東日本選手権 スコアは今一つ

全日本選手権の出場者が決まる最初の大会、東日本選手権が終了しました。東日本は西日本と比べ枠が狭く、もう少しボーダーラインは上がるかな、とも思いましたが、意外と上位のスコアが伸びないところもありました

 

○女子シングル シニア(上位12人)

Pl Name 所属 Total SP FS
1 渡辺倫果 法政大学 172.34 52.92 119.42
2 青木祐奈 日本大学 170.07 61.59 108.48
3 松原星 明治大学 169.27 58.62 110.65
4 川畑和愛 早稲田大学 163.28 56.55 106.73
5 本田真凜 JAL 152.02 50.37 101.65
6 佐藤伊吹 明治大学 148.29 51.27 97.02
7 井上千尋 明治大学 145.27 51.57 93.70
8 廣谷帆香 岩手大学 145.09 54.27 90.82
9 吉岡詩果 山梨学院大学 145.03 44.60 100.43
10 増田未夢 東洋大学 133.21 47.54 85.67
11 横谷杏林 東京歯科大学 127.98 46.83 81.15
12 海津あすか 東洋大学 124.54 45.01 79.53

女子シングルシニアの東日本から全日本への通過枠は6ですが、スケートカナダに出ている樋口新葉選手が免除なので、大会出場選手からの枠は5になります。

 

優勝はユニバーシアード代表の渡辺倫果選手。今シーズンは180点台を出していますのでもう少し点が出るかと思ったのですが、ショートが52.92とまさかの出遅れ。フリーで何とか逆転しましたが172.34と本人比で平凡なスコアにとどまりました。ショートでルッツが一回転になり零点に。フリーはシーズンベストではありました。

青木祐奈選手はショート一位から勝ち切れずの二位。フリーは2転倒が痛かったです。ショートは三試合連続で60点台を出していますので全日本でも後半グループに入ってのフリー勝負に臨める可能性は結構ありそうに感じます

三位の松原星選手までは本人比で普通のスコアで順当に東日本を通過した感じでした。

全日本の表彰台経験のある川畑和愛選手が東京選手権に続いて4位。ショートフリー共にセカンド三回転なし。まだ本調子ではないようです。

それぞれ不十分な内容ではありつつも順当に全日本へ抜けて行ったというのが上位4選手ですが、大会前のスコアランクで上位にいた中では吉岡詩果選手が9位で落選しました。ケガからの回復がまだ十分ではなかったでしょうか。ショートで44点台なんて出す選手ではありませんし、まずはケガから回復して来シーズンに備えてほしいです

その空いた5枠目に逆転で入ってきたのが本田真凜選手でした。全盛期と比べると見る影もない構成になっているのは事実ですが、それでも今回は東京選手権や東日本学生の時には入っていなかった三回転のフリップを!がついたり回転不足だったりしながらもなんとか2本入れてきたことでどうにかこうにか基礎点が整い、トータル150点までは乗せて東日本通過となりました。

本来はここで終わりなのですが、優勝した渡辺倫果選手がユニバーシアードに出場予定で、全日本と日程が近く、今回はコロナ隔離の対象になってしまう可能性が現時点でもあるため、全日本出場枠の外として、6位の佐藤伊吹選手まで全日本の出場権を得る形となりました。

 

○女子シングル上位12人の要素別スコア

Pl Name Total PCS Jump J GOE Spin Step
1 渡辺倫果 172.34 79.20 62.08 -0.44 21.59 10.91
2 青木祐奈 170.07 86.12 58.79 -3.66 18.61 12.21
3 松原星 169.27 76.32 59.38 0.67 22.47 10.43
4 川畑和愛 163.28 88.12 42.23 2.65 19.64 11.64
5 本田真凜 152.02 82.60 45.20 -5.63 20.30 10.55
6 佐藤伊吹 148.29 67.80 54.71 -3.46 18.95 10.29
7 井上千尋 145.27 73.12 37.86 -0.46 22.48 13.27
8 廣谷帆香 145.09 62.12 53.79 3.03 19.31 6.84
9 吉岡詩果 145.03 77.60 44.55 -4.70 19.76 9.82
10 増田未夢 133.21 62.64 44.83 -2.15 19.87 9.02
11 横谷杏林 127.98 62.76 43.60 -7.29 20.89 9.02
12 海津あすか 124.54 61.48 44.63 -6.92 18.65 7.70

こうやってみるとそれぞれだいぶ特徴が出ます。

ジャンプの基礎点は上位の選手がやはり高いです。ただ、GOEは誰も稼げていない。その辺にグランプリレベルの選手との差があるのでしょうか。

スピンは全日本の出場権を得られなかった井上千尋選手がトップです。22.48というのはスケートアメリカの坂本花織選手の22.53に匹敵します。国際大会と比べても仕方ない部分はありますが、スピンについてはグランプリ級というい方くらいはしてもよいのでしょうきっと。逆に2位で全日本に進んだ青木祐奈選手はここにいる中では一番低く全体の中で15番目とスピンで点が取れていません。

ステップ系要素もトップは井上千尋選手。13.27というのはスケートアメリカのトゥルソワ選手の13.23を上回ります。ジャンプが基礎点37.86と伸ばせていないのが痛すぎるわけですが、スピンステップならグランプリ級と呼べるような選手が全日本に進めないようななかにもいるわけです。

PCSは川畑和愛選手がトップ。青木祐奈選手が二番手で本田真凜選手が三番手と続きます。ジュニア時代には国際舞台で戦っていたというような選手がPCSは高い評価を受けています。

 

○男子シングル シニア(上位12人)

Pl Name 所属 Total SP FS
1 島田高志郎 木下グループ 217.22 78.79 138.43
2 山隈太一朗 明治大学 181.25 60.93 120.32
3 長谷川一輝 東京理科大学 176.91 61.37 115.54
4 石塚玲雄 早稲田大学 175.35 63.47 111.88
5 古庄優雅 日本大学 145.83 46.58 99.25
6 鈴木楽人 法政大学 145.26 49.14 96.12
7 堀義正 明治大学 136.59 48.60 87.99
8 佐藤由基 日本大学 134.67 43.81 90.86
9 坪井聖弥 北洋大学 133.94 51.27 82.67
10 齋藤翔 法政大学 127.21 45.15 82.06
11 松井努夢 明治大学 120.63 41.07 79.56
12 福島寛輝 専修大学 116.66 36.02 80.64

優勝は今季初戦の島田高志郎選手でした。ただ一人200点を超えて2位以下に30点以上の大差をつけての圧勝です。本人的には満足いかないスコアでしょうが、このレベルに入ると力の差がだいぶありました。

東京選手権ではなかなかひどい出来だった山隈太一郎選手がだいぶスコアを戻してきて2位。渡辺倫果選手と同じくユニバーシアード代表なので頑張ってきてほしいです。

勉強大変そうな長谷川一輝選手は3位。東京選手権とほぼ近いスコアで東日本を通過しました。

東日本から全日本への通過枠は7ですが、スケートアメリカに出た佐藤駿選手が免除で枠内に入るので実質的には6になります。なのでこの大会の出場選手からは6人が全日本へ、となるところなのですが、女子の渡辺倫果選手同様、山隈太一郎選手がユニバーシアードから帰国後にコロナ隔離の制限に引っ掛かる可能性が今の時点でありますために、それを外して7位の堀義正選手までに全日本の出場権が付与されました。

 

○島田高志郎選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 4T   9.50   0.00 9.50 -0.143
2 3S   4.30   0.26 4.56 0.714
3 3A   8.00   -4.00 4.00 -5.000
4 3Lo   4.90   -1.37 3.53 -2.857
5 StSq3   3.30   0.86 4.16 2.714
6 FSSp3   2.60   0.52 3.12 2.000
7 3A+1Eu+3S   14.08 X 1.44 15.52 1.714
8 ChSq1   3.00   1.20 4.20 2.429
9 2A   3.63 X 0.00 3.63 0.143
10 3Lz+2T   7.92 X 0.47 8.39 0.857
11 CCoSp1V   1.50   0.18 1.68 1.000
12 FCCoSp4   3.50   0.84 4.34 2.286
  TES   66.23   0.40 66.63  

四回転は一本ですが着氷しました。トリプルアクセルが転倒。コンビネーションが二つしか入っておらずセカンド三回転がないのも少し気になります。また、ランビエール門下生がスピンでレベル1Vはやっちゃいけないでしょう・・。というわけで、本人比では不満足でしょうが、今季初戦ですし、こんなものでしょうか。二つ目のトリプルサルコウも四回転にしたいのでしょうきっと。この先二カ月弱で調整してきてもらえることを期待しています。

 

○女子シングル ジュニア(上位12人)

Pl Name 所属 Total SP FS
1 住吉りをん 駒場学園高校 182.56 60.44 122.12
2 奥野友莉菜 明治神宮外苑FSC 166.09 58.55 107.54
3 千葉百音 東北高校 161.77 57.64 104.13
4 中井亜美 MFアカデミー 153.80 57.23 96.57
5 髙木謠 MFアカデミー 152.29 52.25 100.04
6 元榮愛子 目黒日本大学高等学校 144.51 49.58 94.93
7 菅野夏帆 KOSE新横浜プリンスFSC 138.78 47.29 91.49
8 鈴木なつ Mエイトクラブ 133.69 44.43 89.26
9 三枝知香子 アクアリンクちばSC 132.07 46.01 86.06
10 田邊桜香 星槎国際横浜 122.78 43.91 78.87
11 久保山唯 KOSE新横浜プリンスFSC 122.14 44.38 77.76
12 穂積乃愛 駒場学園高校 120.37 47.44 72.93

女子シングルジュニアの全日本ジュニアへの進出枠は10でした。10位と11位の差は0.64 

厳しい勝負でした。

優勝は住吉りをん選手。東日本ジュニアは2連覇。180点を超えるスコアを出したのはジュニアカテゴリーの試合では初です。ただシニア区分の昨年の全日本で186.08を出していますので、十分可能性のあるスコアではありました。

奥野友莉菜選手は昨シーズンの全日本ジュニアで13位の選手。東京選手権では135点台に終わっていたのですが、一気に躍進して2位に入ってきました。

3位は高校生になった千葉百音選手。昨年に続いての全日本進出を目指しつつ、世界ジュニアの代表も目指す立ち位置。東北・北海道選手権よりはスコアを伸ばしてきました。

今シーズンからジュニアに上がった中井亜美選手が4位。東京選手権からはスコアをだいぶ落としてしまっています。

 

○女子シングルジュニア 上位12人の要素別スコア

Pl Name Total PCS Jump J GOE Spin Step
1 住吉りをん 182.56 87.24 64.10 1.29 21.42 8.51
2 奥野友莉菜 166.09 76.44 58.68 2.04 20.61 8.32
3 千葉百音 161.77 78.88 60.26 -4.31 22.44 6.50
4 中井亜美 153.80 71.96 63.49 -7.45 21.01 7.79
5 髙木謠 152.29 71.60 53.95 -2.00 21.62 8.12
6 元榮愛子 144.51 69.32 52.69 -3.92 19.50 6.92
7 菅野夏帆 138.78 64.28 57.69 -8.45 20.44 5.82
8 鈴木なつ 133.69 65.60 47.18 -4.64 20.63 6.92
9 三枝知香子 132.07 65.76 47.02 -6.02 20.33 5.98
10 田邊桜香 122.78 61.32 39.22 -2.39 19.75 5.88
11 久保山唯 122.14 60.60 43.16 -8.02 19.34 7.06
12 穂積乃愛 120.37 67.12 39.07 -9.77 20.92 6.03

ジュニアの要素別。ジャンプの基礎点は全体的にシニアより高めです。住吉理をん選手の4.10というのはグランプリシリーズでも全体の真ん中くらいには入って来る基礎点水準です。

ただ、全体的にジャンプのGOEは稼げていません。ミスなく滑る、というのが非常に難しいというのがよく見えます。

スピンは千葉百音選手がトップ。一方で千葉選手はステップが苦手でスコアが伸びていません。

PCSは住吉理をん選手がトップ。2位以下とPCSで差が大きいので格の差みたいなものを感じます。今シーズン日本のジュニアでPCSの合計が80点を超えたのは住吉選手以外では吉田陽菜選手の80.08が最高です。

 

○男子シングル ジュニア(上位12人)

Pl Name 所属 Total SP FS
1 三浦佳生 目黒日本大学高等学校 215.05 78.02 137.03
2 大島光翔 明治大学 197.94 68.49 129.45
3 門脇慧丞 法政大学 160.98 53.19 107.79
4 菊地竜生 目黒日本大学高等学校 148.19 45.77 102.42
5 小田垣櫻 目黒日本大学高等学校 142.49 50.57 91.92
6 木村智貴 西武東伏見FSC 139.77 44.98 94.79
7 周藤集 MFアカデミー 133.07 44.93 88.14
8 山田琉伸 埼玉栄高校 130.83 41.62 89.21
9 北村凌大 MFアカデミー 129.97 43.30 86.67
10 藤城柊治 ID学園高等学校 126.75 40.66 86.09
11 矢島司 駒場学園高校 124.15 46.33 77.82
12 大久保政宗 長野日大高校 123.43 44.32 79.11

優勝は当然のように三浦佳生選手でした。本人的には不満しかなさそうですが、それでも圧勝ではあります。2位3位は大学生。200点近いスコアまで持ってきた大島光翔選手は今シーズンの日本のジュニアの中では2番目のスコアですので世界ジュニアの芽があります。シニアからの出戻り組に世界ジュニアの枠を取られるとしても、3枠ある1つまででしょうから、2番手なら世界ジュニアが回ってきそうです。

全日本ジュニアへの通過枠は8ですが三浦選手はシードで枠外ですので、9位の北村凌大選手までが出場権を得る形となりました。

 

○三浦佳生選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 3A   8.00   3.04 11.04 3.714
2 1S   0.40   -0.13 0.27 -3.143
3 4T   9.50   -2.47 7.03 -2.429
4 FCSp3   2.80   0.22 3.02 0.714
5 3A+1Eu+3S   12.80   0.80 13.60 1.143
6 4T+2T   11.88 X -2.09 9.79 -2.286
7 3Lz   6.49 X -2.95 3.54 -5.000
8 CSSp2   2.30   0.51 2.81 2.143
9 StSq2   2.60   0.62 3.22 2.286
10 3F+2T   7.26 X 0.53 7.79 1.143
11 CCoSp3   3.00   1.02 4.02 3.429
  TES   67.03   -0.90 66.13  

フジテレビツイッターで土下座までした三浦佳生選手の今回のフリーの構成がこれ。

サルコウこそ1回転になりましたが、トーループ2本は降りてはいますし、土下座までしなくてもという気はしますが、鍵山優真に勝つ!が基準だとそういう心理にもなってしまうのでしょうか。土下座ポイントがスピンステップでレベル4が一つもなかったところでしたらわかる気はしたりしますけど。世界ジュニアでのご活躍を期待しております、というかその前にグランプリファイナルに招待選手で出られそうな気がしますので、そこで世界に名乗りを上げていただければと思います。

 

全体的に、上位陣が本領を発揮したとはいいがたい大会だったかと思いますが、それでもほとんどの選手は予選としてのこの大会は通過していきました。吉岡詩果選手は残念でしたが。ジュニアのシニアの、それぞれの全日本で、それぞれの選手の本領が発揮されることを期待しています。

 

次週は西日本選手権となり、全日本ジュニアの出場全選手が決まり、シニア勢の全日本進出者も決まります。