オーストリア杯 天国から地獄

チャレンジャーシリーズの第7戦、オーストリア杯がNHK杯の真裏で行われました。この試合には日本からの選手派遣もありました。

 

○女子シングル 上位10人

Pl Name Nation Total SP FS
1 Wakaba HIGUCHI JPN 189.43 79.73 109.70
2 Yeonjeong PARK KOR 184.07 57.84 126.23
3 Niina PETROKINA EST 181.17 57.39 123.78
4 Audrey SHIN USA 169.99 54.58 115.41
5 Starr ANDREWS USA 157.35 53.78 103.57
6 Milana RAMASHOVA BLR 155.30 46.53 108.77
7 Emily BAUSBACK CAN 154.30 55.06 99.24
8 Sophia SCHALLER AUT 152.01 48.46 103.55
9 Tomoe KAWABATA JPN 149.96 54.34 95.62
10 Kristina ISAEV GER 149.78 51.85 97.93

日本から派遣された樋口新葉選手が優勝です。ショートでは驚異の79.73 これが一転してフリーでは109.70に終わっています。ショートの大きな貯金が生きて逃げ切り優勝ですが、本人的にはうれしくもなんともない、というやつでしょう。ただし、チャレンジャーシリーズの優勝なので、ランキングポイントとして300ポイント獲得です。これにより、次戦、フランス杯で8位以内に入れば、宮原知子選手を抜いて世界ランキングが日本勢の中で3番目に上がります。そういう意味では大きな優勝ではありました。

 

2位には韓国のパクヨンジョン選手が184.07で入っています。USインターナショナルでは212.40を出して今シーズンの韓国勢の中で2位のスコアを持っている選手。今回はショートで崩れスコアが伸びませんでした。韓国の熾烈な代表争いはどうなるでしょうか

 

アメリカからはオードリーシン選手とスターアンドリュース選手の2選手が出場しましたがいずれもスコアが伸びていません。今シーズンアメリカ勢は今一つなスコアが多いように見えます。

 

日本からはもう一人川畑和愛選手が出場しましたが149.96と本人比でもかなり低めなスコアに終わりました。3回転のジャンプがことごとく入らず厳しい試合となりました。9位だとポイントも入らないというのが痛いです。

 

樋口新葉選手のショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
2 3Lz+3T   10.10   1.42 11.52 2.286
3 FCSp4   3.20   0.77 3.97 2.286
4 3F   5.83 x 1.38 7.21 2.571
5 CCoSp4   3.50   0.91 4.41 2.429
6 StSq4   3.90   1.33 5.23 3.429
7 LSp4   2.70   0.81 3.51 3.000
  TES   37.23   9.02 46.25  

樋口新葉選手のショートプログラムは素晴らしいの一言。トリプルアクセルをGOE+3をもらっての成功。スピンステップオールレベル4。全要素全ジャッジプラス評価。文句のつけようがありません。

 

樋口新葉選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 3A< 6.40   -3.20 3.20 -5.000
2 3Lz+3T< 9.26   -0.71 8.55 -1.286
3 3S   4.30   0.86 5.16 2.000
4 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
5 2A   3.30   0.79 4.09 2.571
6 2Lz   2.31 x 0.25 2.56 1.143
7 3Loq q 5.39 x -2.45 2.94 -5.000
8 3Fe< 3.50 x -1.15 2.35 -3.571
9 FCSp3   2.80   0.45 3.25 1.429
10 StSq3   3.30   0.86 4.16 2.429
11 ChSq1   3.00   1.00 4.00 2.000
12 FCCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
  TES   50.56   -1.90 48.66  

一転フリー。トリプルアクセルが回転不足で転倒。ここまでは仕方ないとして、3Lz+3Tが回転不足、後半もルッツが2回転になりループで転倒、最後のフリップもe付き回転不足。コンビネーションは一つしかつかず三連続無し。得意のステップもレベル3 散々でした

天国から地獄。なかなか2本そろわないですね。80点近いショートにノーミスフリーが合わさったら全日本で勝てるんじゃないかくらいのところにいるのですが、189.43ではオリンピックどころか四大陸にも掠らない点数になってくる。何とも落差の激しい選手です。

 

○男子シングル(上位10人)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Nika EGADZE GEO 227.57 68.02 159.55
2 Lucas Tsuyoshi HONDA JPN 225.89 83.95 141.94
3 Ilia MALININ USA 222.55 67.58 154.97
4 Mihhail SELEVKO EST 221.11 82.61 138.50
5 Maurizio ZANDRON AUT 220.81 79.06 141.75
6 Arlet LEVANDI EST 219.83 75.10 144.73
7 Sena MIYAKE JPN 214.87 70.57 144.30
8 Nikita STAROSTIN GER 208.96 75.78 133.18
9 Landry LE MAY FRA 206.64 70.53 136.11
10 Corey CIRCELLI CAN 201.62 67.41 134.21

男子シングルはジョージアのニカエガーゼ選手が優勝。ジョージアはオリンピックの出場枠を持っていて、エテリ組のクビテラシビリ選手が最有力ではあるのですが、今シーズンスコアが全然伸びていないので食ってしまうチャンスがある、という位置にいます。

 

日本から参加の本田ルーカス剛史選手が2位。ショートは83.95の首位からフリーでしっかり滑ればチャレンジャーシリーズ初優勝というところだったのですが四回転やトリプルアクセルといった基礎点高いところで回転不足があり、ルッツが二つ2回転になるなど力を発揮しきれず2位に終わりました。実質的にはシニアの国際大会初出場ですので、まずこのスコアがパーソナルベストとなります。

日本からはもう一人三宅星南選手も出場。こちらは214.87 三宅選手もシニアの国際大会は実質的に始めてです。ジュニア時代も含めて国際大会で初の200点突破で、これもパーソナルベストとなります。

 

チャレンジャーシリーズは残り二戦。次週にはワルシャワカップがあります。今回のオーストリア杯もそうでしたが、チャレンジャーシリーズは気軽なキャンセルが結構あるので、どの程度エントリー選手がそのまま出てくるかはわかりませんが、男子ではカナダのゴゴレフ選手、イタリアのグラスル選手、アメリカのヴィンセントジョウ選手あたりのエントリーが見えます。日本からは山本草太選手と島田高志郎選手がエントリーです。日米のNHK杯に出ていた2選手が出る気はあまりしないのですが、エントリー表にまだ名前はあります。女子ではカナダのデールマン選手、ロシアのフロミフ選手といったところがエントリーしていて、日本からのエントリーはすべて削除されました。なお、アイスダンスでは日本代表直接対決2連戦の2戦目になっていて、小松原/コレト組、村元/高橋組の両者ともにエントリーしています。