東京夏季フィギュア 樋口新葉選手久しぶりの70点台マーク

8/21-22の日程で2年ぶりに東京夏季フィギュアスケート競技会が開催されました。

昨年はコロナの影響で中止。今年はコロナの状況は昨年よりひどいですが、慣れとワクチンのそれなりの広まり、ということでか、規模縮小されながらも開催にこぎつけています。

規模が縮小されたことで、実施種目はジュニアとシニアそれぞれのショートプログラムのみとなりました。

 

○女子シングル(シニア) 上位10人

Pl Name 所属 TSS TES PCS
1 樋口新葉 明治大学ノエビア 74.02 41.04 32.98
2 松原星 明治大学 64.06 37.04 27.02
3 青木祐奈 日本大学 63.47 36.27 27.20
4 川畑和愛 早稲田大学 60.26 30.28 29.98
5 渡辺倫果 法政大学 58.96 34.28 24.68
6 佐藤伊吹 明治大学 51.60 27.06 25.54
7 佐上黎 法政大学 51.11 29.91 21.20
8 堀見華那 明治大学 47.55 29.17 19.38
9 馬場はるあ 早稲田大学 45.64 26.18 20.46
10 井上千尋 明治大学 45.16 25.08 20.08

ショートプログラムのみの競技会なので、ショートプログラムのスコアとTES、PCSをそれぞれ記します。

女子シングルはプチ関東インカレといった装い(フィギュアに関東インカレはなくて東日本インカレですが)

関東圏の上位選手が多く出場していましたが、その中で樋口新葉選手が群を抜いたスコアを出しました。74.02というのは国内の試合では樋口新葉選手のベストスコアになります。国際大会ではGOE±3ルール時代ですが、2017年のチャレンジャーシリーズロンバルディア杯で74.26というのを出していてそれ以来の高いスコアです。このスコアを全日本で出すことができれば、これまでの数字からすると最終グループの後半、表彰台圏内でフリーに折り返すことができるスコアです。

その他上位は当然ですが全日本の常連組が占めています。今シーズン、東日本選手権から全日本へ進む枠はかなり厳しくなっているはずなのですが、それを激しく争うことになる面々です。その中で明治大学樋口新葉選手と同期にあたる松原星選手が64.06をマークして2位 これは初めて60点を超えたパーソナルベスト相当のスコアになってきます。全日本でフリーもそろえることができるなら、国際大会派遣もありえるというスコアです。

青木祐奈選手が3位。今回は冒頭の3Lz-3Loを見事着氷。ルッツループの出来次第で平気で10点くらいスコアが変わってくる選手ですが、しっかり降りられればこれくらいのスコアは出してきます。

4位は2シーズン前の全日本3位表彰台の川畑和愛選手。冒頭のルッツが決まらず、リカバリーの後半コンビネーションはセカンド2回転でスコアが伸びませんでした。

5位の渡辺倫果選手は今回はトリプルアクセルチャレンジ無しでこのスコア。これくらいのスコアは普通に滑れば出せる選手です。

昨シーズンの全日本ではフリー進出のボーダーラインが54.45でしたが、それを上回ったのはこの5位の渡辺倫果選手まででした。

6位の佐藤伊吹選手は樋口新葉選手、松原星選手と同い年の明治大学3年生で全日本の常連ですが、昨シーズンは53.71でショート落ち。今回の51.60も昨年のボーダーラインに届かないスコアです。ただ、PCSの25.54は自己ベスト相当。PCSが伸びてきているのであとはジャンプが決まれば、といったところ。

 

○女子シングル(ジュニア) 上位10人

Pl Name 所属 TSS TES PCS
1 住吉りをん 駒場学園高校 63.12 36.50 26.62
2 中井亜美 MFアカデミー 57.20 35.98 21.22
3 髙木謠 MFアカデミー 50.10 28.12 21.98
4 奥野友莉菜 明治神宮外苑FSC 50.02 29.56 20.46
5 吉原由衣華 明治神宮外苑FSC 46.11 26.87 19.24
6 元榮愛子 目黒日本大学高等学校 44.60 24.88 19.72
7 日比優花 西武東伏見FSC 43.26 24.58 18.68
8 穂積乃愛 駒場学園高校 40.25 21.19 20.06
9 三木音葉 西武東伏見FSC 39.62 21.88 17.74
10 村上姫菜 西武東伏見FSC 39.21 21.63 17.58

ジュニアは住吉りをん選手が優勝。げんさんサマーカップもジュニアの部で優勝していますので、これで今シーズン2勝目、ということになります。63.12というスコアはパーソナルベスト相当です。本来なら今の時期はジュニアグランプリシリーズに派遣されているような選手なのですが、今シーズンはひとまず前半は派遣中止ということで国内ローカル戦を転戦しているようです。国際大会と比べてもあまり意味はないのですが、今週あったジュニアグランプリの試合ではロシアも派遣を止めていることもあって、ショートでこのスコアなら2位相当でした。

中井亜美選手は今シーズンからジュニアに上がった選手。ショート57.20はげんさんサマーカップのスコアを上回り、これもパーソナルベスト相当のスコアです。昨シーズンのノービス勢では木下アカデミー以外で唯一上位に来たのが中井亜美選手でした。昨シーズンまでは新潟での活動だったのですが、今シーズンからは木下アカデミーではなく、違うアカデミーを選んだ形で、三井不動産が運営しているMFアカデミーに移籍しました。Mは三井、Fは不動産のFなのか、活動拠点の船橋のFなのかわかりませんが、今年の春に新規開校したアカデミーです。

 

樋口新葉選手の構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 2A   3.30   1.10 4.40 3.400
2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
3 FCSp4   3.20   0.85 4.05 2.400
4 3F   5.83 X 1.77 7.60 3.200
5 CCoSp4   3.50   1.28 4.78 3.600
6 StSq4   3.90   1.43 5.33 3.600
7 LSp4   2.70   0.90 3.60 3.400
  TES   32.53   8.51 41.04  

スピンステップすべてレベル4、ジャンプもすべて決まって全要素全ジャッジプラス評価の滑りでした。冒頭にトリプルアクセルを入れるかどうか? 全日本では非常に難しい判断を迫られることになると思うのですが、本来はそれを迷わなくていいくらいにまでトリプルアクセルの完成度を高めたいところでしょうか。

ダブルアクセルのままでスコアを上げていくならコンビネーションを後半に入れる、という選択はあります。そこまで行くと基礎点が0.57上がります。

 

○住吉りをん選手の構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 2A   3.30   0.77 4.07 2.200
2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 1.800
3 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
4 FSSp2   2.30   0.38 2.68 1.600
5 3F   5.83 X 0.53 6.36 1.000
6 LSp4   2.70   0.81 3.51 2.800
7 StSq3   3.30   1.10 4.40 3.000
  TES   31.03   5.47 36.50  

住吉選手は全要素プラス評価ですが、ジャッジのうち一人が0を付けた要素があるので全ジャッジプラスにはなっていません。

ジャンプの構成は樋口新葉選手とまったく同じです。ステップはレベル3 スピンが一つレベル2 スピンの出来はげんさんサマーカップの方がよかったようです。冒頭にダブルアクセルを置く構成は、将来的にはトリプルアクセルという構想があるんでしょうか

 

○男子シングル(シニア) 上位5人

Pl Name 所属 TSS TES PCS
1 石塚玲雄 早稲田大学 61.33 30.82 30.51
2 長谷川一輝 東京理科大学 61.26 33.25 28.01
3 山隈太一朗 明治大学 48.68 19.42 30.26
4 佐藤由基 日本大学 47.08 22.25 24.83
5 鈴木楽人 法政大学 45.50 22.58 23.92

男子は国際経験豊富な選手のエントリーはありませんでした。

上位二人は60点台。全日本出場の当落線上あたりの選手なのですが、昨シーズンの全日本選手権のフリー進出ラインが60.08でしたので、これくらいのスコアを出せれば全日本が見えてきます。

 

○男子シングル(ジュニア) 上位5人

Pl Name 所属 TSS TES PCS
1 周藤集 MFアカデミー 53.02 28.35 24.67
2 藤城柊治 明治神宮外苑FSC 51.63 27.63 24.00
3 木村智貴 西武東伏見FSC 49.96 25.87 24.09
4 矢島司 駒場学園高校 47.74 25.32 22.42
5 北村凌大 MFアカデミー 43.86 20.60 23.26

全日本ジュニアのフリー進出ラインが昨シーズンは46.31でしたので、50点台を出してくるとフリー進出が見えてきます。

周藤選手は昨シーズンの全日本ジュニア27位でショート落ち。藤代選手は21位。全日本ジュニアのフリー進出ライン近辺の選手です。

ジュニアはMFアカデミー勢が上位に入ってきています。西は木下アカデミー、東はMFアカデミーという時代が来たりするのでしょうか?

 

以上、2年ぶりの東京夏季フィギュアの結果でした。