グランプリファイナル21 女子シングル展望

やるのかやらないのかよくわからないことになってきましたグランプリファイナル。

2年ぶりですしISUはやりたいでしょう。日本としても4年に1回のグランプリファイナル開催。やりたいでしょうけど、でも、出場選手の多くにとっては自国のナショナル選手権の方が重要なので、隔離期間なんかを長く設けられる事態になれば出たくない、なんてところもあるかと思います。

そんな状態でどうなるかわかりませんが、まだ中止ともいわれていないので展望は見て行こうかと思います。まずは女子シングルです。

 

○グランプリ2戦のスコア

Event Name Total SP FS
Rostelecom Kamila VALIEVA 272.71 87.42 185.29
Canada Kamila VALIEVA 265.08 84.19 180.89
Torino Anna SHCHERBAKOVA 236.78 71.73 165.05
Canada Elizaveta TUKTAMYSHEVA 232.88 81.24 151.64
France Anna SHCHERBAKOVA 229.69 77.94 151.75
Rostelecom Elizaveta TUKTAMYSHEVA 229.23 80.10 149.13
Torino Maiia KHROMYKH 226.35 72.04 154.31
NHK  Kaori SAKAMOTO 223.34 76.56 146.78
France Alena KOSTORNAIA 221.85 76.44 145.41
Rostelecom Maiia KHROMYKH 219.69 64.72 154.97
America Kaori SAKAMOTO 215.93 71.16 144.77
Canada Alena KOSTORNAIA 214.54 75.58 138.96

エントリー6選手のグランプリ2試合の結果です。

こうしてみると3つに区分されることがわかります。

まず、圧倒的なワリエワ選手。次に230点台までは出せるシェルバコワ選手とトゥクタミシェワ選手。その下にフロミフ選手、坂本花織選手、コストルナヤ選手とのグループがあります。

ショートはトリプルアクセルが入るトゥクタミシェワ選手が80点台を持っています。シェルバコワ選手との差をどれくらいでフリーに折り返せるか。

坂本花織選手はショートでは76点台まで出しています。トリプルアクセル組には届きませんが、ダブルアクセル組の中ではそれほど遜色ないスコアを出せています。ショートは何とかついてきたい。

コストルナヤ選手はトリプルアクセルが入れられるかどうか。ショートフリーでトリプルアクセルが入るようであればロシア選手権へ希望がつなげると思います。

フリーは180点台の人はもうほっとくしかないですが、その次はシェルバコワ選手の165点があります。160点台半ばまで出せばショートで多少負けてもトゥクタミシェワ選手の上へ行ける。トゥルソワ選手が待っているかもしれないロシア選手権を考えると、シェルバコワvsトゥクタミシェワという2番手争いは結構重いです。

フロミフ選手は2試合連続で150点台半ばまで出しています。フリーではトゥクタミシェワ選手の上のスコアが出せる。ただ、ちょっと調子を落としている感じがあるのでショートフリーと揃えらえるか?

坂本花織選手はどこまで出せるでしょう? 今シーズンは140点台半ばまでです。順当に行くと四位争い。シーズンベストでコストルナヤ選手は上回っている。調子落としているフロミフ選手までも十分届く可能性はある。表彰台の芽はあるか? シーズン初めのシェルバコワ選手なら落ちてきそうな雰囲気がありましたがロシア選手権が近づく中でどうか? 卓球で伊藤美誠選手が中国勢を二人破って優勝する、と同じくらいの確率はありそうに感じます。

坂本選手が優勝する可能性? ゼロではないはずです。男子のバスケットボールで日本がアメリカに勝つ確率と同じくらいでしょうか。

 

○ファイナルエントリー6名の要素別スコア

Event Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
Rostelecom VALIEVA 272.71 113.72 90.08 25.00 28.02 15.89
Canada VALIEVA 265.08 110.89 93.38 16.44 28.64 15.73
Torino SHCHERBAKOVA 236.78 107.61 73.10 15.37 25.96 14.74
Canada TUKTAMYSHEVA 232.88 106.82 74.83 11.38 24.37 15.48
France SHCHERBAKOVA 229.69 108.23 72.99 10.26 24.42 14.79
Rostelecom TUKTAMYSHEVA 229.23 105.98 77.42 7.81 23.44 14.58
Torino KHROMYKH 226.35 101.03 75.88 12.68 25.14 11.62
NHK SAKAMOTO 223.34 107.63 65.27 10.79 25.29 14.36
France KOSTORNAIA 221.85 105.32 71.23 8.56 24.88 12.86
Rostelecom KHROMYKH 219.69 103.40 72.30 5.15 25.37 14.47
America SAKAMOTO 215.93 104.87 61.42 12.61 22.54 14.49
Canada KOSTORNAIA 214.54 102.00 72.90 3.39 24.67 11.58

ワリエワ選手はこの6人で集めても、どの要素も悪い方の試合でもほかの選手のベストスコアを上回ります。ちょっと勝負にならない。

PCSはシェルバコワ選手が108点まで出しています。坂本選手はNHK杯で107点台後半とそれに次ぐスコアです。フロミフ選手がこの中に混ざるとジュニアから来ました、といった風でPCSは弱くなります。

ジャンプの基礎点はトリプルアクセル3本入るトゥクタミシェワ選手が70点台後半まで出します。四回転二本のフロミフ選手は70点台中盤まで。シェルバコワ選手が意外に伸びておらず70点台前半までしか出ておらずコストルナヤ選手とほぼ変わらないです。高難度ジャンプのない坂本花織選手がここは極端に低く、いい時で65点台止まりとなり、トゥクタミシェワ選手あたりとは10点ほど差がついています。

ジャンプのGOEはシェルバコワ選手が2番目で15点ほどまで出すことがありますが10点程度までの時もありここは出来栄え勝負の坂本選手も勝負になる。一人の選手の中での2試合のここのスコアの差が一番小さいのが坂本花織選手です。難易度低めの構成なのでここで負けるわけにはいきません。ただ、基礎点とGOEと合わせた点数では、やはりどうしても6番手となります。

スピンは25点台を2試合出しているのがフロミフ選手です。坂本選手はスケートアメリカでしくじってますので点が低いですが、しっかり滑ると25点台までは出しています。25点台が出ないのがコストルナヤ選手とトゥクタミシェワ選手。大きな差ではないですがやや弱点になっています。

ステップ系要素ではトゥクタミシェワ選手が15点台の実績があります。コストルナヤ選手は2試合とも13点に届かないスコアで点が伸びていません。

 

○フリーのいい点の方の時の構成

 

VALIEVA

SHCHERBAKOVA

TUKTAMYSHEVA

KHROMYKH

SAKAMOTO

KOSTORNAIA

1

4S

4F

3A+2T

4T+2T

2A

3Aq

2

3A

3F+3T

3A

4T

3Lz!

3Lz

3

4T+3T

2A

3Lz

CCoSp4

3F+2T

3Lo

4

3Lo

ChSq1

3Fq

3Lo

3S

2A

5

FCSp4

2A

FCSp4

2A

FSSp4

FCSp4

6

ChSq1

FCSp4

StSq4

StSq4

3F+3T

ChSq1

7

4T+1Eu+2S

3Lz+3Lo

2A+1Eu+3S

3Lz+3T

2A+3Tq+2T

3F+3T

8

3F+3T

3F+1Eu+3S

3Lz+2A+SEQ

3F+1Eu+3S

StSq4

3F+1Eu+3S

9

3Lz

3Lz

3Lo

3Lz

CCoSp4

3Lz+2T

10

StSq4

StSq4

ChSq1

FCSp4

ChSq1

FCCoSp4

11

FCCoSp4

FCCoSp4

LSp4

ChSq1

3Lo

StSq3

12

CCoSp4

CCoSp4

CCoSp4

FCCoSp4

FCCoSp4

CCoSp4

 

82.77

73.68

67.20

74.31

62.52

68.08

ワリエワ選手はサルコウが3回転になればもう一段階基礎点上がりますが、勝ち負けという観点ではもはやどうでもいい水準に見えます。

四回転2本のフロミフ選手が基礎点2番手にいますが四回転1本でもそれがフリップで、セカンドループを持っていることでシェルバコワ選手の基礎点もフロミフ選手とほぼ変わりません。シェルバコワ選手は四回転ルッツを入れられれば、ダブルアクセルの代替として入るので一気に基礎点が80点台に乗ります。トゥクタミシェワ選手やトゥルソワ選手との代表争いを考えると、四回転が2本飛べるとシェルバコワ選手はかなり優位に立てます。

トリプルアクセルが2本あるのに意外と基礎点が低いのがトゥクタミシェワ選手。フリーではセカンド3Tがありません。ダブルアクセルとのシークエンスではなくここでセカンド3Tを入れられると基礎点が70点台に乗って来るのですが。セカンド3Tがあまり得意ではないのはわかっているのですが、ショートではルッツから入れられているのでフリーでも入れられるともうひと伸びできます。実際、ロステレコムでは3Lz+3Tをフリーの構成に入れていました。ただ、全体の出来栄えが少し低めでスケートカナダをスコアで下回っています。また、レイバックスピンを入れていることで、スピンの基礎点が他のロシア勢と比べて0.8基礎点が下がります。そういったもろもろでシェルバコワ選手らと比べ基礎点が低くなります。

坂本選手がこう並べるとやはり厳しいです。高難度ジャンプがないだけでなく、ルッツも1本仕様でかつ!がつくしe要注意という水準なので、どうしても基礎点が積めません。

 

プチロシア選手権with坂本花織。女子シングルシニアはショートプログラムが10日金曜日、フリーが11日土曜日の予定となっています。果たして、開催されるでしょうか?