくらいか? という指標です。完全に相関する場合は1,逆相関する場合は-1、全く無関係だと0となるものです。1に近いほど強い相関があります

ここは女子とは違う傾向を示しました。ショートよりフリーの方が総合点との相関が強い、というのは当然で、これは変わりませんが、PCSよりTESの方が総合点との相関が強い、というのは女子とは逆の結果です。女子について、四回転とかトリプルアクセルとか難しいジャンプばっかりトンで、ジャンプ大会じゃないんだから! みたいな批判があるように見受けられるのですが、実際には総合点にはTESよりPCSの方が相関がある、という結果になっている。それよりも男子の方が、TESと総合点の相関度合いが強い、ということなので、男子の方がジャンプ大会度合いが強い、というのが実態です。

なお、表にはしませんが、TESとPCSの相関係数というのを取ると、ショートで0.655 フリーでは0.749と出ました。女子の場合はショートで0.550 フリーで0.621 したがって女子よりも男子の方が、TESとPCSの相関が強い、ということになります。なので、男子の方が技術点が出る選手は演技構成点も出る、という傾向が強く、出来る選手は何でもできるけど出来ない選手はどれをとってもできない、みたいなことになっています。その辺はバブルチャートの配置に表れていて、男子は右肩上がりの直線が割と引けそうに見えるのですが、女子はあまりそういう配置になっていない、という風に見えます