全日本ノービス 四回転決まる

今シーズン最初の全国選手権、全日本ノービスが開催されました。ノービスAの上位選手にとっては、全日本ジュニアにつながる試合ではありますが、世界大会につながるわけでもなく、まだまだノービス時代は準備期間であり、その中の一番大きな試合、というくらいな位置づけであったりもします。

それはともかく、今シーズンの全日本ノービスはなかなかすごいものが見られました。

 

○女子シングル ノービスA(上位12人)

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 島  田  麻  央 木下アカデミー 120.03 69.63 50.40
2 和  田  薫  子 グランプリ東海クラブ 98.16 56.24 41.92
3 村  上  遥  奈 木下アカデミー 85.85 46.01 39.84
4 山  田      恵 パピオフィギュアクラブ 84.51 44.75 39.76
5 上  薗  恋  奈 グランプリ東海クラブ 84.27 47.01 37.76
6 矢  口  真  央 スペリオール愛知FSC 77.98 39.34 38.64
7 八  田  琴  子 KOSE新横浜プリンスFSC 74.26 39.06 35.20
8 鳥  居  琴  子 明治神宮外苑FSC 72.78 35.60 37.68
9 吉  田  茉  優 明治神宮外苑FSC 70.24 34.24 36.00
10 岡  田  衣千乃 岡山FSC 70.13 35.33 34.80
11 北  谷  美  結 京都宇治FSC 69.00 33.82 35.68
12 入  江  美  友 Mエイトクラブ 65.25 33.87 32.88

島田麻央選手、圧勝で2連覇です。120.03は全日本ノービスの大会記録。ノービスAのスコアとしては、近畿選手権の120.83にわずかに届きませんでした。これで島田麻央選手は全日本ノービスAを2連覇。ノービスBの2年目から全日本での三連覇を続けていることになります。ノービスAを2連覇は過去に二人、安藤美姫さんと浅田真央さんです。なお、ノービスB、ノービスA、ジュニア、シニアと4カテゴリーすべてで全日本を制した女子選手はこれまで浅田真央さんしかいません。ノービスBだけ取れなかったという選手は何人かいるのですが、島田麻央選手はBも獲りました。浅田真央さんに次ぐ4カテゴリー制覇の可能性をもってジュニアへ上がります。(現役選手では、吉田陽菜選手も今シーズンジュニアを勝って上に上がれば4カテゴリー制覇の可能性があります)

和田薫子選手が2位。昨シーズンから4ランク上がって全日本ジュニアの推薦券を得ました。100点のスコアはもっていたもののそれには届かず。全日本ジュニアでショートも揃えられれば上位進出の可能性があります。

3位は村上遥奈選手。今シーズン96.55のスコアを持っていましたが今回は冒頭のルッツがきまらずスコアがそこまで伸びませんでした。それでも表彰台を確保。上位3人は大会までの今シーズンのベストスコア上位3人がそのままその順番で入りました。

4位の山田恵選手までが全日本ジュニアの推薦券を得たはずです。上位4人はすべてノービスA2年目の選手で、来シーズンはジュニアに上がるはずです。

 

○島田麻央選手の構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 4T   9.50   2.66 12.16 2.857
2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.143
3 3F   5.30   0.95 6.25 1.857
4 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
5 3Lo   4.90   0.98 5.88 2.000
6 2A+3T+2T   9.68 X 0.76 10.44 1.857
7 3Lz   6.49 X 1.53 8.02 2.429
8 StSq3   3.30   0.59 3.89 1.857
9 FSSp4   3.00   0.60 3.60 2.000
10 LSp4   2.70   0.86 3.56 3.286
  TES   58.47   11.16 69.63  

冒頭の4回転トーループ。GOEで+4を付けたジャッジもいた素晴らしいジャンプでした。これで2戦連続成功です。近畿選手権では平均GOEが+2.200で加点1.90でしたので、その時よりさらに評価を上げています。

全要素全ジャッジプラス評価。要素10個で1.1倍は2つしかないのですが、技術点69.63を叩きだしています。ジュニアはジャンプ要素がコンビネーションごと1つ増えて1.1倍も1つ増えます。単純に余っているジャンプ3S+2Tが1.1倍に入ったとすると基礎点にして6.16増えます。GOEが+1ついたとして6.59点増えるので技術点が76点台になります。シニアルールだとここにコレオシークエンスが乗るので、大ざっぱに技術点80点程度の意味がある、というのがこのノービスAでの69.63という数字です。

島田麻央選手の次戦は全日本ジュニアになるはずです。四回転以外の要素の評価も高いですので、史上初のノービスからの推薦出場選手による全日本ジュニア優勝、という可能性もあるのでしょうか?

 

○男子シングル ノービスA(上位12人)

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 中  田  璃  士 西武東伏見FSC 102.06 48.56 53.50
2 西  野  太  翔 神奈川FSC 99.97 49.97 50.50
3 高  橋  星  名 京都宇治FSC 99.03 47.63 51.40
4 芳  岡  優  希 木下アカデミー 85.26 42.16 43.10
5 早  川      潤 西武東伏見FSC 81.67 39.87 42.30
6 武  田  結  仁 アイビスSC 80.68 39.98 40.70
7 神  谷  帆  鷹 名古屋FSC 79.91 35.61 45.30
8 蛯  原  大  弥 東京YC 77.56 38.36 40.20
9 佐  藤  和  那 邦和SC 76.31 35.51 41.30
10 浜  中  玲  旺 明治神宮外苑FSC 74.36 33.86 41.00
11 小河原  泉  颯 倉敷FSC 73.21 28.21 45.50
12 向  野      慶 神戸ポートアイランドクラブ 72.68 33.68 40.00

男子も中田璃士選手が2連覇でした。男子のノービスA2連覇は佐藤駿選手以来ですので、割と近い時期にあります。昨年は90.73でしたがそこからスコアを伸ばして100点に乗せてきました。

2位の西野太翔選手は昨シーズンの3位から1つ順位を上げました。技術点はトップ。もう少しで100点に乗るところまでスコアを伸ばしてきています。後半のダブルアクセルの転倒が痛く、これをクリーンに決めていれば優勝でした。

3位の高橋星名選手は大会開始前の今シーズンスコアランクトップだった選手。今シーズンのベストは出したのですが優勝には届かず3位でした。

男子は女子と異なり東日本の選手の活躍が目立ちました。それにしても表彰台ラインが99.03とは、かつてないハイレベルな男子のノービスAでした

 

○女子シングル ノービスB(上位12人)

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 大  竹  沙  歩 MFアカデミー 74.32 37.12 37.20
2 川  勝  玲  奈 京都宇治FSC 68.09 34.59 34.00
3 河  野  莉々愛 岡山SC 67.44 33.22 34.72
4 金  沢  純  禾 木下アカデミー 67.38 32.02 35.36
5 山  中  陽菜乃 江戸川クラブ 65.45 31.37 34.08
6 鈴  木  華  乃 木下アカデミー 64.51 32.35 32.16
7 増  尾      歩 京都宇治FSC 63.91 31.03 32.88
8 中  島  羽  菜 ひょうご西宮FSC 62.29 29.89 32.40
9 加  生  乙  夏 大分ゴールドFSC 61.04 27.06 34.48
10 吉  田      菫 倉敷FSC 58.26 25.88 32.88
11 能  登  咲  空 ひょうご西宮FSC 58.07 27.83 30.24
12 松  浪  ひかり 関西大学KFSC 55.95 28.19 27.76

優勝は昨年3位だった大竹沙歩選手。MFあかでみー開校1年目にして全国タイトルを1つ取りました。昨シーズンは邦和SCでしたので、西日本から東日本へ移った比較的珍しいケースです。MFアカデミーの開校でこういった動きもこの先出るのでしょうか?

大会前の今シーズンのスコアランクトップだった金沢純禾選手は4位。冒頭のルッツ決まらず1回転、後半のフリップも2回転ということで本領発揮できず。それでも上位3人と異なり金沢選手のみがノービスB 1年目です。

昨シーズン優勝の鈴木華乃選手は6位。スコアも昨年の71.60からだいぶ落としてしまっています。ノービスBを連覇となれば宮原知子選手以来だったのですが残念でした。

なお、現在ノービスBの選手は、次の次、2026年のミラノのオリンピックにもまだ年齢が足りずに出られない年回りになっています。遥未来に可能性を掛ける選手たちです。

 

○男子シングル ノービスB(上位12人)

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 岡  崎  隼  士 倉敷FSC 75.33 30.83 44.50
2 竹  中      慎 アテナ豊橋FSC 63.93 28.53 35.40
3 吉  野  咲太朗 西武東伏見FSC 63.39 22.79 40.60
4 松  本  悠  輝 帯広FSC 57.95 22.15 36.30
5 山  本  航  成 西武東伏見FSC 56.21 18.61 38.60
6 渡  邉  柊  吾 新潟FCKZ 55.47 21.57 33.90
7 加  来  翔  映 パピオフィギュアクラブ 55.11 17.51 38.10
8 高          旭 アクアリンクちばSC 54.32 20.92 33.40
9 谷          圭 岡山FSC 53.30 18.40 36.40
10 越  野  隆  清 ユニバースFSC 52.60 19.40 33.70
11 道  免  優  斗 ROYCE'F・S・C 52.12 19.72 34.40
12 阿  部  快  斗 八戸FSC 51.27 17.17 34.10

優勝は岡崎隼士選手。昨年の2位から順位を上げて今年は優勝を果たしました。スコアは昨年からわずかに上がったくらいでしたが、2位以下に10点以上の差をつけての圧勝です。

3位に入った吉野咲太朗選手はおそらくノービスB 1年目の選手です。PCSがかなり出ていまして、先が期待されます。

 

全日本ノービスAで4位までに入った選手は、例年通りですと全日本ジュニアの推薦出場権を得ます。全日本ジュニアは4週間後、11/20・21開催予定です。この間に、ノービスにはないショートプログラムの完成を急ぐことになります。

 

次週は東日本選手権があります。東から全日本への進出枠は今シーズンは少なく、なかなか厳しい戦いとなります。