世界フィギュア21 振り返り8

今回は男子シングルのPCS内訳編です

女子の時と同様にフリーのみを見ていきます

 

 ●フリーの各ジャッジの24人分の合計スコア

Components Scores J1 J2 J3 J4 J5
Total 合計 963.13 958.50 939.25 962.50 973.25 974.50
Components   J6 J7 J8 J9 Ave
Total 合計   943.25 971.50 977.50 951.75 961.33

フリーの演技をした24人に対し、各ジャッジが付けたPCSのスコアを24人分合計したもの、を表しています。

Scoresは実際についた点数の合計Aveは各選手に対してジャッジ9人が付けた平均点の24

人分の合計です。

 

一番数字が大きいJ8が全体に対して甘く、J2が一番厳しい、ということになります。その差は38.25ありました。女子は48.00でしたので、女子よりはジャッジ間格差は小さかったようです。ただ、男子は係数が2.0掛ります。24人分で38.25なので、一人平均としては3.1825の差があります。ジャッジ間格差はやはりそれなりにあります

 

●各選手に対してのジャッジ間順位

Name Nation J1 J2 J3 J4 J5 J6 J7 J8 J9
Nathan CHEN USA 8 7 2 4 1 8 3 6 4
Yuma KAGIYAMA JPN 4 3 6 7 2 4 8 1 9
Shoma UNO JPN 5 8 3 3 1 9 7 5 2
Yuzuru HANYU JPN 4 3 5 8 1 7 8 2 6
Mikhail KOLYADA FSR 2 2 2 6 8 7 5 1 9
Keegan MESSING CAN 5 8 5 4 1 5 8 2 3
Evgeni SEMENENKO FSR 9 8 2 6 2 4 5 1 6
Jason BROWN USA 8 1 4 3 1 4 7 9 6
Kevin AYMOZ FRA 6 6 2 1 4 2 5 9 6
Daniel GRASSL ITA 5 7 3 2 1 9 6 3 8
Matteo RIZZO ITA 4 8 3 5 1 9 7 6 1
Morisi KVITELASHVILI GEO 9 7 4 3 7 4 1 2 6
Junhwan CHA KOR 3 7 3 1 2 9 8 6 3
Han YAN CHN 7 1 3 3 1 5 8 9 6
Aleksandr SELEVKO EST 3 7 8 2 4 6 1 4 9
Lukas BRITSCHGI SUI 3 8 2 9 1 7 5 6 3
Konstantin MILYUKOV BLR 3 6 2 4 7 9 4 1 7
Deniss VASILJEVS LAT 4 9 4 1 1 7 3 4 8
Donovan CARRILLO MEX 5 9 7 2 1 3 5 3 8
Ivan SHMURATKO UKR 3 9 6 5 8 7 1 2 4
Michal BREZINA CZE 6 3 8 5 9 7 3 2 1
Boyang JIN CHN 4 7 6 2 9 8 1 2 5
Nikolaj MAJOROV SWE 1 5 7 3 8 9 2 6 3
Alexei BYCHENKO ISR 7 4 5 3 1 8 6 1 9
合計   6 9 5 3 2 8 4 1 7

各選手に対して、各ジャッジが付けた点数が、ジャッジ9人の中で何番目か、を表しています。合計は、先ほど示した、24人合計分に対してのもので、ようはそのジャッジは全体に対して甘い(合計で1位=J8)か辛い(合計で9位=J2)か、というのを表しています。

 

全体に対して甘い、という結果になったJ8ですが、かなり特徴的な採点でもあります。ジェイソンブラウン選手、ケヴィンエイモズ選手、ハンヤン選手の三人には、全ジャッジの中で最低点を付けました。比較的表現系で定評のある選手には厳しい、という形です。

逆に、全体に厳しかったJ2は、ハンヤン選手とジェイソンブラウン選手にはジャッジ間順位で1位を付けています。J8とは全く逆の傾向です。

ジャッジによって好みがだいぶ違う、というのがこの辺に表れているかと思います

 

●各選手に対しての各ジャッジのPCS

Name Nation Scores J1 J2 J3 J4 J5 J6 J7 J8 J9
Nathan CHEN USA 48.07 47.00 47.25 48.75 48.25 49.00 47.00 48.50 48.00 48.25
Yuma KAGIYAMA JPN 44.21 44.50 44.75 43.75 43.50 45.25 44.50 43.25 46.00 42.50
Shoma UNO JPN 44.96 44.75 44.25 45.25 45.25 47.25 42.50 44.50 44.75 46.00
Yuzuru HANYU JPN 46.21 46.75 47.00 46.50 44.75 48.00 45.00 44.75 47.75 46.00
Mikhail KOLYADA FSR 45.35 46.25 46.25 46.25 45.50 43.50 44.25 45.75 47.00 43.00
Keegan MESSING CAN 44.80 44.25 44.00 44.25 44.50 47.25 44.25 44.00 46.50 45.25
Evgeni SEMENENKO FSR 40.54 37.00 39.00 41.25 40.50 41.25 41.00 40.75 41.75 40.50
Jason BROWN USA 45.40 43.75 46.75 45.75 46.00 46.75 45.75 44.75 42.00 45.00
Kevin AYMOZ FRA 43.32 43.00 43.00 43.75 44.25 43.50 43.75 43.25 42.00 43.00
Daniel GRASSL ITA 37.68 37.75 37.25 38.25 38.50 38.75 36.00 37.50 38.25 36.50
Matteo RIZZO ITA 41.50 41.75 40.25 42.25 41.50 43.25 39.75 40.75 41.00 43.25
Morisi KVITELASHVILI GEO 37.36 34.75 35.00 37.75 38.25 35.00 37.75 42.00 41.50 36.00
Junhwan CHA KOR 41.47 41.75 40.75 41.75 42.75 42.00 40.25 40.50 41.25 41.75
Han YAN CHN 42.03 41.25 42.75 42.50 42.50 42.75 42.25 41.00 40.50 42.00
Aleksandr SELEVKO EST 36.39 38.00 33.25 33.00 38.75 37.75 36.50 39.00 37.75 30.50
Lukas BRITSCHGI SUI 36.96 37.50 35.75 37.75 35.00 40.75 36.25 37.00 36.75 37.50
Konstantin MILYUKOV BLR 36.14 36.25 35.75 37.25 36.00 35.50 35.25 36.00 38.00 35.50
Deniss VASILJEVS LAT 38.21 38.00 32.00 38.00 39.50 39.50 37.75 39.25 38.00 37.50
Donovan CARRILLO MEX 33.18 33.00 31.00 32.75 34.25 34.50 33.50 33.00 33.50 32.25
Ivan SHMURATKO UKR 34.82 35.50 29.00 34.50 34.75 33.25 34.00 37.00 36.75 35.00
Michal BREZINA CZE 39.79 39.75 40.25 38.75 40.00 38.25 39.00 40.25 40.50 41.25
Boyang JIN CHN 36.28 36.75 35.00 35.50 38.25 32.75 34.50 39.25 38.25 35.75
Nikolaj MAJOROV SWE 34.75 36.75 34.50 33.50 36.00 33.25 30.25 36.25 34.25 36.00
Alexei BYCHENKO ISR 33.71 32.50 34.50 33.50 34.75 35.50 32.25 33.25 35.50 31.50

各ジャッジがフリーのPCSで各選手に何点付けたのかを並べました。5項目の合計です。係数2.0を掛ける前なので、50点満点の状態です

 

一つ一つ見ていくのは大変ですが、ジャッジ間ばらつきがずいぶんあるな、というのは見て取れます。スコアの上位の方は満点に近いところまで来ているので、ばらつきはそれほど大きくはなく、ネイサンチェン選手では最大と最小で2.00差、羽生結弦選手で最大と最小が3.25差となっています。まあ、3.25の差ということは、係数2.0を掛けると6.5点もの差になるとはいえるのですが、まだまだこれ出も小さい領域です

 

PCS順位5位の宇野選手にして、4.75の差があるので、係数2.0を掛けた時の実スコアとしては9.5もジャッジ間差が出ます。一番差が大きいのはエストニアのセレフコ選手で最大が39.00 最小が30.50と8.50の差があり、係数2.0を掛けると17.0のスコア差があります。トリプルアクセル二本分の差が、同じ演技を見てのジャッジの付けるPCSスコアによって生まれているわけです。

 

 ●各選手に対してジャッジが付けたPCS順位

Name Nation   J1 J2 J3 J4 J5 J6 J7 J8 J9
Nathan CHEN USA 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
Yuma KAGIYAMA JPN 7 5 5 7 8 6 4 7 5 9
Shoma UNO JPN 5 4 6 5 4 3 8 5 6 2
Yuzuru HANYU JPN 2 2 2 2 5 2 3 3 2 2
Mikhail KOLYADA FSR 4 3 4 3 3 7 5 2 3 7
Keegan MESSING CAN 6 6 7 6 6 3 5 6 4 4
Evgeni SEMENENKO FSR 12 17 13 12 12 12 10 11 9 13
Jason BROWN USA 3 7 3 4 2 5 2 3 7 5
Kevin AYMOZ FRA 8 8 8 7 7 7 7 7 7 7
Daniel GRASSL ITA 15 15 14 14 16 15 18 18 15 16
Matteo RIZZO ITA 10 9 11 10 11 9 12 11 12 6
Morisi KVITELASHVILI GEO 16 22 17 16 17 20 14 9 10 17
Junhwan CHA KOR 11 9 10 11 9 11 11 13 11 11
Han YAN CHN 9 11 9 9 10 10 9 10 13 10
Aleksandr SELEVKO EST 18 13 21 23 15 17 16 17 19 24
Lukas BRITSCHGI SUI 17 16 15 16 21 13 17 19 20 14
Konstantin MILYUKOV BLR 20 20 15 18 19 18 19 22 17 20
Deniss VASILJEVS LAT 14 13 22 15 14 14 14 15 17 14
Donovan CARRILLO MEX 24 23 23 24 24 21 22 24 24 22
Ivan SHMURATKO UKR 21 21 24 20 22 22 21 19 20 21
Michal BREZINA CZE 13 12 11 13 13 16 13 14 13 12
Boyang JIN CHN 19 18 17 19 17 24 20 15 15 19
Nikolaj MAJOROV SWE 22 18 19 21 19 22 24 21 23 17
Alexei BYCHENKO ISR 23 24 19 21 22 18 23 23 22 23

これは、各ジャッジがどの選手に何位と付けたか、というものです。実際には何位という順位をつけているわけではなく、それぞれに点数を付けているというのは当然なわけですが、その点数を順位に変換したもの、となります。

 

ネイサンチェン選手は全ジャッジ共通で1位を付けました。

2位からは割れていて、羽生選手に6人が2位を付けましたが、ジェイソンブラウン選手が2位と見たのが二人、コリヤダ選手を2位と見たのは一人、宇野昌磨選手も一人が羽生選手と同点で2位と見ています。

宇野選手はジャッジ間ばらつきが大きく、2位と付けたジャッジもいれば8位と付けたジャッジもいます。

宇野選手がPCSスコア5位、鍵山選手が7位でしたが、ジャッジの中では宇野選手が上と見たのが6人に対し、鍵山選手が上としたのも3人いました。この辺の評価も割れています。

 

一番順位の評価が割れたのはジョージアのクビテラシビリ選手でしょうか。9位や10位と付けたジャッジがいる一方で、20位、さらには22位という評価もあります。これはどう受け取ったらいいんでしょうか・・

順位のばらつきが少ない選手もいるんですけどね。ケビンエイモズ選手、チャジュンファン選手、ハンヤン選手あたりは比較的ジャッジ間差が小さいです

 

ただ、これだけばらつきがあるのに、ラインが一本引かれているようにも見えて、PCSは上位8人とそれより下の選手で入れ替わっているところはほとんどなく、上位8人は別格扱い、という風に見えました。

 

9人のジャッジがそれぞれ同じ演技を見て同じルールの中で採点をして、こういった結果が出てきます。

各選手の演技に対して、一般のファンの間で評価が分かれる、というのは、当たり前だよな、と感じさせられる結果でした