ロシア選手権21男子シングルプレビュー

ギリギリ試合前に間に合いそうなのでロシア選手権のプレビュー、男子シングルも入れます。日程的に1回でまとめないと試合が始まってしまうので、男子はこの1回だけです。

 

○今シーズン220点以上のスコアを出した選手

  Event Name Total SP FS
1 Grand Prix Torino Mikhail KOLYADA 273.55 92.30 181.25
2 Denis Ten Memorial Petr GUMENNIK 263.14 91.84 171.30
3 NHK Trophy Makar IGNATOV 257.20 90.54 166.66
4 Skate Canada Evgeni SEMENENKO 256.01 87.71 168.30
5 NHK Trophy Alexander SAMARIN 255.65 84.32 171.33
6 Internationaux de France Dmitri ALIEV 253.56 85.05 168.51
7 Golden Spin Andrei MOZALEV 252.15 80.71 171.44
8 Denis Ten Memorial Mark KONDRATIUK 250.08 84.79 165.29
9 Denis Ten Memorial Vladislav DIKIDZHI 238.88 78.96 159.92
10 JGP Ljubljana Ilya YABLOKOV 231.99 78.89 153.10
11 JGP Gdansk Gleb LUTFULLIN 231.26 76.06 155.20
12 JGP Krasnoyarsk Egor RUKHIN 223.29 78.43 144.86
13 JGP Linz Artem KOVALEV 221.51 80.97 140.54
14 Internationaux de France Artur DANIELIAN 221.50 76.81 144.69

ジュニアの選手も何人か混ざっていますが女子と違って男子はここに名前のある選手はすべてエントリーしています。

ロシア男子は層が厚い。世界のトップを争える選手はいませんが、世界の上位に入ってくる選手は多数いて、狭い得点差の中に多数の選手がいます。男子もロシアの枠は3つ。この3枠を多数の選手で争うことになります。

220点以上で14人いますが、250点のあたりで少し上下に分かれるでしょうか。今シーズン250点以上のスコアを出した8人の争いになるかと思われます。

 

○上位8選手の今シーズンの要素別スコア

Event Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
Torino KOLYADA 273.55 131.23 100.82 2.52 26.12 13.86
Rostelecom KOLYADA 264.64 132.92 97.04 -3.75 25.81 14.62
Denis Ten GUMENNIK 263.14 123.50 97.78 6.02 24.05 12.79
NHK Trophy IGNATOV 257.20 112.90 103.02 12.33 19.41 9.54
Finlandia KOLYADA 256.98 130.55 83.63 4.04 26.79 12.97
Skate Canada SEMENENKO 256.01 117.38 100.43 1.32 23.35 13.53
NHK Trophy SAMARIN 255.65 118.07 91.79 9.74 22.83 13.22
France ALIEV 253.56 126.40 83.04 8.98 22.37 12.77
Golden Spin MOZALEV 252.15 118.30 100.82 -2.62 22.83 13.82
Denis Ten KONDRATIUK 250.08 121.65 97.84 0.00 18.71 12.88
Finlandia ALIEV 249.25 121.34 87.52 4.64 23.00 13.75
France MOZALEV 248.54 118.94 96.62 0.28 22.68 12.02
Rostelecom SEMENENKO 246.66 122.41 96.95 -7.40 23.58 14.12
Ice Star MOZALEV 244.61 121.77 90.61 -5.24 24.61 13.86
Skate Canada IGNATOV 244.17 113.95 94.83 5.03 20.08 11.28
Warsaw Cup GUMENNIK 242.91 120.15 81.98 4.61 23.74 13.43
Finlandia SEMENENKO 242.23 112.57 91.74 6.97 21.55 10.40
Nebelhorn KONDRATIUK 241.06 118.84 90.35 -4.13 22.91 13.09
Denis Ten MOZALEV 234.05 117.75 88.10 -4.50 23.15 11.55
Rostelecom KONDRATIUK 231.88 114.90 89.11 -3.52 21.45 11.94
Budapest ALIEV 230.63 120.10 80.01 -0.36 19.08 13.80
Budapest SAMARIN 226.81 116.85 82.56 -6.55 22.53 11.42
Torino GUMENNIK 226.76 112.35 88.55 -5.70 22.12 11.44
Skate Canada SAMARIN 224.20 114.75 83.34 -7.84 23.06 11.89
Torino ALIEV 217.67 114.19 79.04 -4.35 18.85 11.94

250点以上のシーズンベストを持つ8選手について、シーズンベスト以外の試合も含めて要素別のスコアを並べました。

3試合滑って255点を割ったことがないコリヤダ選手が安定感で一歩リードしているようです。他の選手はいい時と悪い時の差が大きいです。ロシア選手権に合わせることができた選手が上位に来るのでしょう。

PCSはコリヤダ選手だけが安定して130点台を出しています。それに次ぐのはドミトリーアリエフ選手の126.40というのがあります。他は120点台前半まで。コリヤダ選手はPCSで10点以上のアドバンテージを持っています。

ジャンプの基礎点はイグナトフ選手のNHK杯が103.02で最高。100点超えがあるのは4選手います。コリヤダ選手は悪い時に83.63まで落ち込みます。これでも250点台後半まで出せているというのが強いです。ジャンプの基礎点で20点差がついてもそれだけでトータルスコアが決まらないです。

ジャンプのGOEはマイナスな選手がかなり多いです。ここが女子との大きな違い。NHK杯のイグナトフ選手が唯一の二桁加点でした。サマリン選手のNHK杯も二桁近い加点なのですが、スケートカナダでは大きなマイナスです。出来不出来の差が大きい。アリエフ選手もフランス杯で8.98とかなりの加点を得ましたが、トリノでは-4.35とマイナスになります。多くの選手にとってジャンプは加点を稼ぐものというより何とか降りるもの、という風になっています。

スピンはコリヤダ選手が26点台を出しています。25点台がいなくて24点台を出したことがあるのはモザレフ選手とグメンニク選手くらいです。選手によっては20点に届かない選手もいます。スピンで点が取れない男子たち。

ステップ系要素もロステレコム杯のコリヤダ選手が14.62でトップ。14点台は他にセメネンコ選手が出しています。上位ではイグナトフ選手がNHK杯で9.54 スケートカナダでも11.28と伸びません。スピンステップで10点以上差がつくこともあります。

 

○上位4人のフリーのTESシーズンベストの構成

  KOLYADA GUMENNIK IGNATOV SEMENENKO
1 4S 4Tq 4Loq 4T+3T
2 4T+3T 4S+2T+2Lo 4S 4S
3 3A+2T 4S 4T+3T 4T
4 3Lo 3F 4T 3Lo
5 CCSp4 FCSp4 FCSp4 CCoSp4
6 ChSq1 ChSq1 ChSq1 3A+1Eu+3S
7 4T 3A+3T 3A 3A
8 3A 3A< 3F+3T 3F+2T
9 3Lz+1Eu+3S 3Lz+2T 3Lo+1Eu+2S StSq2
10 StSq4 StSq3 StSq3 ChSq1
11 FSSp4 FCCoSp4 CSSp1 CSSp4
12 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp1 FCSp2
Base 85.22 82.08 83.42 82.34
GOE 8.25 6.92 8.12 14.66

 

○シーズンベスト5~8番手のフリーTESシーズンベストの構成

  SAMARIN ALIEV MOZALEV KONDRATIUK
1 4Lz+3T 4Lz 4T+3T 4T
2 3Lz 4T+3T 4S 3Lo
3 3A 3A+1Eu+3S 3Lo 3A
4 2A 3Fq 3A+2T 3A+2T
5 FCSp4 FCSp4 FCSp4 FCCoSp3
6 StSq4 ChSq1 ChSq1 4S+1Eu+3S
7 3Lz+1Eu+3F 3A 4T 4S
8 3A+2T 2Lz+3T 3Aq 3Lzq+2T
9 3Lo 3Lo 3Lz+1Eu+3S CCSp1V
10 ChSq1 StSq3 StSq4 StSq3
11 CCoSp4 CSSp4 CSSp4 CCoSp2V
12 FCCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 ChSq1
Base 78.49 80.42 85.22 78.92
GOE 14.12 7.71 13.83 5.07

上位陣のフリーの基礎点はそれほど差がありません。一番高いのがコリヤダ選手とモザレフ選手で85.22 低い方ではサマリン選手の78.49 その差は6.73でトリプルルッツ1.1倍1本分程度です。4回転は多くの選手が3本。4本入っているイグナトフ選手はトリプルアクセルが1本だけです。アリエフ選手は2本、サマリン選手は1本と少なくなっています。

スピンにレベル1や2がつく選手が結構います。この辺で差がつく。

ロシアの女子を指してジャンプ跳ぶばっかりでフィギュアスケートはそういうものじゃない、みたいな批判があったりするようですが、ジャンプ跳ぶばっかりでほかの要素が・・・、なのはロシア男子によくある傾向だったりします。

 

ロシアは3枠でシーズンベスト3位とシーズンベスト8位の間の点差が7.12しかないという大混戦です。シーズンベスト2位のグメンニク選手もセカンドベストは240点台ですし、グランプリシリーズで220点台だった試合もあります。コリヤダ選手だけは3試合滑ってシーズンワーストが256.98 一人ちょっと抜けている感じはあります。

一枠は決まりでも後の2枠はロシア選手権でいい滑りをした選手に回って来るのでしょう。実際問題コリヤダ選手以外はオリンピック個人戦で表彰台を争うにはちょっと力不足だとは思うのですが、ロシアの代表、なのかオリンピックアスリートフロムロシアなのか何だかわかりませんが、国家ロシアではないらしい、ロシア国籍集団としてのフィギュアスケートチーム戦ではメダルのチャンスというかほぼ確実にメダルが取れる。そこに入るためには2番手になることが必要です。2番手に入れば団体戦メダルが取れる。3番手ならオリンピック代表になれる。4番手は、世界選手権は回って来るのかな? わかりませんけれど。いずれにしても一つ一つの順位が大変大事で、コリヤダ選手以外は誰が何番に入ってくるか、まったくわからないロシア選手権になっています。ここまでの混戦は世界的にも歴史的にも珍しいと思います。

 

男子シングルは23日にショートプログラム、24日にフリースケーティングです。女子のショートより前に男子はフリーまで決着がつきます。