本郷理華さんのプログラム

派手なプログラムが似合う人だったな、と思っています

 

シニア二シーズン目のショートプログラム キダム

競技会で披露するより前、夏のアイスショーだったと思います。

鈴木明子さんの、同じシルクドゥソレイユのプログラム、オー、と共演する形で演じられたのを見たのが最初でした。

実質的な鈴木明子さんの振付師デビュー作でもあり、本郷理華さんにとっても勝負の二年目に選んだショートプログラム

印象的な音楽、特徴的な衣装、それが、ショーのあの落とされた照明の中で非常に映えていたことが思い出されます。

競技会でも高いスコアを出したプログラムでもあるのですが、あのプログラムは、照明が落とされたアイスショーでこそ、より生きるプログラムだったと思います

試合での演技では、世界選手権が一番良かったでしょうか。後半のステップ、たぶん、ドアを蹴り破る、という振付からはいるステップのところが特に好きなのですが、非常に躍動感のあるいいプログラムでした

 

同じシーズンのフリー、リバーダンスが本郷理華さんの代表作として挙げられることが多いでしょうか。リバーダンスと言えば、男子ならジェイソンブラウン、女子なら本郷理華

中盤までいいテンポで来ての終盤、ステップを刻んでからリンク中央でタップを踏んでさらにステップを踏んでいき(要素としてはコレオ)そのままダブルアクセル、というこの流れ。このコレオで会場が盛り上がらなかった試合は皆無だったんではないか、というくらいの毎試合観客を魅了したプログラム。イギリスにもルーツを持つという本郷さんのいいところがすごく引き出されていたプログラムだったと思います。長身も生きていました。

 

その後二シーズン続けてショートプログラムで滑ったカルミナブラーナ。

苦しんだ二シーズンだったので、あまりいい出来の試合もありませんでした。そういう意味では印象の薄いプログラムとして終わる可能性もあったのですが、平昌最終選考会である全日本選手権。おそらく、あの日あの時あの場面だからこそできた、そして感じられた迫力が記憶に強く残ります。

キダムアイスショーで強い印象を受けた、というようなことを書きましたが、このカルミナブラーナは、競技会だからこそのあの演技だったのだろうと思います。

 

本郷理華さんの代表作、としてよく上げられるのはリバーダンスをはじめとしてこの三つかと思うのですが、グランプリシリーズで優勝したり、世界選手権で6位に入ったプログラムは、これらではなく、カルメンでした。シニアデビューシーズンの出世作。グランプリファイナルでも滑りましたし、このカルメンで世界へ飛び出したともいえるプログラム。世界選手権では最終グループに入っての滑りでしたが、その中に入って何の見劣りもしない演技でした。カルミナブラーナもそうでしたが、赤黒基調の衣装が似合う印象です。と言ってみましたが、本郷選手は割と、何着ても似合う、というようにも感じます

 

そして付け加えるともう一つ。下手したらこれが代表作になりかけた、というのがエキシビジョンプログラムのスリラー。これも赤黒基調の衣装でしたかね。

 

オリンピックシーズン後はあまりいい出来の試合がなかったので、語られることも少ないですが、キルビルを滑ったこともありました。ジュニア時代にはミスサイゴンなんかもありとにかく強く色のついた演目を常に滑っていて、クラシックの定番のような曲はたぶん一つもなかったんじゃないでしょうか。でも、その、強く色のついたプログラムを自分の色で染め直して、本郷理華のリバーダンス。本郷理華のカルミナブラーナ。そういった形で提示してくれる選手でした。