東京選手権 順当勝ち

東京選手権は、シードや免除で出場しないトップ選手が結構いました。羽生結弦選手も出たことないですが、理論上は東京ブロック所属のはずかな? 出ることはないでしょうけれど。

そんな中出場した選手たちは、割と順当勝ちかな、という結果を出してきています。

 

○女子シングル シニア(上位18人)

Pl Name 所属 Total SP FS
1 宮  原  知  子 木下グループ 208.85 72.30 136.55
2 渡  辺  倫  果 法政大学 182.67 64.38 118.29
3 松  原      星 明治大学 171.44 54.30 117.14
4 川  畑  和  愛 早稲田大学 170.42 66.26 104.16
5 青  木  祐  奈 日本大学 168.15 64.14 104.01
6 海  津  あすか 東洋大学 153.48 53.70 99.78
7 井  上  千  尋 明治大学 150.50 47.85 102.65
8 横  谷  杏  林 東京歯科大学 145.44 45.78 99.66
9 堀  見  華  那 明治大学 142.02 48.27 93.75
10 佐  上      黎 法政大学 141.40 47.59 93.81
11 増  田  未  夢 東洋大学 140.96 44.28 96.68
12 本  田  真  凜 JAL 140.70 53.58 87.12
13 依  田  茉里紗 日本大学 140.18 48.02 92.16
14 廣  田  彩  乃 専修大学 136.44 47.25 89.19
15 佐  藤  伊  吹 明治大学 132.94 48.52 84.42
16 村  田  直  美 日本大学 132.45 42.29 90.16
17 樋  口  瑞  保 法政大学 132.35 43.28 89.07
18 松  下  紗  千 日本大学 131.61 45.72 85.89

女子シングルシニアの東日本進出枠は16 わかりにくいのですが、この16の中に、ジャパンオープンに出場してこの大会が免除になっている樋口新葉選手を含みますが、逆に宮原知子選手はシード選手なので枠の中には入りません。結果的に見た目通りの16位までの選手が東日本へ進出できることになります。

優勝は宮原知子選手。本人が自分で言ってましたが、宮原選手が東京選手権にいるのは違和感しかないです。スコア208.85 とびぬけてますが本人実績からするとまずまず位のスコアなんでしょうか。ショートフリー合わせて、回転の足りたセカンド三回転がないなど、課題を完全克服は出来ていませんが、それでもこれくらいのスコアが出てきます。6つある地方選手権では、結局この宮原知子選手の208.85が最高得点でした。オリンピック三枠目を狙う選手たちにとって、まずこの得点が一つの基準点になってきます。

2位に入ったのは渡辺倫果選手。ショートでは技術点は宮原選手を超えてトップでした。フリーで3つ目の要素にトリプルアクセルを入れてきましたが、ダウングレード扱いと決めることは出来ませんでした。182.67はパーソナルベスト相当です。ユニバーシアード代表。他国のメンバーはわかりませんが、オリンピックシーズンであることも考えると、180点台の実績があれば表彰台チャンスくらいは回ってくるかもしれません。

全日本常連の松原星選手は、フリーで.1倍のところにセカンド3回転を2つ投入して逆転表彰台です。

全日本表彰台経験のある川畑和愛選手は、ケガ明けとのことでセカンド三回転を構成入れられずスコアが伸びずの4位。5位にはかつての全日本ノービス優勝者青木祐奈選手が入って来ました。

かつての世界ジュニアチャンピオン、本田真凜さんは12位。3回転がしっかり入らないという状態で、スコアは伸びてきませんでした。

 

宮原知子選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 3Lz<+2T 6.02   -0.47 5.55 -1.000
2 2A   3.30   0.99 4.29 2.800
3 3Lo   4.90   0.98 5.88 1.800
4 ChSq1   3.00   1.67 4.67 3.400
5 3S   4.30   1.00 5.30 2.400
6 FCSp4   3.20   0.96 4.16 3.000
7 3Fq+2T+2Lo q 9.13 X -0.18 8.95 -0.400
8 3Lz   6.49 X 1.18 7.67 2.000
9 CCoSp4   3.50   0.93 4.43 2.600
10 2A+3T< 7.33 X -0.34 6.99 -1.000
11 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
12 LSp4   2.70   1.17 3.87 4.200
  TES   57.77   9.45 67.22  

宮原選手は冒頭のコンビネーションでルッツが回転不足。そのまま付けたコンビネーションは2回転になっています。最後のジャンプはダブルアクセルからのコンビネーション。全日本初優勝の頃からの得点源ですが、これもセカンド三回転が回転不足。ジャンプが決まらない、というのは、だいぶ改善された感じではあるものの、セカンド三回転付きのコンビネーションをしっかり決める、というところまでは来ていません。それでもPCSが出ることもあって210点近いところまで来ます。他の選手は、最低線ここまで点が出ないとオリンピックはなさそうに見える。一方、宮原選手視点で見れば、回転不足の二つや三つあっても210点近いところまで行く、というのが去年もそうで今年もそう、という流れ出来ていますが、ここで回転不足の解消までできれば、220点が見えて、2回目のオリンピックがかなり近づいてくるわけです。

スピンステップはショートも含めてオールレベル4 そういうところできっちりとってきてPCSも高い。若手の壁としてしっかり立ちはだかっている、という立ち位置になっています。

 

○男子シングル シニア

Pl Name 所属 Total SP FS
1 長谷川  一  輝 東京理科大学 175.41 61.76 113.65
2 石  塚  玲  雄 早稲田大学 172.97 57.46 115.51
3 山  隈  太一朗 明治大学 153.60 50.26 103.34
4 古  庄  優  雅 日本大学 151.69 48.83 102.86
5 佐  藤  由  基 日本大学 142.48 50.03 92.45
6 堀  義  正 明治大学 140.26 49.30 90.96
7 松  井  努  夢 明治大学 132.29 45.27 87.02
8 緑  川  諒  人 日本大学 121.03 44.14 76.89
9 鈴  木  楽  人 法政大学 120.16 38.32 81.84
10 福  島  寛  輝 専修大学 108.99 36.70 72.29
11 齋  藤      翔 法政大学 106.75 41.77 64.98

男子シングルのシニアは東日本の進出枠が21ありますので、フリーまで滑り切った11人は全員東日本へ進むことになります。

優勝は東京理科大学基礎工学部材料工学科の長谷川一輝選手。スケートエリートの道ではないですが、科学エリートの一角を担う道を歩きながら、東京選手権を制しました。全日本の出場経験もある選手ですし、驚くことでもないのですが、所属:東京理科大学で優勝されると驚いてしまいます。

 

○女子シングルジュニア(上位12人)

Pl Name 所属 Total SP FS
1 住  吉  りをん 駒場学園高校 176.57 60.17 116.40
2 中  井  亜  美 MFアカデミー 166.08 60.17 105.91
3 髙  木      謠 MFアカデミー 142.48 52.44 90.04
4 奥  野  友莉菜 明治神宮外苑FSC 135.81 53.87 81.94
5 元  榮  愛  子 目黒日本大学高等学校 134.01 48.76 85.25
6 日  比  優  花 西武東伏見FSC 127.05 46.27 80.78
7 新  井  美  海 明治神宮外苑FSC 121.97 43.64 78.33
8 穂  積  乃  愛 駒場学園高校 112.70 37.52 75.18
9 井  瀧  梨  杏 西武東伏見FSC 110.51 42.90 67.61
10 三  木  音  葉 西武東伏見FSC 109.02 37.38 71.64
11 今  瀬  ひより MFアカデミー 105.25 38.56 66.69
12 村  上  姫  菜 西武東伏見FSC 101.18 36.24 64.94

女子シングルジュニアの東日本進出枠は10です。

優勝は18歳、高校三年生になった住吉りをん選手。ショートは1位が同点で技術点の差で順位が決まるという、かつて本田真凜さんが世界ジュニアで優勝した時を思い出させられるシチュエーションから、フリーでスコアを伸ばし優勝しました。

2位は今シーズンからジュニアに上がった中井亜美選手。フリーではトリプルアクセルに挑戦したようですが、2回転半扱いからのダウングレードということで、決まっていません。まだもう少し時間がかかるでしょうか。

3位もMFアカデミー勢の髙木謠選手が入ってきています。

 

○中井亜美選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 2A<< <<  1.10   -0.55 0.55 -4.600
2 3Lz!+3T ! 10.10   0.20 10.30 0.200
3 3Lo   4.90   0.82 5.72 1.600
4 2A+3T   7.50   0.42 7.92 0.800
5 FSSp4   3.00   0.70 3.70 2.400
6 3F!+1Eu+3S ! 11.11 X -0.18 10.93 -0.600
7 2A* * 0.00 X 0.00 0.00  
8 StSq3   3.30   0.66 3.96 1.800
9 3Lz! ! 6.49 X -0.20 6.29 -0.200
10 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
11 LSp3   2.40   0.48 2.88 2.000
  TES   53.40   3.05 56.45  

冒頭にトリプルアクセルを挑んだようですが、ダブルアクセル扱いのダウングレード、ということで点数がほとんどなくなってしまいました。さらに、普通に構成に入っているダブルアクセルは、その理由で二つ目が3回目扱いになりノーカウント。そういった形でスコアをだいぶロスしてしまっています。

2回飛んだジャンプはルッツとトーループ。セカンドトーループを活かす構成です。

ただ、合わせて3回入っているルッツとフリップですべて!がつくという、片方が苦手ではなく、どちらも踏切が不明瞭という状態です。コロナの影響で国際舞台をこの世代はまだ経験出来ていないのですが、国際舞台では!からeに進化して、基礎点から削られないか心配ではあります。

 

○男子シングル ジュニア(上位13人)

Pl Name 所属 Total SP FS
1 三  浦  佳  生 目黒日本大学高等学校 235.73 80.74 154.99
2 大  島  光  翔 明治大学 191.55 67.91 123.64
3 門  脇  慧  丞 法政大学 161.82 52.13 109.69
4 小田垣      櫻 目黒日本大学高等学校 149.92 49.83 100.09
5 木  村  智  貴 西武東伏見FSC 147.79 51.17 96.62
6 菊  地  竜  生 目黒日本大学高等学校 145.54 53.28 92.26
7 周  藤      集 MFアカデミー 144.65 52.92 91.73
8 矢  島      司 駒場学園高校 139.28 50.15 89.13
9 北  村  凌  大 MFアカデミー 134.90 45.00 89.90
10 藤  城  柊  治 ID学園高等学校 133.31 48.43 84.88
11 田  中  蓮  音 東大和FSC 133.16 45.51 87.65
12 加  藤  海  里 MFアカデミー 129.65 44.97 84.68
13 廣  田  聖  幸 早稲田大学 119.34 43.01 76.33

男子シングルのジュニアは東日本の進出枠は11にプラスしてシードの三浦佳生選手分まであるので実質12です。

三浦佳生選手の圧勝。235.73は今年の地方選手権のジュニアのスコアとしては断トツの点数です。シニアまで含めても鍵山優真選手に次いで2番目。全日本へはジュニアコースですが、今シーズンはシニアのNHK杯に推薦出場も決まりました。これは来シーズンに向けてランキングポイントも稼げるので大きいです。また、世界ジュニアの代表には問題なくなれると思いますので、そちらでの活躍も期待したいです。

今シーズンは、昨シーズン世界ジュニアが中止されたり、世界ジュニアが3枠あったりする関係からか、大学生のジュニアエントリー選手が目立つ印象です。その一人、明治大学の大島光翔選手が2位。191.55は地方大会のジュニア全体としても2番目。つまり、全日本ジュニアの表彰台の可能性がある位置であり、世界ジュニアが狙える位置でもあります。

ただ、世界ジュニアは、個人的には、鍵山優真選手か佐藤駿選手か、オリンピック外れた選手が回ってくる可能性も高いような感じもしています(四大陸にまわすかもしれませんが。世界ジュニアの枠も欲しい)

 

○三浦佳生選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 3A   8.00   2.67 10.67 3.400
2 4S   9.70   2.59 12.29 2.600
3 4T+3T   13.70   3.48 17.18 3.800
4 FCSp4   3.20   0.96 4.16 2.800
5 3A+1Eu+3F   13.80   0.27 14.07 0.600
6 4T< 8.36 X -3.80 4.56 -5.000
7 3F* * 0.00 X 0.00 0.00  
8 CSSp4   3.00   0.80 3.80 2.600
9 StSq3   3.30   0.88 4.18 2.800
10 3Lz+1T<< <<  6.49 X -1.77 4.72 -3.000
11 CCoSp3   3.00   0.70 3.70 2.400
  TES   72.55   6.78 79.33  

四回転三本ですが、三本目は回転不足で転倒でした。トリプルアクセル2本は成功。四回転トーループからのコンビネーションは平均GOE+3.800と高評価でした。

うっかりミス? なのかトリプルフリップがノーカウントの零点。四回転トーループが2回、トリプルアクセルも2回、普通に飛んでいる後に、トリプルフリップの2回目を入れるという、2回目ジャンプ3種類目で零点です。四回転フリップを飛ぶつもりだった、ということはないと思うのですが、なんでしょうこれ? サルコウジャンプ余ってますし、ループもあまってますので、普通に組み替えれば普通にもっと点が入るはずです。

フリーの154.99というスコアは、今年のジュニアグランプリシリーズと比べると2番目に相当するスコアです。フリップの零点をループでそれなりに点数が入った、というところまで仮定すれば160点を超えるところまでは行きます。しっかり滑れば世界ジュニアの表彰台が見える位置にいます。ジュニアグランプリシリーズ、派遣無しが非常に残念でした。

 

○女子シングル ノービスA(上位7人)

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 鳥  居  琴  子 明治神宮外苑FSC 77.26 38.69 39.07
2 牛  山  胡  香 MFアカデミー 72.97 33.47 40.00
3 北  見      奏 MFアカデミー 71.61 35.48 36.13
4 吉  田  茉  優 明治神宮外苑FSC 67.95 31.55 36.40
5 髙  園  青  依 MFアカデミー 66.41 28.00 38.41
6 長  山  桃  子 MFアカデミー 65.56 29.03 36.53
7 吉  野  心  菜 東京女子学院 64.38 32.52 31.86

女子シングルノービスAの全日本進出枠は5です。推薦選手もいませんし、意外と枠の少ない東京ブロックの女子ノービスAです。優勝はMFアカデミー勢を抑えた神宮外苑の鳥居琴子選手。昨年は東京ブロックで7位で全日本ノービスAに出られなかった選手が、リベンジを果たした形になりました。

 

○男子シングル ノービスA(上位10人)

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 蛯  原  大  弥 東京YC 91.06 45.90 45.16
2 中  田  璃  士 西武東伏見FSC 90.19 38.05 53.14
3 池  田      立 MFアカデミー 71.95 30.27 41.68
4 神  田  龍之介 明治神宮外苑FSC 69.53 27.69 41.84
5 早  川      潤 西武東伏見FSC 66.29 26.63 40.66
6 萩  原  颯  希 東大和FSC 63.06 22.06 41.00
7 浜  中  玲  旺 明治神宮外苑FSC 61.81 25.13 37.18
8 齊  藤  佑太朗 明治神宮外苑FSC 58.81 20.67 38.14
9 鷲  見      玄 西武東伏見FSC 52.79 19.63 33.16
10 清  水      丈 明治神宮外苑FSC 52.17 15.51 37.16

男子シングルノービスAの全日本進出枠は7プラス推薦選手が1人いるので実質8です。

優勝は91.06の蛯原大弥選手。2位に90.19で中田璃士選手が入りました。この二人が今回の六地区全体のノービスAのスコア上位2人になっています。全日本ノービスでも優勝争いをすることになると思われます。

 

○女子シングル ノービスB(上位8人)

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 大  竹  沙  歩 MFアカデミー 71.17 34.98 37.19
2 山  中  陽菜乃 江戸川クラブ 61.16 26.09 35.07
3 野  田  めぐみ 明治神宮外苑FSC 55.10 28.17 26.93
4 小  山  美  海 MFアカデミー 55.06 23.46 31.60
5 久  保  舞  華 MFアカデミー 51.16 22.09 29.07
6 茂  優  碧 青梅フィギュア 48.15 21.08 27.07
7 清  水  恵  茉 明治神宮外苑FSC 47.58 20.78 26.80
8 山  田  ナオミ 明治神宮外苑FSC 45.67 18.48 27.19

女子シングルノービスBは全日本進出枠は6です。ここはMFアカデミー勢から大竹沙歩選手が71.17で優勝。6つのブロック大会の中で、この71.17は全体2番目のスコアになります。

 

○男子シングル ノービスB

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 山  本  航  成 西武東伏見FSC 65.31 26.13 39.18
2 吉  野  咲太朗 西武東伏見FSC 63.43 25.43 38.00
3 長谷川  結  音 MFアカデミー 50.86 18.54 32.32
4 德  下  隼  央 西武東伏見FSC 43.15 14.81 28.34
5 鈴  木      聡 西武東伏見FSC 41.57 16.41 25.16
6 小  川  眞  生 明治神宮外苑FSC 39.03 12.19 26.84
7 箕  内  世  煌 MFアカデミー 38.15 13.65 24.50
8 矢  島      弦 西武東伏見FSC 38.03 11.53 27.00
9 彼  末  武  琉 明治神宮外苑FSC 30.77 9.29 23.48

男子シングルのノービスBは東伏見神宮外苑の対抗戦にMFアカデミーが新規参入という三つ巴の闘い。ノービスは所属名を学校名にする選手がいないので、はっきりこういう構図が出やすいです。

全日本ノービスBへの進出枠は5です

優勝は山本航成選手。ノービスB 1年目の選手です。まだ構成にダブルアクセル以上のジャンプがありませんが、その中で全要素プラス評価を受け、高い得点を出してきています。

 

これで6ブロックの地区大会が終了しました。次は全日本ノービスが10月23・24の日程で行われます。ジュニア以上の選手は、その次の週、10月29日からの東日本選手権や11月5日からの西日本選手権へ進むことになります。