ワルシャワカップ 逃げ切り優勝

チャレンジャーシリーズ第8戦、ワルシャワカップはグランプリシリーズフランス杯のうらの日程で行われました。日本では、アイスダンスがこの試合のメインイベントみたいなことになっていましたが、男子シングルにも日本からの派遣はありました。

 

○男子シングル 上位12人

Pl Name Nation Total SP FS
1 Sota YAMAMOTO JPN 247.65 91.75 155.90
2 Daniel GRASSL ITA 242.96 81.74 161.22
3 Petr GUMENNIK RUS 242.91 88.24 154.67
4 Wesley CHIU CAN 232.39 70.15 162.24
5 Koshiro SHIMADA JPN 228.77 90.55 138.22
6 Alexei BYCHENKO ISR 224.40 79.35 145.05
7 Lukas BRITSCHGI SUI 213.76 79.34 134.42
8 Alexey EROKHOV RUS 212.54 77.41 135.13
9 Nikolaj MEMOLA ITA 211.59 69.59 142.00
10 Irakli MAYSURADZE GEO 208.80 76.86 131.94
11 Stephen GOGOLEV CAN 206.17 67.80 138.37
12 Paul FENTZ GER 205.62 62.05 143.57

本草太選手が優勝。パーソナルベスト更新です。ただフリーは転倒二つもあり納得いく出来ではなかったと思います。チャレンジャーシリーズは通算2勝目です。これで日本勢の中でシーズンベストが4番目に上がってきました。オリンピックの代表争いは240点台ではちょっと苦しいと思いますが、世界選手権は今シーズンなら可能性があるのと、四大陸選手権のチケットは手に入りそうな位置にいます。世界ランキングはこれで24位に上がり、シーズンベストランクも20位。どちらももう少し上げないとシーズン終わっての24位以内確保は出来ないと思いますが、それでも先につながる優勝だったと思います。

イタリアのグラスル選手が2位でした。フリーで冒頭から四つqマークが並ぶというなかなかみないスコアシートでしたが、基礎点はすべて満額もらえたことで耐えきって2位まで入ってきたという風に見えます。

日本からもう一人出場の島田高志郎選手は5位。ショートは自己ベストの90点台を出してきたのですがフリーが伸びず。それでもフリーの貯金が生きてパーソナルベストではあります。今シーズンはグランプリの枠がもらえていない島田高志郎選手としては、ここでもう少しスコアを出して高いシーズンベストが欲しいところでした。このスコアは現時点でスコアランク32位。グランプリ枠が確保できる24位にはだいぶ届いていません。チャンスを生かしきれませんでした。

 

○山本草太選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 4S< 7.76   -3.88 3.88 -5.000
2 3A+2T   9.30   1.60 10.90 2.143
3 3Aq q 8.00   -4.00 4.00 -5.000
4 3Lo   4.90   1.27 6.17 2.571
5 FCSp3   2.80   0.17 2.97 0.714
6 StSq3   3.30   0.73 4.03 2.143
7 3F+3T   10.45 x 1.48 11.93 2.714
8 3F+1Eu+3S   11.11 x 0.85 11.96 1.571
9 3Lz! ! 6.49 x 0.12 6.61 0.143
10 CSSp4   3.00   1.02 4.02 3.429
11 ChSq1   3.00   1.60 4.60 3.286
12 CCoSp4   3.50   1.33 4.83 3.714
  TES   73.61   2.29 75.90  

フリーは四回転一本構成。その四回転が回転不足の転倒。トリプルアクセルも2本目で転倒。こうなってしまうとスコアはなかなか出てこないです。後半1.1倍のところに三回転を5本詰め込む構成。ここはしっかり稼ぐことが出来ました。ルッツもなんとか!まででeは付かずに済んでいます。

ショートプログラムは今シーズン四回転一本でうまくいっているわけで、フリーも四回転一本なら理屈としてはノーミスで行けるのではないかと思われるのですが、そう簡単なものでもないんでしょうか。ノーミスなら170点は見えていて、トータル260点までは出るので、今シーズンの四大陸なら表彰台チャンスもある水準かと思っています。

 

○島田高志郎選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 2T   1.30   -0.13 1.17 -1.000
2 4S< 7.76   -3.88 3.88 -5.000
3 3A   8.00   -2.56 5.44 -3.286
4 3Lo   4.90   1.08 5.98 2.286
5 StSq2   2.60   0.62 3.22 2.429
6 FSSp4   3.00   0.96 3.96 3.286
7 3A+1Eu+3S   14.08 x 1.44 15.52 1.857
8 ChSq1   3.00   1.40 4.40 2.857
9 3T   4.62 x 0.92 5.54 2.143
10 3Lz   6.49 x -2.95 3.54 -5.000
11 CCoSp2V   1.88   -0.19 1.69 -1.143
12 FCCoSp4   3.50   0.98 4.48 2.714
  TES   61.13   -2.31 58.82  

島田高志郎選手は四回転2種類2本構成。その2本ともが入りませんでした。2回飛んだジャンプはトリプルアクセルのみ。コンビネーションは3連続が入りましたがそれ一つだけ。なかなか苦しい滑りでした。9番目に単独の三回転トーループというなかなか見ない要素が入っているのですが、滑りの雰囲気からしてこれは四回転が三回転になったわけではなかったですし、意図して三回転トーループを入れたのだと思うのですが、ちょっと意図がよくわかりませんでした。スピンも一つ失敗して2Vがついています。ランビエール門下生がスピン失敗しちゃいけない。

ショートよかったのですけどねえ・・・。残念でした。全日本で、二十歳のチャップリン完成版をお待ちしております。

 

○女子シングル 上位12人

Pl Name Nation Total SP FS
1 Maiia KHROMYKH RUS 194.02 69.24 124.78
2 Niina PETROKINA EST 188.86 64.92 123.94
3 Ekaterina KURAKOVA POL 187.80 61.20 126.60
4 Nicole SCHOTT GER 186.66 63.03 123.63
5 Lindsay THORNGREN USA 184.40 60.75 123.65
6 Anastasiia SHABOTOVA UKR 177.40 59.95 117.45
7 Gabrielle DALEMAN CAN 176.74 61.57 115.17
8 Emmi PELTONEN FIN 169.25 60.79 108.46
9 Jenni SAARINEN FIN 164.85 68.71 96.14
10 Kristina ISAEV GER 161.47 52.11 109.36
11 Natasha MCKAY GBR 160.22 56.44 103.78
12 Marilena KITROMILIS CYP 157.12 54.77 102.35

女子シングルの優勝はロシアのフロミフ選手でした。スコアは194.02 え? というようなスコア。ショートから三回転三回転が入らなかったりおかしかったですが、フリーでは2回転倒というなかなかないことが起きて124点台。調整試合なので問題はないですが非常に印象は悪いです。来週のロステレコム杯でどうなるか?

2位にはエストニアのペトロキナ選手が入って来ました。188.86はパーソナルベスト。エストニアエバロッタキーバス選手が圧倒的に強い、と思っていたのですがここにきて代表争いに絡む選手が出てきました。

地元ポーランド国籍のクラコワ選手が3位に続きました。

日本女子の出場はありませんでした。

 

○マイアフロミフ選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 4Tq q 9.50   -3.99 5.51 -4.143
2 4T<<+REP <<  2.94   -2.10 0.84 -5.000
3 CCoSp4   3.50   0.91 4.41 2.571
4 3Lo< 3.92   -1.96 1.96 -5.000
5 2A   3.30   0.73 4.03 2.000
6 StSq2   2.60   0.52 3.12 2.000
7 3Lz+3T   11.11 x 0.35 11.46 0.571
8 3F+1Eu+3S   11.11 x 0.64 11.75 1.143
9 3Lz+2T   7.92 x 0.24 8.16 0.286
10 FCSp4   3.20   0.64 3.84 2.143
11 ChSq1   3.00   1.40 4.40 2.714
12 FCCoSp4   3.50   0.84 4.34 2.286
  TES   65.60   -1.78 63.82  

4回転2本構成。1本目は何とか転倒は免れましたが2本目で転倒。そこまではまだしも、まさかのトリプルループで転倒。ここのループ苦手なんでしょうか、トリノでも回転不足でしたし。ステップもレベル2 以降はある程度立て直しましたがジャンプは何とか降りているといった雰囲気でGOEが伸びず加点が伸びず技術点63.82という低調なスコアに終わっています。

こんなことあるんですね。フロミフ選手はオリンピック代表を狙うには四回転二本を完璧に決めた上で他も全部ノーミスで通すことが必要、という位置にいる選手。220点台持ってるのにそんな状況になっているロシアがおかしいのですが、ここから立て直せるでしょうか? フロミフ選手は次週のロステレコム杯に出場し、ワリエワ選手やトゥクタミシェワ選手に挑むことになります。4位でもファイナルですが、180点台だとヘンドリックス選手だけでなく、マライアベル選手や松生理乃選手あたりに負けて5位以下に落ちてしまうことになります。

 

チャレンジャーシリーズは残り1試合です。最終戦は例年通り、グランプリファイナルの真裏というスケジュールで12月8日からクロアチアゴールデンスピンが行われます。

男子ではキーガンメッシング選手、ケビンエイモズ選手、チャジュンファン選手、デニスバシリエフス選手に、ファイナル残るでしょと思われているジェイソンブラウン選手などがエントリーしています。女子ではジョージア国籍のグバノワ選手、韓国のユヨン選手、ロシアのシニツィナ選手にアメリカからマライアベル選手やブレイディテネル選手がエントリーしています。テネル選手、出てこられるでしょうか?

日本人選手のエントリーは今のところありません。

グランプリファイナルとこのチャレンジャーシリーズ最終戦が終わった時点で、フィギュアスケートシーズンの前半は終了。具体的には、ISU公認のシーズンベスト、パーソナルベスト、とされる試合が、あとはチャンピオンシップの大会のみになる、ということになり、シーズン中盤の各有力国のナショナル選手権へ進んでいきます。