21-22 ユヨン

2004年5月27日生まれ

シニア3シーズン目

シーズン獲得賞金:$32,000

世界ランキング:4位

シーズンランキング:5位

シーズンベストスコア 216.97 (14位) スケートアメリカ

ショートプログラムシーズンベスト 72.08 世界選手権

フリーシーズンベスト 146.24 スケートアメリカ

ショートプログラム楽曲:The Leftovers より

フリープログラム楽曲:レミゼラブルより

スピンレベル4率 38/48=79.2%

ステップレベル4率 9/16=56.3%

スピンオールレベル4 2/7

スピンステップオールレベル4  2/7

ジャンプ要素回転不足率 21/80=26.3%

ジャンプ回転不足なし 1/8

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 0/8

 

○21-22シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
IC Cranberry Cup 2 182.88 59.74 123.14
CS Autumn Classic 2 180.25 60.66 119.59
GP Skate America 3 216.97 70.73 146.24
GP NHK Trophy 3 203.60 68.08 135.52
NC Korean Championships 1 221.49 76.55 144.94
4CC Four Continents 6 198.56 67.86 130.70
OG Olympic Games 6 213.09 70.34 142.75
WC World Championships 5 204.91 72.08 132.83

今シーズンは8月から試合に出てきました。シーズン開幕戦、クランベリーカップでは182.88で2位。2位はいいとして180点台前半? と心配な初戦でした。まあ8月だしな、とは思いましたが、9月のオータムクラシックも180.25にとどまります。韓国の代表争いは結構厳しい。180点そこそこでは代表になれません。大丈夫なのか? という心配を払しょくしたのがグランプリシリーズ、スケートアメリカでした。ショートではトリプルアクセル転倒ながら70点台に乗せ、フリーではトリプルアクセルを着氷。課題の回転不足もqまでに留め146.24と140点台後半までスコアを出し、トータル216.97 表彰台に上ります。210点台半ばまで出せれば、韓国の代表争いも十分リードできます。

NHK杯はそれほどスコアを伸ばせませんでしたがそれでも3位表彰台。グランプリ2戦で表彰台にのり、代表争いをリードしてナショナル選手権へ向かいます。

韓国選手権は楽な試合ではありませんでしたが、それでも貫禄を見せて220点台に乗せて5回目の優勝。オリンピック代表に選出されます。

意外だったのがその次、間一週で四大陸選手権に出場してきました。ここでは200点に届かないスコアで6位。ナショナルとオリンピックの間、一度調子が落ちる時期、としては妥当な結果かと思いますが、わざわざ出なくてもよかったんじゃないか、と思う試合でした。

オリンピックは、今回は韓国は団体戦無し。個人戦のみの出場になります。ショートプログラムトリプルアクセルがダウングレードになりながらも70点には乗せて6位スタート。フリーは回転不足ではありながらもトリプルアクセルも着氷し、140点台に乗せて総合6位入賞を果たします。

世界選手権は表彰台チャンス。ショートではトリプルアクセルを封印し確実に72.08 シーズンベストで4位で折り返します。フリーで投入したトリプルアクセルは回転不足からのステップアウト。そこまではまだ織り込み済みかと思いますが、3つ目のループが1回転に、最後のフリップが回転不足の転倒。トリプルアクセル以外ノーミスなら3位表彰台まであったのですが、結局5位に終わりました。

 

○要素別スコア

Event Pl Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Cranberry Cup 2 182.88 96.07 89.81 64.86 -5.24 22.89 13.56
Autumn Classic 2 180.25 90.33 90.92 63.76 -8.16 22.01 12.72
Skate America 3 216.97 116.11 101.86 76.08 1.74 23.72 14.57
NHK Trophy 3 203.60 105.14 100.46 71.12 -1.71 23.10 12.63
Korean Championships 1 221.49 119.45 102.04 74.48 8.19 23.05 13.73
Four Continents 6 198.56 103.00 97.56 61.14 5.59 23.19 13.08
Olympic Games 6 213.09 110.96 102.13 68.86 3.15 24.50 14.45
World Championships 5 204.91 103.74 102.17 63.29 0.42 25.13 14.90

技術点はシーズン序盤2試合は90点台ですがスケートアメリカでは110点台後半まで出ました。PCSは100点前後まで。5項目平均8.5あたりにいます。

ジャンプの基礎点はスケートアメリカで76.08まで出ました。これは今シーズンはロシア勢以外はトップの基礎点になります。

ジャンプの加点はナショナル選手権以外だと4位大陸の8.19が最高。マイナスの試合も目立ちます。ここがおそらくもう少し欲しいところだったかと思います。

スピンは23点台が多いですがオリンピックで24点台、世界選手権で25点台に乗せました。スピンではレベルの取りこぼしが目立ったのですが、オリンピックと世界選手権の2試合だけはショートフリー通じてスピンステップオールレベル4 でした。集中力が違うのでしょうか。

ステップは世界選手権の14.90が最高。ステップが得意な選手ともそれほど遜色ないスコアです。

 

○要素別偏差値

Event Pl Total J Base J GOE Spin Step PCS
Cranberry Cup 2 56.30 60.77 43.59 56.95 60.54 56.43
Autumn Classic 2 55.59 59.95 38.68 54.21 57.19 57.17
Skate America 3 65.55 69.15 55.31 59.53 64.56 64.46
NHK Trophy 3 61.93 65.44 49.51 57.60 56.83 63.53
Korean Championships 1 66.78 67.95 66.14 57.45 61.21 64.58
Four Continents 6 60.56 57.99 61.77 57.88 58.63 61.60
Olympic Games 6 64.50 63.75 57.67 61.96 64.08 64.64
World Championships 5 62.28 59.60 53.09 63.92 65.87 64.67

偏差値で見ると、スケートアメリカでトータルスコアが60台後半まで出ました。そのスケートアメリカのジャンプの基礎点は偏差値70近いです。一方で、回転不足などがかさむと偏差値60に満たない水準になることもあります。

ジャンプの加点は4大陸で偏差値60台に乗っていますが、ほかの国際試合は50台、あるいは50を切ることもあります。

スピンはオリンピック、世界選手権で偏差値60台に乗せてきました。ステップも偏差値60台半ばまで来ています。PCSは60台前半で、オリンピック、世界選手権で64まで出しています。

トリプルアクセルのイメージの強いユヨン選手ですが、オリンピック、世界選手権ではジャンプよりもほかの要素の偏差値の方が高い、という結果になってきています。

21-22シーズン ユヨン要素別偏差値レーダーチャートレーダーチャートこういう形です。右下が凹みがち。ただ、スピンステップも常に高いわけでもなくそちらが凹んでいることもあります。すべての要素がよかった試合、というのがなかったとも言えるでしょうか。

 

●シーズン最高の基礎点構成

スケートアメリカ ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   -4.00 4.00 -4.889
2 3Lz+3T   10.10   1.69 11.79 2.778
3 FCSp4   3.20   0.73 3.93 2.222
4 LSp4   2.70   0.85 3.55 3.111
5 3F   5.83 x 1.06 6.89 1.889
6 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.778
7 CCoSp3   3.00   0.90 3.90 3.000
  TES   36.73   2.29 39.02  

スケートアメリカで36.73という基礎点を出しました。スピンのレベル3がありますが、これがレベル4に出来ていれば37.23まであります。その上はコンビネーションを1.1倍にすると37.71まで上がります。ユヨン選手より上の基礎点は、この37.23と37.71を出した4人しかいませんでした。

 

スケートアメリカ フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Aq q 8.00   -0.91 7.09 -1.111
2 3Lz+3Tq q 10.10   -0.08 10.02 -0.222
3 3Lo   4.90   1.33 6.23 2.667
4 2A   3.30   0.90 4.20 2.667
5 StSq4   3.90   1.00 4.90 2.444
6 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 2.02 13.79 3.556
7 LSp3   2.40   0.69 3.09 2.889
8 2A+3Tq q 8.25 x -0.72 7.53 -1.778
9 3F! ! 5.83 x 0.45 6.28 0.778
10 FCCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.667
11 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.444
12 CCoSp4   3.50   1.30 4.80 3.778
  TES   68.45   8.64 77.09  

フリーもスケートアメリカで最高基礎点を出しています。68.45はロシア勢以外では今シーズン最高の基礎点です。ロシア勢でもシニアではこの上は5人だけでした。

2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。3連続では3回転のサルコウを入れています。レイバックスピンのレベルを4にすればあと0.3基礎点は上がりますが、それ以上は、トリプルアクセル2本目を持ってくることが求められそうです。ただ、トリプルアクセル2本目を持ってくると、セカンドトーループを1つ2回転にしないといけないので、思ったほど基礎点は伸びず、+1.8ほどにしかなりません。それでも基礎点70点に乗ってきます。

 

○平均GOE3.200以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Skate America FS 12 CCoSp4   3.50   1.30 4.80 3.778
World Championships SP 1 2A   3.30   1.23 4.53 3.667
Skate America FS 6 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 2.02 13.79 3.556
World Championships SP 4 LSp4   2.70   0.96 3.66 3.556
World Championships SP 6 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
Skate America FS 11 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.444
World Championships SP 7 CCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.444
Cranberry Cup FS 11 ChSq1   3.00   1.83 4.83 3.400
World Championships FS 6 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 2.02 13.79 3.333
World Championships FS 11 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.333
World Championships FS 12 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.333
NHK Trophy SP 7 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.222
NHK Trophy FS 12 CCoSp4   3.50   1.10 4.60 3.222
Olympic Games FS 11 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.222
World Championships SP 3 FCSp4   3.20   1.01 4.21 3.222
Cranberry Cup FS 6 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.77 13.54 3.200

ユヨン選手はジャンプ、スピン、ステップ、それぞれ平均GOEで+3を超える評価を得ています。1つの試合で全部が揃わないのですが、どの要素もうまくいけば高い評価を得られる、という形です。

不思議なもので、ジャンプで高評価が目立つのが3連続ジャンプ。単独ジャンプの方が高い評価を得やすそうなものですが、後半の、それもサルコウ付きの3連続で高評価を得て得点源としています。

 

トリプルアクセルを含む要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Cranberry Cup SP 1 3A< 6.40   -3.20 3.20 -5.000
Cranberry Cup FS 1 3Aq   8.00   -4.00 4.00 -5.000
Cranberry Cup FS 2 3A<+2T 7.70   -0.85 6.85 -1.000
Autumn Classic SP 1 3A< 6.40   -3.20 3.20 -5.000
Autumn Classic FS 1 3A< 6.40   -2.43 3.97 -3.714
Autumn Classic FS 2 3A<<+2T <<  4.60   -1.12 3.48 -3.429
Skate America SP 1 3A   8.00   -4.00 4.00 -4.889
Skate America FS 1 3Aq q 8.00   -0.91 7.09 -1.111
NHK Trophy SP 1 3A< 6.40   -3.20 3.20 -5.000
NHK Trophy FS 1 3A< 6.40   -3.20 3.20 -5.000
Korean Championships SP 1 3A   8.00   1.12 9.12 1.286
Korean Championships FS 1 3A< 6.40   -0.64 5.76 -1.000
Four Continents FS 1 3A<< <<  3.30   -1.65 1.65 -5.000
Olympic Games SP 1 3A<< <<  3.30   -0.99 2.31 -3.000
Olympic Games FS 1 3A< 6.40   -1.10 5.30 -1.556
World Championships FS 1 3A< 6.40   -1.65 4.75 -2.556

トリプルアクセルを今シーズンは毎試合毎試合試みました。結果的に基礎点が8.00しっかり入ったのは16回のうち4回。その4回のうち着氷できたのは2回です。アンダーローテーションが8回で半分あり、そのうち4回は転倒です。アンダーローテーションでも立てればダブルアクセル比で損はない、とすると、たった4回分は要素としては成功ではないものの、スコア獲得作戦としては成功だったと捉えられそうです。

 

○3回転-3回転の要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Autumn Classic SP 4 3Lzq+3T< 10.19 x -1.65 8.54 -2.714
Skate America SP 2 3Lz+3T   10.10   1.69 11.79 2.778
Skate America FS 2 3Lz+3Tq q 10.10   -0.08 10.02 -0.222
NHK Trophy SP 2 3Lz+3Tq q 10.10   -0.17 9.93 -0.333
NHK Trophy FS 2 3Lz+3T< 9.26   -0.42 8.84 -0.778
Korean Championships SP 2 3Lz+3Tq q 10.10   -0.24 9.86 -0.571
Korean Championships FS 2 3Lz+3T   10.10   1.30 11.40 2.286
Four Continents SP 2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
Four Continents FS 2 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.778
Olympic Games SP 2 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.667
Olympic Games FS 2 3Lz+3Tq q 10.10   -0.08 10.02 -0.222
World Championships SP 2 3Lz+3Tq q 10.10   0.25 10.35 0.444
World Championships FS 2 3Lz+3Tq q 10.10   0.42 10.52 0.667

3回転-3回転がシーズン前半は今一つでしたが中盤以降は加点がもらえることが多くなりました。オリンピックフリーはややマイナスですが、それでも大崩れなくスコアを取っています。シーズン通じて3-3の転倒がありませんでした。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Cranberry Cup FS 6 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.77 13.54 3.200
Autumn Classic FS 6 3Lzq+1Eu+3S q 11.77 x -0.12 11.65 -0.286
Skate America FS 6 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 2.02 13.79 3.556
NHK Trophy FS 6 3Lz+1Eu+3S   11.77 X 1.69 13.46 2.889
Korean Championships FS 6 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.42 13.19 2.286
Four Continents FS 6 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.77 13.54 3.000
Olympic Games FS 6 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.60 13.37 2.556
World Championships FS 6 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 2.02 13.79 3.333

3連続ジャンプは高評価です。オータムクラシックだけよくなかったですが、他は平均GOEで+2以上、多くは+3を超える評価でした。3回転2つ入った3連続で+3.000以上を並べているのは他にワリエワ選手くらいです。質の高い3連続でした。

 

濱田組エース状態になって2シーズン目。今シーズンはすべての試合で上位に顔を出しました。ただ、すべての試合で、ちょっと惜しい、という結果だったように感じます。代名詞のトリプルアクセル。これがことごとく決まりませんでした。

シニア3シーズン目。シェルバコワ選手たちエテリ組3人とシニア同期です。韓国勢の選手寿命は、長いか短いか、いまいちまだわかりませんが、ロシア勢よりは少なくとも長いでしょうから、高校3年生にあたる来シーズンはまだ普通に顔を出してくることでしょう。

世界で一番女子にトリプルアクセルを飛ばせるノウハウが集まる場所。そこで練習を積んで、トリプルアクセルを取り戻せば、ほかのジャンプは揃っているのでコンスタントにトップ争いに顔を出せるのではないかと思います。