22-23 中村俊介

2005年8月6日生まれ

ジュニア4シーズン目

シーズン獲得賞金:$6,500

世界ランキング:88位

シーズンランキング:58位

シーズンベストスコア 219.65(48位) JGPクールシュベル

ショートプログラムシーズンベスト 77.68 JGPクールシュベル

フリーシーズンベスト 141.97 JGPクールシュベル

ショートプログラム楽曲:EI Conquistador

フリープログラム楽曲:Sheik

スピンレベル4率 38/72 = 52.8%(国際大会:14/24 = 58.3%)

ステップレベル4率 3/13 = 23.1%(国際大会:0/4 =0.00%)

スピンオールレベル4 0/12(国際大会:0/4)

スピンステップオールレベル4 0/12(国際大会:0/4)

ジャンプ回転不足率 6/120 = 5.00%(国際大会:2/40 = 5.00%)

ジャンプ回転不足なし 9/12(国際大会:3/4)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 0/12(国際大会:0/4)

 

○22-23シーズンの戦績

J/S Grade Event Pl Total SP FS
J DL みなとアクルス 1 193.87 74.41 119.46
J DL 木下トロフィー 1 188.83 71.03 117.80
J DL げんさんサマーカップ 2 194.94 73.89 121.05
J JGP JGP Courchevel 1 219.65 77.68 141.97
J JGP JGP Egna 2 211.01 73.61 137.40
J RT 西日本選手権 8 161.80 56.29 105.51
J NJ 全日本ジュニア 4 196.92 70.28 126.64
J JGPF JGP Final 4 198.64 74.81 123.83
S NC 全日本選手権 11 218.08 77.74 140.34
J IH 全国高等学校総合体育大会 2 212.21 80.69 131.52
J NG 国民体育大会 2 190.03 66.47 123.56
J IC Triglav Trophy 1 197.43 74.67 122.76

中村俊介選手は今季でジュニア4シーズン目。昨シーズンジュニアとして初めて国際大会に出場して211.87まで出してきた実績はあります。

 

初戦は、今シーズンなのか微妙なところですが7月頭にみなとアクルス杯で193.87 優勝ではじまります。

8月はジュニアグランプリを控えながらも上旬から国内2戦。木下トロフィーは木下アカデミーの選手お披露目みたいな試合になってますが、男子では随一の力を持つ中村選手はここも優勝します。翌週にはげんさんサマーカップ。ここはフリーでトリプルアクセル2本が決まらず逆転されて2位に終わります。

 

そしてここからが本番。ジュニアグランプリシリーズデビュー。初戦のクールシュベルからエントリーされます。ショートプログラム、ジャンプ3本しっかり決めて77.68 2位と7.43差の首位に立つとフリーは4回転トーループで転倒するもあとのジャンプは決めて行って141.97 ただ一人200点超えの219.65で優勝します。

2戦目は9月のアルメニア予定でしたが紛争ぼっ発で試合が中止に。再エントリーは結局10月の最終戦、エーニャになりました。表彰台に乗れば問題なくファイナル進出という試合です。ショートはコンビネーションをサルコウからに落としていましたが、73.61で2位。1位とは1.18差の半面、5位とも2.21差という僅差混戦の試合となります。フリー、安全策に行く手もありましたが4回転トーループを冒頭に入れて転倒。さあどうなるか? という危うさもありましたが、あとのジャンプは大きなミスなくまとめ137.40まで出してトータル211.01 結局2位となりファイナル進出を確定させました。

 

続いて国内戦。西日本選手権に出ますがジャンプがことごとく決まらず161.80で終わって8位。スコアが伸びてきません。

勝負の全日本ジュニア。世界ジュニア狙いの1人ですし優勝チャンスもあるメンバーではあったのですが、ショートはステップ転倒というのがあって70.28の3位スタート。逆転を狙ったフリーで今シーズン初めて4回転トーループをGOEプラスで決めて勢いに乗っていくかと思われたのですが、コンビネーションで転倒して以降ジャンプが3つ続けてステップアウトなどでしっかり決まってこず、126.64で終わります。トータル196.92は4位。全日本進出は果たしましたが表彰台は逃しました。

 

12月にジュニアグランプリファイナル。混戦が予想される試合で中村選手にもチャンスがありました。ショートプログラムはほぼミスのない演技で74.81で3位。4位と1.50差、5位と7.98差を逃げ切れるかどうか? フリー冒頭の4回転トーループ転倒は仕方なかったですが、後半のアクセル転倒が致命傷。さらに最後のループもアンダーローテーションでスコア伸びずに123.83 トータル198.64は結局4位。ファイナル表彰台はつかめませんでした。

 

全日本は世界ジュニア代表を賭けた戦いです。残り1枠でシニアコースの上位選手が世界ジュニアを望むと難しい状況ではありました。ショートを77.74の8位で折り返すとフリーは4回転トーループを転倒せず降りましたが、トリプルアクセルで今回も転倒。フリー140.34のトータル218.08は11位。結局世界ジュニアの補欠1番手となりました。

 

1月はインターハイで三浦佳生選手に次いで2位。国体はジュニアの部でこれも2位。着実に実績を積み重ねます。

3月の世界ジュニアは結局補欠は回ってこず、4月にトリグラフトロフィーに派遣されました。来期もジュニア予定ということでジュニアの試合に出てフリーでは4回転2本構成にチャレンジしたりしながらトータル197.43で優勝して今シーズンを終えました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
みなとアクルス 193.87 96.03 99.84 76.47 -6.14 17.96 7.74
木下トロフィー 188.83 93.90 95.93 77.00 -7.39 16.63 7.66
げんさんサマーカップ 194.94 98.60 97.34 79.53 -4.65 17.18 6.54
JGP Courchevel 219.65 112.66 107.99 81.00 4.49 18.97 8.20
JGP Egna 211.01 109.45 102.56 81.55 -0.01 20.64 7.27
西日本選手権 161.80 70.05 93.75 60.35 -12.44 15.37 6.77
全日本ジュニア 196.92 101.25 97.67 83.16 -6.49 18.84 5.74
JGP Final 198.64 101.46 99.18 76.91 -1.06 18.39 7.22
全日本選手権 218.08 113.29 105.79 83.37 -0.44 18.64 11.72
全国高等学校総合体育大会 212.21 106.41 106.80 73.68 3.33 20.66 8.74
国民体育大会 190.03 93.97 98.06 80.19 -13.29 19.28 7.79
Triglav Trophy 197.43 97.41 100.02 76.02 -5.03 19.07 7.35

トータルスコアは西日本で160点台まで沈んだ一方、210点台が4試合あります。190点台も多く、210点台の力があるけど、ミスが出ると200点に届かない、というくらいの力でした。

技術点は110点台が2試合、100点台も数多くあります。PCSの方は100点前後で107.99が最高でした。1項目平均7点程度までです。技術点よりPCSの方が高い試合も目立ちます。

ジャンプの基礎点は80点前後。全日本と全日本ジュニアでは83点台までありました。国際大会では81.55が最高です。加点の方はマイナスの試合が目立ちます。一番いい時でJGPクールシュベルの+4.49があり、これが優勝につながりました。

スピンは最高でも20点台なのであまり伸びていません。

ステップ系要素もジュニアであることを考慮しても8点台までだと、あまり高いとはいいがたいです。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
みなとアクルス 47.03 52.64 45.77 42.58 51.80 46.31
木下トロフィー 45.61 52.98 43.97 38.06 53.45 43.63
げんさんサマーカップ 47.34 54.60 47.92 39.93 43.39 44.60
JGP Courchevel 54.30 55.54 61.09 46.01 56.27 51.88
JGP Egna 51.87 55.89 54.61 51.69 51.75 48.17
西日本選手権 37.99 42.31 36.70 33.77 43.83 42.14
全日本ジュニア 47.89 56.92 45.27 45.57 35.27 44.82
JGP Final 48.38 52.92 53.09 44.04 50.58 45.86
全日本選手権 53.86 57.06 53.99 44.89 52.96 50.38
全国高等学校総合体育大会 52.21 50.85 59.42 51.75 63.12 51.07
国民体育大会 45.95 55.02 35.47 47.06 54.71 45.09
Triglav Trophy 48.04 52.35 47.37 46.35 50.43 46.43

偏差値で見るとトータルスコアで50を超えた試合がまだ少ないです。ただジュニアグランプリ2試合ではしっかり50を超えていました。

ジャンプの基礎点も50前後ですが、50台半ばくらいまでは出せています。加点の方は30台も2試合あり、40台が多いですが、JGPクールシュベルで60台に乗せました。

スピンは50を超えたのは2試合。40台が標準で平均に届かない力と言わざるを得ません。

ステップ系要素もジュニア補正が入りながらでもありますが40台がほとんどでこちらも平均に届かない力になっています。

 

22-23シーズン 中村俊介選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートは、インターハイだけステップがすごく伸びていますが、これはレベル4取れた試合にジュニア補正が入ったものなのでちょっと参考にはしづらいです。それを除くと比較的右寄り、右上に伸びる形でしょうか。

 

・シーズン最高の基礎点構成

トリグラフトロフィー ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   1.87 9.87 2.400
2 3Lo   4.90   1.14 6.04 2.400
3 FCSp4   3.20   0.32 3.52 1.000
4 3Lz+3Tq q 11.11 x -1.97 9.14 -3.400
5 CSSp4   3.00   0.20 3.20 0.600
6 StSq3   3.30   0.55 3.85 1.600
7 CCoSp4   3.50   0.47 3.97 1.400
  TES   37.01   2.58 39.59  

ショートプログラムの最高基礎点はトリグラフトロフィーの37.01でした。国内参考でインターハイで37.21 全日本で37.11があります。いずれも上記と同じ構成でステップがレベル4でスピンが1つレベル3だったものでした。

ジュニアルールで単独ループ、1.1倍にルッツからの3-3 ジュニアの上位は誰もがこの形になります、という構成です。ステップレベル3を4に出来れば37.61になり、これがジュニアの最高基礎点になります。ジュニアでこれ以上の基礎点出すにはセカンドループ投入しかありません。シニアに上がるころには、完成した4回転をショートに入れてくる、ということが求められると思われます。

この構成でスピンステップオールレベル4にGOE満点取ると技術点は53.81となりPCS加味して103.81満点となります。

 

JGPエーニャ フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Tq F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
2 3A   8.00   1.83 9.83 2.222
3 CSSp4   3.00   0.56 3.56 1.778
4 3Lz+3T   10.10   -0.76 9.34 -1.222
5 3F   5.30   0.53 5.83 1.111
6 3A+1T   9.24 x -0.46 8.78 -0.556
7 ChSq1   3.00   0.07 3.07 0.000
8 FCSp3   2.80   0.12 2.92 0.333
9 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.93 12.70 1.667
10 3Lo   5.39 x 0.84 6.23 1.778
11 CCoSp3   3.00   0.26 3.26 0.889
  TES   71.10   -0.83 70.27  

フリーはJGPエーニャで71.10がありました。全日本ジュニアでは71.96 シニアでステップ1つ多い全日本で74.46というのもあります。

4回転1種類1本。2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルトリプルルッツ。セカンド3回転に3連3サルコウありますが、シークエンスアクセルはありません。スピンレベル3が2つあるので、これをレベル4に出来れば0.90基礎点が上がって72.00にまでなります。6番目の要素で1Tがついていますが、これは2Tにするつもりだったはずで、2回転に出来ていれば0.99基礎点がさらに上がるので、上記の構成のノーミス基礎点は72.99となるはずです。ここから基礎点上げるには6番目の要素のセカンドを2Aにすればノーミス基礎点が75.19にまで出来ます。それより上へ行くには4回転2本目が欲しくなってきます。

上記の構成で6番目のセカンドを2回転として、スピンオールレベル4にGOE満点とすると、技術点は104.09となりPCS加味して204.09満点となります。シニアルールでステップ入ってレベル4の満点取れるとすると技術点は109.94にまでなり209.94満点となります。

 

○平均GOE2.500以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
国民体育大会 SP 6 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
全国高等学校総合体育大会 SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
全日本ジュニア SP 1 3A   8.00   2.24 10.24 2.857
みなとアクルス SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 2.800
げんさんサマーカップ SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 2.800
全国高等学校総合体育大会 SP 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 2.800
JGP Final SP 2 3Lo   4.90   1.40 6.30 2.778
JGP Courchevel SP 6 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.778
JGP Courchevel FS 2 3A   8.00   2.40 10.40 2.778
JGP Final FS 2 3A   8.00   2.17 10.17 2.667
みなとアクルス FS 2 3A   8.00   2.13 10.13 2.600
木下トロフィー SP 6 StSq3   3.30   0.86 4.16 2.571
全日本選手権 SP 1 3A   8.00   1.94 9.94 2.556
JGP Egna SP 6 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.556
JGP Courchevel FS 6 3A+3T   13.42 x 2.06 15.48 2.556
JGP Courchevel FS 3 CSSp4   3.00   0.81 3.81 2.556
JGP Courchevel SP 1 3A   8.00   2.06 10.06 2.556

評価の高い要素はトリプルアクセルとステップです。ステップは国体、インターハイと国内ローカルが上にいますが、JGPクールシュベルでもちゃんと高い評価です。ステップ系要素の偏差値が50を割っていたりするのはレベル4がなかなか取れないのと、コレオの評価がやたら低いというのがあります。

トリプルアクセルは決まれば評価が高いです。国内外の試合で高評価を受けています。

国際大会で+3以上の評価が無かったというのは残念でした。また、スピンは高い評価をなかなか受けられないようです。

 

○4回転トーループを含む要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
みなとアクルス FS 1 4T   9.50   -4.75 4.75 -5.000
木下トロフィー FS 1 4Tq q F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
げんさんサマーカップ FS 1 4T   9.50   -3.17 6.33 -3.600
JGP Courchevel FS 1 4T F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
JGP Egna FS 1 4Tq F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
西日本選手権 FS 1 4T< < F 7.60   -3.80 3.80 -5.000
全日本ジュニア FS 1 4T   9.50   0.57 10.07 0.571
JGP Final FS 1 4Tq F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
全日本選手権 FS 1 4Tq q 9.50   -3.53 5.97 -3.556
全国高等学校総合体育大会 FS 1 4Tq q F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
国民体育大会 FS 1 4T F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
Triglav Trophy FS 1 4Tq q 9.50   -2.85 6.65 -3.200
Triglav Trophy FS 2 4Tq+COMBO+2T* * 9.50   -4.43 5.07 -4.600

中村俊介選手は今シーズン4回転トーループを毎試合入れてきました。13回飛んで転倒が7回、それ以外のGOEマイナスが5回あって、GOEプラスの成功ジャンプは1回だけでした。まだ完成度は低く、チャレンジジャンプという形で入っているという位置付けになっています。シニアに上がる前に1種類目の4回転は完成させたいところでしょうか。

 

○3連続の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
みなとアクルス FS 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 X -1.57 10.20 -2.600
木下トロフィー FS 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 X 0.47 12.24 0.857
げんさんサマーカップ FS 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 X 0.98 12.75 1.600
JGP Courchevel FS 9 3Lz*+1Eu+3S   5.28 x 0.25 5.53 0.556
JGP Egna FS 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.93 12.70 1.667
西日本選手権 FS 10 3Lo+1Eu+3S* * 5.94 X 0.78 6.72 1.571
全日本ジュニア FS 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 X -2.01 9.76 -3.286
JGP Final FS 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.67 12.44 1.333
全日本選手権 FS 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 X 1.01 12.78 1.667
全国高等学校総合体育大会 FS 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 X 1.18 12.95 2.000
国民体育大会 FS 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 X 0.98 12.75 1.600
Triglav Trophy FS 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.18 12.95 2.000

3連続ジャンプはフリーで毎試合しっかり入りました。9番目の要素でルッツから入って3つ目に3回転サルコウが入ります。西日本ではリカバリーでループからになりました。12回のうち12回とも3つ目がしっかり3回転サルコウになっています。西日本は3回目の3回転サルコウになって基礎点取れてないというミスはありますが、ジャンプとしては成功でした。GOEマイナスは2回なので、10回は成功です。3連続ジャンプはしっかり得点源として機能しています。

 

ジュニアグランプリファイナルや全日本ジュニアでチャンスがありながら4位に終わった中村選手。どちらも惜しい試合でした。来期もジュニアに残ります。全日本ジュニアの上位3名は全員来期はシニアです。ジュニアグランプリファイナルに優勝したメモラ選手もシニアに抜けるはずなのでいません。来期は4回転トーループが完成すれば、ジュニアの中で無双できる可能性もあります。あとは、木下アカデミーにいますので、スピンステップも安定してレベルが獲れるようになってくるといいですが。女子に偏っている木下アカデミーなので、男子の筆頭選手として結果を来年は残していっていただければと思います。