世界ジュニア22

世界選手権より後という異例のスケジュールで、シーズン締めくくりとして世界ジュニア選手権が行われました。正直な感想としては、男女とも日本勢は残念な結果に終わったと思います。

今回はその世界ジュニアの振り返りです。

 

○男子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Ilia MALININ USA 276.11 88.99 187.12
2 Mikhail SHAIDOROV KAZ 234.31 75.14 159.17
3 Tatsuya TSUBOI JPN 233.82 79.15 154.67
4 Wesley CHIU CAN 228.29 81.59 146.70
5 Stephen GOGOLEV CAN 224.49 78.75 145.74
6 Mihhail SELEVKO EST 218.68 81.26 137.42
7 Nikolaj MEMOLA ITA 212.94 71.42 141.52
8 Liam KAPEIKIS USA 210.94 79.83 131.11
9 Naoki ROSSI SUI 206.65 67.61 139.04
10 Andreas NORDEBACK SWE 206.13 76.20 129.93
11 Georgii RESHTENKO CZE 201.76 69.67 132.09
12 Arlet LEVANDI EST 200.10 65.31 134.79
13 Kao MIURA JPN 197.59 60.03 137.56
14 Lucas Tsuyoshi HONDA JPN 196.83 73.01 123.82
15 Raffaele Francesco ZICH ITA 195.34 65.19 130.15
16 Lev VINOKUR ISR 192.11 67.20 124.91
17 Corentin SPINAR FRA 176.24 64.10 112.14
18 Kai KOVAR USA 176.23 57.69 118.54
19 Younghyun CHA KOR 175.63 60.32 115.31
20 Edward APPLEBY GBR 173.96 64.05 109.91
21 Adam HAGARA SVK 172.76 64.72 108.04
22 Konstantin SUPATASHVILI GEO 169.66 59.38 110.28
23 Louis WEISSERT GER 154.75 56.75 98.00
24 Jakub LOFEK POL 151.48 56.54 94.94
25 Semen DANILIANTS ARM 56.34 56.34  
26 Makar SUNTSEV FIN 56.26 56.26  
27 Aleksandr VLASENKO HUN 53.54 53.54  
28 Ali Efe GUNES TUR 52.24 52.24  
29 Euken ALBERDI ESP 51.21 51.21  
30 Francois PITOT FRA 48.98 48.98  
31 Filip KAYMAKCHIEV BUL 47.08 47.08  
32 David SEDEJ SLO 45.48 45.48  
33 Kyrylo MARSAK UKR 44.71 44.71  

男子シングルの優勝はアメリカのマリニン選手でした。本命が本命らしく力を発揮して順当に優勝した、という形でした。276.11はジュニアの過去最高スコアです。

2位は41.80という大差がついてしまいましたがカザフスタンのシャイドロフ選手が入りました。4大陸選手権でも5位に入ったカザフスタン期待の若手。デニステンさんの後継者になれるかどうか。

壷井達也選手が3位表彰台です。19歳、神戸大学2年生になりました。大学2年生が世界ジュニアに出るというのも試合が4月になったことで生じた異例な出来事です。これで来シーズンのグランプリシリーズ1枠を確定させました。来シーズンはおそらくロシアの枠が丸々空くので、2枠もらえる可能性もあります。今大会に出場した日本勢の中で、唯一と言っていいでしょうか、この先につながる重要な試合でこの先につながる結果を残しました。

カナダ勢が4位5位と2人入ったのに対し、日本勢はショートで大崩れした三浦佳生選手が13位、フリーで崩れた本田ルーカス剛史選手が14位。この結果、来期の世界ジュニアの枠が2つになったというだけでなく、来期のジュニアグランプリシリーズの枠が7試合×1人づつ、となってしまいました。ジュニアグランプリシリーズは最大で7試合×2+地元枠1 7試合1人づつだと最大の半分にいきなりなってしまうわけで、世界ジュニアの枠が1つ増える減るよりそちらの方がジュニアの有望選手には影響が大きいと感じます。カナダ勢は220点台。この上まで本田選手、三浦選手が行けばよかったわけで、全く届かない水準ではありません。非常に残念でした。

 

○男子シングル上位15人 要素別スコア

Pl Name Nation Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Ilia MALININ USA 276.11 123.71 100.19 17.30 25.43 9.48
2 Mikhail SHAIDOROV KAZ 234.31 106.92 93.00 7.52 19.93 6.94
3 Tatsuya TSUBOI JPN 233.82 112.53 81.06 9.58 23.38 7.27
4 Wesley CHIU CAN 228.29 113.69 86.59 -3.82 23.81 9.02
5 Stephen GOGOLEV CAN 224.49 112.22 75.85 6.45 21.91 9.06
6 Mihhail SELEVKO EST 218.68 115.17 68.87 3.17 24.23 9.24
7 Nikolaj MEMOLA ITA 212.94 103.98 78.58 1.03 21.69 8.66
8 Liam KAPEIKIS USA 210.94 110.66 67.19 3.40 22.40 8.29
9 Naoki ROSSI SUI 206.65 103.57 73.26 -1.64 23.94 8.52
10 Andreas NORDEBACK SWE 206.13 106.35 74.41 -5.02 21.66 8.73
11 Georgii RESHTENKO CZE 201.76 99.81 79.03 -5.75 20.31 8.36
12 Arlet LEVANDI EST 200.10 110.18 56.61 -0.50 23.55 10.26
13 Kao MIURA JPN 197.59 107.04 73.99 -5.00 16.57 5.99
14 Lucas Tsuyoshi HONDA JPN 196.83 107.81 62.89 -5.62 22.85 8.90
15 Raffaele Francesco ZICH ITA 195.34 98.04 62.75 3.59 21.85 9.11

要素別スコアを見るとマリニン選手の圧勝ぶりがよく見えます。ジャンプの基礎点はただ一人100点超え、ジャンプの加点もただ一人二桁、ここまではイメージ通りですが、スピンも25点台でトップです。ステップだけはかろうじて2位ですがPCSも断トツのトップでした。ただただ強かったです。

壷井選手はジャンプの基礎点で4番目。ジャンプのイメージのある選手ではないですが基礎点を削られたのが3連の最後のサルコウを2回転にした部分くらいで、あとはしっかり滑ったことで基礎点から高いスコアがありつつ、ジャンプの加点はマリニン選手に次ぐ2位です。4回転3本組み込んだシャイドロフ選手にはトータルでわずかに届きませんでしたが、ジュニアレベルとしてはバランスよく点を取っての3位表彰台。シニアで上位に行くには全体的にスコアを上げていく必要はありますが、まずはジュニア最後の試合で結果をだしました。

三浦佳生選手はショートではジャンプのミスがあり出来栄えが大きくマイナス、フリーでは4回転が回転不足や抜けで基礎点から削られました。得意のジャンプで基礎点が全体9位、その上でGOEがマイナスとなっていてフリー進出24人中16位。スピンはショートフリー通じてレベル4無しで24人中24位、ステップもレベル2と3で24人中22位。これではちょっと勝負になりません。

本田ルーカス剛史選手はスピンステップはレベルもある程度取れていたのでまずまずでしたが、ジャンプが4回転の無い構成なうえでトリプルアクセルが1つも決まらず、他の3回転も抜けがあり苦しい試合となりました。

 

○マリニン選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 4Lz   11.50   -0.82 10.68 -0.556
2 4T   9.50   2.99 12.49 3.222
3 3A   8.00   1.94 9.94 2.556
4 4S   9.70   2.77 12.47 2.889
5 FCCoSp4   3.50   1.05 4.55 2.889
6 StSq3   3.30   0.94 4.24 2.889
7 4T+1Eu+3S   15.73 x 2.44 18.17 2.667
8 3F+3T   10.45 x 1.06 11.51 2.000
9 3Lz+3T   11.11 x 1.26 12.37 2.000
10 FSSp4   3.00   0.81 3.81 2.556
11 CCoSp3   3.00   1.11 4.11 3.667
  TES   88.79   15.55 104.34  

マリニン選手のフリーは4回転4本構成。コンビネーションはすべて1.1倍に入れて2回転ジャンプがないという構成です。冒頭のルッツこそGOEマイナスがつきましたが他はすべてプラス評価でした。世界選手権ではフリー後半が伸びなかったのですが、世界選手権のショートとこのフリーが揃っていたら優勝まではいかないまでも2位表彰台までは来ていました。世界選手権では2本そろえられなかったわけで、北京オリンピックの代表には自分がふさわしかった、というのが証明できたかは怪しいですが、ミラノオリンピックの代表有力候補、というか金メダル有力候補というのは証明されたと思います。

 

○壷井達也選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 4Sq q 9.70   0.42 10.12 0.333
2 3A+2T   9.30   1.26 10.56 1.556
3 3A   8.00   2.06 10.06 2.556
4 CSSp3   2.60   0.59 3.19 2.222
5 3Lo   4.90   1.33 6.23 2.667
6 3F+3T   10.45 x 1.36 11.81 2.667
7 3Lz!+1Eu+2S ! 8.47 x -1.35 7.12 -2.333
8 3F   5.83 x 1.06 6.89 2.000
9 FCCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.222
10 StSq2   2.60   0.71 3.31 2.667
11 CCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.333
  TES   68.85   9.04 77.89  

壺井選手は4回転1本構成。サルコウをqながらしっかり降りました。3連続で3つ目に3回転入れたかったでしょうか。基礎点的にはそれほど高くない構成になっていますが、その中でしっかり結果を出した、という形になりました。中野組スタイル、ということでも、中野組丸一年な壺井選手はまだないでしょうが、この先4回転2種類3本まで持っていけるとグランプリ表彰台が争える選手になっていくんだろうと思います。中野組には男子の有力選手というのがおらず、トリプルアクセルや4回転を目で見て学ぶ機会が女子のトップ2人にとって少なかったと思うので、そういう点でも壺井選手が神戸にいるというのはすごく良いことのような気もします。神戸大学に進んだ選手が4年生終わった時にどんな進路を選ぶのかわかりませんが、ミラノオリンピックは大学院1年生のシーズンという計算になります。まだ上位と構成面でもだいぶ差はありますが、3年かけて追いつくことができるでしょうか?

 

○女子シングル上位24人

Pl Name Nation Total SP FS
1 Isabeau LEVITO USA 206.55 72.50 134.05
2 Jia SHIN KOR 206.01 69.38 136.63
3 Lindsay THORNGREN USA 199.42 66.14 133.28
4 Ahsun YUN KOR 195.87 66.28 129.59
5 Seoyeong WI KOR 186.72 66.09 120.63
6 Clare SEO USA 182.81 60.61 122.20
7 Kimmy REPOND SUI 177.10 60.82 116.28
8 Rion SUMIYOSHI JPN 174.58 60.62 113.96
9 Niina PETROKINA EST 173.49 65.90 107.59
10 Rinka WATANABE JPN 165.44 59.96 105.48
11 Nina PINZARRONE BEL 161.92 63.67 98.25
12 Linnea CEDER FIN 161.26 56.34 104.92
13 Anna PEZZETTA ITA 160.88 51.75 109.13
14 Lia PEREIRA CAN 158.86 58.69 100.17
15 Noelle STREULI POL 154.78 55.10 99.68
16 Lorine SCHILD FRA 154.57 54.58 99.99
17 Barbora VRANKOVA CZE 145.75 52.89 92.86
18 Emelie LING SWE 145.49 54.56 90.93
19 Mariia SENIUK ISR 144.50 52.20 92.30
20 Julia van DIJK NED 139.76 54.61 85.15
21 Justine MICLETTE CAN 137.34 55.41 81.93
22 Sofia Lexi Jacqueline FRANK PHI 137.00 53.86 83.14
23 Olesya RAY GER 132.32 52.02 80.30
24 Jogaile AGLINSKYTE LTU 129.65 51.76 77.89

女子は米韓勢で上位6位までを占める形となりました。表彰台は米韓で抑えるかな、という可能性は結構感じていましたが、上位6位まで2カ国で占めてしまうのはちょっと予想外でした。日本勢は8位と10位。もう少し上まで行くと思ったのですが残念です。

優勝スコアは206点台。パーソナルベストトップのレビト選手で男女ともアメリカの本命が勝った、という形になりました。2007年3月生まれの15歳。来シーズンはシニアに上がるでしょうか。

2位には韓国のシンジア選手。ジュニアグランプリシリーズでは180点前後のスコアでしたのでここまで出してくるのは驚きでした。フリーノーミス素晴らしい出来。こちらは2008年3月生まれの14歳なので来シーズンもジュニアに残ります。

3位表彰台をアメリカのソーングレン選手が確保。表彰台ラインは199.42 日本勢でも届かないことはないスコアでした。

4位5位も韓国勢で6位はアメリカ。この辺の選手は持てる力を存分に出してこの順位、という形。勝負強いなあという印象です。

問題は7位に入ったスイスのレポンド選手。日本勢は彼女に負けたことで世界ジュニアの国別ランクで4位となり、来シーズンのジュニアグランプリシリーズの枠が7試合×1人となりました。彼女に勝って国別ランク3位なら7試合×2になっていたところ。住吉選手、渡辺選手、いずれもこの177.10というのは問題なく届くはずのスコアでしたので非常に残念です。世界ジュニアの枠は3つで無くて2つでも、多少、国内の争いが厳しくなるな、という程度なのですが、ジュニアグランプリが7試合×2人から7試合×1人なると、ジュニアの上位選手の強化に著しく影響が出ます。ここは何としても7試合×2枠が欲しかった。男子と違って粒ぞろいで層の厚い女子のジュニア。来期は3シーズンぶりにジュニアグランプリに大量派遣できると期待していたのですが、これだと3人を2試合派遣してあと1人を1試合という、4人しか派遣できないという形になりそうです。残念。

 

○女子シングル上位12人 要素別スコア

Pl Name Nation Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Isabeau LEVITO USA 206.55 95.38 67.09 8.86 26.23 9.99
2 Jia SHIN KOR 206.01 91.89 65.70 14.01 25.50 8.91
3 Lindsay THORNGREN USA 199.42 90.00 67.48 6.94 25.73 9.27
4 Ahsun YUN KOR 195.87 86.56 65.70 12.30 21.56 9.75
5 Seoyeong WI KOR 186.72 85.97 64.16 7.87 21.81 8.91
6 Clare SEO USA 182.81 83.49 64.71 2.88 23.33 8.40
7 Kimmy REPOND SUI 177.10 82.27 65.21 0.89 21.63 8.10
8 Rion SUMIYOSHI JPN 174.58 86.13 62.79 -6.84 24.06 9.44
9 Niina PETROKINA EST 173.49 84.49 50.74 8.02 22.41 8.83
10 Rinka WATANABE JPN 165.44 80.61 53.65 1.73 22.67 8.78
11 Nina PINZARRONE BEL 161.92 78.03 59.99 -6.70 23.98 8.62
12 Linnea CEDER FIN 161.26 77.30 55.84 3.78 16.61 7.73

優勝したレビト選手と2位にシンジア選手は0.44差 ジャンプは基礎点がレビト選手の方が上で下が出来栄えはシンジア選手が上でした。スピンステップPCSでレビト選手が上回り最終的に優勝しました。

ジャンプの基礎点はソーングレン選手がトップ。ショートでコンビネーションを1.1倍、フリーではセカンドループ投入で基礎点を稼ぎました。住吉選手は4回転トーループを基礎点満額もらいましたが、ショートでコンビネーションが入らないなど基礎点削られるミスが多くジャンプの基礎点は8位。渡辺倫果選手はトリプルアクセル回転不足があり、他のジャンプも抜けがあったりしてジャンプの基礎点が15位と伸びませんでした。ジャンプで稼ぐタイプの選手としてはちょっとこれだと厳しいです

ジャンプの加点は韓国勢が高く得ていました。トリプルアクセルを入れるユヨン選手はちょっと違いますが、それ以外の韓国女子は総じて正確に要素をこなすことで点を取っていく、というタイプに見えます。

スピンは上位3人が25点越え。25点を超えるとシニアでもトップ選手と並ぶクラスです。24点台に乗せた住吉選手が全体4番目でした。

ステップは9.99でレビト選手がトップ。ただフリーはレベル3でしたし、本人比で見てももう少し欲しかったのではないかと思います。住吉選手は全体3番目。スピンステップP`CSと割と上位にいましたのでジャンプさえしっかり決まれば表彰台争い出来たのですが・・、残念でした。

 

○レビト選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
2 3T   4.20   1.08 5.28 2.556
3 3Lo   4.90   0.91 5.81 1.889
4 2A   3.30   0.85 4.15 2.556
5 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.333
6 3F!+3Lo ! 11.22 x 0.38 11.60 0.556
7 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.93 12.70 1.556
8 3Lz+2T   7.92 x 0.76 8.68 1.222
9 FCSp4   3.20   1.10 4.30 3.444
10 StSq3   3.30   1.23 4.53 3.667
11 FCCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.889
  TES   60.11   10.73 70.84  

ショートフリー通じて全要素プラス評価。ただフリーはセカンドループでGOE-1を付けたジャッジが1人いました。

コンビネーションがすべて1.1倍に入る構成。2回飛ぶジャンプがルッツとループ。フリップはショートフリー共に!マーク付きでした。上位の選手の中では単独の3回転トーループがあるという珍しい構成です。セカンドループを付けるならセカンドトーループにして他を組み替えた方が難易度下がって基礎点ほとんど変わらないのですがどういう狙いなんでしょう? 実際ジュニアグランプリシリーズではそういう構成になっていました。 4回転トーループを組み込むための布石なのか? ちょっと不思議な構成でした。

 

○住吉りをん選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 4Tq q 9.50   -4.75 4.75 -5.000
2 3Lz+3T   10.10   1.43 11.53 2.333
3 3F   5.30   -2.20 3.10 -4.000
4 CCoSp4   3.50   0.75 4.25 2.111
5 2Lo   1.70   -0.34 1.36 -2.000
6 FCCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.333
7 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.778
8 2A+3T   8.25 x 0.90 9.15 2.222
9 3F+2T+2Lo   9.13 x 0.98 10.11 1.889
10 3S< 3.78 x -1.72 2.06 -4.889
11 LSp4   2.70   0.89 3.59 3.333
  TES   60.76   -2.31 58.45  

冒頭4回転トーループはqがつきましたが基礎点は満額入りました。立てそうに見えたのですが残念。ここで基礎点満額入ったことで、フリー全体の基礎点は今大会で2番目となっています。ただ、単独のループが抜けて2回転になってしまったことで、4回転で基礎点稼いだ分がかなり帳消しになっています。

不思議なものでコンビネーション3本はすべてGOEプラスの成功ジャンプでありながら、単独ジャンプ4本は転倒、ステップアウト、抜け、と散々です。コンビネーション決まるのになぜでしょう? 集中力的な問題なのでしょうか? ループをちゃんと3回転で決めていたらそれだけで7位。最後のサルコウも回転足りてちゃんと飛べていたら6位、まで行けたのに非常に残念でした。ただ、より難しい方のことが出来ているので、比較的簡単な方をミスなくできれば来シーズンには200点くらいは見えています。ただ、シニアに上がってもおそらくグランプリシリーズの枠は回ってこないので、チャレンジャーシリーズで勝負して次の次のシーズンにはグランプリシリーズに出られるように、というのが現実的な目標かもしれません。あとは、NHK杯地元枠争いに勝てるかどうか、でしょうか。

 

○渡辺倫果選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 3A< 6.40   -3.20 3.20 -5.000
2 3Lz+3T   10.10   1.52 11.62 2.444
3 3Lo+2T   6.20   0.91 7.11 1.889
4 FCSp4   3.20   0.73 3.93 2.222
5 LSp4   2.70   0.54 3.24 2.111
6 1Lo   0.50   0.00 0.50 0.000
7 2A+1Eu+3S   8.91 x 0.74 9.65 1.667
8 2Lz   2.31 x -1.05 1.26 -5.000
9 3F   5.83 x 0.38 6.21 0.778
10 StSq3   3.30   0.52 3.82 1.667
11 CCoSp4   3.50   0.75 4.25 2.111
  TES   52.95   1.84 54.79  

トリプルアクセルは不発。回転不足で基礎点から削られました。結局今シーズン後半、国際大会に3試合出てトリプルアクセルを4回飛びましたがすべて回転不足の転倒となりました。全日本の再現は国際大会では残念ながらできずに終わりました。

渡辺倫果選手も不思議なのが、ショートフリー通じてコンビネーションジャンプはすべてしっかり決めてGOEプラスの評価を得ています。一方でトリプルアクセルを含め単独の3回転ジャンプがことごとくうまくいかない。ショートではフリップが抜けて零点。フリーでもループが1回転、ルッツは2回転になり転倒。最後の単独フリップはようやく決めましたが、コンビネーションすべて決めたのになぜ単独ジャンプが決まらないのか??? 不思議なものです。

ここまで単独ジャンプが決まらないと基礎点も50点台前半と落ち込んでしまいます。ショートも含めフリップ、ループ、ルッツという単独ジャンプ3本を大きな加点へ得なくともちゃんと3回転の基礎点満額もらってGOE0で6位までは問題なく行けたのですが、もったいなかったです。フリーもアクセル転倒までは織り込み済みでそのあとのコンビネーション2つ決まった時はなんとかなるか? と期待したのですが、単独ジャンプが・・・。

来シーズンはやはりシニアに上がりますが、グランプリ枠はないでしょう。全日本6位があるのでチャレンジャーシリーズコースは確保できていると思うので、そこで一発決めて200点に乗せて次の次のシーズンへの足掛かりをつかむ、というのが住吉選手と同じく現実的なコースになると思います。こういう19歳で初めて世界ジュニアに出た、というような選手がそのあと伸びていくというようなことがあるとフィギュア界も厚みが出てよいのですが、どうでしょうか。アメリカではテネル選手がそんな感じで、マライアベル選手に至っては世界ジュニアに出ることもできなかったのですが、20台になって伸びていきました。日本はロシアほどではないですが若いうちに頭角を現さないと淘汰されてしまう国。その前例に反する成長を期待したいと思います。

 

この世界ジュニアでフィギュアスケートの今シーズンは実質的に終了しました。日本的には画竜点睛を欠く結果に終わってしまった感じはします。男子はそれでも表彰台を確保。これで四大陸、オリンピック、世界選手権に世界ジュニア、今シーズンのチャンピオンシップでは顔触れを変えながらすべて表彰台を確保しています。

それにしても世界ジュニアというのは特殊な大会で、来シーズンの枠がこの試合で決まるのだけど、その枠を確保してきた選手は高確率で来シーズンはシニアに上がっていてジュニアの枠を使わない。その使わない人に取ってもらった枠が後輩たちの強化試合として使われる。枠を使う選手たちの力が枠どりに反映されないんですね。ちょっと不思議でありつつ、もうちょっといいやり方ないのかなあ、と思ったりします。男子のカザフスタン、女子のスイス、ジュニアグランプリシリーズで7試合×2枠もらってもそれを埋める選手が足りないでしょう・・・。日本に回してもらえないかなあ、と思いますが、結果を出せなかったのが悪いですね。残念。

 

コロナで延期になり、会場も確保できるか、開催できるか怪しい時期がしばらくあった中で、なんとか開催してくれたエストニアに、四大陸選手権も含め、感謝したいと思います。

そして、シーズン終了。まさか、も含め引退してしまった選手もいますが、そういった選手たちは今後の人生の幸福を、来シーズンも続けていく選手たちは、また、新たな姿を夏・秋に見せてくれることを願っています。