北京オリンピック 団体戦振り返り

なんだか遠い昔のことのような感じがしています、団体戦。このころは今から振り返るとまだ平和な頃でした。みんなでコロナを心配していたし、実際コロナのせいで団体戦に出られなかった選手も何人もいましたので、リアルタイムでは全然平和な感じはなかったですが、今から振り返ると平和な時代でした。そう、思ってしまうほど、なんだか遠い昔のことのように感じます。

 

団体戦前半の結果

 

Men

IceDance

Pair

Women

Total

ROC

8

9

9

10

36

USA

10

10

8

6

34

JPN

9

4

7

9

29

CAN

3

7

6

8

24

CHN

5

6

10

1

22

GEO

7

3

5

7

22

ITA

6

8

4

2

20

CZE

4

5

3

3

15

UKR

 

2

2

4

8

GER

2

1

 

5

8

前半を日本は3位で折り返しました。日本はコロナ欠場も無く全メンバーがほぼ想定通りの滑りをしたと思います。ただ、アメリカと5ポイント差ついたことで、2位まで行くのはちょっと難しいかなあという形になりました。アイスダンスアメリカペアがROCの上まで行くのが予想外。また、ペアも際どい所で日本の上まで行かれました。この辺の3ポイントが最後に効いてきます。一方、カナダと前半終わって5ポイント差。この時点で3位は完全に見えてきました。

ROCアメリカが2ポイント差。これは予想外でしたがそれでもROCの方が上で前半終わったことで、まあ逃げ切るかなという感じはしました。

カナダはキーガンメッシング選手がコロナで欠場。ローマンサドフスキー選手が団体戦は出てきましたが、ちょっと苦いオリンピックになってしまったでしょうか。メッシング選手が出てきていれば男子シングルでもっと上位にいて、前半終わった時点ではまだ日本と競った位置にいる可能性がありました。でも4位なので幸か不幸か後になって何かが手に入るかもしれません。あまり幸な感じはしませんが。

中国はかろうじて後半進出。ペアの10ポイントが大きく効きました。同点のジョージアとはこの最高ポイントの差で勝ちです。女子がもう少し上位の選手がいればメダルに絡むチャンスのある国だったと思います。李子君さんの後が出てきませんね。

ジョージアはグバノワ選手がカナダのマデリン選手の上まで行っていれば後半に進めました。これはマデリン選手の出来が良すぎたというのも大きいです。マデリン選手がカレンチェン選手の下で5位になっていればカナダは前半で消えていましたので後半まで進んだ立役者になります。ジョージアが後半に上がってきていたら、アイスダンスで日本が4位に上がるチャンスが出て来たり、男女のシングルで日本とアメリカの間にジョージアが入ることで差をさらに1ポイント稼げたりと日本にとって都合の良い後半のメンバーはジョージアだったわけですが、流石にそんなに都合よくはいきませんでした。それにしてもジョージアのロシアB感がなんとも・・・。

イタリアも女子が厳しかった。コストナーさんの国。コストナーさんの後を継ぐ選手がいれば、といったところでしょうか。

チェコブレジナ家が男女シングルで引っ張りました。団体戦に兄弟姉妹での出場は、カップル競技ではよくありましたが、それぞれシングルで出場というのは3回目にして初めてのケースだったはずです。

ウクライナドイツはコロナ欠場が残念ながら発生してしまいました。それが無くても後半まで進むのは苦しかったですが、出るだけでも十分価値のあるオリンピック。それぞれ個人戦には間に合ったようでよかったです。

 

団体戦終結

 

SP

Men

Pair

IceDance

Women

Total

ROC

36

9

10

9

10

74

USA

34

8

6

10

7

65

JPN

29

10

9

6

9

63

CAN

24

6

7

8

8

53

CHN

22

7

8

7

6

50

最終的に前半の順位が後半もそのまま維持された形になりました。

男子シングルで日本がトップ。この時点で4位カナダとの差が9ポイントにまで広がり実質的に勝負がつきました。一方、アメリカとの差が3ポイントに縮まります。ワンチャンあるか? みたいな展開になってきました。アメリカはネイサンチェン選手をショートフリー2本使ってくればここでROCに追いつくチャンスはありましたが無理はせずメンバーチェンジ。結果的にヴィンセントジョウ選手は個人戦に出られなかったのでこの団体戦に出ておいてよかった。ROCはやらかすとしたらこの男子シングル、というところでしたが結果2位。ここでほぼ勝負あったと思います。

ペアでROCがトップ。この時点でアメリカと7ポイント差。完全に勝負ありました。アメリカはここで伸びず日本に同点に追いつかれます。三浦/木原組頑張りました。カナダ中国とのポイント差が11に拡がりあとはちゃんと滑走すれば表彰台確保となりました。

アイスダンスに入った時点で残っているのは同点の日本とアメリカどちらが上に行くか。ここでアメリカが1位をとったことで完全に決着がつきました。アメリカ2位の原動力はアイスダンスです。ショートフリーとメンバー替えて両方1位。驚きの結果でした。

女子はもう順位が決まった状態でしたが坂本選手が2位。アメリカとは2ポイント差で終わりました。

全体見ると展開次第では2位までならチャンスがあったんだな、というは感じられました。アメリカのアイスダンスが良すぎました。これをリズムとフリーどちらもROCが勝っていたら日本とアメリカが同点まで来ます。カナダの上まで来るとは思ってましたが、アメリカと際どいところまで行くとは正直あまり思っていませんでした。ここまでのところまで来たんですね。

 

団体戦の振り返りとはちょっと違いますが、このスケジュールで団体戦個人戦、とくに団体戦の後半まで進んでショートフリー両方滑る選手は負担が大きかったなあ、とやはり思いました。

女子シングルでは日本以外の4選手は団体戦でショートフリーを滑っています。そのうち3人は個人戦のショートフリー合計が団体戦を下回りますし、残りの1人はショート落ち。男子シングルは3人がショートフリーを滑って、コンドラチュク選手は個人戦でかなりスコアを落とし、サドフスキー選手はショート落ち。唯一ボーヤンジン選手は個人戦でスコアを伸ばしました。カップル競技は日本勢が団体戦と比べて個人戦でスコアを落としました。

団体戦あとの方がいい、という他に、4競技すべて前半後半でメンバーチェンジする、という方式の方がいいかな、と思ったりもしました。団体戦って功労者にメダルを配りやすくする、という要素とカップル競技の普及というこの二つが大きな存在理由だと思っています。実際、男女シングルばかりじゃなくてカップル競技強くしないと団体のメダルは取れませんよ、みたいな扱いだった日本が、カップル競技を強化して団体戦メダルを手に入れました。スケート連盟としてはドル箱日本でカップル競技が広がってくれれば、さらにコンテンツとしての価値が上がる。だとしたら、カップル競技も2組世界の上位がいないとだめです方式にすると、トップ選手の負担を減らしつつ普及もできるような気がします。ただ、日本も含めて、2組出すこと自体がつらい国が多そうな気はしますし、準備して待ってたのに後半に進めない国は個人戦出場権がないと何もできずに帰国することになりますから、現実的ではないんだろうな、とは思いますが。

でもせめて4組交換可にすれば、マライアベル選手とか出られたんだけどな、と思いました。全米選手権チャンピオン出さないってどういうことよ、という感じですし。一方で、ROCはなんでメンバー替えないかなあ。

 

男女シングルに関しては要素別とか出したいは出したいのですが、女子でオリンピック史上初の4回転成功とか、カウントしていいんだかどうだかみたいなことになっていたり、いろいろと痛い感じです。というわけで全体の結果の振り返りだけにしておきます。