げんさんサマーカップ 3枠目は混戦模様

プチ全日本選手権と話題のサマーカップが8/12に終了しました

毎年豪華メンバーが登場するこの大会。今回は特に女子シングルにトップ選手が顔を連ね、昨年の全日本選手権2位から10位の選手がすべて登場しています

プチ全日本選手権、紀平抜き

 

○女子シングル(シニア) 上位10人

Pl Name 所属 Total SP FS
1 坂本花織 シスメックス 217.24 73.74 143.50
2 宮原知子 木下グループ 196.28 61.54 134.74
3 三原舞依 シスメックス 194.75 61.83 132.92
4 樋口新葉 明治大学ノエビア 193.41 62.40 131.01
5 松生理乃 中京大中京高校 192.56 70.27 122.29
6 山下真瑚 中京大学 186.98 58.90 128.08
7 河辺愛菜 木下アカデミー 184.06 64.73 119.33
8 横井ゆは菜 中京大学 176.51 56.81 119.70
9 松田悠良 邦和みなとスケート部 167.80 57.73 110.07
10 新田谷凜 中京大学 165.43 59.51 105.92

優勝は坂本花織選手。ショートでは曲が途切れ、フリーでは昔のプログラムを演じるなど、ドタバタ感ありますが、演技自体はさすが、ショートフリー通じて全ジャッジ全要素プラス評価で圧勝でした。全要素プラス評価の割には点が低いな、という印象ですが、フリーのステップはレベル2 スピンはショートフリー合わせて3つがレベル3など取りこぼしは結構あったようです

2位以下は200点に届かず。シーズン初戦なので、とも思いますが、オリンピック3枠目を狙うには、ここで一発高得点という選手がいてほしかったようにも感じます。

2位から4位はグランプリ2枠組みが並んで、結局2番目にしっかり入るのが宮原知子選手。本人比では大したスコアでは本来ないのですが、感触は良かったというようなコメントはありました。

三原舞依選手は3位。フリーは技術点で70点越え。ショートフリー共にTESは宮原選手を上回るのですがPCSが伸びずに3位です。

樋口新葉選手はフリーでトリプルアクセルを何とか降りたのですが他が意外と伸びずに4位にとどまりました。ループが2回転になったのが最終的には致命傷。

ショートで70点に乗せた松生理乃選手はフリーで伸びずに5位。今一番勢いのある選手だと思うので、ここで2位に入って3枠目争いでリードするかとも思ったのですが、フリーはトリプルアクセルの転倒が響いて点が伸びず。今点を取るよりも先を見た構成で今回は挑んだようでした。

 

こうやって並べると、グランプリの出場枠を持っている選手がこの時点でも上に来ていて、オリンピック3枠目はこの4人の争いなのかな、と改めて感じました。

 

○女子シングル(ジュニア) 上位10人

Pl Name 所属 Total SP FS
1 住吉りをん 駒場学園高校 172.35 59.92 112.43
2 島田麻央 木下アカデミー 162.76 56.10 106.66
3 中井亜美 MFFSA 161.87 54.78 107.09
4 櫛田育良 木下アカデミー 161.21 52.55 108.66
5 柴山歩 木下アカデミー 159.71 50.54 109.17
6 大門桜子 木下アカデミー 155.02 57.09 97.93
7 清水咲衣 大阪スケート倶楽部 135.61 48.58 87.03
8 田村珠里亜 愛知みずほ大瑞穂高 134.34 50.76 83.58
9 横井きな結 中京大中京高校 133.74 52.24 81.50
10 髙木謠 MFFSA 132.98 47.63 85.35

ジュニアでは住吉りをん選手が優勝。昨年は全日本選手権で12位。今シーズンは全日本ジュニアや世界ジュニアが目標という立ち位置になるはずです。

ノービスカテゴリーの島田麻央選手がジュニアカテゴリーで今回参戦して2位。思ったほどスコアが伸びなかったなという印象ですが、冷静に考えるとこのスコアで伸びてないと感じてしまうことの方が異常なのでしょう。全日本ノービスで史上初の4回転成功なるか?

この島田麻央選手を含め、2位から6位は昨年の全日本ノービスの1位から5位の選手。今シーズンのジュニアはジュニア1年目の選手がかなり上位に入ってきそうです。

 

○女子の四回転要素

Name   要素    基礎点   GOE Scores  
島田麻央 1 4T   9.50   -4.75 4.75 -5.000

今大会で四回転に挑んだのは島田麻央選手一人だけ。残念ながら転倒に終わりました。ただ、島田麻央選手は着氷率はまだ高くないものの、毎回回転は足りているという判定になっています。後は立つだけ。ここまで来ていると転倒してもそれなりに点数が入るのでプログラムに入れやすいかと思います

昨シーズン、山下真瑚選手が四回転に挑戦している形跡がありましたが、今回は四回転の投入はありませんでした。

 

○女子のトリプルアクセル要素

Name   要素    基礎点   GOE Scores  
樋口新葉 1 3A   8.00   -2.20 5.80 -2.750
三宅咲綺 1 3Aq q 8.00   -4.00 4.00 -5.000
中井亜美 1 3A<< <<  3.30   -1.65 1.65 -5.000
松生理乃 1 3A<< <<  3.30   -1.65 1.65 -5.000
渡辺倫果 3 3A<< <<  3.30   -1.65 1.65 -5.000

女子でトリプルアクセルを要素に入れたのは5人。全員がフリーでの投入でした。着氷できたのは樋口新葉選手一人だけ。完璧ではないですが、点数として5.80もらえていれば価値はあります。

他は、基礎点満額もらえたのは三宅咲綺選手のみでした。昨シーズンは西日本選手権15位で全日本に進めなかったのですが、その打開策としてのトリプルアクセルでしょうか。

中井亜美選手は今シーズンジュニア1年目。木下アカデミー勢がにぎやかな世代ですが、中井亜美選手はその外からの対抗馬です。アカデミー勢より先にトリプルアクセルを決めたら面白いです。

 

○男子シングル(シニア) 上位10人

Pl Name 所属 Total SP FS
1 友野一希 セントラルスポーツ 229.49 88.99 140.50
2 鍵山優真 星槎国際横浜 222.55 72.41 150.14
3 三宅星南 関西大学 215.05 77.66 137.39
4 本田ルーカス剛史 木下アカデミー 191.02 70.89 120.13
5 森口澄士 木下アカデミー 190.87 65.74 125.13
6 杉山匠海 岡山大学 179.86 53.20 126.66
7 櫛田一樹 関西学院大学 171.28 70.60 100.68
8 石塚玲雄 早稲田大学 158.26 52.34 105.92
9 古庄優雅 日本大学 140.25 43.98 96.27
10 山隈太一朗 明治大学 137.01 52.33 84.68

男子は女子ほどの豪華メンバーではありませんでしたが、それでも世界選手権メダリストも参戦。そんな中で友野一希選手が、2年ぶりのこの大会で優勝。実に4連覇となります。その前のシーズンはジュニアカテゴリーで優勝。相性が良いというか、そもそも実力者である上で関西圏の代表選手ということで勝ちやすい大会なのでしょうきっと。2年前は副賞のお肉を相当喜んでいるコメントを見た記憶がありますが、今回はその手のコメントがあまり表に出てこないですね。

スコア的にはショートは素晴らしかったのですが、フリーは本人比で考えてもそうでもないというかむしろ不満な内容だったかと思います。フリーはジャンプがさっぱり決まりませんでした。それでも結果的には逃げ切り。

逃げ切られてしまった2位の鍵山優真選手。ショートは四回転二本が全くダメでジャンプ2要素合わせて4.75点しかはいらず。フリーも決まった四回転は一本だけでした。昨シーズンは素晴らしい活躍を見せましたが、まだ盤石なわけではないんだな、というのがあるしゅ露呈した今回。3枠目のチャンスは他の選手もしっかりあるぞ、というのが悪い意味で見えてしまった感じもします。フリーの最初の要素がトリプルルッツなのは、完成度が上がれば四回転ルッツを入れていく、という意志の表れかと思いますので、3枠目を守るのではなく、オリンピックで羽生結弦選手、ネイサンチェン選手に勝ちに行く、というのが司会の先にあって、その上での今回の失敗なんだろうな、とは感じました。

 

○男子シングル(ジュニア) 上位10人

Pl Name 所属 Total SP FS
1 三浦佳生 目黒日本大学高等学校 204.28 71.22 133.06
2 吉岡希 西宮甲英高等学院 176.66 69.13 107.53
3 田内誠悟 名東FSC 169.23 60.73 108.50
4 朝賀俊太朗 木下アカデミー 157.67 40.78 116.89
5 誉田知己 愛知みずほ大瑞穂高 142.61 47.13 95.48
6 垣内珀琉 ひょうご西宮FSC 141.12 58.58 82.54
7 小林隼 滋賀短期大学附属高校 136.13 45.91 90.22
8 北村凌大 MFFSA 132.98 49.76 83.22
9 周藤集 MFFSA 131.89 45.69 86.20
10 花井広人 邦和SC 121.01 44.14 76.87

ジュニアは三浦佳生選手が200点に乗せて優勝。フリーでは四回手三本着氷したものの、本人比ではそれほど点が伸びた感じもなく不満なようでした。今シーズンは全日本ジュニアにしっかり勝ってからの世界ジュニア、というコースだと思います。フリーの冒頭が四回転ではなく苦手だと言っていたトリプルアクセルにしたのは構成の一つの工夫なのだと思いますが、今回は二本目のトリプルアクセルが1回転半になって、かつ、コンビネーションもつかなかったあたりで10点以上ロスしたことが効いていました。

吉岡希選手が2位。昨年の全日本ジュニアは11位。上位がごっそりシニアに抜けて、枠が3つある世界ジュニアが狙える立ち位置。四回転を今回は二本着氷。先へつながる結果を出した一方、アクセルで転倒などもありスコアはそれほどは伸びませんでした。

 

○男子の四回転要素

  Name   要素    基礎点   GOE Scores  
FS 鍵山優真 3 4T+3T   13.70   3.33 17.03 3.500
FS 友野一希 1 4T+2T   10.80   2.14 12.94 2.250
SP 友野一希 1 4T+2T   10.80   1.43 12.23 1.500
FS 三浦佳生 3 4T+2T   10.80   1.19 11.99 1.250
SP 友野一希 2 4S   9.70   1.94 11.64 2.000
FS 三浦佳生 2 4S   9.70   1.94 11.64 2.000
SP 櫛田一樹 1 4T   9.50   1.66 11.16 1.750
FS 吉岡希 4 4T   9.50   1.19 10.69 1.250
FS 三宅星南 2 4S   9.70   0.73 10.43 0.750
FS 吉岡希 1 4T+2T   10.80   -1.66 9.14 -1.750
FS 三浦佳生 6 4T   10.45 X -3.09 7.36 -3.250
SP 三宅星南 1 4S   9.70   -3.15 6.55 -3.250
SP 鍵山優真 2 4T+COMBO   9.50   -4.75 4.75 -5.000
FS 櫛田一樹 1 4T   9.50   -4.75 4.75 -5.000
FS 友野一希 3 4T< 7.60   -3.80 3.80 -5.000
FS 櫛田一樹 2 4T+REP   6.65   -4.51 2.14 -4.750
SP 本田ルーカス剛史 2 4T<< <<  4.20   -2.10 2.10 -5.000
FS 垣内珀琉 3 4T<< <<  4.20   -2.10 2.10 -5.000
FS 森口澄士 2 4T<< <<  4.20   -2.10 2.10 -5.000
FS 本田ルーカス剛史 1 4T<< <<  4.20   -2.10 2.10 -5.000
FS 三宅星南 5 4S<<+REP <<  3.01   -1.94 1.07 -4.500

男子で四回転を構成に入れた選手は多数いました。しかしながらGOEプラスで降りた選手はやはり限られています。コンビネーションで加点を取れたのは3人。このあたりまでが国際大会で戦っている選手、という構図になっています。今は国内で見ても四回転が要素にあるだけではだめで、コンビネーションで加点が取れる、というレベルで飛べないと上位には入っていけないようです。

 

男子も女子も、オリンピックの3枠目はすんなりと簡単には決まらない、という流れになっていく可能性を、シーズン序盤のこの試合で垣間見た気がしました。